■西川和久の不定期コラム■
デル「Vostro 3500」
デルの「Vostro」シリーズは、SMB市場(Small and Medium Business Markets)向けの、コストパフォーマンスと最新テクノロジを両立させたノートPCに仕上がっているのが特徴。3300、3400、3500、3700とあるラインナップの中、15.6型液晶パネルを搭載した3500が届いたのでレポートをお届けする。
同社は、大企業向けの「Latitude」と呼ばれる別ラインナップを持っている。そしてVostroは500人以下のSMB市場用の位置付けだ。一番の違いはサポートで、前者は情報部門を対象にしているのに対して、後者はエンドユーザー向けサポートとなる。また、「継続性と安定性を重視」か「コストパフォーマンスと最新テクノロジ重視」かの違いもある。
このVostroのラインナップとしては、13.3型液晶「3300」、14.0型液晶「3400」、15.6型液晶「3500」、そして17.3型液晶「3700」と、基本的に液晶パネルのサイズで型番が変わり、今回届いたのは「3500」。BTOでさまざまな構成にする事が可能だ。主な仕様は以下の通り。
【表】Vostro 3500仕様CPU | Intel Core i5-520M(2コア/2.40GHz、TB2.93GHz/キャッシュ3MB) |
チップセット | Intel HM57 Express |
メモリ | 6GB(2GB+4GB)/DDR3-SDRAM/2スロット空き0、最大8GB |
HDD | 500GB(7,200rpm) |
光学ドライブ | DVDスーパーマルチドライブ |
OS | Windows 7 Professional(64bit) |
ディスプレイ | 15.6型 HD WLED アンチグレア液晶ディスプレイ、1,366×768ドット |
GPU | NVIDIA Geforce 310M(512 MB)、ミニD-Sub15ピン、HDMI |
ネットワーク | Gigabit Ethernet、IEEE802.11b/g/n、Bluetooth 2.1+EDR |
その他 | USB 2.0×4(内1つはeSATAと共用)、8in1メディアスロット、 Webカメラ、指紋センサー、マイク入力、 ヘッドフォン・ラインアウト、ExpressCardカードスロット |
サイズ/重量 | 375×250×22.9~31.9mm(幅×奥行き×高さ)/約2.40kg(6セルバッテリ時) |
価格 | 最小構成53,980円(7,970円割引後)/上記の構成で126,780円(11,085円割引後) |
CPUはIntel Core i5-520M。2コア4スレッド、クロック2.40GHz、TurboBoost時2.93GHzまで持ち上がる。L3キャッシュは3MB。BTOでは、Celeron 4500(2コア2スレッド、1.86GHz、キャッシュ2MB)からとなり、このi5-520Mが3500としては最上位となる。チップセットはIntel HM57 Express。この場合、多くのノートPCでは、内蔵のIntel HD Graphicsとなっているが、NVIDIA Geforce 310M(512 MB)を搭載し、パフォーマンスを向上している。メモリは2スロットで4GB+2GBの計6GB。最大8GBにまで対応だ。
ディスプレイは、非光沢の15.6型液晶ディスプレイで、解像度は1,366×768ドット。アナログVGAとHDMI出力を備えている。非光沢というのがビジネス向けを主張している。
ネットワーク関連は、有線LANはGbE、無線LANはIEEE 802.11b/g/n、そしてBluetooth 2.1+EDRも搭載。ただし、下位構成ではBluetoothを選択できないので注意が必要だ。
ドライブは、DVDスーパーマルチドライブと、7,200rpmの500GB HDD。後者に関してはBTOで7,200rpmの320GBも選択できる。
その他のインターフェイスとしては、8in1メディアスロット、Webカメラなどに加え、ExpressCard、そして指紋センサーを備えている。特にビジネス用途では指紋センサーはセキュリティ上、あった方が望ましい。USB 2.0×4の内、1ポートはeSATAと併用だ。
OSは、Windows 7 Professional 32bit版、Windows 7 Professional 32bit版+XPモードプリインストール済み、Windows 7 Professional 64bit版、Windows XP Professional SP3(Windows 7 Professional 32bit版ダウングレード/PowerDVDの有無選択可)から選べる。どれも値段は変わらず、XPモードプリインストール済みの構成があるのが興味深い。
ボディカラーは標準では「アバディーン・シルバー」。+1,050円で「ルーサン・レッド」、「ブリスベン・ブロンズ」を選択できる。
価格はこの構成で126,780円。ただし11,085円の割引後の価格だ。最小構成のCeleron 4500、Windows 7 Home Premium 32bit版、2GB×1、HDD 160GBの構成で、53,980円(7,970円割引後)となる。
ボディは天板と周囲にカラーリングが施されている。他の部分はブラック。今回届いたのは「ブリスベン・ブロンズ」だが、シルバーやレッドもかなかな合いそうだ。模様などはなく非常にシンプルなデザイン。ルックスもなかなか良い。またパームレスト、キーボード、液晶パネルの縁などのブラックはマットな感じで指紋あとが目立ち難くい。
先に述べたように、液晶パネルは非光沢だ。この部分も指紋跡が目立たず、映り込みも光沢タイプと比較すると圧倒的に少ない。光沢タイプ=パーソナル用途と思われがちであるが、筆者のように、パーソナル用途でも非光沢タイプを望むユーザーも多いだろう。発色や視野角は平均的で、特に派手でも狭くもなく、安心して見ることができる。
キーボードは、タッチが少しソフトな感じで疲れにくそうだが、結構たわむのが残念なところ。キーピッチは約19mm、パームレストも十分広く使いやすい。またLEDバックライトは、暗い場所で作業するとき重宝する。明るさは2段階調整可能だ。気になるのは[Enter]キーの右横にもう一段[PgUp][PgDn]キーなどがあることだ。今回USキーだったので日本語キーボードのレイアウトは不明であるが、できれば[Enter]キーの右横には他のキーを配置しない方がミスなどが減る。
また、キーボードの右上に、タッチ式の再生ボタンなどがあり、コンテンツ再生時にはワンタッチで調整できて便利だ。
タッチパッドはボディサイズに余裕があるため広め。ボタンが物理的に2つあり、軽い感じで指に負担がかからない。ただし、左側のパームレストに少し振動が伝わるのが気になるところか。
スピーカーは最大音量だと若干歪気味になるものの結構大音量になる。通常用途的には十分だろう。音質は中域を中心としたナローレンジだが、低音がボディで少し強調されボリューム感を増している。
●SMB向けとしては十分なパフォーマンスOSは64bit版のWindows 7 Professional。メモリが6GBということもあり、快適に操作できる。実際はXPモードなど仮想PCを使わない限り、2GB+2GBの計4GBもあれば十分だと思われ、コストパフォーマンスも良い。
HDDはST9500420AS(7,200rpm, キャッシュ16MB)、光学ドライブはAD-7585Hが使われていた。500GBのHDDを物理的には3パーティション、ユーザー用としてはC:ドライブのみ、約451GB割当てられている。
プリインストール済みのアプリケーションはデスクトップからも分かるように、非常に少なくスッキリしている。主なものとしては「トレンドマイクロ ウイルスバスター16(15カ月間更新サービス)」、「Roxio Creator IDE」、「PowerDVD DX」程度。SMB用としては、あまりプリインストールアプリケーションが多いと、逆に相性問題などが発生する可能性もあり、シンプルな方がカスタマイズしやすい。
またセキュリティソフトウェアとして「Digital Persona」が導入済みだ。指紋センサーと組み合わせてパスワードなどを管理することができる。
Roxio Creator IDE | Digital Persona | PowerDVD DX |
ベンチマークテストは、Windows エクスペリエンス インデックス、CrystalMark、そしてBBenchの結果を見たい。
まずWindows エクスペリエンス インデックスの総合は4.9。内訳は、プロセッサ6.7、メモリ6.7、グラフィックス4.9、ゲーム用グラフィックス6.0、プライマリハードディスク5.9。NVIDIA Geforce 310Mを搭載している割には、グラフィックスが4.9と、Intel HDグラフィックスとあまり差が無く少し残念ではあるが、他の部分は非常にバランスが取れている。またCUDAが使えるので、動画のエンコード系の処理も有利だ。
CrystalMarkは、ALU 32,820、FPU 32,286、MEM 21,951、HDD 11,215、GDI 12,494、D2D 6,857、OGL 19,249。7,200rpmのHDDなので1万超え、そしてD2DとOGLはNVIDIA Geforce 310Mの効果が出ており、結構高スコアになっている。ヘビーな3Dゲームでもしない限り十分な性能と言える。
BBenchは、省エネモード、バックライト/OFF、キーストローク出力/ON、Web巡回/ON、WiFi/ON、Bluetooth/OFFでの結果だ。バッテリの残3%で11,285秒(3.1時間)だった。このクラスのノートPCとしては標準的。重量が約2.4kgあるので、外に持ち出す用途は少なく、主に室内の移動用として運用するなら問題無い。ただし、省エネモードにするとAeroがOFFになり、バックライトをOFFにすると画面が暗くなるため、実用的な設定をすると、もう少しバッテリ駆動時間は短くなると思われる。
以上のようにVostro 3500は、ルックスも良く、タッチ式の再生ボタンなどがキーボード右上にある、LEDバックライト付きのキーボードなど、SMBに限らずパーソナルユースにも魅力的なノートPCだ。価格もCPUなどの組み合わせによってはかなり安い。15.6型液晶パネルを搭載した2スピンドルノートPCを探している人にお勧めの逸品と言えよう。