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VESA、DisplayPortコネクタのフェードアウトを示唆。将来的にはUSB Type-Cに集約

~DisplayPort 1.4規格の現況を報告

DisplayPort Alternate Modeの試験装置

 VESA(ビデオエレクトロニクス規格協会)は19日、ディスプレイインターフェイス「DisplayPort」に関するメディア向け説明会を開催し、現行規格であるDisplayPort 1.4に関する技術的なアップデートやAlternate Mode、適合性試験などについて現在の状況を説明した。

 登壇したVESA コンプライアンス・プログラム・マネージャのジム・チョート氏は、VESAは現在250以上のメンバーを有しており、主に半導体メーカーが35%、ディスプレイメーカー15%などで構成されているとした。DisplayPortへのメンバー加入はUSB Type-CインターフェイスでDisplayPort信号を扱うための規格「Alternate Mode」のサポートによって急増しているという。

VESAでコンプライアンス・プログラム・マネージャを務めるジム・チョート氏
VESAには世界で250以上のメンバーが在籍している
VESA参加企業の事業別グラフ。半導体が35%と一番多く、ついでディスプレイメーカーが15%となっている
メンバーの加入はAlternate Modeのサポート以降急速に増えている
DisplayPort 1.4

 DisplayPort 1.4は2015年2月23日にリリースされた規格であり、4レーン中1レーンあたり8.1Gbpsの転送レートを持つHBR3に対応。また新機能として、データ圧縮機能の「Display Stream Compression(DSC)」もあり、これによって8Kでの60Hz出力が可能に。このほかにも、前方エラー訂正機能「Forward Error Correction(FEC)」、1出力からのマルチディスプレイを可能にする「Multi-Stream Transport(MST)」などが取り込まれている。

 チョート氏は、現在DisplayPort 1.4は適合性試験の開発が進行中であり、これにはHBR3、DSC、FEC、HPD(ホットプラグ検知)が含まれている。さらに、リンクレイヤーや物理層の適合性試験に関するドキュメントもアップデートされ、今年(2017年)の後半には発行予定としている。

DisplayPort企画の転送速度
現在DisplayPort 1.4は適合性試験の開発が進められている。今年の後半にはリンクレイヤーや物理層のに関するドキュメントをアップデート予定

 また、USB Type-CにおけるAlternate Modeについても言及。VESAはUSB IF(Implementers Forum)とともにUSBとDisplayPortの相互運用性を担保する適合性試験を開発しており、互換性を高めているという。

 チョート氏は現在のスマートフォンやスリムなノートPCにはMini DisplayPortは大きすぎると述べており、今後モバイルの世界ではAlternate Mode対応のUSB Type-Cが主流となり、Mini DisplayPortはフルサイズのDisplayPortも含めて少なくなっていくだろうと語った。

VESAはDisplayPort Alternate Modeのバージョン1を2014年9月22日にリリースしている
USB Type-CではUSB 3.1 Gen 2(10Gbps)、100WまでのUSB Power Delivery、そしてDisplay Port Alternate Modeをサポートできる
USB Type-Cポートのピン配置図。ピンそれぞれの機能は上下で左右対称になっているため、表裏どちらの接続にも対応できる。CC1およびCC2のピンがケーブルのデバイスのタイプを判別し、USB Power Deliveryでの通信にも使われる
USB Type-Cの利用例。デバイスの充電、充電+USBデータ転送+映像出力などが描かれている
Samsung Galaxy S8を使った場合の例。ドック経由でのDisplayPort出力を可能とする
会場に展示されていたデモ機。Galaxy S8からディスプレイにUSB Type-C経由で映像を出力したり、ノートPCへの充電が可能なことを実演して見せた
DisplayPort Alternate Modeの検証機。手前のUSB Type-Cケーブルが下の4つのモジュールにつながっているが、これは信号の4レーンを分割しているため。このモジュールがオシロスコープに接続され、信号のアイパターンを計測できる