西川和久の不定期コラム

LTE/通話もできる10.4型Android 12搭載タブレット!「Teclast T40 Pro」

T40 Pro

 少し前にTeclastの11型タブレット「T50」をご紹介したが、その下位モデルに相当する「T40 Pro」が編集部から送られてきたので試用レポートをお届けしたい。

Android 12を搭載し、LTE/通話にも対応する10.4型!

 去年(2022年)10月に同社の11型で通話にも対応したちょっと珍しいタブレット、「Teclast T50」をご紹介した。

 今回はこの下位モデルに相当するTeclast「T40 Pro」の登場となる。大きな違いはパネルサイズ10.4型、SoCがUnisoc T616(T50はT618)。メモリやストレージなどは同じだ。もちろんLTE/通話にも対応。つまりT50をほぼそのままスケールダウンした形となる。主な仕様は以下の通り。

Teclast「T40 Pro」の仕様
SoCUnisoc T616(x2 Cortex-A75 + 6x Cortex-A55/8コア)、Mali-G57を内包
メモリ8GB/LPDDR4
ストレージ128GB
OSAndroid 12
ディスプレイ10.4型IPS式(2,000×1,200ドット)。最大輝度350cd/平方m
ネットワーク Wi-Fi/802.11ac、Bluetooth 5.0、Dual 4G/VoLTE対応(Nano SIM×2)
対応バンドTD-LTE: B38/B39/B40/B41
FDD-LTE: B1/B3/B5/B7/B8/B20
WCDMA: B1/B2/B5/B8
TD-SCDMA: B34/B39
GSM: B2/B3/B5/B8
インターフェイスUSB Type-C、microSDカードスロット(最大1TB)、スピーカー×4、マイクロフォン
センサー光センサー、接近センサー
GPSBDS、GPS、GLONASS、GALILEO、A-GPS
カメラ前面:800万画素/背面:1,300万画素(AF)
バッテリ7,000mAh/18W USB PD急速充電対応
サイズ/重量約248×167×9.2mm(幅×奥行き×高さ)/480g
付属品USB Type-C/Type-Cケーブル、ACアダプタ(20W)
価格3万3,900円

 SoCはUnisoc T616。Cortex-A75×2 + Cortex-A55×6の8コアで、GPUにMali-G57を内包する。T50搭載のT618と比較すると、コアの構成は同じだが、クロックが1.95GHz+1.82GHz vs 2.0GHz+2.0GHzと若干低く、GPUはMali-G57/750MHz vs Mali-G52/850MHz。全体的にT616の方が性能は低い。また同社の製品ページなどはクロックが2.0GHzとなっているが、ネットでSoCの仕様を調べた限り間違いだと思われる(おそらくT618と混じっている)。

 メモリは8GB/LPDDR4、ストレージは128GB。OSはAndroid 12を採用。このクラスとしては十分な内容だ。

 ディスプレイは、10.4型IPS式(2,000×1,200ドット)。少し前にご紹介したN-one「NPad Plus」同様、アスペクト比16:10には50ドット足らないほぼ16:10となる。最大輝度350cd/平方m。

 ネットワークはWi-Fi/802.11ac、Bluetooth 5.0、そしてDual 4G(Nano SIM×2)/VoLTE対応。つまり通話も可能なタブレットだ。サイズ的に片手で持って通話は厳しいが、卓上でスピーカーフォン的な使い方ならありだろう。対応バンドは表を参照していただきたい。ただ主なバンド全てに対応しているわけではないのでキャリアによっては要注意となる。

 インターフェイスはUSB Type-C、microSDカードスロット(最大1TB)、スピーカー×4、マイクロフォン。なおUSB Type-Cは確認したところ映像出力には未対応だった。カメラは前面800万画素、背面1,300万画素(AF)。

 センサーは光センサー、接近センサー。GPSはBDS、GPS、GLONASS、GALILEO、A-GPSに対応する。

 18W USB PD急速充電対応の7,000mAhバッテリを搭載し、サイズ約248×167×9.2mm、重量480g。価格は33,900円(Amazon調べ)。構成そしてLTE対応を考えるとコストパフォーマンスは高いと言えよう。

 またオプションでiPadのSmart Folioに似ている専用ケースも用意されている。1,900円と安価なので、必要な人は合わせて購入するといいだろう。

前面。パネル中央上に前面カメラ。フチはそれなりにある
右上に背面カメラ
左側面/下側面。左側面に電源ボタン、音量±ボタン、Type-C。下側面左右にスピーカー
右側面/上側面。上側面にmicroSD/Nano SIMカードスロット、左右にスピーカー。右側面には何もない
Nano SIM/microSDカードスロット。奥がSIM 1、手前がSIM 2/microSDカード
付属品。ACアダプタ(20W)、Type-C/Type-Cケーブル、イジェクトピン
重量は実測で503g
Lenovo Tab P11 Pro(下)との比較。本機は10.4型なのでその分小さい

 筐体は深めのグレー。メタルボディなのでチープさはない。重量は実測で503g。片手で長時間はつらいが、両手で持つなら大丈夫な重さだ。

 前面はパネル中央上に前面カメラ。フチはそれなりにあるが、この程度あった方が指で画面を覆うこともないので扱いやすい。背面は右上に背面カメラ。左側面に電源ボタン、音量±ボタン、USB Type-C。下側面左右にスピーカー。上側面にmicroSD/Nano SIMカードスロット、左右にスピーカーを配置。右側面には何もない。付属品はACアダプタ(20W)、USB Type-C/Type-Cケーブル、イジェクトピン。

 10.4型のディスプレイは、価格を考えると、明るさ、コントラスト、視野角、発色も良好。最小でも明るすぎる時は、設定→ユーザー補助で“更に輝度を下げる”をオン(デフォルトオフ)にすればよい。

 また掲載した写真で画面の色が冴えないのは壁紙の関係で、もっと派手な写真や動画だとそれなりに綺麗に映る。ただ標準で貼ってあるフィルムに細かい縦縞(横位置時)があり、指紋も結構目立つ。筆者なら剥がして使うが、この点はお好みでと言ったところか。

壁紙を派手系へ変更。色は出ている。ただフィルムの縦縞が結構あるのが分かる

 設定→ディスプレイにColor & contrastの項目があり、色温度、コントラストなどを調整できる。なおDRM/WideVineは、DRM infoで確認したところL1だった。従ってNetFlixなどを高画質で観ることが可能だ。

DRM infoでセキュリティレベルL1

 カメラは前面/背面ともに少し試したが、これはあるだけ無駄なレベル。背面なしでコストを浮かしその分、前面の画質を少しでも上げて欲しいところ。

 発熱は試用した範囲では(季節柄もあるだろうが)全く問題ないレベルだ。暖かくもならなかった。サウンドは4スピーカーなので縦位置でステレオ……と思ったが未対応。横位置時のみステレオとなり残念(左右は前回の様に逆ではなく正常)。

 パワーはそこそこあり、抜けもよく、音声もよく聞こえ、音楽や映像は十分楽しめる。ただ3.5mmジャックがないのは痛く、その関係で後述するFMラジオも使えない。少し面白かったのは、設定→音で、SIM 1とSIM 2で着信音が変えられること。いずれにしてもこのクラスでこのサウンドならOKだ。

Android 12搭載で顔認証対応

 初期起動時、ホーム画面は1画面。ドックに電話、メッセージ、YouTube、Chromeを配置。ストレージは128GB中9.6GBが使用中だ。IMEはGboard。タブレット情報はNano SIMがあるのでSIM関連が上部に表示される。

 上から下へスワイプでクイックアクセス、下から上へスワイプでアプリ一覧、壁紙長押しで壁紙変更など、操作は素のAndroidそのもので特に追加されている機能や操作などはない。

 標準ではナビゲーションバー式だが、設定→システム→ジェスチャーでジャスチャー式への切替もできる。

ホーム画面
アプリ一覧
クイックアクセス/通知エリア(1/2)
クイックアクセス/通知エリア(2/2)
設定 / タブレット情報
設定 / ストレージ

 インストール済みのアプリは、「アシスタント」、「カメラ」、「カレンダー」、「ドライブ」、「フォト」、「マップ」、「メッセージ」、「ワイヤレスアップデート」、「音声レコーダー」、「時計」、「設定」、「電卓」、「電話」、「連絡帳」、「Chrome」、「Files」、「FMラジオ」、「Gmail」、「Google」、「Google TV」、「Keepメモ」、「Meet」、「Playストア」、「Playブックス」、「YouTube」、「YT Kids」、「YT Music」。

 最小限だがGMS対応なので、後から好きなアプリをインストールすればよい。なおFMラジオはイヤホンケーブルがアンテナになるのにも関わらず、そもそも3.5mmジャックがないので受信できない。

 顔認証は、パターン、PIN、パスワード設定後、登録可能だが、UIが縦のみで、この場合、カメラが横側になるので少し登録し辛く、認証時も縦位置より横位置の方が失敗する率が高くなる。

顔登録(UIが縦のみ)
設定→ネットワークとインターネット→SIM。APNを設定して作動中
設定→ネットワークとインターネット→SIM→APN

 SIMの設定は、手持ちの関係で通話未対応のOCNモバイルONEを使ったため、通話に関してはテストしてない。SIMの出し入れで再起動せず扱いやすいが、APNはほとんど登録されておらず、手入力が必要。初心者には少し難しいかも知れない。

MT8183と比較してCPUは速いがGPUは遅い……と言う微妙な結果に

 ベンチマークテストは簡易式でGeekBench 5とGoogle Octane 2.0の結果を掲載した。GeekBench 5はSingle-core 360、Multi-core 1,509、Vulkanは600。Google Octane 14,032。

 参考までに前々回ご紹介したN-one「NPad Plus」(MT8183/6GB/128GB)は、Single-core 295、Multi-core 1,289、Vulkan 1,286。Google Octane 9,349(カッコ内)。CPUは速いがGPUは約半分と結構遅い。この関係もあるのか、操作すると「NPad Plus」より少しもっさり感がある。

 T50/T618のGeekBench 5はSingle-core 382、Multi-core 1,332、Vulkanは1,077。Google Octane 14,094。バランスもよく、やはりT616ではなくT618を搭載して欲しかったところか。

 バッテリ駆動時間は、明るさ、音量ともに50%。Wi-Fi接続でフルHD動画を連続再生したところ13時間手前でバッテリが切れた。明るさ音量共に十分だったので、12時間超えればOKだろう。

GeekBench 5(Single-core / Multi-core)。360 / 1,509(295 / 1,289)
Geekbench 5。Vulkan 600(1,286)
Google Octane 2.0。14,032(9,349)
11時間経過して残13%

 以上のようにTeclast「T40 Pro」は、10.4型2Kパネル、Unisoc T616/8GB/128GB、そしてAndroid 12を搭載したタブレットだ。WideVineがL1対応なのでNetFlixなどが高画質で観れるのはポイントが高い。またLTEだけでなく、通話可能なのも用途によっては面白そうだ。

 反面、3.5mmジャックなし、4スピーカーなのに縦位置ステレオ未対応、競合SoCと比較してCPUは速いもののGPUが遅いなど、気になる点があるにはある。とは言え、3万円前後でLTE対応のAndroidタブレットを探しているユーザーに使って欲しい1台だ。

【1月31日追記】サンプル品の技適番号のシールは古いものでした。新しい番号は205-220034となり、新たに納入される製品に関しては新たな番号が付与される形となります。