アップグレード後の性能が知りたい!

GeForce RTX 2070→4070に買い替え!2世代分の進化でどうなる?節電も可能か!?

「アップグレード後の性能が知りたい!」では、さまざまなデバイスをアップグレードし、使い勝手やパフォーマンスの改善度を検証していきます。
GeForce RTX 4070へのアップグレード効果を確かめる

 2023年4月13日よりGeForce RTX 4070搭載ビデオカードが各社から発売された。高いパフォーマンスと低い消費電力が特徴のミドルハイGPUということで、電源ユニットを買い換えるなどの追加投資を避けられる可能性があり、クリエイターやゲーマーには狙い目のモデルと言えるだろう。

 それはそうと、筆者が現在自作PCで使用しているGPUはGeForce RTX 2070(ノーブランド品)。性能的にはまだまだ活躍できる現役選手ではあるものの、RTX 30シリーズを経てRTX 40シリーズが登場してしばらくたった今、そろそろアップグレードを考えるべき時期に来た。

 というのも、ご存じの通り自作PCというのは拡張性が高いとは言え、実のところ世代間が開きすぎるとそのメリットを生かしにくくなる。

 何世代かまたぐと主要パーツのインターフェイスなどに互換性がなくなり、部分的なアップグレードが制限され、結果的にPC全体を買い換えることになりがち。アップグレード間隔としては2世代程度がちょうどいいのかもしれない、と思っている。

 その意味で、RTX 2070から2世代後のRTX 4070へのアップグレードはタイミングが良さそうではないか。ただ、RTX 4070の価格は約10万円~と決して安くはないし、投資額に見合うパフォーマンスアップが望めるのか心配だ。

 そこで今回は、GIGABYTEの「GeForce RTX 4070 AERO OC 12G」(以降、RTX 4070 AERO)と既存のRTX 2070を比較してみることにした。2世代分の進化がどれほどのものなのか、(そもそも今回はすでに自腹購入してしまったが)10万円以上出す価値はあるのか、チェックしていきたい。

RTX 2070(左)とRTX 4070(右)の差はいかほどか

2世代分の進化を実感するRTX 4070 AERO

GIGABYTE「GeForce RTX 4070 AERO OC 12G」
付属品は8ピン×2から16ピン×1に変換するコネクタのみ

 RTX 4070 AEROは、GIGABYTEのRTX 4070のラインナップのなかではクリエイター向けを謳うモデルだ。全体のカラーリングはホワイトとし、上面の「AERO」ロゴは「RGB Fusion」によるライティング機能で光らせることができる。

 90mm径の3連クーリングファン、銅製ヒートパイプ、大型ヒートシンクを採用した「WINDFORCEクーリングシステム」で効果的に冷却する仕組みも備えている。

「AERO」ロゴ周辺はホログラム風のデザインで、見る角度によって色が変化する
「RGB Fusion」によるライティング機能も搭載
入出力インターフェイスはDisplayPort×3とHDMI×1
「GeForce RTX 4070 AERO OC 12G」とRTX 2070のスペック比較
GeForce RTX 4070 AERO OC 12GGeForce RTX 2070
アーキテクチャAda Lovelace(AD104)Turing(TU106)
製造プロセス4nm12nm
ストリーミング
マルチプロセッサ
46基36基
CUDAコア5,888基2,304基
レイトレーシングコア46基(第3世代)36基(第1世代)
Tensorコア184基(第4世代)288基(第2世代)
テクスチャユニット184基144基
ROPユニット64基64基
ブーストクロック2,565MHz1,620MHz
NVIDIA DLSSDLSS 3DLSS 2
メモリ容量12GB(GDDR6X)8GB(GDDR6)
メモリスピード21.0Gbps14.0Gbps
メモリバス幅192bit256bit
メモリ帯域幅504GB/s448GB/s
NVENC第8世代×1第7世代×1
インターフェースPCIe 4.0 x16PCIe 3.0 x16
入出力DisplayPort 1.4a ×3
HDMI 2.1a ×1
DisplayPort ×3
HDMI ×1
USB Type-C ×1
消費電力
(Founders Edition)
215W(200W)175W(185W)
推奨電源容量700W550W
サイズ約300×116×54mm(実測)約270×92×35mm(実測)
重量約1,288g(実測)約831g(実測)

 上の表は主なスペックをRTX 2070と比較したものだが、さすが2世代分の違いはあるな、という感じだろうか。CUDAコアの数は2倍以上になり、メモリは4GB増え、メモリスピードは1.5倍に、メモリ帯域幅も着実に拡大している。インターフェイスがPCIe 3.0から4.0になったのも大きな違いだろう。

RTX 4070 AEROのハードウェア情報
RTX 2070のハードウェア情報

 クロックアップ対応製品ということで、ブーストクロックは標準(Founders Edition)の2,475MHzより高速な2,565MHzとなっている。

 この値はカード側に用意されたディップスイッチで「OCモード」(デフォルト)にしている時の値となり、クロックアップせずに静音動作させる「SILENTモード」にも切り替え可能だ。

ディップスイッチで「OCモード」と「SILENTモード」を切り替えられる
90mm径の3連ファン。静音性は高く、今回のテスト中にファンノイズを感じることはほとんどなかった
背面側から風が抜ける形になっている

 消費電力はFounders Editionが200Wのところ、本製品は215Wとやや増加。RTX 2070からは+40Wとなるが、ここが実際に動作させたときのワットパフォーマンスにどう影響するのか気になるところだ。

 推奨される電源容量が550Wから700Wに上昇しており、これに従うと550W付近の電源を使用している場合はアップグレードが必要になる。が、筆者の場合は余裕を見て最初から750W電源を導入していたため、特に買い換えは不要そうだった。

 RTX 2070からRTX 4070 AEROへアップグレードするにあたり注意しておくべきポイントは、電源容量のほかには主に「サイズ」だろう。

 上位モデルに比べればまだ「おとなしい」サイズ感とは言え、それでも3連ファンの本製品は300mmの長さとおよそ3スロット分の厚みがある。RTX 2070がちょうど2スロット分の厚みだったのに比べると、やはり大きく分厚い。

RTX 2070との外観比較。カード長は30mmほど長くなっている
厚みはおおよそ3スロット分
RTX 2070は今となっては珍しいUSB Type-C出力付き

 また、重量も1kgを優に超える実測1,288gとなっている。800g余りのRTX 2070では特に必要性を感じなかったが、1kgを超えるとなるとさすがにアンチサグブラケット(ビデオカードの垂れ下がりを防ぐステー)なしで運用するのは不安になる。

 GIGABYTEの上位モデルにはアンチサグブラケットが付属しているものもあるが、本製品は「これくらいの重量なら問題ない」という判断なのか付属していない。気になるなら別途購入して安心感を得たいところだ。

RTX 2070は831gで、これならステーなしでなんとか
RTX 2070をケースに装着するとこんな感じだった
RTX 4070 AEROの重量は1,288gもあり、少し不安
RTX 4070 AEROをとりあえずそのまま取り付けて、変換コネクタを接続
ケースを立てたところ。やはり若干垂れ下がっているような……
アンチサグブラケットを別途購入して取り付けた

ゲームパフォーマンスは文句なし、画像処理時間も半分以下に

 今回2モデルの性能を比較するにあたっては、筆者が普段使用している仕事用PC環境ということもあり、いつものベンチマークテストのほかに、筆者が日常的に使用しているアプリケーションでのパフォーマンス測定も行なうことにした。

 以下、ディスプレイ解像度は3,440×1,440ドットとし、RTX 4070 AEROの設定はデフォルトの「OCモード」としている。

テスト用PC環境
変更前変更後
CPURyzen 7 5800X(8コア16スレッド、最大4.7GHz、TDP 105W)
ビデオカードGeForce RTX 2070
(GDDR6 8GB、PCIe 3.0 x16)
GeForce RTX 4070 AERO OC 12G
(GDDR6 12GB、PCIe 4.0 x16)
マザーボードMSI MEG X570 UNIFY
メモリ32GB(DDR4-2666、最大128GB)
ストレージSamsung 990 PRO 2TB(NVMe/M.2、PCIe 4.0 x4)
Samsung 970 1TB(NVMe/M.2、PCIe 3.0 x4)
Samsung 870 2TB(SATA、6Gbps)
通信機能2.5GbE、Wi-Fi 6
OSWindows 11 Pro 64ビット
モニターDell Alienware AW3420DW(34型、3,440×1,440ドット、最大120Hz)
電源SilverStone ST75F-GS(750W 80PLUS Gold)

 まずは「PCMark10」と「3DMark」で小手調べ。CPUには変更がないので、GPUがあまり絡まない項目は誤差程度の違いしかないが、「PCMark10」では「Digital Content Creation」以下、マルチメディア・ゲーム系の項目で当然のように大幅な性能向上が見られる。

 特に「Graphics score」は2倍以上のスコアを叩き出し、「3DMark」でも同じく2倍前後のスコアをマークした。2世代違えば性能アップして当然ではあるが、ゲームがだいたい2倍高速になる(と期待できる)のはインパクト大だ。

「PCMark10 Extended」の結果
「PCMark10 Applications」の結果
「3DMark」の結果

 日常的に使用しているRAW現像ソフト「DxO PhotoLab」では、50枚のRAW画像(6,000×4,000ドット)についてGPUの負荷が大きいノイズ低減処理を加えて現像したときのタイムを計測した。

 短時間で処理できるほど高速ということになるが、RTX 2070では「5分6秒」かかっていたところ、RTX 4070 AEROでは半分以下の「2分24秒」で完了。これは仕事の効率アップに直接的に影響しそうだ。

「DxO PhotoLab」によるRAW現像処理時間

 次は実際のゲームのパフォーマンス。ここでは「サイバーパンク2077」と「ホグワーツ・レガシー」を使い、いずれも最高画質に設定した状態で、「DLSS」の設定を変えながら計測してみることにする。

 ここでのポイントは、RTX 40シリーズが持つDLSS 3の「フレーム生成」機能。AI技術によりフレーム間に補完映像を1枚挿入することでフレームレートを向上させられるというものだ。

 RTX 20シリーズは超解像技術を実現するDLSS 2に対応し、低解像度でレンダリングした映像をアップスケーリングして表示することで見かけのパフォーマンスを高められる。

 が、DLSS 3の「フレーム生成」には対応していないため、実用的な滑らかなグラフィック表示にするにはDLSSを低解像度設定にするしかない。

 ということを踏まえつつ、「サイバーパンク2077」の結果を見てみよう。

 ゲーム内のベンチマークモードで計測したものだが、DLSSをオフにした状態ではRTX 2070は10fpsを下回っており、明らかにプレイ困難。3,440×1,440ドットという解像度の高さもネックになっていると思われるが、DLSSを最低解像度となる「ウルトラパフォーマンス」にしても、ゲーム体験としては不満の残るものとなる。

 しかし、RTX 4070 AEROなら「フレーム生成」がオフでも「クオリティ」または「バランス」設定以上であればスムーズに動き、「フレーム生成」オンだと「クオリティ」設定以上なら快適そのものだ。

「サイバーパンク2077」のベンチマークモードの結果

 「ホグワーツ・レガシー」は、序盤の集落である「ホグズミード」を南北に歩いて往復したときの平均フレームレートを計測した。こちらはRTX 2070でも「クオリティ」設定ならなんとか楽しめる。ただ、RTX 4070 AEROであれば60fpsを軒並み超え、「フレーム生成」オンで文句なしの結果に。

「ホグワーツ・レガシー」のテスト結果

 「パフォーマンス」や「ウルトラパフォーマンス」だとディティールが目に見えて損なわれ、こうした美麗グラフィックのゲームには向かない。できれば「クオリティ」、せめて「バランス」に設定したくなるが、今回のように3,440×1,440ドットという比較的高い解像度で、かつ画質重視であっても、RTX 4070 AEROは十二分なパフォーマンスを発揮してくれるようだ。

 それともう1つ、最近家族でプレイしている「フォートナイト」のパフォーマンスも参考までに示しておく。画質は「最高」とし、DLSSは「クオリティ」に設定したときの、オンライン対戦開始後数分間の平均フレームレートが下記となる(DLSS 3にはゲーム自体が対応していない)。

 RTX 4070 AEROにすることで、パフォーマンスはおよそ2.5倍になった。次に説明するワットパフォーマンスにも関係してくるので、この数字を覚えておきたい。

「フォートナイト」のテスト結果

ワットパフォーマンスは明らかに向上、節電もできるかも

 次に、各種ベンチマークなどを実行しているときの消費電力と、消費電力当たりの性能を表すワットパフォーマンスをチェックしてみたい。

 いくら高性能なGPUでも、常時ブン回して電力をガンガン消費しているようであれば、総合的な性能は高いとは言いにくい。電気代が上昇している昨今は特に気になる部分でもあるだろう。

 簡易的ではあるが、「HWMonitorPro」を使用してCPUとGPUの一定時間内の合計消費電力の平均値を算出したのが以下のグラフだ。

CPU+GPUの消費電力値

 「アイドル」は、HWMonitorProのみを起動した状態で放置したときの消費電力。当然ながらCPUの消費電力に違いはほとんどなかったが、GPUは半分以下(2070: 30W、4070: 12.9W)だった。

 これはRTX 4070 AEROのGPU設計や性能の余裕、というのもあるかもしれないが、低負荷時に冷却ファンを停止する「3Dアクティブファン」という仕組みを備えていることが影響している可能性もありそうだ。

 「ホグワーツ・レガシー」は、先ほどのベンチマークのうち、DLSSを「クオリティ」設定に、「フレーム生成」をオフにした状態で比較したもの。

 ベンチマークモードが用意されていないことから完全に条件を一致させることが難しいため、計測値に多少のブレはあるものと思われるが、それでも40W近くの低減というのは誤差に収まらないだろう。RTX 4070 AEROなら高画質・高フレームレートで、それでいて低消費電力でゲームが遊べるわけだ。

 「Zwift」は、筆者がほぼ毎日利用しているバーチャルサイクリング・ランニング用のアプリ。これも普段から仕事マシン上で動作させているが、メインモニターではなくもう1台のサブモニター(解像度2,560×1,440ドット)に表示させているため、計測にあたってもサブモニター上でフルスクリーン表示して実行している。比較の結果、平均消費電力は約55Wのマイナスとなった。

 アプリの仕様上、最大60fpsで、最高画質にしてもGPU負荷がそもそも大きくない。RTX 2070の時点で画質向上の余地がなかったことから、RTX 4070 AEROになるとほとんど片手間での処理になるのだろう。

 こうした一定以上の性能を必要としないケースでは、RTX 4070 AEROにアップグレードしたときにパフォーマンスの向上こそ目に見えないものの、低消費電力による節電効果は見込めるわけだ。

 「フォートナイト」と「DxO PhotoLab」の結果については、RTX 4070 AEROの方が消費電力が大きくなっている。

 が、次の「ワットパフォーマンス」のグラフを見てほしい。RTX 2070の消費電力当たりの性能を100%としたときの、RTX 4070 AEROのパフォーマンス比率を表したものだ。

ワットパフォーマンス

 「ホグワーツ・レガシー」はフレームレートが向上しているうえに、先ほどのグラフにもあったように消費電力は減っているため、約1.5倍のワットパフォーマンスとなっている。「Zwift」はフレームレートが上限の60fpsから変わらないが、こちらも消費電力が減っているので同じように約1.5倍だ。

 一方「フォートナイト」は消費電力こそやや大きかったものの、フレームレートは約2.5倍に達しており、ワットパフォーマンスとしても2倍超の極めて高い効率。「DxO PhotoLab」も同様に、消費電力が多少高くても半分以下の時間で処理が終わるため、トータルの消費電力は少なく、ワットパフォーマンスも2倍近い圧倒的な結果となった。

低負荷時の省電力化で満足度十分

 2世代分の進化は、やはり伊達ではない。グラフィックの純粋な描画性能などが大幅向上しているのはもちろんのこと、特定の条件下では明らかな消費電力の低減やワットパフォーマンスの向上による“節電”効果も得られる。

 ちなみに筆者の場合、仕事中の大半の時間帯が単なる原稿の執筆(テキストエディタでの文字入力)に費やされるため、はっきり言ってしまえば「アイドル」に近い状態が長時間続くことになる。なので、アイドル(低負荷)時に低消費電力を達成している点は、筆者にとってもっともありがたいアップグレード効果だった。

 10万円以上(実際の購入価格は量販店だったため12万4,230円)の投資がこの性能に見合うかどうかは、当然ながらその人の使い方や捉え方にもよると思うが、省電力であることも含めて長い目で見れば、筆者としてはそう高くない投資だったのではないかと思っている。

 みなさんも財布や家族と相談するときに「省電力になるから(電気代が安くなるかも)」という大義名分があれば、アップグレードしやすくなるはずだ。なお、決して「フォートナイトで子どもより少しでもアドバンテージを得たい」なんていうみみっちい理由を表に出してはいけない。