西川和久の不定期コラム

新CPU、Core 3 304の実力は?10GbEと電源も内蔵したミニPC「Beelink EQi」

EQi

 本連載Wildcat Lake、Core 3 304初登場。前世代のAlder Lake-N、Core i3-N305と比較して大幅に性能アップといわれているだけに気になる存在だ。編集部からこのプロセッサを搭載したBeelink「EQi」が送られてきたので試用レポートをお届けしたい。

Wildcat Lake+10GbE+電源内蔵と盛り沢山のミニPC

 BeelinkはWildcat LakeことIntel Core 3 304を搭載したPCを3つリリースしている。

 小さいのから順に、「EQ mini」、「EQi」、「ME Pro-2」。このうち、EQタイプは電源内蔵のミニPC。ME Pro-2はファイルサーバー的にも使えるよう、2.5もしくは3.5inch HDDベイを2つ持っている。

 手元に届いたのは真ん中のEQi。これだけ少し変わっていて、メモリがLPDDR5の16GBか、DDR5の24GBもしくは32GBとなっている。主な仕様は以下の通り。

Beelink「EQi」の仕様
プロセッサCore 3 304 (Pコア1基/LP Eコア4基、5コア/5スレッド、クロック最大4.3GHz、キャッシュ6MB、cTDP 15~35W、NPU 最大15TOPS/INT8)
メモリ16GB / LPDDR5(5,600MT/s)
ストレージ512GB UFS 3.1ストレージ+M.2 2280(2スロット2つ空き)
OSWindows 11 Pro(25H2)
グラフィックスIntel Graphics(Xe3-LPG)/HDMI 2.0、USB Type-C 2基
ネットワーク10GbE+2.5GbE、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2
インターフェイス前面: USB 3.2 Gen 2、3.5mmジャック、USB 3.2 Gen 2 Type-C
背面: Thunderbolt 4 2基、USB 2.0 2基
電源85W内蔵
サイズ/重量126×126×44.2mm、500g
価格509ドル(約8万3,000円、16GB/LPDDR5+512GB)

 プロセッサは、Wildcat Lakeと呼ばれるCore 3 304。Cougar CoveアーキテクチャのPコア1つと、DarkmontアーキテクチャのEコア4つの合計5コア/5スレッド。クロックは最大4.3GHz。キャッシュ6MB、cTDP 15~35W。最大15TOPS(INT8)のNPUを内包する。

 前世代Alder Lake-NのCore i3-N305と比較するとシングルコア性能が約120%、マルチコア性能が約60%向上といわれている。また、Xe3-LPGのGPUコアも内蔵。NPUは新規搭載。GPUと合わせて24TOPSのAI性能を実現。つまりAlder Lake-N世代の同クラスSKUから大幅に性能が向上している。

 メモリは2タイプあり、16GB LPDDR5もしくはDDR5で24GBか32GB。ストレージは内部を見て初めて分かったのだが、512GB UFS 3.1ストレージ+M.2 2280(SSD1 PCIe 4.0 x2 / SSD2 PCIe 4.0 x1)2基という構成だ。つまりM.2 2280スロット2つは空きのままで、別途フラッシュストレージを搭載していることになる。後半のベンチマークテストがイマイチなのはこの関係だ。

 以前ならこんな(ある意味)面倒なことせず、素直に片方のM.2にSSDを搭載しているはずだ。やはりAIの急激な需要の高まりで、SSDの供給状況もそこまで緊迫しているのだろうか?

 グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel Graphics。GPUコアは従来のXeからXe3-LPGに強化。外部モニター出力用にHDMI 2.0、Thunderbolt 4 2基を装備。

 OSはWindows 11 Pro。25H2だったのでこの範囲でWindows Updateを適用し評価している。

 ネットワークは10GbE+2.5GbE。このクラスで10GbE対応とはちょっと驚きだ。筆者の仕事場はまだGbEなのでまったく追いついていない(笑)。無線系はWi-Fi 6、Bluetooth 5.2。

 そのほかのインターフェイスは、前面がUSB 3.2 Gen 2、3.5mmジャック、USB 3.2 Gen 2 Type-C。背面にThunderbolt 4 2基、USB 2.0 2基。

 サイズ126×126×44.2mm、重量500gの筐体に85Wの電源も内蔵し、ACアダプタ不要というのも嬉しいポイントだ。

 これからも分かるように、本機は、Wildcat Lake搭載だけでなく、10GbE、Thunderbolt 4 2基、電源内蔵……となかなか意欲的な製品となっている。

 価格は手元に届いたLPDDR5 16GB+512GBで509ドル(約8万3,000円/163円換算)。DDR5 24GB+512GBで659ドル(約10万8,000円)、DDR5 32GB+512GBで739ドル(約12万円)。1年前の構成と比較すると高いのだが、この円安+メモリ高騰の中なので仕方ないところ。

前面はUSB 3.2 Gen 2、3.5mmジャック、USB 3.2 Gen 2 Type-C、電源ボタン
背面はThunderbolt 4 2基、USB 3.2 Gen 2 2基、HDMI、10GbE、2.5GbE、ACプラグ
裏面とiPhone 16 Pro。ミニPCとしては標準的。四隅の丸い目隠しの下にネジがある
付属品。ACアダプタがないので、ACケーブルとHDMIケーブルのみ
BIOS / Main。起動時[DEL]キーで表示
BIOS / Advanced
重量は実測で492g
いつものキーボード付きモバイルモニターへ接続。相性の問題か、なぜかThunderbolt 4では接続できず、HDMIとUSB、ケーブル2本での接続となった

 筐体はオールプラスティックで高級感はないものの、気になるほどではない。逆に電源内蔵で実測492gと軽く、どこにでも持ち運びできるのがメリットだ。

 前面にUSB 3.2 Gen 2、3.5mmジャック、USB 3.2 Gen 2 Type-C、電源ボタン。背面にThunderbolt 4 2基、USB 3.2 Gen 2 2基、HDMI、10GbE、2.5GbE、ACプラグを配置。プロセッサのSKU的にはエントリークラスの割にインターフェイスが豪華といえる。

 付属品はACアダプタがないためACケーブルとHDMIケーブルだけとシンプルだ。BIOSは起動時[DEL]キーで表示する。

 いつものキーボード付きモバイルモニターへの接続だが、どちらのThunderbolt 4からも映像が出なかった。以前も別のPCでこの現象があり、おそらく相性なのだろう。

 内部へのアクセスは簡単。四隅のゴム足中央にあるネジを外せば即裏パネルが外れる。メモリがLPDDR5タイプなので増設不可。16GB固定となる。

 また、ストレージはヒートシンクを外すとM.2 2280が2つとも空きだ。これは別途512GB UFS 3.1ストレージにOSが入っているからで、ある意味嬉しいポイントなのだが、後半のベンチマークテストではさすがに速度が遅く、ここがボトルネックとなる。

 手元に適当なM.2 2280のSSDがあれば載せてOSをこちらから起動すれば(とはいえPCIe 4.0 x2とx1なのだが)、随分印象も変わるのではないだろうか。

四隅のゴム足中央にあるネジを外せば即裏パネルが外れる
メモリはLPDDR5タイプなので増設不可。M.2 2280スロットは2つ共空き。左側に電源ユニットが見える

 ファンはあるにはあるのだが(写真では見えない裏側の位置)、ノイズは皆無に等しく、発熱も少し暖かくなる程度。まったく気にする必要はないだろう。

プロセッサはクラス並み+αだが512GB UFS 3.1ストレージがネックか?

 初期起動時、特にプリインストールなどのアプリはなく、Windows 11 Pro(25H2)標準のまま。さすがに多くご紹介しているRyzenプロセッサ搭載機などと比較すると少しモッサリ気味だろうか。

 512GB UFS 3.1ストレージの詳細は不明。C:ドライブのみの1パーティションで約475.28GBが割り当てられ空き428GB。

 10GbEはRealtek PCIe 10GbE Family Controller、2.5GbEはIntel Ethernet Controller I226-V、Wi-FiはMediaTek Wi-Fi 6E MT7922と、3社が入り乱れている。BluetoothはMediaTek製だ。

初期起動時のデスクトップ。Windows 11 Pro(25H2)標準
デバイスマネージャー/主要なデバイス。512GB UFS 3.1ストレージの詳細は不明。10GbEはRealtek PCIe 10GbE Family Controller、2.5GbEはIntel Ethernet Controller I226-V、Wi-FiはMediaTek Wi-Fi 6E MT7922と3社が入り乱れている。BluetoothはMediaTek製
ストレージのパーティション。C:ドライブのみの1パーティションで約475.28GBが割り当てられている
タスクマネージャーにNPU。Core 3 304はローエンドSKUながらNPUを内包

 ベンチマークテストは、PCMark 10、3DMark、Cinebench 2026。3DMarkは初Wildcat Lakeということもあり、いつもよりテスト項目を増やしている。また、比較用にCore i3-N305を搭載したBeelinkの「EQ12」のテスト結果を並べてある。

 結果を見る限り、ストレージが結構遅い。ここは速いのに変えたいところ。また速くなったとはいえ、それはAlder Lake-Nと比較してであり、このコラムでよく登場するRyzen系と比べると仕方ないよね……的なスコアになっている。

 加えてプロセッサのスペックシートを見ると、最大メモリチャネル数は1、つまりシングルチャネルのみの対応だ。この点も、メモリ速度やiGPU性能などに影響が出る。

PCMark 10の結果
3DMarkの結果(その1)
3DMarkの結果(その2)
Cinebench 2026の結果
CrystalDiskMark 8.0.5
[Read]
  SEQ    1MiB (Q=  8, T= 1):  1934.199 MB/s [   1844.6 IOPS] <  4329.47 us>
  SEQ    1MiB (Q=  1, T= 1):  1574.722 MB/s [   1501.8 IOPS] <   665.23 us>
  RND    4KiB (Q= 32, T= 1):   579.473 MB/s [ 141472.9 IOPS] <   225.36 us>
  RND    4KiB (Q=  1, T= 1):    34.763 MB/s [   8487.1 IOPS] <   117.55 us>

[Write]
  SEQ    1MiB (Q=  8, T= 1):   814.742 MB/s [    777.0 IOPS] < 10263.01 us>
  SEQ    1MiB (Q=  1, T= 1):   804.779 MB/s [    767.5 IOPS] <  1301.29 us>
  RND    4KiB (Q= 32, T= 1):   573.574 MB/s [ 140032.7 IOPS] <   228.13 us>

 以上のようにBeelink「EQi」は、Wildcat LakeことCore 3 304を搭載、加えて10GbE、Thunderbolt 4 2基、電源内蔵となかなか強力なミニPCだ。メモリ容量も3タイプあり、用途や予算から選択可能。

 ざっと使った感じ、ストレージが遅いのが気になるところ。とはいえ、そこそこ強力なWildcat Lake、高速な10GbEネットワーク、そして便利な電源内蔵というあたりで、この3点に新たな用途を見いだせるユーザーは少なくないだろう。NASやホームサーバーの代わりは十分に務まるため、検討してみてほしい。