やじうまミニレビュー
Amazon「Fire TV Stick(第2世代)」
~メニュー刷新と高速化でパワーアップしたスティック型STB
2017年4月14日 06:00
Amazonから「Fire TV Stick」の第2世代モデルが登場した。スティック状の本体端にHDMIコネクタを備えたコンパクトなボディが特徴の「Fire TV Stick」は、TVやプロジェクタのHDMIコネクタに差し込むことで、Wi-Fi経由でAmazonビデオなどの動画配信サービスを手軽に楽しめる製品だ。
今回の第2世代モデルは、音声認識リモコンが標準添付となったことを除けば、従来モデルとの違いがいまいち分かりにくいのだが、CPUはデュアルコアからクアッドコアへと改められたほか、IEEE 802.11acへの対応、メニューの全面刷新など、内部は大幅にパワーアップしている。
従来モデルと比べつつ、今回の新モデルの特徴を見ていこう。
ボディはやや大型化も、HDMI延長コネクタの標準添付で取り回しは容易に
まずは外観から。スティック状のボディは従来と変わらないが、サイズは一回り、いや二回りほど大きくなっている。製品ページの単品写真では、なかなか分からない違いだ。本体色は従来と同じブラック。側面に給電用のMicro USBコネクタを備えるなどの基本的な仕様は、従来モデルと同様だ。
従来モデルは「標準リモコンモデル(4,980円)」と「音声入力機能付きリモコンモデル(6,480円)」の2種類がラインナップされていたが、今回の第2世代モデルは、後者の音声入力機能付きリモコンモデルのみに一本化された。それでいて価格は前者と同じ4,980円ということで、実質的に1,500円値引きされたことになる。
また見逃せないのが、従来は標準リモコンモデルのみ同梱されていたHDMI延長ケーブルが、本製品では標準添付となったことだ。TV背面にあるHDMI端子に本製品を挿そうとすると、周囲や壁に本体が干渉して挿せなかったり、挿せたとしても電波を受信しにくいことがあったが、このHDMI延長ケーブルを用いれば、そうした症状を改善できる。
おそらくこのHDMI延長ケーブルの標準添付は、本体の大型化で周囲に干渉しやすくなったことへの対策の1つだと考えられるが、延長ケーブルを別途買い足さなくて良いというコスト面も含めて、二重三重のメリットをもたらしている。利用者にとってはありがたいポイントだ。
ホーム画面が刷新。レスポンスの高速化も顕著
セットアップは、Amazonのアカウントさえ所有していれば、ものの10分ですべての作業が完了する。
手順としては、まず起動して言語を選び、SSIDを選んでパスワードを入力。Amazonのサイト上で購入していれば、あらかじめAmazonのアカウントに紐付けられているので、そのままログインするだけで済む。約1分40秒と少し長い動画チュートリアルが表示されたのち、ホーム画面が映し出される。
ホーム画面は従来モデルから一新されている。従来は画面左側にメニューがあり、そこで選択したカテゴリーが右側に表示されるレイアウトだったが、新しいレイアウトでは、メニューが画面上部に移動し、選択したカテゴリーは下部に表示されるようになった。
従来のレイアウトでは左下に大きな余白ができてしまっていたため、画面全体を有効活用するという意味で、新しいレイアウトのほうが望ましいのは一目瞭然だ。
また、それ以上に驚かされるのが、レスポンスの高速化だ。リモコンを使って上下左右にフォーカスを移動する操作が、使ってすぐに気づくほど、従来に比べてキビキビとしている。
従来モデルでは、動画の再生そのものは問題なくとも、メニューのもっさり感がかなりのストレスだったので、歓迎すべきポイントだ。この点だけでも、従来モデルから買い替える価値はあると言って良い。
この高速化は、メニューのレイアウトを刷新したことで速く感じるようになった部分もあれば、CPUがデュアルコアからクアッドコアに変更されたことで、実際に処理速度が向上した部分と、両方の相乗効果によるものと考えられる。ちなみにメモリは1GBで、これは従来モデルと変わっていない。
また、Wi-Fiが新たに11acに対応したのも変更点として大きい。筆者宅の環境では従来の11nで十分なスループットが得られているため、あまり実感はないのだが、従来モデルでは速度が不安定で映像が乱れるなどの問題があった人にとっては、それだけで買い替える理由になるだろう。
リモコンは音声入力で快適な検索が可能。ボタンは改善の余地あり?
リモコンについてもチェックしておこう。標準添付される音声入力対応リモコンは、従来モデルのそれとまったく同じ形状で、製造番号を見る限り、仕様も同一とみられる。なお新旧モデルが混在する状況下で同時に使った場合も、旧モデルは旧モデルのリモコン、新モデルは新モデルのリモコンで操作できるので、入れ替えのタイミングで一時的に併用する場合も困ることはない。
リモコンの操作性は従来と変わらず良好で、音声認識の精度もかなり高いことから、キーボードなしでのコンテンツの検索も容易だ。
ただし、検索対象がAmazon関連のコンテンツのみで、サードパーティーのアプリ内での検索には利用できない点は従来から変わっていない。差別化のために敢えてこうした仕様にしているのかもしれないが、もともと欠点が少ない製品ゆえ、なにかとストレスが溜まりやすい部分ではある。将来的な対応を期待したいところだ。
ボタンの操作性については、目視で使う分には問題ないのだが、そうでない場合は、上下左右/決定ボタンの下にある、2列の丸ボタンの上段と下段の役割をなにかと間違えやすい。
具体的には、下段中央にある再生/一時停止ボタンを押そうとして、うっかり上段中央のホームボタンを押してホーム画面に戻ってしまったり、下段左端の早戻しボタンを押そうとして上段左端にある戻るボタンを押してしまうことがある。
本製品をプロジェクタと組み合わせて使っていて、暗い部屋で操作する場合、目視でボタンのラベルを読み取れないため、こうした誤操作が起こりやすい。この価格帯のモデルにあまり多くを求めるのは酷だろうが、この先、リモコンのモデルチェンジが行なわれることがあれば、ボタンの形状を上下で変えるなど、暗い場所でもボタンの役割が指先で区別できるような工夫を望みたいところだ。
従来モデルのユーザも買い替えをお勧め
以上ざっと見てきたが、メニューの刷新、動作の高速化など、従来モデルとは違いがハッキリとわかるほど進化しており、既存ユーザーが買い替えた場合、その快適さをすぐに実感できるだろう。価格も4,980円とお手頃で、躊躇する理由はまったくない。
登場直後と比べるとアプリの数も大幅に増えており、最初の世代でいまいち合わないと判断したユーザも、あらためて評価する価値はありそうだ。