山口真弘の電子書籍タッチアンドトライ

iPad mini並みの精細さで4万円前後、PHILIPS「T7250」は読書向き

~8.8型、2,560×1,600ドット、最大90Hz駆動のAndroidタブレット

PHILIPS「T7250」。実売価格は4万円前後

 PHILIPSの「T7250」は、8.8型のAndroid 16搭載タブレットだ。2,560×1,600ドットという高解像度、最大90Hzのリフレッシュレートをサポートしながら、3万円台後半~4万円台前半という控えめな実売価格が特徴である。

 8型クラスのタブレットといえば、iPad miniなどハイエンド寄りの製品と、Fire HD 8のようなローエンド製品にかつては二極分化されていたが、一昨年頃からゲーム利用を前提としたハイエンドモデルが相次いで登場。並行して、これまであまり選択肢がなかった中間層にあたるミドルクラスの製品もじわじわと増え始め、現在にいたっている。

 今回紹介する「T7250」は、ハイエンドでこそないもののエントリークラスとは一線を画した、ミドルクラスに相当する製品である。一通りの用途に実用レベルできちんと使える8型クラスのタブレットを探しているユーザーにとっては、おあつらえ向きのタブレットだ。

 今春の発売以来、品薄が続いている本製品について、筆者が購入した実機をもとに、電子書籍ユースを中心とした使い勝手をチェックする。

8.8型のミドルレンジ。LTEにも対応

本体外観。アスペクト比は16:10

 まずはざっと競合製品と比較してみよう。今回は同じ8型クラスの著名なモデルとして、ローエンドとハイエンドから1機種ずつ、具体的にはAmazonの「Fire HD 8」と「iPad mini」をピックアップして比較する。

【表】スペック比較
モデル名T7250(CTT7250GY/11)Fire HD 8(第12世代 - 2024年発売)メモリ4GBモデルiPad mini(A17 Pro)
メーカーPHILIPSAmazonApple
発売2026年5月2024年10月2024年10月
サイズ(幅×奥行き×高さ、最厚部)208.2×129.6×7.85mm201.9×137.3×9.6mm195.4×134.8×6.3mm
重量335g337g293g
OSAndroid 16Fire OS 8iPadOS 26
CPUMediaTek Helio G100オクタコアCPU(2×A76 2.2GHz + 6×A55)
Mali-G57 MP2 GPU
2.0GHz 6コアプロセッサA17 Proチップ
2つの高性能コアと4つの高効率コアを搭載した6コアCPU
5コアGPU
16コアNeural Engine
メモリ8GB4GB8GB
ストレージ128GB64GB128/256/512GB
画面サイズ/解像度8.8型/2,560×1,600ドット(343ppi)8型/1,280×800ドット(189ppi)8.3型/2,266×1,488ドット(326ppi)
通信方式Wi-Fi 5(802.11ac)、LTEWi-Fi 5(802.11ac)Wi-Fi 6E(802.11ax)
生体認証顔認証-指紋認証
バッテリ持続時間(メーカー公称値)6,300mAh13時間最大10時間(Wi-Fiでのインターネット利用、ビデオ再生、オーディオ再生)
コネクタUSB Type-CUSB Type-CUSB Type-C
カードスロット◯(最大1TB)◯(最大1TB)-
イヤフォンジャック-◯-
価格(2026/09現在)4万1,980円(128GB)1万7,980円9万9,800円(128GB)
11万6,800円(256GB)
15万1,800円(512GB)

 画面サイズは8.8型ということで、8.3型のiPad mini、さらに8型のFire HD 8よりもひとまわり大きい。ボディは直線主体のスッキリしたデザインで、厚みはFire HD 8よりは薄いものの、iPad miniほどスリムではない。また重量も公称335g、実測333gとやや重めだが、画面サイズがほかの2製品よりひとまわり大きいことを考えると妥当だろう。

もちろん横向きでも利用可能。前面500万画素カメラは短辺側(この写真では左側)にある

 メモリは8GB。仮想メモリが最大16GBまで利用できることから、Amazonの製品ページではその合計である24GBという数値を大きくアピールしているが、物理メモリはあくまで8GBなので注意したい。ストレージの容量は128GBで、最大1TBまでのメモリカードを増設できる。

 通信機能は、Wi-Fi 5(IEEE 802.11ac)止まりだが、4G LTEに対応しており、SIMカードを追加することでWi-Fiのない屋外でも利用できる。また電子書籍ユースとは関係ないが、動画まわりではWidevine L1にも対応しているほか、GPSも搭載しており、汎用性は非常に高い。電子書籍ユースのみにとどめておく必要はなさそうだ。

上面。電源ボタンと音量ボタンが並ぶ。なお反対側にはカードトレイがある
左側面。USB Type-Cポートとスピーカーが配置されている。スピーカーは反対側にもある
背面。この写真では見えにくいが中央にPHILIPSのロゴがある
リアカメラは1,300万画素の一眼。背面からはやや突起がある
重量は公称335g、実測333g
厚みの比較。左がいずれも本製品で、右上はFire HD 8、右下はiPad mini。Fireよりは薄いが、iPad miniよりは厚みがある
左が本製品、右がFire HD 8。画面サイズに差があることに加えて、ベゼル幅の違いが圧倒的だ
左が本製品、右がiPad mini。こちらも本製品の左右ベゼルのスリムさがよく分かる。ちなみに幅は本製品の方が5mmほど短い

Android 16タブレットとしては一般的。ベンチマークは文字通り「中」程度

 本製品は一般的なAndroid 16タブレットということで、セットアップの手順はごく標準的だ。アプリはGoogle製を中心とした、いい意味でシンプルな顔ぶれ。ちなみに電子書籍系ではGoogle Playブックスがプリインストールされている。

 ざっと使ってみて気がつくのは、Android 16タブレットとしては珍しく、デフォルトで3ボタンナビゲーションに設定されていること。1つ前の画面に戻る操作が分かりづらいことも多いので、ナビゲーションモードの設定からもう1つの「ジェスチャーナビゲーション」に変更しておいた方がよいだろう。

 またメモリは前述のように物理8GB+仮想16GBという構成になっている。特に変更する必要はないが、設定画面から任意の値に調整が可能なことだけは、把握しておくとよいだろう。ちなみに無効にしたところで体感速度が劇的に変わるかというと(少なくとも電子書籍ユースでは)そのようなことはない。また後述のベンチマークへの影響も軽微だ。

ホーム画面。デフォルトではウィジェットも少なくすっきりしている
アプリ一覧。ほぼGoogle製という顔ぶれで、シンプルさを好む人にはプラスだろう
ナビゲーションモードはデフォルトでは3ボタンが選択されているので、ジェスチャーに変更しておくとよいだろう
仮想メモリ(拡張メモリ)の有効/無効およびサイズは「メモリー拡張」で調整できる
リフレッシュレートは最大90Hzをサポートする

 ハード面も見ていこう。ボディは剛性も高く、格安タブレットのように軽くひねるだけでミシミシと音がするようなこともない。画面サイズは前述の2製品よりも大きいが、ベゼルがスリムなため横幅自体はそれほど広くなく、片手で握ることも十分可能だ。

 実機で気になったのが、カードスロットのトレイが固く、ピンを差し込んでもスムーズに取り出せないこと。わずかに浮いたところを引っ掛けるようにしつつ指でつまんで引っ張り出さないと、トレイを完全に引き抜けない。Amazonのレビューを見ると同じ症状が多数報告されているので、個体不良ではなく製品固有の問題と見られる。カードの出し入れを頻繁に行なう人は要注意だ。

 なお本製品は前述のようにWidevine L1に対応するほか、リフレッシュレートが最大90Hzということで動画再生にも向くが、実際に試した限り、内蔵のスピーカーの音が横に抜けてしまい、前方からはいまひとつ聞こえにくい傾向がある。動画や音楽の再生は内蔵スピーカーではなく、イヤフォンを使った方がよさそうだ。

見た目が薄く見えるようにするためか、側面の段差はかなり複雑
片手でも余裕で掴めるスリムさが強み
メモリカードトレイは非常に抜きづらい。頻繁な入れ替えには向かなさそうだ

 ベンチマークは、まさにミドルレンジといったスコア。iPad miniとは(OSの違いもあって)相当な差があるが、「Fire HD 8」の3~4倍はある。実際に操作していても動作はサクサクで、使っていて極端に遅くなったり、固まるような挙動も見られない。実売価格を考えると健闘しているといえる。

「Octane 2.0」でのベンチマーク結果。左から、本製品、Fire HD 8、iPad mini。iPad miniとの差があるのは当然として、ローエンドのFire HD 8とは3~4倍もの大差がついており、このクラスとしては十分

解像度の高さは電子書籍ユースではなにより魅力

 では電子書籍ユースについて見ていこう。サンプルには、コミックはうめ著「東京トイボクシーズ 1巻」、テキストは夏目漱石著「坊っちゃん」を使用している。

 解像度は2,560×1,600ドット(343ppi)と高め。電子書籍ユースでは300ppiが1つの目安となるが、それを余裕で超えている。実際の表示を見ても、Fire HD 8(189ppi)とはクオリティがケタ違いで、iPad mini(326ppi)並だ。アスペクト比が16:10なので、コミック表示時の余白はiPad miniよりやや広めだが、目くじらを立てるレベルではない。

 また最大90Hzというリフレッシュレートも、Fire HD 8のようなエントリークラスの製品とは一線を画しており、(今回は扱っていないが)縦スクロールタイプのコミックでは効果を発揮するだろう。

 唯一、iPad miniと比べると画面が若干暗い印象はあるが、これはiPad miniが500ニトと非常に明るめなためだろう(本製品は350ニト)。ディスプレイまわりのスペックは総じてハイエンド寄りで、表示性能を優先するのであればまたとない選択肢だ。

テキストを表示したところ。単行本と同等サイズで表示できる
Fire HD 8(右)との比較。1行あたりの文字数が多過ぎると感じるならばアプリ側で調整するとよい
iPad mini(右)との比較。アスペクト比16:10なのでiPad miniより幅がスリムだ
左から、本製品(343ppi)、Fire HD 8(189ppi)、iPad mini(326ppi)。Fireとの差は歴然、iPad miniとはほぼ同等といったところ
コミックを表示したところ。単ページ表示では単行本サイズで表示できる
Fire HD 8(下)との比較。本製品の方がひとまわり大きく表示できるのはアスペクト比の関係ではなく純粋に画面サイズが大きいためだろう
iPad mini(下)との比較。こちらは表示サイズはほぼ同等となる
左から、本製品(343ppi)、Fire HD 8(189ppi)、iPad mini(326ppi)。こちらもiPad miniとは同等、Fireとの違いが目立つ

 このほか、Androidということで、音量ボタンを使ってのページめくりにも対応する。使っていて若干気になるのは重量(335g)だが、これもiPad mini(293g)と比べればやや重いというだけで、Fire HD 8(337g)とであれば同等であり、そのぶん画面サイズがひとまわり大きいとなると、特に欠点とはいえないだろう。

欠点らしい欠点もなし。上昇気味の価格がやや気がかり

 以上のように本製品はハイエンドでこそないものの、普段使いに十分なパフォーマンスを備えており、格安タブレットにありがちな、動作にワンテンポ待たされたり、本体の再起動やアプリの起動に何分もかかるといったこともない。また解像度の高さは電子書籍向きであり、片手で扱いやすい読書用の端末を探している人にはおすすめできる。

 実のところ、フルHDという条件でよければ、以前レビューした「BPad T1」のように、本製品より安価な製品はあるのだが、それでも本製品が好評で品薄となっているのは、PHILIPSブランドへの信頼性もあると考えられる。本稿では電子書籍ユースで紹介しているが、オールマイティで欠点らしい欠点もなく、そうした総合的な性能も評価されていると見てよいだろう。

 ただし今春登場した時点では3万円台半ばだった実売価格は、その後じわじわと上昇し、現在は4万円台前半となっている。対するiPad miniはここ2年で約2万円以上も値上がりしているのでまだマシな部類だが、当初のお買い得感が徐々に薄れてきているのは多少気がかりだ。購入にあたっては、うまくタイミングを見極める必要はありそうである。