やじうまミニレビュー

HDMI出力の機器をDisplayPortのディスプレイに繋げる変換アダプタ

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。

 現代的なデスクトップ用ビデオカードの出力は、ほとんどがHDMIかDisplayPortだ。下位モデルではミニD-Sub15ピンやDVIを備えたものもあったりするが、ディスプレイ側も搭載品が減っているので、いずれ淘汰される運命にある。

 そのDisplayPortとHDMIだが、コネクタが違えば転送方式も異なる。DisplayPortはデータをパケットにして送るのだが、HDMIはTMDSと呼ばれる方式で、RGBとクロック同期の信号を送る仕組み。そのため、本来この2つの規格には互換性がない。

 ただ、DisplayPortにはデュアルモードがあり、TMDSの信号を出力ができる。これによって特別なことをせずとも、安価なアダプタでHDMIに変換可能だ。一方、HDMIはDisplayPortのようなデュアルモードがないため、そのままではDisplayPortしかないディスプレイに映し出せない。

 デスクトップパソコンなら、DisplayPortとHDMI両方が実装されていることもめずらしくはないのだが、小型パソコンやノートパソコンでは実装スペースの関係でHDMIしかないことは多く、なにより一般的なAV機器ではHDMIのほうが圧倒的に多い。HDMI入力を2~3個備えたディスプレイでもあっという間に埋まってしまうはずだ。

 そういうときに使えるのが、今回ご紹介するHDMIをDisplayPortに変換するアダプタだ。先述のとおり、HDMIとDisplayPortのデータ転送方式は異なるのだが、このアダプタはTMDS信号をDisplayPortのパケットに変換して転送してくれる。

 今回購入したのはWintenブランドの「WT-CHD02-BK」という製品で、Amazon.co.jpでの価格は2,390円と非常に安価だった。

 本製品の特徴はUSB給電がオプションであること。信号の変換にはICチップが欠かさず、それを駆動させるために、USBから電源を取るためのケーブルがアダプタの本体から出ている製品が多いのだが、実際にはわずかな電流で動作するため、HDMIからの電源供給で動いてしまうことが多いようだ。本製品はMicro USBを介して給電するが、接続するかどうかはユーザーに任されているわけである。もちろん接続したほうが安定して動作するだろうが、HDMIだけで動作するのであれば、ケーブルをぶら下げておく必要がないのは良い。

HDMI出力の機器をDisplayPortに変換する、ただそれだけのアダプタだ
USBケーブルを挿すかどうかはユーザー次第。HDMIの電源で動いてしまえばいらない

 実際にHDMI出力しか使えないMINISFORUMの「H31G」(DisplayPortもあるのだが、CPU内蔵GPUに接続しており、Core i5-9400Fの本機では利用できない)と、DisplayPortはあるがHDMIは備えていないEIZOの「EV2436W-Z」を組み合わせてみたが、HDMIポートから供給されるバスパワーだけで駆動し、問題なく映し出せた。

 もちろん、映像の品質には劣化が見られないし、遅延もほとんど感じられなかった。また、音声もきちんと流せたので、ディスプレイのスピーカーをちゃんと活用できるのは良い。実際に筆者のような組み合わせはかなりレアだろうが、余っているDisplayPortを活用できるという意味でも、購入しておいて損はないと思う。

 ちなみに筆者が購入したのは4K/30Hzまでに対応したものだったが、4K/60Hzが必要な場合は、やや値が張るものの、Club3Dの「CAC-1331」を選択すると良いだろう。