ニュース

光るだけじゃないんです! 常識が変わった新世代のマザーボード選び

DOS/V POWER REPORT2018年2月号の特集は「PCパーツ100選+600」

ガチ投票による価格帯別お勧め製品も大公開!

 DOS/V POWER REPORT2018年2月号(12月27日発売)では、「PCパーツ100選+600」と題して、 第8世代CoreプロセッサーとRyzenの登場で盛り上がりを見せるCPU市場を筆頭に、マザーボード、メモリ、ビデオカード、SSD、HDD、PCケース、電源、CPUクーラーなど、主要ジャンルのパーツを紹介しています。

 124ページ(!)という超特大ボリュームの特集から、ここではCPUに合わせて変化するマザーボードの最新トレンド紹介と、本誌執筆陣および編集部による投票で決定したレコメンド製品の紹介の一部を抜粋して掲載します。特集の全貌はぜひ本誌を購入してお楽しみください。

マザボ選びの基礎知識(1) 最新マザーボードの機能を重要度で分類

 マザーボードの多機能化はとどまるところを知らない。使い勝手のアップや最新デバイスへの対応など、歓迎すべき機能向上も多いのだが、機能が増え過ぎて、どれが重要でどれがそうでないのかが分かりにくくなっているのも確かだ。

 そこでここでは、現在のマザーボードが備える代表的な機能をピックアップし、筆者およびパワレポ編集部によって「重要度」別にまとめてみた。ユーザーによってマザーボードに求める機能は違うが、平均的なユーザーを想定している。製品選びの際のチェックポイントとして参考にしてほしい。

重要度「高」

M.2スロットの数
高速なSSDを搭載できるM.2スロットは今や大多数の製品が備えている。問題はその数。将来の増設やRAID構築を考えているなら複数搭載する製品を選ぼう。また、最新のNVMe M.2 SSDはPCI Express 3.0 x4対応のM.2スロットでないと性能を発揮できないので注意したい
M.2クーラー
高速なNVMe M.2 SSDは発熱が大きいので、クーラーの有無は重要。チップセットのヒートシンクと一体化されたものも独立したものも、安価な市販のヒートシンクを上回る能力を持つ
USB Type-Cコネクタ
Type-Cケーブルでデータ通信や充電を行なうデバイスは増えている。なお、高速SSDの接続を考えていなければ、必ずしもUSB 3.1に対応している必要はない
ファン用電源コネクタの数
ケースファンの電源コネクタの数は製品によって違う。増設も考えると、必要な数に1、2基プラスして考えておきたい
その他項目
  • メモリスロット数
  • USB 3.0ポートの数
  • USB 3.0ピンヘッダの数
  • DisplayPort、HDMIポートの有無
  • ドライバ/ユーティリティ自動更新アプリ
  • ハードウェアモニタ機能(冷却にこだわるなら、センサーは5カ所以上)
  • 日本語マニュアル

重要度「中」

PCI Express x16スロットの数
SLIやCrossFireXなどのマルチGPUや、拡張カードタイプのSSDの利用を考えるならPCI Express x16形状スロットの数や仕様に気を付けたい
USB 3.1ポート
Thunderbolt 3ポート
Thunderbolt 3ポートは映像、サウンド出力が行なえるほか、USB 3.1 Type-Cコネクタとしても使用できる。最近は対応ディスプレイが増加するなど、普及が加速している
ファンコントロール機能
ファンコントロール機能があれば、適切な冷却を行ないつつ、マシンを静音化することができる
4K/60Hz出力対応
内蔵GPUを使用して4K/60Hz出力するにはDisplayPort 1.4もしくはHDMI 2.0対応ポートが必要。HDMI 2.0対応ポートを搭載する製品は少ないので要注意。HDMI 1.4で4K対応をうたう製品もあるが、リフレッシュレートが30Hz程度となるため、動画やゲームなどではカクツキが発生してしまう
Serial ATA 3.0ポートの数
電源ボタン
その他項目
  • 無線LAN/Bluetooth
  • 起動時の状態表示用LED
  • フロントType-Cコネクタ用ポート
  • 高音質サウンド機能
  • サウンドエフェクトアプリ
  • 高品質部品を使用した電源回路
  • 外部クロックジェネレータ
  • メモリ相性問題緩和機能
  • 自動OC機能
  • 強化構造拡張スロット
  • SLI HBブリッジ

重要度「低」

10G/5GBASE-T LAN
10G/5Gbps LANに対応するポートを装備する製品が増えているが、対応ルーターやハブなどが高価な現状では、個人ユースでの重要度は高くない
U.2ポート
大容量NVMe SSDのインターフェースとして将来性は見込めるが、現状コンシューマ向け製品は少ない
LEDイルミネーション
最近のトレンド機能の一つがLEDイルミネーション。付属ユーティリティで発光色や発光パターンを変更できる。メーカーによってはLED搭載ケースファンやCPUクーラーなどの周辺機器と連係して光らせることができる
CPUレスのUEFIアップデート
CPU、メモリレスでUSBメモリからUEFIのアップデートを行なえる製品がある。起動しなくなった場合などにUEFIを復旧することができる。現行のUEFIでは動かないCPUが登場しても対応可能だ
ゲーマー向けPS/2ポート
電圧測定ポイント
その他項目
  • Dsub 15ピン
  • Optane Memory対応
  • 高音質DAC
  • LANポートのサージ保護機能
  • PCIスロット
  • Secure Erase機能
  • デジタル音声出力
  • LEDテープ対応コネクタ
  • 水冷ポンプ用電源コネクタ
  • 極冷向けLN2機能
  • ディスククローン機能
  • ネットワーク最適化アプリ
  • RAMディスク作成機能
  • デュアルLAN

マザボ選びの基礎知識(2) CPU×チップセットでおおまかな性格が決まる

 2017年は新しいCPUと新しいチップセットが数多く登場した。組み合わせによっては正常に動作しないこともあるため、CPUソケットとCPU、チップセット(マザーボード)の関係をきちんと把握しておこう。

Intel LGA2066 ~メニーコアのハイエンド

 最大18コア/ 36スレッドのCore i9などをラインナップするハイエンドプラットフォーム。多数のコアと拡張カードを組み合わせたリッチなシステムを構築できる。対応チップセットとしてはX299が用意されている。

対応CPU
  • Core i9
  • Core i7
  • Core i5
対応チップセット
  • X299
    LGA2066 CPUに対応する唯一のチップセット。PCI Express 3.0を24レーン持ち、Serial ATAを8基サポートする点が特徴

Intel LGA1151 ~多種多様な製品が揃うメインプラットフォーム

 LGA1151はIntelのメインストリーム向けプラットフォーム。性能、消費電力、コストのバランスに優れたシステムを構築できる。対応CPUとしては、Coffee Lake(第8世代Coreシリーズ)とKaby Lake(第7世代)が販売されている。

 気を付けなければならないのは、両者は同じLGA1151ソケットに対応するが互換性がないこと。それぞれの対応マザーボードはチップセットで見分けるしかない。現状、Coffee Lakeに対応するチップセットはZ370のみ。Kaby Lakeに対応するチップセットはZ270、H270、B250などがある。

対応CPU
  • 第8世代Core i7
  • 第8世代Core i5
  • 第8世代Core i3
  • 第6/7世代Core i7
  • 第6/7世代Core i5
  • 第6/7世代Core i3
  • 第6/7世代Pentium
  • 第6/7世代Celeron
対応チップセット
  • Z370
    現状、唯一のCoffee Lake対応チップセット。倍率変更OC、マルチGPUに対応する全部入り
  • Z270
    Kaby Lake対応チップセットの最上位。倍率変更OC、マルチGPUに対応する
  • H270
    Z270から倍率変更OC、PCI Expressレーンの分割機能を省いたミドルレンジモデル
  • B250
    PCI Expressレーンのサポート数などを削減した低価格マザー向けモデル

AMD SocketTR4 ~メニーコアのハイエンド

 16コア/ 32スレッドのRyzen Threadripper 1950XなどをラインナップするAMDのハイエンドプラットフォーム。性格はIntelのLGA2066に近いがコア/スレッドあたりの価格が安い。

対応CPU
  • Ryzen Threadripper
対応チップセット
  • X399
    Ryzen Threadripperに対応する唯一のチップセット。SocketTR4では、高速ストレージインターフェースなど多くの機能がCPUでサポートされるため、チップセットが持つ機能は少ない。USB 3.1対応が唯一の見どころ

Socket AM4 ~AMDの主力プラットフォーム

 Ryzen 7などを擁するAMDのメインストリーム向けプラットフォーム。対応チップセットとしては、X370、B350、A320が用意されている。気を付けたいのは、Socket AM4では多くの機能がCPUによってサポートされているため、使用するCPUによってマザーボードの機能が大きく変わること。たとえば旧世代のBristol RidgeコアのA12、A10を使用した場合は、Ryzenを使う場合に対して拡張スロットの対応レーン数が少なくなったり、M.2スロットの転送速度が遅くなったりする。

対応CPU
  • Ryzen 7
  • Ryzen 5
  • Ryzen 3
  • A12
  • A10
対応CPU
  • X370
    Socket AM4対応チップセットの最上位。倍率変更OC、マルチGPUに対応する全部入り。USB 3.1を2基サポート。USB 3.0のサポート数も多い。
  • B350
    ミドルレンジPC向けチップセット。X370とは、マルチGPUをサポートしない、Serial ATA 3.0とUSB 3.0のサポート数が少ないなどの違いがある
  • A320
    ローエンドP C向けチップセット。B350との違いは、倍率変更OCに対応しない、USB 3.1のサポート数が少ない点など

投票結果発表 現行モデルのオススメはこれだ!

ハイエンド結果
ミドルレンジ結果
ローエンド結果
スモールフォームファクター結果

 ハイエンド部門(3万円以上)でとくに多くの票を集めたのは明確な特徴を持つモデル。たとえばゴールドレコメンドのASUSTeK ROG MAXIMUS Ⅹ APEXはオーバークロックに特化したモデル。シルバーレコメンドのGIGA-BYTE Z370 AORUS Gaming 7(rev. 1.0)はサウンド、LANなど、ゲーマーが望む機能を徹底的に強化したゲーミングモデルだ。耐久性にこだわったASUSTeKのTUF X299 MARK 1やX299唯一のmicroATXモデルであるMSIのX299M GAMING PRO CARBON ACも票を得ている。

 ミドルレンジ部門(1万5,000円以上3万円未満)では、ゴールドレコメンドのASUSTeK ROG STRIX Z370-F GAMINGやシルバーレコメンドのMSI Z370 GAMING PRO CARBONのような汎用性の高い製品が票を獲得した。いずれもゲーミングの名を冠しているが、オーバークロックに対応し、USB 3.1やM.2などの機能が充実した、用途を選ばないモデルである。一方で、BIOSTAR TB250-BTC PROのようなほかにない特徴を持つモデルも票を獲得している。

 ローエンド部門(1万5,000円未満)では、徹底した低コスト志向ではなく品質、機能ともに充実した製品が多く票を集めた。たとえば、ゴールドレコメンドのMSI B350 TOMAHAWKは、長時間のゲームプレイを考慮した安定性重視の仕様で、低価格モデルとしては強力な電源回路を搭載。ビデオカード用拡張スロットに金属補強がなされているなど、ハイエンドCPUと大型ビデオカードにも十分対応できる。Type-Cコネクタなど今後の使い勝手を左右しそうな機能をきちんと装備している点も高評価ポイントだ。今回票を獲得した製品の多くは、B350を搭載したSocket AM4マザーボードだ。今、コストパフォーマンスを重視するなら、RyzenとB350マザーボードの組み合わせが狙い目と言えるだろう。

 スモールフォームファクター部門(Mini-ITX)では、後から拡張カードで機能を追加するのが難しいということもあり、高機能のモデルが高い評価を得た。ゴールドレコメンドのFatal1ty Z370 Gaming ITX/acは、Thunderobolt 3やHDMI 2.0などの先進機能をサポート。最大867Mbpsの高速無線LANもサポートする。シルバーレコメンドのX299E-ITX/acは現状唯一のLGA2066 CPU対応Mini-ITXモデル。独自の工夫により、Mini-ITXの常識を覆す拡張性を実現している。コンパクトケースなど空調の悪い劣悪な環境で使用されることが多いMini-ITXマザーだけに、GIGA-BYTE Z370N WIFIなど、M.2の冷却が考慮されたモデルも高い評価を得た。

選者はここを見た

加藤勝明 ~使って楽しいのが正義

 最近心がすさんでいるせいか、質実剛健系よりも組んで&使って楽しいパーツに心が動かされる。今回はミドルより上の製品は使ったときのおもしろさ(ビジュアル含む)を重視。また機能が並でもコンセプトにおもしろさがあれば、そこを重視した。

鈴木雅暢 ~イメージが重要

 マザーボードは作りたいPCのイメージに合わせて選ぶもの。たとえば、最速CPUで作る最高級マシンにふさわしい製品、最新トレンドで固めた先進マシンならこの製品といったように、それぞれ明確なイメージができる特徴と仕様を持っているかを重視した。

滝 伸次 ~機能と価格のバランスを重視

 今回の投票にあたっては、機能と価格のバランスを重視した。ハイエンドでは高い金額に見合う独自性の高い特徴があるか、ミドルレンジでは最新トレンド機能を網羅しているか、ローエンドでは品質や使い勝手がきちんと考慮されているかを入念にチェックした。

編集部 ~利用シーンが思い浮かぶものを高く評価

 PCを普通に使うだけならローエンド製品で事足りる。ハイエンドやミドルレンジクラスの製品は、価格に見合ったなんらかの価値を提供してくれるものでないと選ぶ意味がない。ぜひ使ってみたいと感じる機能を搭載したものを優先的に選んだ。


 パワレポ2月号ではこのほか60以上の製品を紹介しています。