西川和久の不定期コラム
この質感に定番のRyzen AI 9 HX 370ときたら文句ナシ。高性能ミニPC「GEEKOM AI PC A9 MAX」
2025年10月21日 06:02
GEEKOMは、CPUにRyzen AI 9 HX 370、メモリに32GB、ストレージに2TB SSDを搭載した高性能なミニPC「AI PC A9 MAX」(以下A9 MAX)を販売中だ。編集部から実機が送られてきたので、試用レポートをお届けしたい。
Ryzen AI 9 HX 370/32GB/2TB/USB4 2基のミニPC!
ここのところRyzen AI Max+ 395搭載ミニPCが続いたので、久々にRyzen AI 9 HX 370を搭載したミニPCを紹介しよう。
本連載ではRyzen AI 9 HX 370を搭載したミニPCはかなりの数掲載したが、本機はその中でもオーソドックスな作りと言えるだろうか。唯一、個人的にOCuLinkがない点は気になるものの、それ以外のポートは多め、どんな用途にも合い、使いやすそうな製品に仕上がっている。主な仕様は以下の通り。
| GEEKOM「AI PC A9 MAX」の仕様 | |
|---|---|
| プロセッサ | Ryzen AI 9 HX 370(Zen 5 4コア、Zen 5c 8コア、12コア24スレッド、クロック最大5.1GHz、キャッシュ12MB/24MB、TDP 28W/cTDP 15~54W、NPU最大50TOPS) |
| メモリ | 32GB(DDR5-5600、SO-DIMM 2基、最大128GB) |
| ストレージ | M.2 2280 SSD 2TB(NVMe対応)。M.2 2230 1基空き |
| OS | Windows 11 Pro(25H2) |
| グラフィックス | Radeon 890M(16コア)/HDMI 2.1 2基、USB4 2基 |
| ネットワーク | 2.5GbE 2基、Wi-Fi 7、Bluetooth 5.4 |
| インターフェイス | USB4 2基、USB 3.2 Gen 2 5基、USB 2.0、3.5mm音声入出力、SDカードスロット |
| サイズ/重量 | 135×132×46.9mm、707g(実測) |
| 価格 | 14万9,900円(公式通販ではチェックアウト時にクーポンコードpcwA9MAXを入力すると6%引きの14万906円) |
【11月27日訂正】記事初出時、M.2 2280スロットが2基としておりましたが、正しくは2280+2230でした。お詫びして訂正します。
プロセッサはお馴染みRyzen AI 9 HX 370。Zen 5 4コア、Zen 5c 8コアで12コア24スレッド。クロック最大5.1GHz。キャッシュは12MB/24MB、TDP 28W/cTDP 15~54W。最大50TOPSのNPUを内包する。AI系のプロセッサとしては完全に定番になった感じがする。
メモリは16GB DDR5-5600/SO-DIMM 2基。最大128GBまで対応する。以前CPUのみでLLMを動かす記事を書いたが、少し遅めとは言え、96GBもしくは128GBあるとgpt-oss-120bが作動可能になる。
ストレージはM.2 2280 SSD 2TB。もう1つ、M.2 2230スロットが空いている。OSは、Windows 11 Pro。25H2だったので、この範囲でWindows Updateを適用し評価した。本連載として25H2は初登場となる。
グラフィックスはプロセッサ内蔵、Radeon 890M(16コア)。外部出力用にHDMI 2.1 2基、USB4 2基を装備。DisplayPortがないものの、これだけあれば特に困らないだろう。USB4の1つはPD給電に対応しているため、モニター側が対応していればType-Cケーブル1本で映像と電源がOKとなる。
ネットワークは、2.5GbE 2基、Wi-Fi 7、Bluetooth 5.4。そのほかのインターフェイスは、USB4 2基、USB 3.2 Gen 2 5基、 USB 2.0、3.5mmジャック、SDカードスロット。SDカードスロットがあるのはありがたい。
サイズ135×132×46.9mm、重量707g(実測)。価格は今回の構成で執筆時で14万9,900円。公式サイトでは11月30日まで、チェックアウト時に「pcwA9MAX」を入力すると6%引きの14万906円となる。ほかのモデルなどはなく、32GB/2TBのみとなる。ミニPCとは言え、プロセッサや構成はハイエンド相当なので、この程度の価格は仕方ないところ。
裏以外はフルメタルの筐体でなかなかかっこいい。重量は実測で707g。大きさはiPhone 16 Proより少し小さめ。ハイエンドなミニPCとしては一般的なサイズだろうか。付属のACアダプタは260gだが、USB PD入力があるため、設置場所に120Wのアダプタがあれば、本体だけで持ち歩き可能だ。
前面はUSB 3.2 Gen 2 4基、3.5mmジャック、電源ボタン。背面に電源入力、HDMI出力 2基、2.5GbE 2基、USB 3.2 Gen 2、USB 2.0、USB4 2基を配置。前面の左端のUSB 3.2 Gen 2は常時通電で、スマホなどの充電用に便利だ。
扉の写真から分かるように左側面にSDカードスロットがある。裏は四隅にゴム足とVESAマウンタ用のネジ穴。
USB4があるため、いつものキーボード付きモバイルモニターへはType-Cケーブル1本で接続可能。またモニター側が対応していればUSB PD入力により給電もできる。
付属品は、ACアダプタ(サイズ約98×66×22mm、重量260g、出力120W)、HDMIケーブル、VESAマウンタ。
内部へのアクセスは裏のゴム足を外すとネジがあるので外す。さらに内部には金属プレートがあり、これも4隅のネジを外す。これでM.2 2280スロットとメモリスロットにアクセスできる。M.2 2230は1つ空きの状態で増設可能だ。
ノイズは耳を近づければ聞こえるレベルであり、通常の設置場所だと特に気にならないだろう。発熱はベンチマークテストなど負荷をかけると背面のスリットから少し熱い空気が出る。
全体的に可もなく不可もなく、無難にまとまっており、何にでも使えそうなミニPCと言えるだろう。
パフォーマンスは一般的なRyzen AI 9 HX 370搭載ミニPCと同じ
初期起動時、(スキップもできるが)Windows Updateを当てるためデスクトップ画面が見えるまで時間単位でかかる。壁紙などの変更はなく、Windows 11 Pro 25H2のまま。構成が構成なだけにストレスなく使用可能だ。
ストレージはM.2 2280 SSD 2TBの「Lexar SSD NQ7A1 2TB」。仕様によると、シーケンシャルリード6,000MB/s、シーケンシャルライト5,000MB/s。CrystalDiskMarkのスコアもそのまま(以上)出ている。C:ドライブのみの1パーティションで1.9TB割り当てられ空き1.79TB。
2.5GbEはRealtek Gaming 2.5GbE Family Controller 2基、Wi-FiはMedia Tek Wi-Fi 7 MT7925、BluetoothもMediaTek製だ。
ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、Cinebench R23。過去にご紹介したRyzen AI 9 HX 370搭載ミニPCとざっくり比較したが、多少の凸凹はあるものの(当たり前だが)概ね同じだ。ただストレージが少し速めなので、関連する部分が若干上がっている感じだろうか。
| PCMark 10 v2.2.2737 | |
|---|---|
| PCMark 10 Score | 7,824 |
| Essentials | 11,296 |
| App Start-up Score | 15,369 |
| Video Conferencing Score | 8,871 |
| Web Browsing Score | 10,572 |
| Productivity | 9,880 |
| Spreadsheets Score | 12,383 |
| Writing Score | 7,883 |
| Digital Content Creation | 11,647 |
| Photo Editing Score | 18,219 |
| Rendering and Visualization Score | 11,685 |
| Video Editting Score | 7,423 |
| 3DMark v2.32.8454 | |
|---|---|
| Time Spy | 3,862 |
| Fire Strike Ultra | 2,711 |
| Fire Strike Extreme | 4,732 |
| Fire Strike | 8,743 |
| Sky Diver | 30,823 |
| Cloud Gate | 41,168 |
| Ice Storm Extreme | 168,045 |
| Ice Storm | 195,818 |
| Cinebench R23 | ||
|---|---|---|
| CPU | 21,354 | (3位) |
| CPU(Single Core) | 2,034(1位) | |
[Read]
SEQ 1MiB (Q= 8, T= 1): 6228.134 MB/s [ 5939.6 IOPS] < 1345.19 us>
SEQ 1MiB (Q= 1, T= 1): 4551.018 MB/s [ 4340.2 IOPS] < 230.27 us>
RND 4KiB (Q= 32, T= 1): 458.654 MB/s [ 111976.1 IOPS] < 284.17 us>
RND 4KiB (Q= 1, T= 1): 49.960 MB/s [ 12197.3 IOPS] < 81.88 us>
[Write]
SEQ 1MiB (Q= 8, T= 1): 5515.044 MB/s [ 5259.6 IOPS] < 1516.09 us>
SEQ 1MiB (Q= 1, T= 1): 4912.177 MB/s [ 4684.6 IOPS] < 213.30 us>
RND 4KiB (Q= 32, T= 1): 256.289 MB/s [ 62570.6 IOPS] < 504.15 us>
RND 4KiB (Q= 1, T= 1): 128.146 MB/s [ 31285.6 IOPS] < 31.88 us>
参考までにメモリ32GBだとRAM 16GB + VRAM16GBにできるためgpt-oss-20bが作動可能。LM StudioでVulkanを使ったところ17.54 tok/s(ただしコンテキスト長4096)。十分実用的な速度を得られた。
冒頭にも書いたが、メモリを増設し96GBもしくは128GBにすれば、gpt-oss-20bよりは遅くなるものの、gpt-oss-120bも作動可能なはずだ。
以上のようにGEEKOM「AI PC A9 MAX」は、Ryzen AI 9 HX 370/32GB/2TBを搭載したミニPCだ。OCuLinkはないものの、インターフェイス多め、USB4の1つがUSB PD入力対応と、モニター側が対応していればスッキリ設置することも可能。
Ryzen AI 9 HX 370搭載ミニPCでうまくまとまっている1台を探しているユーザーにお勧めしたい。



























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