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北上諭志氏による、クリスタでのマンガの描き方 第1回 ネーム編

 本稿ではこれから4回にわたり、この業界では定番と言っていいセルシスのマンガ制作ソフト「CLIP STUDIO PAINT EX」を使って、PCでマンガを制作する工程を順を追って解説していく。マンガ製作および解説をいただいたのはマンガ家の北上諭志氏。長年デジタル環境でのマンガ製作を行なっており、地方在住のアシスタントとクラウドでデータを共有し、指示はSkypeなどで出しながら共同作業を行なうなど、ITを活用したスタイルで活動されている。

 製作にあたって、パソコン工房が発売しているCLIP STUDIO PAINT推奨 イラスト・マンガ制作向けミニタワーデスクトップパソコン「SENSE-M039-i5-UHR-CSP」を利用した。10万円を切る価格で、マンガ制作に必要な性能を確保し、CLIP STUDIO PAINTの推奨も取得している。

CLUP STUDIO PAINT推奨ミニタワーPC「SENSE-M039-i5-UHR-CSP」
前面
背面
側面
ケース前面にはメッシュパネルを備えて通気性を確保している
PC内部
作業用にSSD、データ保存用にHDDといった具合に役割を持たせて運用できる

 おもな特徴は、ストレージとしてSSDとHDDの両方を搭載している点。OSのほかCLIP STUDIOなど実作業を行なうソフトウェアをSSDにインストールして動作の高速化を図りつつ、データの保存をHDDに行なうといった形で、それぞれの長所を活かした分担が可能になっている。またフォームファクタをミニタワーとして省スペース性に配慮しながら、通気性の良いケースを採用したことで、長時間の作業も快適に行なえる。

 基本構成の税別価格は94,980円。おもなスペックは下記の通り。

SENSE-M039-i5-UHR-CSP
「SENSE-M039-i5-UHR-CSP」のスペック
CPUCore i5-8400
GPUIntel UHD Graphics 630
メモリDDR4-2666 16GB(8GB×2)
チップセットZ390 Express
ストレージ240GB SATA SSD + 1TB SATA HDD
光学ドライブDVDスーパーマルチ
電源500W 80PLUS
OSWindows 10 Home
ケースmicroATXミニタワー

 今回は、北上氏によるマンガ製作工程のうち、CLIP STUDIO PAINTを用いた「ネーム作業」の様子をお伝えする。

ネームはわかりやすさ優先で絵を入れる

北上諭志氏と製作に使ったCLUP STUDIO PAINT推奨ミニタワーPC「SENSE-M039-i5-UHR-CSP」

 みなさん、こんにちは。マンガ家の北上諭志です。今回の記事では、CLIP STUDIO PAINT EXを使って、PCでマンガを描く全工程を紹介していきます。

 最初に行なう作業は「ネーム」と呼ばれるものです。ネーム作業では、ざっくりとしたコマ割りと、そのコマに何を描くかといったことをメモ書きのような感じで記していくと同時に、ストーリー展開を決めます。たとえば、このコマで主人公がこういうセリフを話す、といった感じです。通常、マンガ製作手順のうち、ネーム作業が一番時間のかかる作業です。しかし今回は、パソコン工房さん側からある程度ストーリーのガイドラインをいただいた状態でネーム作業に入ったので、そこまで時間はかかりませんでした。

 ネーム作業では読者が読んでいくことを意識して、コマの運びや吹出しの位置を決めていきます。同時にこの段階でほぼ完成の絵のイメージもできています。以下、今回のマンガ製作で私が行なった作業手順をお伝えしましょう。記事末尾ではすべてを動画で公開しています。

ネーム作業開始。ファイル名は自分が何のファイルか分かればいいので、案外適当です(2倍速再生)
今回は8P(扉絵1P含む)扉絵を入れていきます。大体どんな登場人物が出てくるか、など、作品の雰囲気が伝わるように描いていきます(2倍速再生)
私の場合、ネームの段階でザックリと絵も描き込んでいますが、ネーム作業では絵を入れない人の方が多いと思います(2倍速再生)
今回はアシスタントの女の子を主人公として話が進んでいくので、表紙のキャラ配置を変えることにしました(2倍速再生)
ネームでここまで絵を入れる必要はないのですが、個人的には編集さんが完成した作品をイメージしやすい方が良いのでは、と思って描いています(2倍速再生)
続いて2P、3Pとネームを切っていきます。いただいている原案をもとに、コマを割っていきます(2倍速再生)
読者の事を考えて、吹き出しの位置、大きさ、コマの大きさ、絵のバランスなどを気にしつつ進めていきます(2倍速再生)
吹き出しにネームを入れていきます。急いで書いてるので字が汚いですね、ごめんなさい(2倍速再生)
2Pと3Pのネームが完成しました。全体のバランスを確認しつつ、伝わりにくい点はないかなどをチェックしたら、次のページに進みます(2倍速再生)
同様の手順で、4Pから先も進めていきます。デジタルだと、ちょっとサイズを直したい、配置を変えたい、なんて時の修正が楽で助かりますね。ネームはマンガの設計図なので、ちょこちょこ微調整が多い作業です。アナログ時代は書いた紙をハサミで切って、テープで貼ったりしてバランス調整をすることもありました(2倍速再生)
パソコン工房さんの大事なセールスポイントのセリフなので叫んでもらいました(2倍速再生)
8P目、マンガのオチになるページです。ここまで来ると気が楽ですね。あとは1P目から読んでみて、おかしな点などがないかをチェックしたら、完成です(2倍速再生)
ここまでの全工程の動画(20倍速再生)
製作協力: ユニットコム