西川和久の不定期コラム
LTE対応で2万4,800円の8型タブレット!「ファーウェイMatePad T8」
2022年10月12日 06:16
ファーウェイ・ジャパン(華為技術日本株式会社、以下ファーウェイ)は9月15日、ローエンドの8型タブレットを発表、同日より順次販売を開始した。Wi-Fi/16GB、Wi-Fi/32GB、LTE/32GBと3モデルある中、LTEモデルが編集部から送られてきたので試用レポートをお届けしたい。
上位のLTEモデルでも2万4,800円!
今回ご紹介するMatePad T8は、2020年モデルのリニューアル版的な位置づけとなる。大きな違いはSoCがMediaTek MT8768からKirin 710Aへ、ストレージに32GBを追加、そしてLTE対応といったところ。そのほかはパネルサイズなども含めほぼ同じとなる(細かい部分ではBluetoothが5.0から5.1へ、OSがEMUI10.0.1からEMUI10.1.0へ)。
メモリが2GB、USBがMicro USBと、古臭い部分が残っているのは残念だが、コストを抑えるためほかはそのまま使った感じだろうか。Wi-Fi/16GB、Wi-Fi/32GB、LTE/32GBと3モデルあり、LTEモデルでも2万4,800円と価格が抑えられている。手元に届いたのはそのLTEモデル。主な仕様は以下の通り。
「MatePad T8」の仕様 | |
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SoC | Kirin 710A(Cortex-A53 2.0GHz×4+Cortex-A53 1.7GHz×4/8コア)、IMG GE8320/650MHzを内包 |
メモリ | 2GB |
ストレージ | 16/32GB |
OS | EMUI10.1.0(Android 10ベース)、GMS(Google Mobile Service)非対応 |
ディスプレイ | 8型IPS式(1,280×800ドット) |
ネットワーク | Wi-Fi/802.11ac、Bluetooth 5.1、LTE(Nano SIM×1) |
対応バンド | FDD-LTE: B1/B3/B5/B7/B8/B18/B19/B20/B26/B28 TD-LTE: B38/B40/B41 WCDMA: B1/B2/B5/B6/B8/B19 GSM: B2/B3/B5/B8 |
インターフェイス | Micro USB、microSDカードスロット(最大512GB)、スピーカー×1、マイクロフォン×1 |
センサー | 重力センサー |
測位方式 | GPS/AGPS/GLONASS/BeiDou(LTE)、GPS/GLONASS/BeiDou(Wi-Fi) |
カメラ | 前面:2MP(f/2.4)/背面:5MP(f/2.2, AF) |
バッテリ | 5,100mAh |
サイズ/重量 | 約199.70×121.10×8.555mm(幅×奥行き×高さ)/約310g |
カラーバリエーション | ディープシーブルー |
付属品 | Micro USBケーブル、ACアダプタ、イジェクトピン |
価格 | 1万9,800円(Wi-Fi/16GB)、2万2,800円(Wi-Fi/32GB)、2万4,800円(LTE/32GB) |
SoCはKirin 710A。Cortex-A53 2.0GHzとCortex-A53 1.7GHz 4基ずつの8コア。GPUとしてIMG GE8320/650MHzを内包している。前モデルで使われていたMediaTek MT8768は、Q2 2020リリース、12nmプロセスルール。対してKirin 710Aは、リリース時期は同じで14nmプロセスルールと、プロセスルールは違うものの世代的には同じ。前者がCortex-A53 2GHz×4+Cortex-A53 1.5GHz×4、後者がCortex-A53 2GHz×4+Cortex-A53 1.7GHz×4なので、若干のパフォーマンスアップが見込める。GPUに関しては同じだ。
メモリは2GB。さすがに今どきとしては少ない感じだ。ストレージは16GBもしくは32GB。OSはAndroid 10ベースのEMUI10.1.0搭載(前モデルはEMUI10.0.1)。ただしGMS(Google Mobile Service)には非対応。ディスプレイは、8型IPS式1,280×800ドット。
ネットワークはWi-Fi/802.11ac、Bluetooth 5.1に加え、LTE(Nano SIM×1)モデルが追加された。対応バンドは表を参考にして欲しい。
インターフェイスは、Micro USB、microSDカードスロット(最大512GB)、スピーカー×1、マイクロフォン×1。そろそろType-Cに全て揃えたいこの時期にMicro USBはちょっと痛い。センサーは重力センサー。測位方式はGPS/AGPS/GLONASS/ BeiDou(LTEモデル)、GPS/GLONASS/ BeiDou(Wi-Fiモデル)を搭載。カメラは前面:2MP(f/2.4)/背面:5MP(f/2.2, AF)。
5,100mAhを内蔵し、サイズは約199.70×121.10×8.555mm(幅×奥行き×高さ)、重量約310g。カラーバリエーションはディープシーブルーの1色。
価格は、1万9,800円(Wi-Fi/16GB)、2万2,800円(Wi-Fi/32GB)、2万4,800円(LTE/32GB)。メモリ2GB、Micro USBと残念な部分があるにはあるが、LTEモデルでもこの値段は結構安い。
筐体は扉の写真からも分かるように8型なのでギリギリ片手に収まる感じだ(筆者の手は男性としては小さい)。質感も価格の割にチープさは無く普通。重量は実測で306g。昨今スマホでも200g超えは結構あり、そう言った意味では、片手で持ってネットなどを徘徊してもさほど疲れる重量ではない。
前面はフチがそれなりにあるものの無難な感じか。前面カメラは縦位置でパネル中央少し右側にある。背面は左上に背面カメラ。カラバリはディープシーブルーのみ。下側面にMicro USB、左側面にNano SIM/microSDカードスロット。上側面にスピーカーと3.5mmジャック。右側面に音量±ボタンと電源ボタンを配置。付属品はType-A/Micro USBケーブル、ACアダプタ(5W)、イジェクトピン。
8型のパネルは価格を考えると明るさ、コントラスト、視野角、発色十分なレベルだ。色味はデフォルトで問題ないが、好みに応じて設定→ディスプレイと画面の明るさ→色温度で調整できる。なおここには、ブルーライトカットモード、eBookモード、ダークモードなどもありオン/オフできる。
前面カメラは色乗りも良くビデオ会議などで十分使えそうな感じだ。対して背面は価格なりと言ったところ。スマホがあれば必要ない。
発熱は試用した範囲ではまったく気にならなかった。サウンドは、モノラルスピーカーで上側面にあるため、縦位置での再生が基準になっており、横位置だと左右どちらかに偏る。音質はそれなりだが、パワーは50%でも煩いほど鳴る。3.5mmジャックの出力をSONY MDR-EX800STで視聴したところ、低域はズッシリ重く中域もなかなか。ただ高域の抜けがいま一歩か。
さてKirin 710A/2GBでの使用感だが、アプリ単独だと思っていたよりはよく動く。ただアプリを切り替えたりするとやはりもたつくため、例えばブラウザだけとかビデオだけとか、できるだけ機能を絞って使う感じだろうか。
GMSなしで大丈夫!?
初期起動時、ホーム画面は2画面。Dockにはビデオ、音楽、ブック、ブラウザ、ギャラリーを配置。OSはAndroid 10をベースにしたEMUI10.1.0。このバージョンは、ダークモード、アイケアモード、eBookモード、キッズモード/ペアレンタルコントロールなどに対応と、以前のEMUI10.0.1より今風に改良されている。
ストレージは32GB中9.09GBが使用中だ。これから考えると16GBモデルでは少々厳しいような気がするが、512GBまでのmicroSDカードが使えるので、うまくデータを逃がす感じだろうか。認証はPIN/パターン/パスワードのみ。上からのスワイプでクイックアクセス/通知エリア表示など、操作性自体に違いはない。
なお今回試用した実機のOSは、テスト用のバージョンらしく、出荷版とは内容が異なる可能性があることをご了承いただきたい。
インストール済みのアプリは、フォルダのツール、Huaweiアプリ、ビジネス、エンターテイメント、ソーシャル、ライフスタイル、ゲームも合わせると結構な量だ。昨今、これだけのアプリが入っているケースも珍しいが、Google Playストアが使えない関係もあるだろう。
主要どころだけピックアップすると、「カメラ」、「カレンダー」、「キッズモード」、「ギャラリー」、「ヒント」、「ファイル」、「ブック」、「ブラウザ」、「メール」、「メッセージ」、「メモ帳」、「メンバーセンター」、「音声レコーダー」、「時計」、「設定」、「端末管理」、「天気」、「電卓」、「連絡先」、「AppAssistant」、「AppGallery」、「Cloud」、「FMラジオ」、「HUAWEI Music」、「HUAWEI Video」、「Link Now」、「Petalマップ」、「Petal検索」など。なおFMラジオは試したところ日本に周波数には対応していなかった。
さて、そのGoogle Playストアも含めたGMSが使えなくなってからそれなりに時間が経ち、実際どうなのか……が気になるところ。
例えばAppGalleryからFacebookアプリを探すとないが、APKPureへのリンクが表示される。Androidでapkをサイドロードする時、よく使うサービスだが(Windows 11のAndroidアプリもAmazonストアにない時などもこれを使う)、ここからのダウンロードとなる。後述するベンチマークテストで使ったChromeやGeekBenchもこれを使った。
apkからのサイドロードは、セキュリティ面がどうなのかという問題はあるものの、この方式ならGMSに依存しないアプリであれば動きそうだ。ただ筆者など玄人ならこの方式でもいいが、本機がターゲットにしている初心者はどうなのかは疑問が残るところではある。
SIMは、Nano SIM挿入後、再起動もなく、設定→モバイルネットワーク→モバイルデータ通信から行なえる。APNも多数登録されているので、該当するものを選べば良く、非常に簡単だ。
価格なりのパフォーマンス
ベンチマークテストは簡易式でGeekBench 5とGoogle Octane 2.0の結果を掲載した。先に書いたように、どちらもapkをAPKPureからサイドロードしている。GeekBench 5はSingle-core n/a、Multi-core n/a、Vulkanは1,049。Google Octane 10,121。GeekBenchのCPUに関しては測定中にアプリが落ちたため未測定となる。Vulkanはクラスを考えると少し速め、Google Octaneはギリギリ及第点と言ったところか。
バッテリ駆動時間は、明るさ、音量共に50%。Wi-Fi接続でフルHD動画を連続再生したところ14時間手前でバッテリが切れた。8型だしさほど持たないだろう……っと思っていたが、予想に反して12時間を超えた。明るさ音量共に十分。これだけ持てば文句なしと言ったところか。
以上のようにMatePad T8は、Kirin 710A/2GB/16 or 32GB + LTE対応モデルありの8型Androidタブレットだ。今どきMicro USB、メモリやストレージ容量が少なく、加えてGMSが使えないなど、心もとない部分もあるにはあるが、LTEモデルでさえ2万4,800円。この値段ならまぁいいか! と思う読者も多いのではないだろうか。
どちらかと言うと、初心者よりこれらのことを理解した上で、LTE付きの安価なAndroidタブレットを探している玄人にこそ使ってほしい1台と言えるかも知れない。