やじうまミニレビュー
HDMI出力の機器をDisplayPortのディスプレイに繋げる変換アダプタ
2020年10月21日 06:50
現代的なデスクトップ用ビデオカードの出力は、ほとんどがHDMIかDisplayPortだ。下位モデルではミニD-Sub15ピンやDVIを備えたものもあったりするが、ディスプレイ側も搭載品が減っているので、いずれ淘汰される運命にある。
そのDisplayPortとHDMIだが、コネクタが違えば転送方式も異なる。DisplayPortはデータをパケットにして送るのだが、HDMIはTMDSと呼ばれる方式で、RGBとクロック同期の信号を送る仕組み。そのため、本来この2つの規格には互換性がない。
ただ、DisplayPortにはデュアルモードがあり、TMDSの信号を出力ができる。これによって特別なことをせずとも、安価なアダプタでHDMIに変換可能だ。一方、HDMIはDisplayPortのようなデュアルモードがないため、そのままではDisplayPortしかないディスプレイに映し出せない。
デスクトップパソコンなら、DisplayPortとHDMI両方が実装されていることもめずらしくはないのだが、小型パソコンやノートパソコンでは実装スペースの関係でHDMIしかないことは多く、なにより一般的なAV機器ではHDMIのほうが圧倒的に多い。HDMI入力を2~3個備えたディスプレイでもあっという間に埋まってしまうはずだ。
そういうときに使えるのが、今回ご紹介するHDMIをDisplayPortに変換するアダプタだ。先述のとおり、HDMIとDisplayPortのデータ転送方式は異なるのだが、このアダプタはTMDS信号をDisplayPortのパケットに変換して転送してくれる。
今回購入したのはWintenブランドの「WT-CHD02-BK」という製品で、Amazon.co.jpでの価格は2,390円と非常に安価だった。
本製品の特徴はUSB給電がオプションであること。信号の変換にはICチップが欠かさず、それを駆動させるために、USBから電源を取るためのケーブルがアダプタの本体から出ている製品が多いのだが、実際にはわずかな電流で動作するため、HDMIからの電源供給で動いてしまうことが多いようだ。本製品はMicro USBを介して給電するが、接続するかどうかはユーザーに任されているわけである。もちろん接続したほうが安定して動作するだろうが、HDMIだけで動作するのであれば、ケーブルをぶら下げておく必要がないのは良い。
実際にHDMI出力しか使えないMINISFORUMの「H31G」(DisplayPortもあるのだが、CPU内蔵GPUに接続しており、Core i5-9400Fの本機では利用できない)と、DisplayPortはあるがHDMIは備えていないEIZOの「EV2436W-Z」を組み合わせてみたが、HDMIポートから供給されるバスパワーだけで駆動し、問題なく映し出せた。
もちろん、映像の品質には劣化が見られないし、遅延もほとんど感じられなかった。また、音声もきちんと流せたので、ディスプレイのスピーカーをちゃんと活用できるのは良い。実際に筆者のような組み合わせはかなりレアだろうが、余っているDisplayPortを活用できるという意味でも、購入しておいて損はないと思う。
ちなみに筆者が購入したのは4K/30Hzまでに対応したものだったが、4K/60Hzが必要な場合は、やや値が張るものの、Club3Dの「CAC-1331」を選択すると良いだろう。