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2016年はDisplayPort 1.4対応機器が続々登場
~VESAがDP対応USB Type-Cの早期認定プログラムを開始
2016年6月9日 15:30
ビデオ周辺機器などの規格を定めている標準化団体のVESAは9日、都内で記者発表会を開催した。
この発表会は、VESAが8日(米国時間)に発表したUSB Type-CコネクタとDisplayPort Alternate Mode(Alt Mode)規格の早期認定プログラムが正式に開始されたことを受けてのもので、現状のDisplayPortやUSB Type-C規格などを踏まえ、その説明が行なわれた。
最新バージョンの「DisplayPort 1.4」は、2016年3月1日にリリースされており、DisplayPort 1.3と同じHBR3(32.4Gbs : 8.1Gbps×4チャンネル)の高速転送能力を引き継いでいる。これに加え、データ圧縮転送技術「Display Stream Compression(DSC)」、転送時のエラー耐性を高める前方誤り訂正機能「Forward Error Correction(FEC)」、1つの映像出力端子からマルチディスプレイ出力させる「Multi-Stream Transport(MST)」の拡張、DisplayPortからHDMI 2.0への変換機能などの搭載を特徴としている。
また、DSCによる圧縮転送をサポートしたことでUSB Type-Cコネクタとしての利便性も大きく向上し、高精細映像を流しつつのSuper Speed USBの利用や、HDR(High Dynamic Range)と8K映像の転送を同時に行なうといった大量データの転送を担えるようになった。Power Delivery機能による100Wまでの電力供給機能も利用できる。
VESAでコンプライアンスプロダクトマネージャーを務めるジム・チョート氏は、現在230社ほどのメーカーがVESAと協力関係にあり、2014年時点の200社から順調に増えているとした。この要因として、Alt Modeの実装が大きく影響したという。
また、VESAが支持を得ている理由として、さまざまなデバイスの検証や互換性確認を行なえるプラグテストイベントの存在が大きいとした。昨年(2015年)3回開催したこのイベントを、今年(2016年)も3回実施するという。直近では米カリフォルニアで開催されるとのことだ。
チョート氏は今回発表した、Alt Mode対応USB Type-C採用デバイスの早期認定プログラムを発動したことによって、短期間で開発を行なうようなメーカーであっても早い段階で検証を行ない、スムーズにDisplayPort認定ロゴを提供できるようになったという。既に10機種以上のデバイスを認定したとのことで、IntelやDell、HPなどのメーカーを挙げ、今年末にはさらに数十製品が認定されるという。
DisplayPort/USB Type-Cの認証テストはは第三者機関が厳密に検査
こういったVESAの認定テストは外部のエンジニアリングサービス会社などが行なっており、そのうちの1つに今回の発表会に登壇したGRL(Granite River Labs)がある。GRLは米国を本拠地として活動しているが、アジアやヨーロッパ地域に検証を行なう研究所があり、日本でも神奈川県横浜市に研究所が設置されている。
GRLでチーフテクノロジーエンジニアを務めるマイク・エンベレッツオン氏は、USB Type-Cの検証に関して、USB Type-Cそのものはシンプルなインターフェイスであるが、それを支える技術が複雑であり、特に新規の技術であるため製品化するには十分な検証が必要であると説く。
テストではホストやドックなどのアダプタともに、USB Type-CとDisplayPortの機能についてベストエフォート型で検証項目を実施し、両方で問題なければ認定、欠陥が見つかった場合はメーカー側に不合格の通知を出すそうだ。実際に起きる不具合としては、Power Deliveryの動作不良やホストとデバイス間でのリンク不整合、充電時にホスト側のLEDライトが付かないといった問題が挙がってくるそうである。
現在のマーケットでのDisplayPortの主流はDisplayPort 1.2だが、VESAのチョート氏によればバージョン1.4の製品審査テストが現在行なわれている真っ最中であり、今年中にDisplayPort 1.4対応製品が登場するという。