西川和久の不定期コラム

メモリ1枚構成でも大丈夫?Ryzen AI 9 HX 470搭載ミニPC「A9 MAX」を試す

 GEEKOMはRyzen AI 9 HX 470を搭載したミニPC「GEEKOM AI PC A9 MAX」を販売中だ。編集部から実機が送られてきたので試用レポートをお届けしたい。

Ryzen AI 9 HX 470を搭載したミニPC

 実はこのGEEKOM AI PC A9 MAXは本連載で2回目の登場だ。1回目はRyzen AI 9 HX 370搭載モデル。つまり以前はプロセッサ違いの従来モデルに相当する。

 今回ご紹介するAI PC A9 MAXは、CPUにRyzen AI 9 HX 370の後継/上位ともいえるRyzen AI 9 HX 470搭載ミニPCだ。ほかの仕様は上記と同じとなる。主な仕様は以下の通り。

GEEKOM「AI PC A9 MAX」の仕様
プロセッサRyzen AI 9 HX 470 (Zen 5 4コア/Zen 5c 8コア、12コア24スレッド、クロック最大 5.2GHz、キャッシュ L2: 12MB/L3: 24MB、TDP 28W、cTDP 15~54W、最大55TOPSのNPU内包)
メモリ32GB(32GB 1枚) / SO-DIMMスロット2基(最大128GB)
ストレージ2TB SSD/M.2 2280 NVMe PCIe 4.0、M.2 2230 NVMe PCIe 4.0 1基空き
OSWindows 11 Pro(25H2)
グラフィックスRadeon 890M Graphics(16コア)/HDMI 2.1 2基、USB Type-C 2基
ネットワーク2.5Gigabit Ethernet(2.5GbE) 2基、Wi-Fi 7、Bluetooth 5.4
インターフェイスUSB 3.2 Gen 2 5基、USB 2.0、USB4(DisplayPort Alt Mode)、USB4(PD給電対応)、3.5mm音声入出力、SDカードスロット
サイズ/重量135×132×46.9mm、692g(実測)
価格25万9,900円(32GB/2TB)

 プロセッサはRyzen AI 9 HX 470。Zen 5 4コア/Zen 5c 8コアで12コア24スレッド。クロックは最大5.2GHz。キャッシュはL2が12MB、L3が24MB。TDPは28W、cTDPは15~54W。最大55TOPSのNPUを内包する。

 Ryzen AI 9 HX 370のリフレッシュ版という位置付けだが、クロックの最大が+0.1GHz、その分総合TOPSも若干上がっているものの(最大86TOPS対最大80TOPS)、内包しているNPUは同じでほかも変わらず……と、ほとんど違いはない。

 メモリ32GBなら16GBモジュールが2枚かな?と思っていたところ32GB 1枚だったのにはちょっと驚き。SO-DIMMスロット自体は2つあるので、もう1枚32GBを入れれば64GBになり、無駄はないものの、標準状態ではシングルチャネル作動になるためベンチマークテストの結果は低めに出ている。なお、最大128GB搭載可能だ。

 ストレージは2TB SSDで、PCIe 4.0対応のM.2 2280 SSDが搭載済み。M.2 2230スロットは1基空いている。OSはWindows 11 Pro。25H2だったのでこの範囲でWindows Updateを適用し評価している。

 グラフィックスはプロセッサ内蔵Radeon 890M Graphics(16コア)。外部出力用にHDMI 2.1 2基とUSB4(DisplayPort Alt Mode対応)を装備。これにより、最大4画面同時出力が可能だ。

 ネットワークは2.5GbE 2基、Wi-Fi 7、Bluetooth 5.4。そのほかのインターフェイスは、USB 3.2 Gen 2 5基、USB 2.0、USB4 2基(2基ともDisplayPort Alt Mode対応、1基はUSB PD給電対応)、3.5mmジャック、SDカードスロット。USB4のうちの1つはPD給電可能なため、モニターが対応していれば給電と映像出力がType-Cケーブル1本で済みスッキリする。

 サイズ135×132×46.9mm、重量692g(実測)。直販価格は今回の構成で25万9,900円(32GB/2TB)。昨今の円安およびメモリの高騰により20万円を大きく超えてしまった。

 なお、冒頭に挙げた下位モデルは、Ryzen AI 9 HX 370を搭載、直販価格はメモリ32GB/SSD 1TBモデルが21万4,900円、メモリ32GB/SSD 2TBモデルが24万4,900円となっている。ただし、2025年10月では32GB/2TBが14万9,900円だったので、とんでもなく値上がりしている。加えて、当時は16GB 2枚構成で32GBだったが、現在は本機と同様に32GB 1枚な可能性が高い。

前面はUSB 3.2 Gen 2 4基、3.5mm音声入出力、電源ボタン。扉の写真からも分かるように左側面にSDカードスロットを備える
背面。電源入力、USB4(DisplayPort Alt Mode、USB PD給電対応)、HDMI、2.5GbE 2基、USB 3.2 Gen 2、USB 2.0、USB4、HDMI出力
裏面とiPhone 16 Pro。一般的なミニPCサイズ
付属品。ACアダプタ(サイズは約98×64×23mm、重量253g、出力120W)、HDMIケーブル、VESAマウンタ+ネジ一式
BIOS / Main。起動時[DEL]キーで表示
BIOS / Advanced
重量は実測で692g
いつものキーボード付きモバイルモニターへ接続。背面に2つあるUSB4、どちらからでもケーブル1本で接続可能

 筐体はメタルボディでそれなりにしっかりしている。大きさはiPhone 16 Proとの比較からも分かるようにミニPCとしては一般的。重量は実測で692g。USB4からの給電に対応しているため、行く先々で該当するACアダプタがあれば本機だけ持ち運べば良く、ある意味軽量級だ。

 前面はUSB 3.2 Gen 2 4基、3.5mm音声入出力、電源ボタン。前面にUSB 3.2 Gen 2 4基が4つあるのはちょっと珍しい。背面はUSB4(DisplayPort Alt Mode、USB PD給電対応)、HDMI、2.5GbE 2基、USB 3.2 Gen 2、USB 2.0、USB4、HDMI出力を配置。なおUSB PD給電は電源入力側のUSB4となる。また扉の写真からも分かるように、左側面にSDカードスロットがある。裏は4つのゴム足とVESAマウンタ用のネジ穴。

 付属品はACアダプタ(サイズは約98×64×23mm、重量253g、出力120W)、HDMIケーブル、VESAマウンタ+ネジ一式。BIOSは起動時[DEL]キーで表示する。

 内部へのアクセスは、4つのゴム足を剥がすと下にネジがあるため、これを外し、そのネジの周囲に穴があるので、細いドライバーなどを入れちょっと持ち上げると裏蓋が外れるようになっている。

 開けると、さらに中にある金属パネルの隅に4つネジがあるので、これを外す。これでようやく内部にアクセスできる。ただし、Wi-Fiのアンテナ線2本が底面カバーにつながっており短いため、勢いで外すとすぐにコネクタ側が外れてしまうので要注意だ。

 M.2 2基のうち1つは装着済み。メモリは32GB 1枚(Crucial製)。また、このM.2 2280 SSDの下(ネジ側)にWi-Fiモジュールがあり、アンテナ線のコネクタが外れた場合、結構面倒なことになる。実際筆者は外してしまい戻すのに苦労した(笑)。

4つのゴム足を剥がすと下にネジがありこれを外し、そのネジの周囲に穴があるので、細いドライバーなどを入れちょっと持ち上げると裏蓋が外れる
さらに中にある金属パネルの隅に4つネジがあるので、これを外すと内部にアクセスできる。M.2スロット2基のうち1つは装着済み。メモリは32GB 1枚(Crucial製)

 ノイズは耳を筐体に近づけてもほとんど聞こえず。発熱はベンチマークテストなど負荷をかけると、背面側のスリットから暖かい風(熱いまでは行かない)が結構出る。放熱処理がうまくできているのだと思われる。

32GBが1枚なので、ベンチマークテストで本来の実力が出せず

 初期起動時、追加されたアプリケーションなどはなく、Windows 11 Pro(25H2)のまま。実は32GBメモリ1枚と知ったのは、内部の写真を撮った時だったので、初期セットアップからしばらくは特に違和感もなく操作していた。シングルとは言え、構成が構成なだけにサクサク動く。

 2TB SSDは「KINGSTON OM8TAP42048K1-A00」。仕様によると、最大リード6,100MB/s、ライト5,400MB/s。CrystalDiskMarkの値もそのまま出ている。C:ドライブのみの1パーティションで約1.9TBが割り当てられ、空きは1.76TB。

 2.5GbEはRealtek Gaming 2.5GbE Family Controllerが2基。Wi-FiはMediaTek Wi-Fi7 MT7925、BluetoothもMediaTek製だった。

初期起動時のデスクトップ。Windows 11 Pro(25H2)標準
デバイスマネージャー/主要なデバイス。2TB SSDは「KINGSTON OM8TAP42048K1-A00」。2.5GbEはRealtek Gaming 2.5GbE Family Controller 2基、Wi-FiはMediaTek Wi-Fi7 MT7925、BluetoothもMediaTek製
ストレージのパーティション。C:ドライブのみの1パーティションで約1.9TBが割り当てられている
AMD Software: Adrenalin Edition

 ベンチマークテストは、PCMark 10、3DMark、Cinebench 2026。ただしメモリが1枚でシングルチャネル動作になるためその影響が出ている。3DMarkのスコアだけRyzen AI 9 HX 370/16GB 2枚のスコアと併記したので参考にしてほしい(PCMark 10とCinebenchはベンチマークのバージョンが変わったため比較できない)。

 ご覧のように、3DMarkのスコアは結構低く出てしまった。去年(2025年)なら即32GBを追加して……と書いていただろうが、現在メモリはとんでもない価格になっているため、それが難しいのが残念なところ。

PCMark 10 v2.3.2912
PCMark 10 Score8,807
Essentials10,775
App Start-up Score10,347
Video Conferencing Score9,056
Web Browsing Score13,351
Productivity15,633
Spreadsheets Score18,416
Writing Score13,272
Digital Content Creation11,005
Photo Editing Score19,300
Rendering and Visualization Score9,789
Video Editting Score7,055
3DMarkの結果
Cinebench 2026
Multi Threads4,432
Single Threads482
CrystalDiskMark 8.0.5
[Read]
  SEQ    1MiB (Q=  8, T= 1):  6155.000 MB/s [   5869.9 IOPS] <  1361.82 us>
  SEQ    1MiB (Q=  1, T= 1):  4542.406 MB/s [   4332.0 IOPS] <   230.69 us>
  RND    4KiB (Q= 32, T= 1):   549.233 MB/s [ 134090.1 IOPS] <   231.01 us>
  RND    4KiB (Q=  1, T= 1):    63.214 MB/s [  15433.1 IOPS] <    64.70 us>

[Write]
  SEQ    1MiB (Q=  8, T= 1):  5489.834 MB/s [   5235.5 IOPS] <  1525.18 us>
  SEQ    1MiB (Q=  1, T= 1):  5140.531 MB/s [   4902.4 IOPS] <   203.69 us>
  RND    4KiB (Q= 32, T= 1):   489.603 MB/s [ 119532.0 IOPS] <   259.06 us>
  RND    4KiB (Q=  1, T= 1):   169.152 MB/s [  41296.9 IOPS] <    24.13 us>

 以上のようにGEEKOM「AI PC A9 MAX」は、Ryzen AI 9 HX 470/32GB/2TBを搭載したミニPCだ。スペックだけなら十分なのだが、メモリは32GBが1枚でシングルチャネル動作になってしまうのが痛いところ。また価格も25万円を超えてしまった。

 Ryzen AI 9 HX 370搭載機だと若干安価になるものの、それでも去年から比較するとかなりの値上がり。この辺りをどう思うかで、本機の評価が分かれるのではないだろうか。