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北上諭志氏による、クリスタでのマンガの描き方 第1回 ネーム編
2019年6月5日 11:00
本稿ではこれから4回にわたり、この業界では定番と言っていいセルシスのマンガ制作ソフト「CLIP STUDIO PAINT EX」を使って、PCでマンガを制作する工程を順を追って解説していく。マンガ製作および解説をいただいたのはマンガ家の北上諭志氏。長年デジタル環境でのマンガ製作を行なっており、地方在住のアシスタントとクラウドでデータを共有し、指示はSkypeなどで出しながら共同作業を行なうなど、ITを活用したスタイルで活動されている。
製作にあたって、パソコン工房が発売しているCLIP STUDIO PAINT推奨 イラスト・マンガ制作向けミニタワーデスクトップパソコン「SENSE-M039-i5-UHR-CSP」を利用した。10万円を切る価格で、マンガ制作に必要な性能を確保し、CLIP STUDIO PAINTの推奨も取得している。
おもな特徴は、ストレージとしてSSDとHDDの両方を搭載している点。OSのほかCLIP STUDIOなど実作業を行なうソフトウェアをSSDにインストールして動作の高速化を図りつつ、データの保存をHDDに行なうといった形で、それぞれの長所を活かした分担が可能になっている。またフォームファクタをミニタワーとして省スペース性に配慮しながら、通気性の良いケースを採用したことで、長時間の作業も快適に行なえる。
基本構成の税別価格は94,980円。おもなスペックは下記の通り。
「SENSE-M039-i5-UHR-CSP」のスペック | |
---|---|
CPU | Core i5-8400 |
GPU | Intel UHD Graphics 630 |
メモリ | DDR4-2666 16GB(8GB×2) |
チップセット | Z390 Express |
ストレージ | 240GB SATA SSD + 1TB SATA HDD |
光学ドライブ | DVDスーパーマルチ |
電源 | 500W 80PLUS |
OS | Windows 10 Home |
ケース | microATXミニタワー |
今回は、北上氏によるマンガ製作工程のうち、CLIP STUDIO PAINTを用いた「ネーム作業」の様子をお伝えする。
ネームはわかりやすさ優先で絵を入れる
みなさん、こんにちは。マンガ家の北上諭志です。今回の記事では、CLIP STUDIO PAINT EXを使って、PCでマンガを描く全工程を紹介していきます。
最初に行なう作業は「ネーム」と呼ばれるものです。ネーム作業では、ざっくりとしたコマ割りと、そのコマに何を描くかといったことをメモ書きのような感じで記していくと同時に、ストーリー展開を決めます。たとえば、このコマで主人公がこういうセリフを話す、といった感じです。通常、マンガ製作手順のうち、ネーム作業が一番時間のかかる作業です。しかし今回は、パソコン工房さん側からある程度ストーリーのガイドラインをいただいた状態でネーム作業に入ったので、そこまで時間はかかりませんでした。
ネーム作業では読者が読んでいくことを意識して、コマの運びや吹出しの位置を決めていきます。同時にこの段階でほぼ完成の絵のイメージもできています。以下、今回のマンガ製作で私が行なった作業手順をお伝えしましょう。記事末尾ではすべてを動画で公開しています。
製作協力: ユニットコム