やじうまミニレビュー

両面印刷の名刺100枚を530円で作れるオンライン印刷発注サービス「TP LABO」を使ってみた

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
TP LABO「オンライン名刺発注サービス」

 人と人がデジタルでつながる現代でも「名刺」は便利なアイテム。ビジネス用、プライベート用と名刺を使い分けている方も多いことだろう。

 一般的には小ロットで印刷物を発注すると高く付くが、小ロットで低価格を売りにしたオンライン名刺発注サービスが登場した。それが「フルカラー名刺100枚で380円」をキャッチフレーズにしたTP LABOのオンライン名刺発注サービスだ。

海外生産が安さの秘訣、ただしAIファイルでの入稿が条件

 TP LABOの注文サイトでは、名刺印刷、2つ折り名刺、プレミアム名刺印刷、ポストカード印刷、チラシ印刷、封筒印刷などを取り扱っているが、現在一番推しているのがコストパフォーマンスを売りにしたスタンダードな名刺のオフセット印刷。同社サイトのトップページには、「フルカラー名刺100枚で380円」、「フルカラー名刺200枚で100枚が300円」というキャッチフレーズが大きく掲載されている。

 「フルカラー名刺オフセット印刷100枚で380円」というのはたしかに驚くほど安い。筆者が現在利用しているオンライン名刺発注サービスでは、同じ条件だと1,058円だ。もちろんどちらも別途送料がかかるが、TP LABOなら送料540円を加えても1,000円でお釣りが来る。TP LABOによれば、安さの秘密は海外生産を活用していること。そのぶん多少納期がかかるが、それでも1週間前後で届くとのことだ。

 ただし、1つ大きなハードルがある。それはAIファイル形式で入稿しなければならないこと。つまり「Adobe Illustrator」で名刺データを作成する必要があるのだ。「Adobe Creative Cloud」を契約しているのなら問題ないが、もし契約していないのであれば、なんらかの方法でAdobe Illustrator環境を準備するか、友人・知人のデザイナーに作ってもらうしかない。

 しかしハードルが高いとは言え、価格を最重要視するのであれば魅力的なサービスだ。筆者はAdobe Illustratorをほとんど使ったことはないが、仕事柄Adobe Creative Cloudを契約しているので、TP LABOの名刺発注を試すことにした。

 なお、もう1つ注意事項がある。TP LABOの名刺のサイズは日本国内で広く使われている91×55mmではなく90×54mmとわずかにコンパクトだ。筆者自身は名刺を受け取った際に細かなサイズ差など気にしたことはないが、もしなんらかの理由で名刺のサイズが厳密に決められている用途に利用するのであればご注意いただきたい。

やや複雑な名刺発注までの流れ

 オンライン名刺発注サービスごとに注文方法は異なる。手続きが簡単なサービスでは、ユーザー登録した時点で標準のデザインで名刺が完成していることもあるが、TP LABOではAIファイルで入稿するため下記のように少々複雑な流れになっている。

名刺到着までの流れ

  1. 入稿用テンプレートをダウンロード
  2. Adobe Illustratorで名刺データを作成
  3. ユーザー登録
  4. 商品の購入
  5. 名刺データのアップロード
  6. 刷り上がった名刺が到着

 上記の流れさえ把握していれば手続きに詰まるところはない。個人的には商品(名刺)を購入した際に名刺データをアップロードできたほうがわかりやすいと思うが、「MYページ」からアップロードすることはそれほどの手間ではない。

 また、もし複数の用紙、複数のデザインで名刺を発注するのであれば、用紙の購入と、データのアップロードは手続き上分かれていたほうが間違いも少ない。

 ただし、1つ問題なのは、上記のような発注の流れが4月21日時点でTP LABOのサイトに掲載されていないこと。筆者はなにも予備知識がない状態で名刺を発注したので、正直かなり手探りの作業となった。初めて訪れた人がスムーズに発注できるように、発注完了までの手順を掲載しておくべきだろう。

 さて、懸案のAdobe IllustratorでのAIファイル作成は、正直思ったよりも簡単だった。イラストを描くのであればそもそも絵心などが必要だし、本職のデザイナーのセンスには到底かなわないが、文字や画像を配置するだけなら、多くの人に使用経験がある「Microsoft PowerPoint」の作業とたいして変わらない。筆者の場合はネットでコマンドをいくつか調べながら、30分程度で今回のAIファイルが完成した。

まず左側の「入稿用テンプレートダウンロード」のバナーをクリックし、必要なテンプレートをダウンロードする。今回は縦型の名刺を作成するので「名刺用テンプレート」の「縦型zip file」をダウンロードした
テンプレートは「businesscard_TT.zip」というファイル名でダウンロードされる。そのファイルを解凍し、「businesscard_TT.ai」というファイルをAdobe Illustratorで開く
Illustrator上で名刺データを作成する。筆者はIllustratorをほとんど使ったことがなかったが、大体30分ほどでこの名刺データを作成した。左が日本語表記の表面、右が英語表記の裏面だ。「PowerPoint」を使ったことのある方なら、このぐらいのデザインならネットで調べながら作成できるだろう
名刺データを作り終わったら、まずユーザー登録。右上の「ログイン / 会員登録」をクリックしたのち、「新規会員登録」の「会員登録をする」を選択する
入力必須なのは、種別(個人/法人)、名前、名前(フリガナ)、郵便番号、住所、電話番号、メールアドレス、パスワード、パスワードを忘れたときのヒント、メールマガジン送付の可否。この時点ではクレジットカード情報を入力する必要はない
今度は名刺を購入する。左上の「名刺印刷」をクリックして、目的の用紙を選ぶ。今回は落ち着いた仕上がりとなる「TPマットコート 230G」を選択した。TPマットコート 230Gと「TPコート 250G」で価格は変わらない
ここでは名刺の発注枚数と片面印刷か両面印刷かを選べる。オプションで「角丸加工」も選べるが、100枚380円から980円へとかなり値上がりするので注意、筆者は今回100枚で両面印刷を選択した
つぎに「購入手続きへ」をクリックしたあとは、届け先の指定、支払い方法・届け時間の指定、入力内容の確認、クレジットカード決済を経て注文完了となる
最終的な価格は、単価530円、送料540円で合計金額1,070円となった
最後にAIファイルをアップロードする。右上の「MYページ」をクリックすると、「ファイルアップロード」に購入した商品が表示されている。アップロードファイルとして今回作成したAIファイルを選択し、必ず英数字でファイル名称を入力したうえで、「登録する」を選択する。ファイル名称に漢字(2バイト文字)は使えないので注意

6営業日で商品が到着、530円なら納得の仕上がり

 今回、商品を注文して、AIファイルを送信したのが4月12日(水)の18時前後。商品が発送されたのが4月18日(火)で、商品が届いたのが4月20日(木)なので、4営業日で商品が発送され、6営業日で商品が届いたことになる。発注のタイミングや、そのときの混み具合で納期は前後するだろうが、おおむね1週間前後で商品を受け取れるわけだ。

刷り上がった名刺は少し大きめのダンボール製パッケージで送られてくる。名義はTP LABOではなく「ケイアイインターナショナル」で送られてくるので注意

 さて肝心の印刷の仕上がりだが、両面印刷100枚で530円なら十分満足できる品質だ。今回印刷の仕上がりをチェックするため、あえてフルカラー写真の上に文字を乗せたデザインにしてみたが、にじみや色むらなどは特に気にならないレベルだった。断裁位置についても、テンプレートの仕上がり線さえしっかり守っていれば、ギリギリに文字を配置しても切れることはなかった。

今回100枚注文したが、予備なのか105枚が送られてきている
高倍率ルーペで細部まで確認してみたが、色の再現性まで含めて文句のない仕上がりだ

 本サービスにはAIファイルを用意しなければならないという高いハードルがあるが、それさえクリアできるのであれば、小ロットで複数パターンの名刺を作るのにもってこいのサービスだ。

 今回は標準的な名刺を注文したが、次回はもうちょっと見栄えのいいイラストなどを使って納得いくまでデザインに凝り、より品質の高いインク、用紙を使う「プレミアム名刺印刷」をぜひ試してみたい。それでも100枚両面オフセット印刷で1,000円と破格のプライスでサービスが提供されている。

製作協力:ケイアイインターナショナル