Ubuntu日和

【第7回】Ubuntuでさまざまなビジネスソフトを使用する Microsoft編

 第6回に引き続いて、さまざまなビジネスソフトを使用する方法を紹介していく。

 今回はMicrosoftのソフトやサービスを紹介するが、前提としてUbuntuでMicrosoftのソフトやサービスをビジネス利用するのであれば「Microsoft Office 365 Business」に加入する必要がある。言うまでもなくMicrosoft Office(デスクトップ用)はUbuntuでは動作しないので、「Microsoft 365 Business Basic」でいいだろう。Web版Office365は無償で使えるじゃないかと思われがちだが、Microsoft サービス規約の「Officeサービス」には、商用利用権を有していないと個人的に非商用利用のみの用途と明言されている。

 またMicrosoftは違う製品に同じ名前をつけるので、見分けるのに知識が必要となる。典型例はMicrosoft Teams(以下Teams)で、個人用(Microsoftアカウント)と商用(法人用)は全く別物だ。詳細は後述するが、Microsoftが提供しているUbuntu用Teamsは法人用のみで、個人用のアカウントでは使用できない。今後の対応が待たれるところである。

Teams

 さてまずはTeamsだ。前述の通り法人用のアカウント(Microsoft 365アカウント、デフォルトではonmicrosoft.comドメイン)が必要になる。もちろん管理者によって必要な設定が完了していることも必要になるが、そのあたりの詳細は本稿の主旨から外れるので省略する。

 パッケージのインストールはUbuntuソフトウェアから行なう。「microsoft teams」で検索するとそれらしいものが3つ見つかるが、この中から「Microsoft Team Preview」を選択してインストールする。本パッケージはMicrosoftがSnapパッケージで提供しているが、まだプレビュー段階であることは注意が必要だ。

それらしきものが3つあるので間違えないようにする

 インストール完了後起動し、Microsoft 365アカウントでログインすると使用できるようになる。もし使用できない場合はMicrosoft 365アカウントではないか、あるいは管理者によって適切な設定が行なわれていない可能性があるが、Ubuntuがどうのという話ではないで省略する。

Windows版とあまり違いがないTeams

OneDrive

 MicrosoftはUbuntu用OneDriveクライアントを用意していないが、その名もonedriveという非公式なクライアントがあるので、今回はこれを使用する。MicrosoftアカウントはもちろんMicrosoft 365アカウントにも対応している優れものだ。

 以後もonedriveとすべて小文字の場合はこの非公式OneDriveクライアントのことを指すので注意して読んで欲しい。

 onedriveはUbuntuのリポジトリにもあるが、高頻度でバージョンアップが行なわれており、最新版とは大きな差異が発生している。よってOpenSuSE Build Serviceにあるパッケージをインストールする。

 端末を起動して次のコマンドを実行しよう。

$ wget -qO - https://download.opensuse.org/repositories/home:/npreining:/debian-ubuntu-onedrive/xUbuntu_22.04/Release.key | gpg --dearmor | sudo tee /usr/share/keyrings/obs-onedrive.gpg > /dev/null
$ echo "deb [arch=$(dpkg --print-architecture) signed-by=/usr/share/keyrings/obs-onedrive.gpg] https://download.opensuse.org/repositories/home:/npreining:/debian-ubuntu-onedrive/xUbuntu_22.04/ ./" | sudo tee /etc/apt/sources.list.d/onedrive.list
$ sudo apt update
$ sudo apt install onedrive

 インストール完了後、まずはMicrosoft 365アカウントでログインする必要がある。引き続き端末から次のコマンドを実行する。

$ onedrive

 するとURLが表示されるので、ここをクリックするとWebブラウザが表示され、Microsoft 365アカウントにログインする見慣れたページが表示される。ここでユーザー名とパスワードを入れて承認すると(多くの場合は他要素認証が有効になっているだろうからそれだけではないだろうが)非公式アプリケーションである旨が表示されるので「承諾」をクリックする。ページが真っ白になりURLだけが表示された状態になるのでこのURLをコピーし、端末に貼り付けてエンターキーを押すとonedriveにログイン作業が完了する。

表示されているURLにアクセスし、認証後URLをここに貼り付ける

 端末から次のコマンドを実行すると起動する。

$ systemctl --user start onedrive.service

 するとホームフォルダーに「OneDrive」という名称のフォルダーが作成され、同期処理が開始する。

 ログイン時に自動起動させたい場合は端末から次のコマンドを実行する。

$ systemctl --user enable onedrive.service

 systemctlコマンドの詳細は今後の連載で取り上げることになるだろう。

Office for the web(Web版Office)

 Web版OfficeはFirefoxでも使用できるし、後述するがMicrosoft Edgeも提供されているのでインストールするのもいいだろう。いずれにせよポイントは作成したドキュメントがOneDriveに保存されることで、先にonedriveを紹介したのはこれが理由だ。Web版OneDriveを使用していちいちファイルのアップロードやダウンロードをするのは手間だ。

 少し使えば分かることだが、デスクトップ版OfficeとWeb版Office間の相互運用性は高くない。ただWeb版Officeでもそこそこの表現力はあるので、その範囲に収まるドキュメントを作成すると割り切ってもさほど困ることがなさそうとは思える。

Outlook

 昨今Webメールも普通になったので必ずしもメールクライアントは必要なくなっているが、Microsoft 365のメール(Outlook)はUbuntuにインストールされているThunderbirdでも読み書きできる。

 Thunderbirdを使用する際のポイントは「既存のメールアドレスのセットアップ」で名前とメールアドレスとパスワードを入力し、「続ける」をクリックする。「アカウント設定がMozilla ISPデータベースから見つかりました」と表示された後「手動セットアップ」をクリックする。「送信サーバー」と「受信サーバー」にある「認証方式」をそれぞれ「OAuth2」に変更して「完了」をクリックするとこれまで何度も見たMicrosoft 365アカウントのログイン画面が表示され、ログインするとOutlookメールが使用できるようになる。

「認証方式」を「OAuth2」に変更する

 もちろんカレンダーの同期もできる。詳細は省くが「TbSync」と「Provider for Exchange ActiveSync」アドオンをインストールし、アカウントの設定後同期するだけだ。

カレンダーの同期例

Edge

 Microsoft Edgeはビジネスソフトではないが、かといってビジネスには必須なので取り上げる。

 とはいえ『人気Linuxディストリビューション、Ubuntuを触ってみよう!』で紹介したので参照して欲しい。

 WindowsでEdgeを使用している場合はプロファイルの同期機能を使用すると便利だろう。

Skype

 Microsoft サービス規約の「Skype、Microsoft Teams、および GroupMe」によるとSkypeは「個人的/非商用目的の使用」となっているのでビジネスでは使用できない。よってビジネスソフトではない。

 とはいえUbuntuソフトウェアからインストールできるので紹介する。Ubuntuソフトウェアを起動し。「skype」で検索すると見つかるので、ここからインストールする。あとは起動とMicrosoftアカウントでのログインを行なえば使用できる。