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蚊には蚊を。2,000万匹の蚊を放して蚊を減らす計画をGoogleが米国で実施

 Google/Alphabet傘下で生物研究を行なうVerily Life Sciences、および蚊の研究を行なうMosquitoMateは14日(現地時間)、害虫を減らすプロジェクト「Debug」の実証実験として、「Debug Fresno」をアメリカ・カリフォルニア州フレズノ郡で開始した。

 メスの蚊は卵を発達させるのにあたり、ほかの生物の血を吸うが、この際血液中の病原体ウイルスも摂取するため、伝染病の媒介となりうる。実は、人間の命を最も多く奪っている動物が蚊であり、その数は1年間で数百万人に上る。Debugプロジェクトは、血を吸う蚊を減らすのを目的としている。

 昆虫を不妊にする(不妊虫放飼:Sterile Insect Technique:SIT)ことで数を減らすというアイデアは1950年代から存在しており、すでにハエなどの昆虫に適用されてきた。仕組みは単純で、不妊の昆虫を人工的に増殖し野外に放つ。野外にいる昆虫がその昆虫と交尾しても子は残せないので、次世代には絶滅するというものだ。

 Debugプロジェクトでは、バクテリアの1種であるボルバキアを利用し、蚊を不妊にする。そしてボルバキアに伝染した蚊を大量に飼育・生産し、そのうち血を吸わないオスのみを選別して野外にリリースする。なお、リリースについても独自のソフトウェア/モニタリングツールを開発し、その地域に最適な数をリリースする。その後、正常に数を減らしているかどうかをモニタリングする。

 Debug Fresnoでは、ジカ熱やデング熱、チクングニア熱といった伝染病を運ぶネッタイシマカをターゲットにした。20週間かけて2つの近隣地域、面積にして300エーガー(約122万平方m)をカバーする。1週間に100万匹のオスの蚊をリリースするため、20週間で合計2,000万匹の蚊をリリースすることになる。

 MosquitMateは2016年に、フレズノ郡のConsolidated Mosquito Abatement District(蚊を減らす団体)と共同で小規模なテストパイロットを実施したが、今回のプロジェクトはその25倍におよぶ。