西川和久の不定期コラム

ドスパラ「Monarch AR」
~ハードウェアRAIDでSSDを8台搭載可能なデスクトップPC



 ドスパラは8月31日、PLDS製128GB SSD「PX-128M5P」をRAID構成で搭載したデスクトップPCを発表した。SSD 8台/4台/2台の3モデルが用意され、今回は最上位モデルが編集部から送られて来たので試用レポートをお届けしたい。

●高速SSDとH/W RAIDコントローラ搭載

 冒頭に書いたようにこの「Monarch AR」には3モデルある。下位モデルは、SSD「PX-128M5P」2台で、オンボード接続。中位モデルは、PX-128M5P 4台にRAIDカード「areca ARC-1882i」を搭載。プロセッサやメモリ、そして光学ドライブなど他の部分は同じだ。価格はそれぞれ99,980円と229,980円。

 そして今回ご紹介するのは最上位モデルは、areca ARC-1882i+PX-128M5P 8台と言うすさまじい構成のマシンだ。価格は299,980円。RAIDは0(ストライピング)で構成され、かなりのアクセス速度が期待できる。主な仕様は以下の通り。

【ドスパラ「Monarch AR」の仕様】
CPUIntel Core i5-3470(4コア/4スレッド、クロック3.2GHz/Turbo Boost 3.6GHz、キャッシュ6MB、TDP 77W)
チップセットIntel Z77 Express
メモリ8GB/DDR3 PC3-12800(4スロット/空き2)
SSDPLDSB「PX-128M5P」128GB×8(RAID 0)
HDD1TB(7,200rpm/SATA 6Gbps)
光学ドライブDVDスーパーマルチドライブ
OSWindows 7 Home Premium(64bit SP1)
グラフィックスIntel HD Graphics 2500/ミニD-Sub15ピン、DVI-D、HDMI出力、DisplayPort
ネットワークGigabit Ethernet
その他USB 3.0×6(前面×2/背面×4)、USB 2.0×6(前面×4/背面×2)、eSATA×1、IEEE 1394×1、PS/2×1、S/PDIF光出力、音声入出力
拡張スロットPCI Express x16×3(空き2)、同x1×2、PCI×2
電源550W静音電源(DELTA ELECTRONICS製/80PLUS BRONZE)
サイズ・重量207×520.7×450.2mm(幅×奥行き×高さ)/約13.9kg
価格299,980円

 プロセッサはCore i5-3470。Hyper-Threadingには非対応で、4コア4スレッド。クロックは3.2GHz、Turbo Boost時3.6GHzまで上昇する。キャッシュは6MB、TDPは77W。

 チップセットはIntel Z77 Express。メモリスロットは4つあり、4GB×2の計8GBが実装済み。従って2スロットの空きがある。OSは64bit版のWindows 7 Home Premium SP1。光学ドライブはDVDスーパーマルチドライブを搭載する。

 グラフィックスはプロセッサ内蔵のIntel HD Graphics 2500。出力はミニD-Sub25ピン、DVI-D、HDMI出力、DisplayPortの4系統だ。メインストレージがSSD×8のRAID 0の割りに、グラフィックスがバランス的に弱いのは気のなるものの、この点に付いては普段使うアプリケーションなど用途にもよるだろう。必要であれば後からGPUを増設する手もある。

 インターフェイスは、Gigabit Ethernet、USB 3.0×6(前面×2/背面×4)、USB 2.0×6(前面×4/背面×2)、eSATA×1、IEEE 1394×1、PS/2×1、S/PDIF光出力、音声入出力と豊富だ。カードリーダは無いが、フロントの5インチベイが1つ空いているので、別途取り付けは可能。

 拡張スロットは、PCI Express x16×3(空き2)、同x1×2、PCI×2。電源は80PLUS BRONZE対応で550W静音電源のDELTA ELECTRONICS製。先にGPUの増設について書いたが、電源容量を考慮するとハイエンドGPUは厳しそうだ。本体サイズは207×520.7×450.2mm(幅×奥行き×高さ)。重量約13.9kg。

 本製品最大の特徴であるストレージは、メインストレージとして、RAIDカードareca ARC-1882i+PX-128M5P×8で、データドライブとして7,200rpm/SATA 6Gbpsの1TBのHDDも搭載する。

 PX-128M5は、SATA 6Gbps対応で、フラッシュメモリに東芝製19nm NAND、Marvell製最新IC 88SS9187、256MB DDR3キャッシュを備えた単体でも高速なSSDだ。

 ハードウェアRAIDコントローラのareca ARC-1882iは、LSI製RAIDコントローラ「LSI2208」を採用、DDR3の1GBメモリを搭載し、PCI Express 3.0対応などの特徴を持つ。対応するRAIDレベルは、0/1/1+E/3/5/6/30/50/60/JBOD。詳細は製品情報を参考にして欲しい。

 高価なSSDを8台、そしてハードウェアRAIDコントローラ搭載ということで、価格は299,980円とかなり張るが、仕方ないところか。

 なお、BTOでプロセッサやメモリなど、主要コンポーネントも含めカスタマイズ可能だ。

前面。ブラックフェイスのシンプルなタワー型だ。各ポートを隠すパネルは無いが、それはそれでアリというデザイン前面(アップ)。USB 3.0×2、USB 2.0×4、音声入出力、リセットスイッチ、パワースイッチRAIDを構成する2.5インチ用のマウンタ。最大8台まで搭載可能
背面。下に電源ユニット、スロットにはRAIDカードのEthernetポート、上側には各種ポートが並ぶ背面(アップ)。USB 3.0×2、PS/2×1、DVI-D、ミニD-Sub15ピン、HDMI出力、DisplayPort、eSATA、IEEE 1394、USB 2.0×2、USB 3.0×2、Ethernet、S/PDIF光出力、音声入出力左側面。ファン取り付け用のメッシュが2つあるが、どちらも未装着
内部(引き)。中央のRAIDコントローラに伸びる赤いケーブルが目立つ。3.5インチシャドウベイは5つ内部(CPU周辺)。本体上部にファンが2つ。メモリスロットは4つあり、4GB×2の計8GBが実装済みPCI Express 3.0対応のRAIDカード「areca ARC-1882i」。昔と違ってシンプルなカード
3.5インチシャドウベイは、特にネジなどは必要無く、中央をつまみながら引っ張ると着脱できる550W静音電源付属品。USBインターフェイスのマウスとキーボード、各種ドライバCDなど

 筐体はシンプルなタワー型。色はブラックで部分的にメッシュが用いられ飽きの来ないデザインになっている。

 前面の各コネクタなどをカバーする扉はなく、光学ドライブ、USB 3.0×2、USB 2.0×4、音声入出力、リセットスイッチ、パワースイッチを配置。先に書いたが、5インチベイが1つ空いているので、必要ならここへカードリーダなどを設置できる。

 背面は、基本的にマザーボードバックパネルから出ているコネクタのみ。USB 3.0×2、PS/2×1、DVI-D、ミニD-Sub15ピン、HDMI出力、DisplayPort、eSATA、IEEE 1394、USB 2.0×2、USB 3.0×2、Ethernet、S/PDIF光出力、音声入出力と、何でも揃っている。

 内部へのアクセスは背面にあるネジ2本外せばOK。巨大なビデオカードもないので非常にスッキリしている。SSDからRAIDカードへ伸びる赤いケーブルがなかなか壮観だ。3.5インチシャドウベイは計5つで、真ん中にHDDが搭載されている。

 冷却ファンは電源×1、プロセッサ×1、リア×1、上部×2、RAIDコントローラ×1(小型)の計6つと少し多めだ。この関係もあって同クラスのデスクトップPCと比較して、ファンノイズはちょっと気になるレベルとなる。

●爆速のSSD×8 RAID 0

 OSは64bit版Windows 7 Home Premium SP1。プロセッサ内蔵Intel HD Graphics 2500とメモリを共有するが、8GB搭載しているので、通常用途であれば全く問題は無いだろう。

 C:ドライブは約893GB割当てられ、初期起動時の空きは864GBとなっている。ただし今回の試用機は工場出荷状態では無さそうなので、空きに関しては参考程度に留めて欲しい。

 その他のデバイスは、DVDスーパーマルチドライブにHL-DT-ST DVDRAM GH24NS90、VIA 1394コントローラ、Broadcom Netlink Gigabit Ethernet、そしてUSB 3.0はIntelネイティブに加え、EtronのUSB 3.0 Extensible Host Controllerが使われている。

起動時のデスクトップ。恐らく工場出荷時とは違う状態なので参考までにデバイスマネージャ。HDDは1TB/7,200rpm/SATA 6Gbps/32MBの「HDS721010」HDDのパーティション。RAIDで構成されたC:ドライブは約893GB。HDDは未フォーマットだった

 プリインストール済みのソフトウェアに関しては、先に説明した通り今回は不明なので、RAIDカードareca ARC-1882iの設定画面を掲載する。

 メインメニューは、Quick Volume/Raid Setup、Raid Set Function、Volume Set Function、Physical Drives、Raid System Function、More System Function、Hdd Power Management、Ethernet Configuration、Alert By Mail Config、View System Events、Clear Event Buffer、Hardware Monitor、System Informationからなる。

 Physical Drivesは実際搭載しているSSDが確認でき、8台全て128GBの「PX-128M5P」になっているのが分かる。

 The Volume Set Informationは、RAIDレベルなどの確認。Level 0(ストライピング)だ。トータル容量は960GB。キャッシュはWrite-Backになっている。

RAID Controller/Main MenuPhysical DrivesThe Volume Set Information

 ベンチマークテストはWindows エクスペリエンス インデックスとPCMark 7、参考までにCrystalMark(4コア4スレッドなので仕様上は問題無い)と、CrystalDiskMarkの値も掲載した。

 Windows エクスペリエンス インデックスは、総合 4.9。プロセッサ 7.5、メモリ 7.8、グラフィックス 4.9、ゲーム用グラフィックス 6.3、プライマリハードディスク 7.9。

 PCMark 7は4742 PCMarks。CrystalMarkは、ALU 78404、FPU 63729、MEM 60943、HDD 98623、GDI 12220、D2D 2465、OGL 6268。

 CrystalDiskMarkは、シーケンシャルリード2,163MB/sec、シーケンシャルライト2,436MB/sec。

 HDD以外は一般的なCore i5-3470のスコアだが、HDDだけはWindows エクスペリエンス インデックス 7.9、CrystalMark 98623など爆速だ。CrystalDiskMarkの値も凄まじい。長年PCをレビューしてきたが、これだけのものは初対面。もちろんOSやアプリケーションの起動などは全く別次元の速さ。病み付きになりそうな快適さだ。

 ただし8台中1台でも故障すると、ボリューム全てがアクセス不能になるストライピングのRAID 0は、細心の注意を払って運用した方が良いだろう。

Windows エクスペリエンス インデックス。総合 4.9。プロセッサ 7.5、メモリ 7.8、グラフィックス 4.9、ゲーム用グラフィックス 6.3、プライマリハードディスク 7.9
PCMark 7。4742 PCMarks
CrystalMark(参考)。ALU 78404、FPU 63729、MEM 60943、HDD 98623、GDI 12220、D2D 2465、OGL 6268
CrystalDiskMark。Read 2,163、807.3、32.55、265.7(MB/sec)、Write 2,436、2,397、182.2、274.7(MB/sec)


 以上のようにドスパラMonarch ARは、PLDS製128GB SSD PX-128M5P 8台と、areca製ハードウェアRAIDカードARC-1882iを使って、リード/ライト2GB/secを超える速度が非常に高速なデスクトップPCだ。予算に応じてSSD×4、SSD×2を選べるのも魅力的。

 グラフィックスがプロセッサ内蔵Intel HD Graphics 2500なのが気になるものの、とにかく高速ディスクアクセスだけが必要な人向けのマシンといえる。