やじうまミニレビュー

PDF入稿可能になったオンライン印刷発注サービス「TP LABO」で半透明名刺を作ってみた

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
TP LABO「オンライン名刺発注サービス」

 副業のために、または趣味の活動のために複数の名刺を使い分けている方は多い。このように個人で名刺を作成する際に便利なのがTP LABOが提供している「オンライン名刺発注サービス」。その魅力は、用紙代+印刷代300円、送料540円を合わせて840円というコストパフォーマンスだ(12月6日時点のキャンペーン価格、以下同)。

 価格が安い一方、「Adobe Illustrator」のAIファイル形式で入稿しなければならないという点でハードルが高かったが、8月10日からPDF入稿に対応した。また新たなプレミアム名刺用の用紙として「スケルトン」(半透明名刺)などが追加されている。

 筆者はAdobe Illustratorを利用しているが、今回はあえて「Word 2016」と「Adobe Acrobat DC」を使って、スケルトン名刺の発注をレポートしてみたいと思う。なおAIファイル形式での入稿方法については、過去記事(「両面印刷の名刺100枚を530円で作れるオンライン印刷発注サービス「TP LABO」を使ってみた」)をご覧いただきたい。

多くの印刷サービスを提供、用途に応じて多彩な用紙を選べる

 TP LABOでは、名刺印刷、2つ折り名刺、プレミアム名刺印刷、ポストカード印刷、チラシ印刷、封筒印刷など多くの印刷サービスを提供している。

 名刺印刷を例に挙げると、用紙はコート(300円/100枚)、マットコート(300円/同)、マットラミコート(480円/同)、ラミコート(480円/同)、ケント(380円/同)、きぬおり(380円/同)、エンボスウェーブ(380円/同)、細紋バガス(480円/同)、合成紙(480円/同)などが用意されており、枚数を多く発注するほど、1枚当たりの単価が下がる。

 たとえばコートは、100枚なら用紙代+印刷代が300円、送料が540円で合計840円だが、500枚なら用紙代+印刷代が660円、送料が1,060円で合計1,720円となる。つまり500枚注文すれば、1枚あたりの単価が8.4円から3.44円と、半額以下にディスカウントされるのだ。

一度に発注する枚数が増えるほど、1枚あたりの単価が下がる。枚数が増えると送料も上がるが、それでも多く発注したほうがオトクだ

 なお、前回の記事でも触れたが、TP LABOを利用する際に1つ注意しておきたいことがある。

 それは、同社の名刺サイズが、日本国内で広く使われている91×55mmではなく、90×54mmとわずかにコンパクトなこと。低価格を実現するために海外生産を利用しているので、海外仕様の90×54mmサイズが採用されているわけだ。縦サイズが1ミリ小さいことで、なんら不都合はないはずだが、念のためご留意いただきたい。

PDF入稿でアプリのしきいは下がるが、フォントに注意

 TP LABOの名刺発注方法をおさらいしておこう。今回はPDF形式で入稿するが、基本的な流れはAIファイル形式のときと変わらない。

 以下が名刺到着までの流れだ。

  1. 入稿用テンプレートをダウンロード
  2. Word 2016とAdobe Acrobat DCで名刺データを作成
  3. ユーザー登録
  4. 商品を購入
  5. 名刺データをアップロード
  6. 刷り上がった名刺が到着

 多くの人が使い慣れているWordを使えることで、Adobe Illustratorよりしきいは下がっているが、入稿用のPDFデータ送信前に、「フォントをアウトライン化」するという作業が発生することに注意してほしい。

 Adobe Illustratorには、フォントをアウトライン化する機能が搭載されているが、Word 2016にその機能はない。そこで、Adobe Acrobat DCでいったん入稿用のPDFファイルを開き、フォントをアウトライン化したうえで保存するという作業が必要になる。

 とはいえ、設定項目さえ把握していれば、作業自体は難しくない。下記に手順をスクリーンショットともに掲載したので、TP LABOでPDF入稿する際には参考にしてほしい。

ダウンロードしたWord用テンプレート「officeword_template_tate.docx」をWordで開く。なお今回はWord 2016を使用している
Wordで名刺データを作成する。今回は用紙に「スケルトン」を使うので、文字と画像が重ならないシンプルなデザインにした。注意点はセーフティゾーン、仕上がり線、塗り足し線を守ること。切れては困る文字はセーフティゾーンのなかに収まるように、仕上がり線まで印刷したい画像は塗り足し線まで広げる必要がある
作成した名刺データをPDFファイルとして保存する前に、セーフティゾーン、仕上がり線、塗り足し線の色付きガイド線を消す必要がある。余白でダブルクリックすると「ヘッダー/フッター ツール」に切り替わるので、マウスカーソルでガイド線を選択して、「切り取り」で削除しよう
これでWordの作業は終了。名刺データをPDF形式で保存する
保存したPDF形式の名刺データを「Adobe Acrobat DC」で開く
「ファイル→プロパティ」の「フォント」タブを開くと、そのPDF文書に含まれているフォントが一覧表示される。入稿データは、これらのフォントをすべてアウトライン化する必要がある
「ツール」→「保護と標準化」→「印刷工程」をクリックすると、右側にメニューが現われる。このなかの「プリフライト」をクリックしたのちに開かれるウィンドウで、「PDFフィックスアップ→フォントをアウトラインに変換」を選択して、「解析してフィックスアップ」を実行する
そうすると保存ウィンドウが開かれるので、ファイル名を変更して保存する。筆者はファイル名に「_outline」を足して保存した
エラーや警告が表示されなければ、フォントをアウトライン化したPDF形式の入稿データの完成だ
念のため「ファイル→プロパティ」の「フォント」タブを開いてみる。ここになにも表示されなければ、正常にフォントのアウトライン化が完了した証拠だ
名刺データを作り終わったら、今度はユーザー登録。右上の「ログイン/会員登録」をクリックしたのち、「新規会員登録」の「会員登録をする」を選択する
入力必須項目は、種別(個人/法人)、名前、名前(フリガナ)、郵便番号、住所、電話番号、メールアドレス、パスワード、パスワードを忘れたときのヒント、メールマガジン送付の可否
ログインしたら、今度は名刺の用紙を選択する。今回は前述のとおり、プレミアム名刺印刷に新たに追加された「スケルトン」を選んだ。100枚で1,440円とちょっとお高めだが、目立つこと間違いなし。紙の名刺より耐久性も期待できる
「購入手続きへ」をクリックしたあとは、届け先の指定、支払い方法・届け時間の指定、入力内容の確認、クレジットカード決済を経て注文完了
スケルトン名刺100枚の料金は、用紙代+印刷代が1,440円、送料が540円で、合計1,980円となった
最後に名刺の入稿データをアップロードする。右上の「MYページ」をクリックすると、「ファイルアップロード」に購入した商品が表示されている。アップロードファイルとして今回作成したPDFファイルを選択し、必ず英数字でファイル名称を入力したうえで、「登録する」を選択しよう。自分の名前と日付けを組み合わせたファイル名称が管理しやすいだろう。なお、ファイル名称に漢字(2バイト文字)は使えないので注意

5営業日で商品が到着、スケルトン名刺の仕上がりは良好

 今回、名刺の入稿データを送信したのが11月24日(金)の19時前後。商品が発送されたのが12月1日(金)で、商品が届いたのが12月2日(土)なので、5営業日で商品が届いたことになる。

 ちなみに名刺印刷、プレミアム名刺印刷のお届け概算目安は、印刷開始から5営業日となっている。しかしTP LABOによれば、コストダウンのために海外で印刷しているので、現地国内事情、税関での通関検査など不確定要素があり、多少前後する可能性があるとのこと。急ぎの名刺であれば、少し余裕をもって発注することをオススメする。

名刺は段ボールパッケージでしっかりと梱包されて発送される。なお名義はTP LABOではなく、運営会社の「ケイアイインターナショナル」だ

 さて肝心の印刷品質についても触れておこう。今回、用紙にはスケルトンを選択したため、100枚で合計金額が1,980円と少々高くついたが、そのぶん品質には納得できる。

 半透明でどのように印刷されるのか不安はあったが、細かな文字までしっかりと読めるし、今回あえて大きく入れた顔写真も、綺麗に発色されている。解像度、発色共に不満はない。

 また、表面にはノングレア加工が施されているので、名刺それぞれが貼り付くことはなく、1枚ずつスムーズに取り出せる。手に持ったときの感触も心地良い。

 我ながら、今回作った名刺の顔写真はいかがなものかと猛省しているが、顔・名前を覚えてもらうために顔写真を入れるのは有効な手段だ。特にモデル活動をされている方は、営業用に写真入りの名刺を作ったらアピール度が高いのではないだろうか?

今回100枚注文したが、予備を含めて103枚が送られてきた
印刷は表面のノングレア側に施されている。爪でかなり強めにこすっても、文字がかすれてしまうようなことはなかった

 Adobe Illustratorのほうが凝ったデザインを作れるし、フォントをアウトライン化した入稿データまで完成させられる。

 しかし、普段オフィスアプリを中心に使っている方には、Word 2016とAdobe Acrobat DCの組み合わせのほうが、作業はスムーズだ。PDF入稿に対応したことは、TP LABOを利用するハードルを大きく下げたと言える。

 また、スケルトンなどの新たな用紙がラインアップされた点も、実際に名刺を作ってみて可能性を感じた。個人的には、2枚の名刺を重ねることで完成する名刺などを、機会があったらぜひ作ってみたい。フォトジェニックな方なら、着せ替え名刺などを作ったら大いに喜ばれそうだ。私も来世で試してみたい。

 なおTP LABOでは、12月31日まで半額キャンペーンを開催している。詳細は公式サイトに掲載されているので、この機会をお見逃しなく。今回利用したWordのテンプレートはこちらから。

製作協力:ケイアイインターナショナル