笠原一輝のユビキタス情報局
初代は開発キット、2は商用向け。では一般消費者向けHoloLensは?
~HoloLens シニアディレクターに聞く
2019年3月4日 12:24
MicrosoftはMWC 19 Barcelona開幕前日となる2月24日の夕刻から、MWCの同社ブースで記者会見を開催し、HoloLensの第2世代製品となるHoloLens 2を発表した。HoloLens 2は、SoCを初代のAtomベースからSnapdragon 850ベースへと変更し、処理能力を大きく向上させている。
Microsoft ビジネスアプリケーション&Mixed Reality コミュニケーションズ シニアディレクター クレイグ・シンコッタ氏によれば「初代のHoloLensは開発キットという側面が強かったが、第2世代のHoloLens 2ではエンタープライズ向けと位置づけており商用にフォーカスしている」と述べ、今回のHoloLens 2は実環境向けの製品であるというのだ。
初代HoloLensは開発キット、第2世代は商用という位置づけ
よく知られているとおり、MicrosoftはHoloLensを販売してきたが、その販売方法は開発者向けという意味づけが強く、直販が中心だった。もちろん開発者向けという位置づけであっても商用に使えないというわけではなく、開発パートナーとなる企業などがソフトウェアを開発して実環境で使っている例はあった。しかし、ハードウェア的にもさまざまな制約があったりして、必ずしも商用に最適なものではなかった。
今回のHoloLens 2では「第1世代に比べて快適性が増しており、第1世代で開発したデザインや建設などのアプリケーションをより快適に利用できる」といい、開発キットとして提供された第1世代のHoloLensのアプリケーションを、実環境で利用できる役割を担っているのがHoloLens 2だと述べた。
実際、今回Microsoftは2月24日に行なわれた記者会見や、MWC 19の会期中に行なわれたブースの展示のなかで、同社のWebサービスであるDynamics 365だけでなく、PTC、Bently SystemsなどのISV(独立系ソフトウェアベンダ)のソリューションとHoloLens 2の組み合わせを展示した。筆者もBently Systemsの建築向けのソリューションを体験したが、HoloLens 2を利用してホログラフィックで表示された設計図を、手で掴んで持ち上げたり、両手で掴んで広げたり、縮めたりということが可能になっていた。
重要なことは、それを1人ではなく、同じくHoloLens 2をつけているほかの参加者、さらには説明してくれているMicrosoftのガイドも併せて同じAR空間を共有できていることだ。たとえば、建築のイメージを共有するときに、複数の参加者が同じ設計図を見ながら話をする、そういう使い方が可能になっていた。
さらに、Microsoftの記者会見ではSpatialが作成したリモートで参加しているユーザーをホログラフィックで表示するデモを行なった。これを利用すれば、企業で開発拠点が地球規模で複数あるような場合でも、たとえばニューヨークと東京の両方で同じARを見ながら作業するなどの利用方法が可能だろう。そうしたことすべて含めて「商用での実利用環境」という位置づけと言える。
HoloLens 2は一般消費者向けの製品とするにはまだ足りない部分がある
では、今後このHoloLensが一般消費者向けに降りてくることはあるのだろうか。その問いに対してシンコッタ氏は「現時点ではHoloLens 2は商用と位置づけている。一般消費者向けとするにはまだまだ快適性が足りないし、価格の問題もある。もちろん将来的にはそういう展開も十分あると考えているが……」と述べ、将来の製品で一般消費者向けに販売する可能性を否定はしなかったが、現状のHoloLens 2では一般消費者向けは難しいだろうという見解を示した。つまり有り体に言えば「今じゃない」ということだ。
その上で「まず企業向けのソリューションが充実し利便性が増していけば、一般消費者にも必要となる時期がくる」と述べ、MicrosoftとしてはPCやスマートフォンがそうだったように、まずは商用の世界でアプリケーションを充実させ、魅力的なプラットフォームに育てた上で、一般消費者向けの展開を考えていきたいとした。
そうしたことを見据えて、今回MicrosoftはHoloLensのプラットフォームとしての魅力を増すために、とても重要な発表を行なっている。具体的にはHoloLensプラットフォームのオープン化で、3つの施策を発表している。1つ目はストアのオープン化、2つ目がブラウザのオープン化、3つ目がソフトウェア開発環境のオープン化だ。
1つ目のストアのオープン化だが、Microsoftにとっては大きな意味を持つ。というのも、Microsoftはストア戦略でAppleやGoogleに遅れをとっているのは明らかだからだ。同社はWindows 8で現在のMicrosoft Store(当時はWindows Store)を導入したものの、未だにAmazonのKindleすら作ってもらえないという状況で、ISVにとって魅力的なプラットフォームになっているとは言いがたい。HoloLensのアプリケーションもMicrosoft Storeを利用して配布になるので、Microsoftにとって弱点となりかねない状況だ。
そこでいっそのこと、ISVの皆さんが自分でストアを作っていいですよ、というのがこのストアのオープン化になる。極端な話、AppleやGoogleであっても(意味があるかどうかは別にして)、そしてSteamのような事業者もHoloLens向けのストアを開設することができるわけで、Microsoftにとってはストアから上がる利益よりもHoloLensを立ち上げるほうを優先したわけだ。
2つ目のブラウザのオープン化も大きな意味を持つ。MicrosoftはこれまでHoloLensのブラウザとしてMicrosoft Edgeだけをサポートしたが、今後はサードパーティのブラウザを導入し、それを使うことができるということだ。
まずはFirefoxを展開するMozillaがFirefoxのHoloLens版をリリースする計画であることを明らかにしている。Mozillaが作れるのだから、もちろんGoogleがChromeのHoloLens版を作ることも技術的には可能ということで、それが実現すれば、実利用環境としてのHoloLensの魅力はさらに上がっていくことになる。
そして最後の開発ツールのオープン化では、Epic Gamesのゲームエンジン「Unreal Engine 4」をHoloLens 2に提供すると発表している。これによりUE4を利用したVR/ARコンテンツなどがHoloLensに移植されることが期待できる。
こうしたオープン戦略の先には、どのような展開があるのだろうか? やはり気になるのは、ハードウェアプラットフォームとして、OEMメーカーがHoloLensを作れるようになるのかだろう。この点についてシンコッタ氏は「我々はそこもオープンに考えている。たとえばWindows MRのヘッドセットはOEMメーカーが製造して出荷している。我々が目指しているのはMRの大衆化だ」と述べ、今の時点ではないものの、将来的にはOEMメーカーへのプラットフォームの公開を検討している示唆した。
商用のアプリでプラットフォームを立ち上げ、一般消費者向けに取り組む戦略か
今回MicrosoftはSoCを初代のAtomからSnapdragon 850へと切り替えた。だが、アプリケーションの観点からすれば何のインパクトもなく乗り換えることができる。というのも、HoloLensのアプリケーションはUWP(Universal Windows Platform)になっているため、IntelもArmも同じバイナリで動作し、移行はシームレスに行なえるからだ。
なお、Snapdragon 850は、Arm版Windows 10向けのSoCとしては第2世代で、ベースとなっているSnapdragon 845に大容量キャッシュとGPUの性能が大きく強化されている。このため、Windowsデバイスとしての基本性能も上がっており、今回筆者が試した限りでは特に動作のもたつきなどを感じなかったことを付け加えておく。
ちなみにSnapdragon 850は、LTEモデムが標準で内蔵されているため、RFとアンテナを追加するだけでセルラー回線に対応できるのだが、HoloLens 2ではそうした機能は実装されていない。この点についてシンコッタ氏は「トレードオフだ。快適性、没入感、そしてお手頃な価格という3つのポイントのバランスを検討した結果、今回は搭載しないと決めた」と述べた。
このように、今回のHoloLens 2はMicrosoft自身も言うとおり、商用に振った構成のため、ハードウェアで一般消費者向けの機能を無理に搭載しなかった。まずは企業のニーズに必要十分な機能を搭載し、プラットフォームを確実に立ち上げていくという戦略なのだろう。買い取りで3,500ドル(税別)や、リースで月額125ドル(税別)という価格は一般消費者にはなかなか手がでないことを考えれば、賢明な戦略だ。
だが、それも企業向けでプラットフォームが立ち上がっていけば、量産も進み、価格もじょじょに下がってくるだろう。そうしていけば、HoloLens 3をリリースすることが可能になり、それがハイエンドスマートフォンと同じような価格まで下げることができるようになれば、一般消費者向けに展開していく、そうした絵をMicrosoftは描いているのだと筆者は考えている。
第1世代は開発向け、第2世代は企業向け、じゃあ第3世代は一般消費者向けなんですよね? という筆者の本気の質問に対して、シンコッタ氏は微笑みを浮かべるだけで答えてもらえなかったが、もしそうだとすれば、非常にスマートな戦略と言えるのではないだろうか。
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