PC短評

Ryzen 9 7940HS搭載で小型なのに高性能で超静音なミニPC!「MINISFORUM UM790 Pro」

「MINISFORUM UM790 Pro」

 5月にMINISFORUMからアナウンスされていた、最新のRyzen 9 7940HSを搭載した小型PC「UM790 Pro」がついにやってきた。すでに直販サイトでは予約販売を開始している。「小型PC欲しいけどこれ以上PC増えても使い道が」とか「小さいだけでパフォーマンスは限定的でしょ」と、二の足を踏んでいるユーザーは必見だ。

 パッケージを手にしたときに来るズッシリ感から、開封する前から「UM790 Pro」のパフォーマンスに期待してしまう。本体サイズは約130×126×52.5mm(ゴム足含む)、本体重量は約666gと小型PCの中で言えば比較的重い、また付属のACアダプタも450gとそこそこ重量がある。筐体は金属製でしっとりとした肌触り、左右側面には大きな通気口、背面はヒートシンク一体型のブロアファンを覗くことができる。付属品はACアダプタ、ACコード、HDMIケーブル、VESAマウント、交換用のゴム足、簡易マニュアルが付属する。

パッケージから漂う高級感
付属品はACアダプタ、ACコード、HDMIケーブル、VESAマウント、交換用のゴム足、簡易マニュアル
どこかで見たことのあるペリペリに包まれている
ACアダプタが大きく実測値で約450g
最高出力は19.0Vの6.3Aで119.7W
大きさは横130mm、縦方向は少し短く126mm
本体重量は実測値で約666g
ACアダプタ、ACコードを含めると1239gになる

 CPUには最新のRyzen 9 7940HS。システムメモリはLPDDR5 8GB×2、ストレージはPCIe Gen 4.0×4接続の256GB M.2 SSD(Type 2280)×2、OSはWindows 11 Proがインストールされている。直販サイトには今回のサンプルと同じ構成は存在しないので、評価用の構成だ。

 インターフェイスは、前面にDMIC、3.5mmコンボジャック、USB4×2、リセットスイッチ、背面にUSB 3.2×4、2.5Gigabit Ethernet、HDMI 2.1×2を備え、無線LANはWi-Fi 6EとなるIEEE 802.11 axとBluetooth 5.3に対応。

前面右からDMIC、3.5mmコンボジャック、USB4(Type-C/Alt PD)×2、リセットスイッチ
背面右からUSB3.2(Type-A)×4、2.5Gigabit Ethernet、HDMI 2.1×2
左右側面は通気口のみ

 筐体ゴム足の下にあるネジ4本を取り外すことで内部へアクセスできる。裏蓋部分はヒートシンクとファンが一体となっており、熱伝導シートを介して2つのM.2 SSDを冷却している。冷却ファンのケーブルは長さに余裕がないため、分解時は注意が必要だ。

ゴム足の下にネジ4本、裏蓋はパチッとはまっているためやや難易度が高い
M.2 SSDの下を通るアンテナケーブルの罠があるため分解時に注意したい
裏蓋はヒートシンクとファンでM.2 SSDを冷却
メモリはAPACER AP52560008G3B-001、2枚のSO-DIMMでヒートシンクを挟むようになっている
ストレージはKINGSTON OM8PG4256Q-A0
ネットワークカードはIntel killer AX1675x(AX210NGW)、最新のWi-Fi 6EとBluetooth 5.3に対応

 OSセットアップ後、一部の文字が正しく入力されないことがあるが、これはWindowsのキーボードレイアウトが英語になっている可能性がある。その場合は設定から日本語キーボード(106/109キー)を選択することで解決するだろう。

Windowsのキーボードレイアウトが英語になっている場合は、OSのセットアップ後に設定を変更する必要があるかもしれない
付属する簡易マニュアルに、キーボードレイアウトの変更方法が記載されていた

 CPUには、今年のCESで発表されたモバイル向けの最新アーキテクチャZen 4となる開発コードネーム「Phoenix」から、優れたバッテリおよびゲーミング性能を備え、「Ryzen AI」と呼ばれるAI推論アクセラレータを内蔵する8コア16スレッドのRyzen 9 7940HSを搭載。

 製造プロセスはRembrandt-Rからさらに微細化された4nmで、ベースクロックは4GHz、ブースト時は5.2GHzの大台突破で駆動する。グラフィックスは最新のRDNA 3アーキテクチャでCPUに統合されたRadeon 780Mを搭載。12のGPUコアを備え2,800MHzで動作。

 CPUのレンダリングでパフォーマンスを測定するCinebench R23では、マルチコアは17136、シングルコアは1840、総合的なパフォーマンスを計測するPCMark 10ではスコア7329となっており、LightroomやPhotoshopといった画像編集から、最新のAV1コーデックにも対応しているためメモリを増設すれば動画編集にも耐えうるだろう。もちろん一般的に使用されるオフィスアプリケーションは快適に動作する。

Cinebench R23のマルチコアは17136、シングルコアは1840
PCMARK10のスコアは7329、一般的なアプリケーションであればストレスなく快適に動作する

 Unreal Engine 4で開発された話題のオンラインアクションRPG「BLUE PROTOCOL」、同作のベンチマークソフトを使ってFHD解像度における最高画質と低画質の両方のプリセットで計測。最高画質プリセットのスコアは4889で設定変更が必要、低画質プリセットのスコアは14208で極めて快適となった。オンラインのアクションかつMMOであることを踏まえると画質の妥協は必要だが、FHD解像度の低画質プリセットにすることで問題なく遊べる。

最高画質プリセットのスコアは4889、レポートの平均フレームレートは35.983
低画質プリセットのスコアは14208、レポートの平均フレームレートは97.750

 GPUのパフォーマンスを測定する3DMark Night Raidは30133、Wild Lifeは16377、Fire Strikeは6927、Time Spyは3082となった。AMDが謳う3DMark Time SpyスコアでGeForce GTX 1650相当の結果には及ばなかったが、Zen 3世代のRembrandt-Rと比較すると、RDNA 3 GPUはもちろんのことブースト時に5.2GHzで駆動する8コア16スレッドのZen 4 CPUがパフォーマンスを底上げしている印象だ。

 またヒートシンク一体型のブロアファンや金属製の筐体、液体金属のCPUグリスなどを利用した冷却システム「Cold Wave 2.0」が上手く機能しており、今回テストした環境ノイズ程度では、「君フリーズしてないよね?」と確認するレベルで静音。夏場になるとケースファンで共振するデスクトップPCとサヨナラしたくなること間違いなしだ。

内蔵グラフィックス向けのベンチマーク、Night Raidのスコアは30133
クロスプラットフォーム向けのベンチマーク、Wild Lifeのスコアは16377
DirectX 11を使用するデスクトップPC向けのベンチマーク、Fire Strikeのスコアは6927
DirectX 12を使用するデスクトップPC向けのベンチマーク、Time Spyのスコアは3082