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Adobe Creative Cloudが「全方位アップデート」
2017年10月19日 07:01
米Adobe Systemsは18日(現地時間)、米国で恒例のクリエイター向けイベント「Adobe MAX」を開催する。イベントでは、今後Adobe Creative Cloud(Adobe CC)で実装される機能について発表される。この記事では、事前の日本報道関係者向け説明会で紹介された新機能のダイジェストをお伝えする。
Adobe MAXは2017年、参加者がついに12,000人に達し、世界最大規模のクリエイター向け会議となった。これに合わせるかたちで、Adobe CCがアップデートされるのだが、今回は「全方位アップデート」と称し、ほぼすべてのアプリケーションが改良/改善された。
VRといった没入型のコンテンツが増え、Wi-Fiやモバイル回線の普及により、どこでもコンテンツが製作可能になったことを踏まえ、AI/機械学習フレームワークの「Adobe Sensei」を活用する機能を増加。これにより自分のコンテンツ制作に注力できるとしている。
今回のアップデートでは、5つのツールが「バージョン1.0」として提供される。1つ目はこれまでベータを展開してきた「XD」で、UIとUXのデザインを一括して行なえるツール。例えばテーマとしてUIを管理し、1つの配色を設定しただけでUIすべてが変更されるといったことが可能だ。アプリケーションデザイナーは、コンテンツとデザインを切り離して設計することができるようになる。
2つ目は「Dimension」で、グラフィックデザイナー向けの3Dツールとなる。これまでの3Dツールは、2Dに慣れたクリエイターにとって操作が難しく、2Dの製品デザインを3Dに反映するさいに苦労していたが、Dimensionでは2Dに慣れたクリエイターでも容易に3Dデータを制作し、製品イメージとして展開可能という。
3つ目は「Lightroom CC」で、いわばクラウドがベースとなった。デスクトップ、タブレット、スマートフォン向けにアプリが提供されるが、Webでも編集可能になるなど、あらゆる端末から共通のユーザー体験を実現する。なお、Lightroom CC単体のプランも用意され、月々980円で、1TBのクラウドストレージとセットで提供される。
なお、従来のデスクトップ版Lightroomは、「Photoshop Lightroom Classic CC」という名前に改められた。大幅な性能改善や現像モジュールの改善などが図られている。
4つ目は「Character Animator」で、自分の顔を動画としてキャプチャして、それを2Dパペットに動きを反映できるのが特徴。キーボードやMIDIデバイスでさまざまなジェスチャーのコントロールもできる。これまではタイムラインがフレーム単位で表示されていたが、時間単位でも表示できるようになった。また、アクションスクリプトもウィザードで行なえるようになった。
5つ目は「Spark」で、グラフィックやWebページ、ビデオストーリーを作成するツール。ただし現時点では日本語化されておらず、若干ハードルが高い。
デザインやフォト製品群のアップデート
「Photoshop」では、ブラシ機能の改善、曲線ツールやパスのカスタマイズ機能の実装、選択とマスク機能の向上、バリアブルフォントへの対応が図られた。Lightroomの写真に直接アクセスする機能も加わっている。
「Illustrator」では、Photoshopと同じく、MacBook ProのTouch Barに対応した。「InDesing」では日本語テンプレートの充実や、テキスト周辺の機能強化が図られている。
ビデオ関連では、「Premiere Pro」および「After Effects」がVRデバイスに対応。HTC VIVEなどから360度動画の編集結果をリアルタイムにプレビューできるようになった。
また、テンプレートなどの素材を提供する「Stock」ではテンプレートの拡充をしつつ、検索に人工知能Adobe Senseiによるサポートを加えた。これにより、自分の写真をアップロードし、それに近いイメージ/題材の写真を検索できるようになった。さらに、被写界深度や鮮やかさでフィルタもできるようになった。