PC短評

Core i3-1215U搭載ミニPC「CHUWI CoreBox 4th」の性能は侮れないものだった

CoreBox 4th

 CHUWIの小型デスクトップPC「CoreBox」シリーズが、このたびCPUにCore i3-1215Uを搭載し、「CoreBox 4th」として発売された。PC Watchではいち早く試作機を入手したので、簡単にレビューをお届けしたい。

 CoreBoxシリーズは、CHUWIが2019年に発売した「HiGame」というKaby Lake-Gを搭載した小型PCの筐体を踏襲する製品。HiGameは高性能路線であったが、CoreBoxはエントリー~ミドルレンジクラスのCPUを採用し続け、コストパフォーマンス重視となっている。

 本体サイズは173×158×73mm(幅×奥行き×高さ)と、同社の小型PCの中では大きい部類なのだが、一般的なデスクトップPCと比較すれば圧倒的に小さい。モニターの下や横、裏などどこでもスペースに困ることはないはずだ。

トップ画像は縦置きにしたが、基本的には横置き想定のようだ
本体前面は電源ボタンのみ
本体左側面。ちなみに右側面もほぼ同じようなデザイン
筐体デザインは2019年に投入したHiGame(写真右)と共通。ただ、CoreBoxは低価格のためかフレームの一部(具体的には取っ手のようになっている部分)が金属からプラスチック素材になっている

 CPUはCore i3-1215Uを搭載し、メモリは16GB(DDR5)、ストレージは512GB(ちなみに試作機はメモリが8GB、ストレージが256GBだった)。ストレージに2.5インチSSD/HDDを増設できるのもポイント。OSはWindows 11 Homeだ。PCMark10の結果の通り、一般的なビジネス利用はもちろんのこと、ホビーとしての写真編集や動画編集なら十分すぎる性能だろう。

 テストして思ったのは、Alder Lake世代は“Core i3”でTDP 15Wの“U”シリーズだとしても性能は侮れないという点だ。たとえばCinebench R23のマルチコアのスコアは5,595、シングルスレッドのスコアも1,607で、これは1世代前のCore i7-1165G7(28W駆動時)を軽く凌駕する。消費電力を加味すると、旧アーキテクチャのCPUが霞んで見える。Alder Lakeはそれだけ革新的だということだ。

PCMark 10の結果。スコアは4811と一般用には十分なスコアだ
3DMarkの各種スコア。内蔵GPUだしゲーム用ではないためこの程度に留まるが、軽い3Dゲームなら普通に動作しそうだ

 インターフェイスは背面のみで、Thunderbolt 4、USB 3.0×4、HDMI出力、DisplayPort、Gigabit Ethernet(Realtek)、Wi-Fi 6(Intel AX201)、Bluetooth 5、音声入出力などを搭載している。できれば前面にもUSBポートが欲しかったところだろう。ちなみThunderbolt 4から給電を受けて動作することも可能だが、試してみたところ試作機からか不安定だった。公式でも謳われていないので「できたらラッキー」程度だろう。

インターフェイスは背面に集中。USB 3.0が多いほか、Thunderbolt 4を搭載するのはポイントが高い

 ちなみに試作機では、ファンは温度に伴う制御は行なっていないようで、アイドル時もフル負荷時も常に同じ速度で回転するが、わずかな音がする程度でさほど気にならない。金属製筐体のため熱はやや持つ感じだが、性能はまったく問題なく出ている。ACアダプタは90Wで、かなり余裕があるものであった。

 近頃の急激な円安や原材料の高騰により、高性能CPUを選ぼうとすると予算が一気に跳ね上がってしまうのだが、今やエントリー向けのCore i3を選んでも、性能的には数年前のハイエンドデスクトップPCに匹敵、もしくは凌駕するのだ。そこそこ快適なPCを新調したいが予算があまりない、というユーザーにおすすめしたい。

Core i3-1215はPコアが2基(4スレッド)、Eコアが4基。Pコアの性能の高さはもちろんだが、Eコアの性能も侮れない。これが基本性能の高さにつながっている