やじうまミニレビュー

Amazon「Fire TV Stick(第2世代)」

~メニュー刷新と高速化でパワーアップしたスティック型STB

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
Fire TV Stick(第2世代)。Amazonのサイト上では、「Fire TV Stick(New モデル)」と記載されているが、本稿ではヘルプ&カスタマーサービスページに見られる「第2世代」という呼称で紹介する

 Amazonから「Fire TV Stick」の第2世代モデルが登場した。スティック状の本体端にHDMIコネクタを備えたコンパクトなボディが特徴の「Fire TV Stick」は、TVやプロジェクタのHDMIコネクタに差し込むことで、Wi-Fi経由でAmazonビデオなどの動画配信サービスを手軽に楽しめる製品だ。

 今回の第2世代モデルは、音声認識リモコンが標準添付となったことを除けば、従来モデルとの違いがいまいち分かりにくいのだが、CPUはデュアルコアからクアッドコアへと改められたほか、IEEE 802.11acへの対応、メニューの全面刷新など、内部は大幅にパワーアップしている。

 従来モデルと比べつつ、今回の新モデルの特徴を見ていこう。

ボディはやや大型化も、HDMI延長コネクタの標準添付で取り回しは容易に

 まずは外観から。スティック状のボディは従来と変わらないが、サイズは一回り、いや二回りほど大きくなっている。製品ページの単品写真では、なかなか分からない違いだ。本体色は従来と同じブラック。側面に給電用のMicro USBコネクタを備えるなどの基本的な仕様は、従来モデルと同様だ。

 従来モデルは「標準リモコンモデル(4,980円)」と「音声入力機能付きリモコンモデル(6,480円)」の2種類がラインナップされていたが、今回の第2世代モデルは、後者の音声入力機能付きリモコンモデルのみに一本化された。それでいて価格は前者と同じ4,980円ということで、実質的に1,500円値引きされたことになる。

 また見逃せないのが、従来は標準リモコンモデルのみ同梱されていたHDMI延長ケーブルが、本製品では標準添付となったことだ。TV背面にあるHDMI端子に本製品を挿そうとすると、周囲や壁に本体が干渉して挿せなかったり、挿せたとしても電波を受信しにくいことがあったが、このHDMI延長ケーブルを用いれば、そうした症状を改善できる。

 おそらくこのHDMI延長ケーブルの標準添付は、本体の大型化で周囲に干渉しやすくなったことへの対策の1つだと考えられるが、延長ケーブルを別途買い足さなくて良いというコスト面も含めて、二重三重のメリットをもたらしている。利用者にとってはありがたいポイントだ。

HDMI端子を搭載し、TVやプロジェクタのHDMIコネクタに接続して利用する
側面のMicro USBポートから給電を行なう。製品にはUSBケーブルおよびAC変換アダプタが付属する
2015年発売の初代モデル(右手前)との比較。サイズが大きくなっていることが分かる
製品パッケージ。なお初回出荷分のパッケージにはデュアルコアと書かれているが、同社からのアナウンスによるとこれは誤植で、中身は発表通りクアッドコアとのこと
HDMI延長ケーブルが付属しており、周囲に干渉しがちな場合も取り付けやすい
同梱物の一覧。クイックスタートガイドが付属する。セットアップ完了後の操作方法は画面上に表示される

ホーム画面が刷新。レスポンスの高速化も顕著

 セットアップは、Amazonのアカウントさえ所有していれば、ものの10分ですべての作業が完了する。

 手順としては、まず起動して言語を選び、SSIDを選んでパスワードを入力。Amazonのサイト上で購入していれば、あらかじめAmazonのアカウントに紐付けられているので、そのままログインするだけで済む。約1分40秒と少し長い動画チュートリアルが表示されたのち、ホーム画面が映し出される。

本製品は電源ボタンはなく、接続するとすぐに画面が表示される。指定されたリモコンのボタンを押すとセットアップが始まる
まずは言語を選択
ネットワークのスキャンが行なわれ、SSIDが検出される。WPSでの接続にも対応する
パスワードをリモコンから入力する
接続が確立されたのちアップデートのチェックが行なわれ、登録完了
本製品をAmazonから直接購入していれば、あらかじめAmazonのアカウントが設定されているので、そのままログインすればよい。もちろん別アカウントに変更することもできる
Wi-FiパスワードをAmazonに保存するオプションが用意されている。同社タブレット「Fire」などにも用意されている機能だ
1-Click購入の制限の有無を設定できる。このあと動画チュートリアルが表示されたのち、ホーム画面が表示される

 ホーム画面は従来モデルから一新されている。従来は画面左側にメニューがあり、そこで選択したカテゴリーが右側に表示されるレイアウトだったが、新しいレイアウトでは、メニューが画面上部に移動し、選択したカテゴリーは下部に表示されるようになった。

 従来のレイアウトでは左下に大きな余白ができてしまっていたため、画面全体を有効活用するという意味で、新しいレイアウトのほうが望ましいのは一目瞭然だ。

 また、それ以上に驚かされるのが、レスポンスの高速化だ。リモコンを使って上下左右にフォーカスを移動する操作が、使ってすぐに気づくほど、従来に比べてキビキビとしている。

 従来モデルでは、動画の再生そのものは問題なくとも、メニューのもっさり感がかなりのストレスだったので、歓迎すべきポイントだ。この点だけでも、従来モデルから買い替える価値はあると言って良い。

 この高速化は、メニューのレイアウトを刷新したことで速く感じるようになった部分もあれば、CPUがデュアルコアからクアッドコアに変更されたことで、実際に処理速度が向上した部分と、両方の相乗効果によるものと考えられる。ちなみにメモリは1GBで、これは従来モデルと変わっていない。

 また、Wi-Fiが新たに11acに対応したのも変更点として大きい。筆者宅の環境では従来の11nで十分なスループットが得られているため、あまり実感はないのだが、従来モデルでは速度が不安定で映像が乱れるなどの問題があった人にとっては、それだけで買い替える理由になるだろう。

従来は画面左にあった「ホーム」、「マイビデオ」、「映画」などのカテゴリ選択メニューは画面上部へと移動し、画面が広く使えるようになった
リモコンの左右キーを使ってカテゴリを切り替えることで、画面の内容も書き換わる。レスポンスは従来モデルに比べて高速
こちらは従来モデル。カテゴリ選択メニューが画面左側にある。新しい画面を見てからこちらを見るとやや間延びして見える
プライム向けコンテンツの場合、コンテンツを選択してクリックするだけですぐに再生が始まる
こちらはアプリの選択画面。サードパーティ製アプリのインストールおよび起動が行なえる
コンテンツの選択画面と同様、アプリについても選択すればすぐにインストールが行なえる
「設定」からはネットワークやディスプレイまわり、アプリ、機能制限などさまざま項目が設定できる

リモコンは音声入力で快適な検索が可能。ボタンは改善の余地あり?

 リモコンについてもチェックしておこう。標準添付される音声入力対応リモコンは、従来モデルのそれとまったく同じ形状で、製造番号を見る限り、仕様も同一とみられる。なお新旧モデルが混在する状況下で同時に使った場合も、旧モデルは旧モデルのリモコン、新モデルは新モデルのリモコンで操作できるので、入れ替えのタイミングで一時的に併用する場合も困ることはない。

 リモコンの操作性は従来と変わらず良好で、音声認識の精度もかなり高いことから、キーボードなしでのコンテンツの検索も容易だ。

 ただし、検索対象がAmazon関連のコンテンツのみで、サードパーティーのアプリ内での検索には利用できない点は従来から変わっていない。差別化のために敢えてこうした仕様にしているのかもしれないが、もともと欠点が少ない製品ゆえ、なにかとストレスが溜まりやすい部分ではある。将来的な対応を期待したいところだ。

 ボタンの操作性については、目視で使う分には問題ないのだが、そうでない場合は、上下左右/決定ボタンの下にある、2列の丸ボタンの上段と下段の役割をなにかと間違えやすい。

 具体的には、下段中央にある再生/一時停止ボタンを押そうとして、うっかり上段中央のホームボタンを押してホーム画面に戻ってしまったり、下段左端の早戻しボタンを押そうとして上段左端にある戻るボタンを押してしまうことがある。

 本製品をプロジェクタと組み合わせて使っていて、暗い部屋で操作する場合、目視でボタンのラベルを読み取れないため、こうした誤操作が起こりやすい。この価格帯のモデルにあまり多くを求めるのは酷だろうが、この先、リモコンのモデルチェンジが行なわれることがあれば、ボタンの形状を上下で変えるなど、暗い場所でもボタンの役割が指先で区別できるような工夫を望みたいところだ。

音声入力対応のリモコンが標準添付される
電池蓋を外した状態での新旧リモコンの比較。細かく見ると電池ボックス内のシルク印字が若干異なっているが、これはおそらく製造ロットの相違によるもので、外見での見分けはつかない
リモコン上部にあるボタンを押して話し掛けることで、検索画面のキーワードなどが入力できる
操作性に問題はないが、上段と下段がいずれも同一形状の丸ボタンであるため、暗いところで操作すると上下を間違えやすいのがややネックだ
ホームボタンを長押しするとアプリなどを素早く呼び出せる。外部の動画配信サービスなど特定のアプリを多用する場合はここから呼び出すと便利だ

従来モデルのユーザも買い替えをお勧め

 以上ざっと見てきたが、メニューの刷新、動作の高速化など、従来モデルとは違いがハッキリとわかるほど進化しており、既存ユーザーが買い替えた場合、その快適さをすぐに実感できるだろう。価格も4,980円とお手頃で、躊躇する理由はまったくない。

 登場直後と比べるとアプリの数も大幅に増えており、最初の世代でいまいち合わないと判断したユーザも、あらためて評価する価値はありそうだ。

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