西川和久の不定期コラム

NUCサイズにCore i7-12650H搭載!MINISFORUM「NAB6」

製品写真

 MINISFORUMは3月27日、同社ならではのコンパクトな筐体へCore i7-12650Hを搭載したミニPCを発表、現在販売中だ。編集部から実機が送れれて来たので試用レポートをお届けしたい。

従来のコンパクトサイズにCore i7-12650H搭載!

 少し前に同社のコンパクトなCore i9-12900H搭載モデルをご紹介したが、コンパクトとは言え、67×180×208mm(幅×奥行き×高さ/ACアダプタ含まず)と結構大きく、これまでの同社とは違ったイメージのPCだった。

 対して今回ご紹介するMINISFORUM「NAB6」は、従来のNUC的なサイズ感を保ちつつ、第12世代のCore i7-12650Hを搭載したモデルとなる。主な仕様は以下の通り。

MINISFORUM「NAB6」の仕様
プロセッサCore i7-12650H(6P+4E/10コア/16スレッド/クロック最大4.7GHz/キャッシュ 24MB/TDP 35〜115W)
メモリ16GB(DDR4-3200 8GB×2)/SO-DIMM×2/最大64GB
ストレージM.2 2280 PCIe4.0 SSD 512GB/2.5インチSATA HDD/SSD(空き)
OSWindows 11 Pro(21H2)
グラフィックスIntel Core UHD Graphics/HDMI×2(4K@60Hz)、Type-C(4K@60Hz)×2
ネットワーク2.5Gigabit Ethernet×2、Wi-Fi 6E、Bluetooth
インターフェイスUSB Type-C 3.0(データのみ、前側)、USB 3.2 Type-C(USB PD出力、Alt DP、データ)、USB Type-C(DP Altのみ)、USB 3.1、音声入出力
サイズ127×127.5×54.7mm(幅×奥行き×高さ/ACアダプタ含まず)
価格6万7,980円(ベアボーン5万5,580円)

 プロセッサは第12世代Alder LakeのCore i7-12650H。6P+4Eの10コアで16スレッド、クロックは最大4.7GHz。キャッシュは24MB、TDPは35〜115W。末尾にHが付くのでハイパフォーマンスなSKUとなるが、その分、モバイル用としてはTDPが高めになっている。

 グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel Core UHD Graphics。外部出力用にHDMI×2(4K@60Hz)、Type-C(4K@60Hz)×2を装備し、4K×4同時出力が可能だ。

 メモリはDDR4-3200 8GB×2の計16GB。SO-DIMM×2で空き0、最大64GBにまで対応する。たださほどパフォーマンスは変わらないとは言え、頑なにDDR4なのは何か理由があるのだろうか。iGPUの場合、DDR5の方が有利なので、そろそろ変わって欲しいところ。

 ストレージはM.2 2280 PCIe4.0 SSDの512GB。カスタマイズでベアボーン(OSなし)や1TBも用意されている。また内部に2.5インチSATA HDD/SSDを装着可能だ。OSはWindows 11 Pro(21H2)。この範囲でWindows Updateを適応し評価した。

 ネットワークは2.5Gigabit Ethernet×2、Wi-Fi 6E、Bluetooth。同社は2.5Gigabit Ethernetでかつ2ポートあるのが特徴的。そのほかのインターフェイスは、USB Type-C 3.0(データのみ、前側)、USB 3.2 Type-C(USB PD出力、Alt DP、データ)、USB Type-C(DP Altのみ)、USB 3.1、音声入出力。これだけUSBがあるのにUSB 4やThunderboltが1つもなく残念な部分だ。

 サイズは127×127.5×54.7mm(幅×奥行き×高さ/ACアダプタ含まず)。重量は実測で610gとコンパクト。

 価格は執筆時、5周年キャンペーン中でベアボーン、16GB/512GB、32GB/512GB、32GB/1TBの順に、6万8,980円→5万5,580円、8万9,980円→6万7,980円、9万7,980円→7万8,380円、10万5,980円→8万980円と大幅に安くなっている。買うならこのタイミングだろう。

前面。USB Type-C、USB 3.1×2、3.5mmジャック、電源ボタン
背面はUSB 3.1×2、HDMI、USB Type-C(DP Altのみ)、2.5GbE×2、HDMI、USB 3.1 Type-C(DP/USB PD出力対応)、電源入力。下にロックポート
表面。手前の印の部分を押すと簡単にトップカバーが外れ内部にアクセスできる
裏面とiPhone 13 Pro。iPhone 13 Proとの比較からも分かるようにかなりコンパクト
内部とパネル。トップカバーの裏には2.5インチSSD/HDDが1基マウント可能
付属品。ACアダプタ(サイズ約138×60×35mm、重量456g、出力19V/6.3A/119.7W)、HDMIケーブル、VASAマウンタ、SATAケーブル、各種ネジ
BIOS / Main。Boot時[DEL]キーで表示
BIOS / Advanced / PC Health Status。アイドル時でCPU温度が42℃と少し高めだろうか
重量は実測で610g
いつものキーボード付きモバイルモニターへ接続。背面の電源コネクタに近いType-CのみPD出力、Alt DPとデータに対応しており、Type-C/Type-Cケーブル1本で接続できる

 筐体は同社によくある縦+スタンド、横(平置)タイプの後者だ。iPhone 13 Proとの比較写真からも分かるようにかなりコンパクト。白とシルバーがベースのデザインになっている。重量は実測で610g。本体+ACアダプタで約1kg。カバンに入れ持ち運びも容易だ。行く先々にモニター/キーボード/マウスがあるなら十分いける使い方だろう。

 前面はUSB 3.1 Type-C×1、USB 3.1×2、3.5mmジャック、電源ボタン。このUSB 3.1 Type-Cはデータのみ。背面はUSB 3.1×2、HDMI、USB Type-C、2.5GbE×2、HDMI、USB 3.1 Type-C、電源入力。下にロックポート。USB Type-A側のType-CはDP Altモードのみ。電源コネクタ側のType-CはPD出力、DP Altと、少し変則的。PD出力に関しては5V/3Aとのことだ。

 付属品はACアダプタ(サイズ約138×60×35mm、重量456g、出力19V/6.3A/119.7W)、HDMIケーブル、VASAマウンタ、SATAケーブル、各種ネジとACケーブル。これまでNUCタイプはいろいろ触ってきたものの、このACアダプタは119.7Wということもあり中でも大きい方だろうか。

 内部へのアクセスはかなり簡単だ。トップパネルの手前を押せば外れるので、即M.2 SSDやメモリが見え、交換も容易。またトップパネルの裏に2.5インチ(7mm以下) SSD/HDDを1基搭載可能(付属の専用SATAケーブルで接続)。BIOSはBoot時、[DEL]キーで表示できる。

 その内部であるが、SO-DIMMスロット2つ、M.2 SSDはヒートシンク付き(ただしベアボーンには付属しない)。そしてM.2の横辺りにある白いコネクタがSATAコネクタとなる。

内部(アップ)。右にSO-DIMM×2、左にヒートシンク付きのM.2 2280 SSD、手前にWi-Fi/Bluetooth、その上にある白いコネクタがSATA用

 ノイズは耳を近付ければ聞こえる程度なので、作業する机の上に置いても気にならないだろう。ただし発熱が結構あり、扉の写真、右側にあるスリットから、高負荷時それなりの熱風が出る。従って本機の右側にはあまり物を置かない方が無難だ。いつものキーボード付きモバイルモニターへ接続している写真がまさにこれなのだが、モバイルモニターの左側が徐々に暖かくなる。

 参考までに、BIOS / Advanced / PC Health StatusのSystem temperature1だと42℃(2だと43℃)。筆者のメインマシンはi9-12900で、DeskMeetという小さい筐体だがアイドル時、32℃。本機の方が10℃ほど高い。Hタイプをこの筐体に収めるのはギリギリ的な感じなのかも知れない。

全体的にハイパフォーマンスだがGPUは遅め

 初期起動時、デスクトップや壁紙などはWindows標準。i7-12650H/16GB/SSDなので、Bootやアプリの起動、処理などはストレス無くサクサク動く。iGPUなのでグラフィックに負荷がかかるアプリは向かないが、Office系など通常用途だと十分なパフォーマンスだ。

 ストレージは、M.2 2280 PCIe4.0 SSDの「KINGSTON OM8PGP4512Q-A0」。ネット上で仕様などは見当たらなかったが、CrystalDiskMarkでシーケンシャルリード約4,800MB/s、シーケンシャルライト約3,500MB/sとそれなりに速く、少し前にご紹介したRyzen 7搭載MINISFORUM「UM773 Lite」と全く同じものだ。C:のみの1パーティションで約474.92GBが割り当てられている。

 Wi-FiとBluetoothはRZ608、2.5GbEはIntel Ethernet Controller I225-Vが2つ。同社の場合、この辺りの構成はほかモデルも含め多くは同じになっている。

初期起動時のデスクトップ。Windows 11標準
デバイスマネージャ/主要なデバイス。ストレージは、M.2 2280 PCIe4.0 SSDの「KINGSTON OM8PGP4512Q-A0」、Wi-FiとBluetoothはRZ608、2.5GbEはIntel Ethernet Controller I225-Vが2つ
ストレージのパーティション。C:のみの1パーティションで約474.92GBが割り当てられている
Intel ARC Control

 ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、Cinebench R23、CrystalDiskMarkを使用した。数字の横に*印があるのが、Ryzen 7搭載MINISFORUM「UM773 Lite」のスコアより勝っているものだ。SSDも同じなのでそれなりに正確な比較となるだろうか(ただしメモリはDDR5)。

 全体的に悪くないスコアなのだが、「UM773 Lite」と比較してグラフィックスが関連する項目、特に3DMarkは約半分。これはiGPU性能の違いなので仕方ないところ。筆者個人的な感想だがモバイル用のIntel第12世代とRyzen 7/9と比較した時、後者の方が全体的なバランスは良いように思う。

【表】ベンチマーク結果
PCMark 10 v2.1.2600
PCMark 10 Score5,835
Essentials11,122*
App Start-up Score16,242*
Video Conferencing Score8,220
Web Browsing Score10,305*
Productivity7,506
Spreadsheets Score7,344
Writing Score7,673*
Digital Content Creation6,460
Photo Editing Score9,293
Rendering and Visualization Score4,416
Video Editting Score6,571*
PCMark 8 v2.8.704
Home Accelarated 3.05,019
Creative Accelarated 3.05,330*
Work Accelarated 2.03,378
Storage5,028
3DMark v2.26.8098
Time Spy1,414
Fire Strike Ultra955
Fire Strike Extreme1,885
Fire Strike3,993
Sky Diver13,137
Cloud Gate22,214
Ice Storm Extreme71,287
Ice Storm87,962
Cinebench R23
CPU12,472(4位)
CPU(Single Core)1,808(1位)*
CrystalDiskMark 6.0.0
Q32T1 シーケンシャルリード4809.442 MB/s
Q32T1 シーケンシャルライト3551.373 MB/s
4K Q8T8 ランダムリード1338.128 MB/s
4K Q8T8 ランダムライト2541.640 MB/s
4K Q32T1 ランダムリード857.667 MB/s
4K Q32T1 ランダムライト681.320 MB/s
4K Q1T1 ランダムリード76.842 MB/s
4K Q1T1 ランダムライト378.901 MB/s

 以上のようにMINISFORUM「NAB6」は、コンパクトな筐体にCore i7-12650Hを搭載した同社ならではのミニPCだ。ただしメモリがDDR4、USB 4なしなど、今時として気になる部分もあるにはあるが、この辺りは一般的な用途であればあまり関係無い部分だったりする。

 ベアボーン、16GB/512GB、32GB/512GB、32GB/1TBと選べる上、今なら5周年記念でかなり安価。この記事を見て「お!」っと思った方は是非ゲットしてほしい。