西川和久の不定期コラム

筆者2022年のセレクトは縦折りスマホ!「Samsung Galaxy Z Flip4」購入記

Galaxy Z Flip4

 9月29日、Galaxy Z Flip4の販売が開始となり、楽天モバイル渋谷公園通り店で昼前に買ってきた。同店舗で1台目とのこと(笑)。今回は購入後2週間ほどの使用記をお届けしたい。

なぜGalaxy Z Flip4 !?

 Galaxy Z Flip4はSamsungが作っているAndroidスマホだ。特徴は縦に2つ折りできること。つまり昔のガラケーの様な雰囲気を持っている。国内のマーケティングを見ると、カラバリのボラパープルを前面に押し出し、ファッションショーとからめたイベントなど、明らかに女子狙いだ。

 筆者は行かなかったが、国内の発表会でも横に2つ折りで開くとタブレットになる「Galaxy Z Fold4」は男性、このZ Flip4は女性をターゲットにしているとの説明があったとのこと。なのになぜ筆者が引っかかったのか? 疑問に思う人は多いのではないだろうか。

 まず、価格はキャリアにもよるが一括で約14万円。これなら「iPhone 14 Pro」、「Xperia 1 IV/5 IV」なども射程距離内。レビューでカメラにうるさい筆者だと普通に考えればこちらとなる。対してZ Flip4は望遠はなく、前面と背面の超広角/広角、画素数は1,000万画素と1,200万画素/1,200万画素。なんの変哲もないスマホのカメラだ。同社のカメラは悪いという噂はないものの、特別良いと言う評判もない。

 理由に関しては、まずスマホのカメラに対して少し見方が変わったことが挙げられる。幸い立場上、先の14 Proなども含め、長年、いろいろなスマホを触って来れた。当初は年々本体性能とともに画質も向上し、その分次モデルに期待も高まったが、そろそろOS/本体性能なども含め停滞気味。特にスマホのカメラは一般的なサイズに収めるにはセンサーやレンズに限界があり、いくら後処理のISPで頑張っても無理がある。

 カメラと違いスマホはいつも持ち歩くのでシャッターチャンスには強いものの、画質は一般で売られているセンサーやレンズが遥かに大きいミラーレスや一眼レフなどには物理的にかなわない。筆者の場合、スマホで主に撮るのは、スナップ、食事、対面の人物。今日は撮影! と言う日は富士フイルムの「X-S10」を持ち出す。こう考えると、先にあげたものが、そつなくそこそこ写ればOKとなる。

 そこに現れたのが、古のガラケーを彷彿するZ Flip4。型番からも分かるように、既に4世代目なので、それなりにこなれている。1つ前のZ Flip3なら写真も多くネットに上がっているので、見たところ結構良く写る。スマホはほぼストレートタイプばかりで、飽きていたこともあり、ちょっと買ってみるか! となった次第だ。

 Z Flip4自体はSIMロックフリーなのだが、docomo、au、楽天モバイルのキャリアでしか扱っておらず、回線契約なし、一括の時、一番安い楽天モバイルで29日の発売開始日に渋谷のショップで購入した(このタイミングでは家電量販店に物はなし)。

 ちょっと残念なのは、各キャリアで予約して購入すると“Galaxy Buds2無料プレゼント”が特典としてあったのだが、キャリアで予約だと回線契約も必要となるため見送った。おそらく回線契約なし本体のみのユーザーも多いと思うので、ここは予約を外し、早期購入者としてほしかったところ。

 キャリアによって扱っているカラバリが異なり、楽天モバイルだとボラパープル、グラファイトの2色。海外ではブルーがあるので本当はそれが欲しかったのだが国内ではどのキャリアもなし。さすがに明らかに女子狙いのボラパープルはないな(笑)……となり、グラファイトとした。主な仕様は以下の通り。

Samsung「Galaxy Z Flip4」の仕様
SoCSnapdragon 8+ Gen 1(Kryo、8コア)、GPUとしてAdreno 730を内包
メモリ8GB
ストレージ128GB(UFS 3.1)
OSAndroid 12
ディスプレイ6.7型OLED(2,630×1,080ドット)、120Hz、HDR10+対応、ロック画面常時表示可能
カバーディスプレイ1.9型OLED(260×512ドット)、常時表示可能
ネットワークWi-Fi 6対応、Bluetooth 5.2、NFC(FeliCa対応)
SIMNano SIMカードスロット×1、 eSIM×1/5G対応
対応バンド5G(Sub6) n3/n28/n41/n77/n78/n79
 G(ミリ波) n257
FDD-LTE B1/B3/B4/B5/B7/B8/B12/B13/B18/B19/B20/B21/B26/B28
TD-LTE B38/B39/B40/Band 41/B42
WCDMA Band I(2.1GHz)/Band V(850MHz)
GSM 850MHz/900MHz/1.8GHz/1.9GHz
インターフェイスType-C(USB 2.0)、 ステレオスピーカー、FMラジオ
センサー指紋、加速度、ジャイロ、接近、コンパス、気圧
測位方式A-GPS、GLONASS、GALILEO、BDS
カメラ前面 1,000万画素、f/2.4、1.22μm、26mm
背面 超広角: 1,200万画素、f/2.2、1.12μm、123度
広角: 1,200万画素、f/1.8、1.8μm、24mm、OIS
防水IPX8(防塵未対応)
生体認証指紋/顔
サイズ開いた状態: 71.9×6.9×165.2mm(幅×厚み×高さ)
閉じた状態: 71.9×15.9×84.9mm
重量187g
バッテリ3,700mAh、急速充電(30分で50%)/ワイヤレス充電対応
カラーバリエーションボラパープル、グラファイト、ピンクゴールド、ブルー(国内なし)
価格13万9,800円(一括/楽天モバイル)

 SoCはQualcomm Snapdragon 8+ Gen 1。3.18GHz駆動コアが1基+2.7GHz駆動コアが3基+2GHz駆動コアが4基の8コア、GPUとしてAdreno 730を内包している。発熱問題があるとされるSnapdragon 8 Gen 1の後釜だ。製造元をSamsungからTSMCへと変更していることもあり、期待されたもののそうでもなく、実装(クロックを落とすなど)でなんとかしているようだ。

 実際、Z Flip4には設定→バッテリー→その他のバッテリー設定→パフォーマンスプロファイルで標準/ライト(処理速度よりバッテリー節約や加熱抑制優先)が選択できるようになっている。筆者はライトで使用中だが、ベンチマークテストをするとスコアは落ちるものの、操作レベルでは全く分からない感じだ。

 メモリは8GB、ストレージは128GB(UFS 3.1)。海外では256/512GBモデルもあるようだが、国内では128GBのみ。microSDカードが使えないので、用途によっては厳しい部分だと思われる。

 ディスプレイはメインが6.7型OLED(2,630×1,080ドット)。120Hz、HDR10+対応など、他のハイエンドと比較しても遜色ない。加えて背面にカバーディスプレイとして1.9型OLED(260×512ドット)を装備。通知やウィジェット、メインカメラで自撮りする時用など、小さいパネルだが結構いい感じに使える便利なものだ。そしてiPhone 14 Proで話題になったロック画面の常時表示(Allways On Display)は、メイン/カバーどちらも対応。新型iPhoneの専売特許ではない。

 ネットワークはWi-Fi 6対応、Bluetooth 5.2、NFC(FeliCa対応)。SIMはNano SIMカードスロット×1とeSIM×1。もちろん5Gでミリ波にも対応する。対応版バンドに関しては表を参考にして頂きたい。

 インターフェイスは、Type-C(USB 2.0)、ステレオスピーカーとFMラジオ。FMラジオは日本の周波数に対応しているが、アンテナ用として専用のType-Cイヤフォン(Galaxy TYPE-C EARPHONES)が必要となる。ここで残念なのはType-Cでの映像出力はなく、同社のハイエンドスマホの多くが対応しているデスクトップ環境=DeXに未対応なことだ。Z Fold4が対応しているだけに、ここに差を付けるか!? という感じだ。

 カメラは、前面1,000万画素、f/2.4、1.22μm、26mm。背面が超広角1,200万画素、f/2.2、1.12μm、123度。広角1,200万画素、f/1.8、1.8μm、24mm、OIS。広角の画素ピッチがZ Flip3の1.4μmから1.8μmへ変わっており、その分、画質の向上が期待できる。

 防水IPX8対応だが防塵未対応。唯一筆者的に困る部分で、夏に海へ行った時、細かい砂問題が発生する。とりあえず1年後の話なので現時点では考えないことにする。

 バッテリは3,700mAh。Z Flip3の3,300mAhから増えたとは言え、このクラスとしてはかなり容量が小さい。急速充電(30分で50%)/ワイヤレス充電対応する。サイズは、開いた状態で71.9×6.9×165.2mm(幅×厚み×高さ)、閉じた状態で71.9×15.9×84.9mm。重量187g。200gを超えるスマホが多い中、軽量級だ。

 価格は先に書いたように、楽天モバイル一括払いで13万9,800円。構成的にはハイエンドだが、縦折り以外、特に大きな特徴がないだけに高い感じがするものの、仕方ない部分でもある。

前面パネル中央上辺りにパンチホールの前面カメラ。フチは細すぎず太すぎず。周囲の明るさ、角度、背景の色などによって真ん中の折り目がはっきり分かる事がある
背面。上側にカメラとカバーディスプレイ。下側中央辺りにNFCがある。なお楽天モバイル版はキャリアのロゴがない
右/下。右側面に音量±と電源ボタン(指紋センサー兼)。下側面にType-Cとスピーカー
左/上。左側面にNano SIMスロット
ヒンジ部分。Galaxyの刻印がある
左からZ Flip4、iPhone 13 Pro、Xperia 1 IIとの比較。ストレートの状態だと大きさ的にはXperia 1 IIとほぼ同じ
付属品。USB Type-Cケーブルとイジェクトピンのみ
重量は実測で約190g(SIMあり)
カバーディスプレイ/通知。ここで通知や時計、カレンダーなどのウィジェットが見れる。左右のスワイプで項目移動。通知はメールだと本文も読める
フレックスモード。90度前後に折り曲げた時、このモードになり、対応したアプリだと上にコンテンツ、下にコントロールなどを配置する。非対応アプリも設定で動きを指定可能
購入した純正ケース“Silicone Cover with Ring”を装着したところ。この後2つ購入したものの、厚みや重さ、質感が気に入らず全て没
FMラジオのアンテナ対応純正イヤフォン“Galaxy TYPE-C EARPHONES”FMラジオはイヤフォンのケーブルをアンテナにするのだが、Type-C/3.5mmアダプタでイヤフォンを接続しても機能せず、この専用イヤフォンが必要となる

 筐体のカラバリはグラファイト。扉の写真からも分かるように折り畳むとかなりコンパクトだ。時計を表示している部分がカバーディスプレイ。もちろんカラー表示可能でしかもOLEDと言う拘りぶり。ストレート時はXperia 1 IIとほぼ幅も高さも同じとなる。重量はSIM装着時、実測で190g。昨今200g越えのハイエンドが多い中、軽量級と言えよう。

 前面はパネル中央上辺りにパンチホールの前面カメラ。フチは細すぎず太すぎず。周囲の明るさ、角度、背景の色などによって真ん中の折り目がはっきり分かるのは仕方ないところか。リアは上側にカメラとカバーディスプレイ。下側中央辺りにNFCがある。なお楽天モバイル版はキャリアのロゴがなく、この点はGood(ただし起動時に白バックにピンクのRakutenのロゴが出る)。

右側面に音量±と電源ボタン(指紋センサー兼)、下側面にType-Cとスピーカー。左側面にNano SIMスロットを配置。付属品はType-C/Type-Cケーブルとイジェクトピンのみ。

 6.7型OLEDは2,630×1,080ドットとiPhone 13 Proなど一般的なスマホより縦長。Xperia 1 IIもそうなのだが、ソーシャルなどタイムラインの情報量が多くなり、筆者的には気に入っている部分だ。最大120Hzなのでスクロールも滑らか。当然、発色、明るさ、コントラスト、視野角なども問題ない。標準だとOLEDっぽい派手気味(広色域)な発色となるが、設定→ディスプレイ→画面モードで鮮やか(デフォルト)かナチュラルの設定が可能。撮影した写真が派手に見え過ぎることもあり、ナチュラルで使用している。

 なおパネルには標準でフィルムが貼られている。一見剥がせそうだが、傷だけでなく逆反などOLED保護の役目もしているので剥がすのは基本的にNG。自然に剥がれた場合、1年間は無償で交換が可能とのことだが、パネルの状態によっては修理扱いになるだろう。

 1.9型のカバーディスプレイもOLEDで発色が良い。260×512ドットと画素数は少ないものの、通知や時計、スケジュールなどは十分確認可能。時計の背景に画像や写真を設定することもできる。メールはタップすると本文も読め、なかなか重宝している。加えて背面のメインカメラで自撮りできるよう、モニターにもなる。

 90度前後で折り曲げ使うモードはフレックスモードと呼ばれ、本機+αの機能だ。詳細は後半のソフトウェアの部分で解説しているが、対応しているアプリだと、上にコンテンツ、下にコントロールを配置し、使いやすくなる。また写真で分かるように、前面カメラでも背面カメラでも三脚いらずで自撮り出来るのも便利。この時、タイマーによるシャッターだけでなく、顔の辺りで手のひらをかざすとシャッターを切ると言うジェスチャーにも対応している。

 発熱は試用した範囲だとパフォーマンスプロファイルでライトにしていることもあり、許容範囲と言ったところ。サウンドは横位置でステレオ。パワーもあり、音質も(いい意味で)それなり。十分本体だけで楽しめる。

 ただ手持ちのType-C/3.5mmアダプタ(ほかのスマホやタブレットでは使える)とSONY MDR-EX800STで視聴しようとしたところ、このUSBアダプタには対応してないと表示され使えなかった。昨今一般的にはBTイヤフォンを使うので問題ないと思うが要注意だ。

 同様に、内蔵FMラジオのアンテナもこのパターンでは駄目。仕方なく対応している純正の「Galaxy TYPE-C EARPHONES」を購入した。イヤフォンと言うより、FMラジオのアンテナ用途がメインだ。かつては付属だったらしが、汎用品ならともかく、この様な特殊事情があるなら付属すべきではないだろうか。

 音質的には3千円程度のものなので語るほどでもないが、一点、レビューを見ると低音が出ないとある。確かに普通に耳へ装着すると出ていない。ただ手で少しイヤフォンを押さえ深めに入れると(ほかのイヤフォンでもそうだが)そこそこ出るようになる。チューニングしている位置が深めなのかもしれない。付属のイヤーチップで調整が必要となるだろうか。

 後日、MacBookのType-Cへ接続したところ音が出た。どうやらこのイヤフォンはUSB-DAC内蔵タイプであるようで、つまりはZ Flip4のType-Cには音声信号が出ていないことになる。であれば単純なType-C/3.5mmアダプタが使えないのも頷ける。USB-DAC内蔵で3千円程度なら逆に安いかもしれない。同タイプでほかのアダプタやイヤフォンがFMラジオのアンテナになるのか? は未確認。

 最後にケースの話。筆者はもともと素のままで使うのが好きなのだが、カラバリのブルーが国内ではなかったこともあり、ケースでブルーにするか!とAmazonで探したところ、最初に見つけたのが純正の「Silicone Cover with Ring」。リングは不要だけど純正だしまぁいいかと軽い気持ちで注文したものの、装着すると厚みも重みも結構あり(190gが229gへ)、持った感じも見た目もコンビニのお握りみたいにゴロっとした雰囲気となる。同社のCMや広告写真でもこのケースはよく使われているのだが、モデルが外国人。一見コンパクトに見えるものの、実は手が(平均的な日本人より)大きいのでは?

 次はリングなしのブルーで同系統のものを購入 。純正よりましにはなったが、それでも217gとなり、厚みも少しある。3つ目はブルーを諦め、クリアで一番薄く軽いのを購入。確かに薄く軽くはなったものの(209g)、クリアなのでデコるならいいかも知れないが、そのままだとチープに見え没(折り畳んだ時、背面が見えるので余計そう思う)。これらだけでも1万円近い無駄遣いだ(笑)。

没になったケース達。左から(リング付きなので仕方ないが)39g、27g、19g。厚みは順に薄くなる

 最後に薄くて軽いと評判のアラミド繊維を使用したケースを発注。これで駄目なら裸族……というところだったが、ご覧の通り、薄くて、軽くて(たった10g)、見た目や質感もGood! と、これに決定した。

アラミド繊維使用のケース。本体190gなのでたった10g

思いの外、写りの良いカメラに加え機能満載!

 カメラは、前面1,000万画素、f/2.4、1.22μm、26mm。背面の超広角は1,200万画素、f/2.2、1.12μm、123度。広角は1,200万画素、f/1.8、1.8μm、24mm、OIS。デジタルズームでx2/x4/x10の切替もワンタッチで可能。出力解像度は前面2,208×2,944ピクセル、背面は全ての焦点距離(デジタルズーム/ポートレートモードも含む)で3,000×4,000ピクセル。当然デジタルズームはセンサーの画素数が足らず拡大補完しているため、実用範囲はx2だけと思ったほうが良い。背面の広角はRAWにも対応。

カメラ。上が広角、下が超広角。背面カメラ使用時、カバーディスプレイがモニタになり、メインカメラで自撮り可能。タップで縦/横が切り替わる
フレックスモードで自撮りが前面/背面ともに可能。顔の周囲で手をかざすとシャッターが切れるジェスチャーに対応する
超広角(123度)
広角(24mm)
望遠x2(48mm/デジタルズーム)
望遠x4(96mm/デジタルズーム)

 モードは、ポートレート、写真、動画。その他にプロ、プロ動画、シングルテイク、ナイト、食事、パノラマ、スーパースローモーション、スローモーション、ハイパーラプス、ポートレート動画、ディレクターズビュー。前面カメラではプロ、プロ動画、食事、パノラマ、スーパースローモーションが使用できない。ディレクターズビューは、背面/前面を同時に写す機能だ。

 またポートレートは前面カメラと広角のみだが、ボケ具合、ライト、ハイキー/ローキーモノクロ、そして肌の滑らかさが調整可能。写真では一般的なフィルタに加え、美肌/トーン/顎/目を調整可能なフェイスフイルタも利用できる。通常ビューティー系はポートレート時にONになるが、写真でも使えるのが面白い。場合によってはこちらで(特に望遠x2)ポートレートを撮影し、背景ボケは、Googleフォトのぼかしを使う手もある。

 なお、前面カメラは自撮りと複数人自撮りで画角を変更できる。おそらく後者が素のまま、前者はちょっとしたデジタルズームだと思われる。

 表示/編集はギャラリーアプリを使用する。一般的な編集(トリミング・回転/色調/フィルタ/文字の書き込み/ボケ調整など)に加え、オブジェクト除去(消しゴム)、Googleフォトのポートレートライト相当、例えば食事などを撮る時、手前に自分の影が入ってしまった場合の低減、ガラスの写り込みを除去する機能なども備えている。

 消しゴムについては、最近のGoogle Pixelが標準搭載しており、結構便利そうだったが、Z Flip4にもあり嬉しい限り(アプリだと多くの場合有料)。対象のオブジェクトや背景にもよるが、うまく行くケースだと全く分からないほどの結果となる。

カメラ/写真
カメラ/ポートレート
カメラ/プロ
カメラ/その他
カメラ/設定
前面カメラ。自撮り1人と複数人で画角を変更可能
前面カメラ。フェイスフィルタ。美肌/トーン/顎/目を調整可能
ギャラリーには消しゴムがある(1/2) 右上の写り込みに注目
ギャラリーには消しゴムがある(2/2) タップして範囲指定、消しゴムで消えた

 以下作例を日中、夜景、人物(前面と背面:広角/望遠x2)と計33枚掲載する。基本写真モードで超広角/広角/望遠x2を織り交ぜている。恐竜、針金の人的オブジェとバイク、人物(前面/背面広角)がポートレートモード。露出補正は必要に応じて調整している。人物望遠x2は写真モードで背景ぼかしが使えないので、Googleフォトでボケ味を追加。ちょっとした応用例として参考にして欲しい。全てぼかし4/肌のスムージング7(最大8)。

 使用感は起動速度、AF、撮影後の確認など、ストレスなくサクサク撮れる。広角はOIS付きなので、少し程度は手ブレしても大丈夫だ。ただしポートレートの背景ぼかしは、撮影後、背景がぼけるまで少し時間がかかる。気になったのはこの程度。

 写りはご覧のように癖やわざとらしさがなく素直な絵で結構行ける。デジタルズームの望遠x2もなかなかGood。夜景も綺麗に写っている。ゴーストもほとんど見られない。超広角もシャープで色乗りも良い。

 人物の撮影日はあいにくの悪天候だったが(前面カメラは屋内)、なかなか綺麗に写っている。肌色も自然だ。背景のぼけはやり過ぎると不自然になるのでほどほどが良い。いずれにしても先に並べた筆者の用途であれば十分。何の文句もない……っというより良く写るので驚いた次第だ。

Android 12に縦折りに特化した機能を追加!

 初期起動時、ホーム画面は2画面。扉の写真など物撮りで写っているホーム画面は、筆者がカスタマイズした後なので、直後に関してはこちらの画面キャプチャを参考にして欲しい。Dockに電話、メッセージ、Chrome、カメラを配置。2画面目に楽天モバイル関連のアイコンが並ぶが、docomoなど他のキャリアと比較すると控えめだ。

 OSはAndroid 12。ストレージは128GB中31.5GB使用中(若干の画面キャプチャを含む)。microSDカードが使えないので、動画や楽曲、RAW画像などを大量に収めるには厳しい容量となる。

 認証はパターン、PIN、パスワードに加え、指紋と顔。1年ほどiPhone 13 ProでFace ID(顔認証)を使っていたが、やはり指紋認証はいろいろな意味で使いやすいと再確認した。ちょっと面白かったのは、メガネありで顔の登録していたところ、途中でメガネを外すよう、メッセージが出る。これまでいろいろなスマホで顔登録してきたが、このパターンは初めてだ。

Home(1/2)
Home(2/2)
Googleフォルダ
Microsoftフォルダ
通知パネル
端末情報
ソフトウェア情報
デバイスケア

 アプリは、「Galaxy Members」、「Galaxy Store」、「Playストア」、「Facebook」、「Spotify」、「Netflix」、「電話」、「メッセージ」、「カメラ」、「ギャラリー」、「時計」、「ブラウザ」、「連絡先」、「設定」、「YT Music」、「ヒント」、「カレンダー」、「電卓」、「Galaxy Notes」、「Game Launcher」、「Galaxy Global Goals」、「Galaxy Free」、「Smart Switch」、「Meet」。

 Rakutenフォルダに「Link」、「my楽天モバイル」、「Browser」、「楽天ペイ」、「楽天市場」。Galaxyフォルダに「ボイスレコーダー」、「マイファイル」、「S Health」、「Galaxy Wearable」、「ARゾーン」、「ラジオ」、「辞書」、「おサイフケータイ」。Googleフォルダに「Google」、「Chrome」、「Gmail」、「マップ」、「YouTube」、「ドライブ」、「Google TV」、「Duo」、「フォト」。Microsoftフォルダに「Office」、「LinkedIn」、「Outlook」、「OneDrive」。

アプリ一覧(1/2)
アプリ一覧(2/2)

 SIMは初期起動時、サブのOCNモバイルONEを使い、Xperia 1 IIからのデータ移行は行わず、新規でLINE以外の環境を構築。この時、メインはahamoの入ったiPhone 13 Proを残したままだ。Suicaに関してはiOSとAndroidでアカウントを変えているため、引き継ぎは必要ない。

 本機はキャリア扱いだがSIMロックフリー、APNさえセットすればOKだ。デフォルトで入っているAPNはspモードのみ。OCNモバイルONEに関しては手動で追加することになる。eSIMに関しては、SIMカードマネージャに設定がある。

 しばらくiPhone 13 Proと本機を並行して持ち歩いていたが、つい先日、ahamoを本機にセットし、メインへと昇格した。この時、LINEの移行はQRコードで簡単だったが、iOS/Android間の引っ越しなのでトークは直近の14日分しか引き継がれない。以前の全てなくなるよりはましだが何とかならないのかと言うところ。

接続→モバイルネットワーク
接続→モバイルネットワーク→APN
接続→データ使用量
接続→SIMカードマネージャー

 同社の説明によると、iOSはiCloud Drive、AndroidはGoogle Driveへトークをバックアップするので相互間はできないとしているが、Keepに保存したデータはOSをまたいで引き継がれる。Keepへ暗号化/圧縮したトークを一時的に保存、新しい端末でKeepから復元……とかできないのだろうか。

 Z Flip4がターゲットにしている女性のほとんどはiPhone。Z世代何人かに話を聞いたところ、本機にはもの凄く興味を示すものの、LINEのトークが直近14日分しか引き継がれないと分かると、ありえない……やっぱパスと笑っていた。iOS/Android間でスマホを乗り換える時(複数持ちも含め)、最大の障壁になっているのがただ1つのアプリなのは残念なところ。

フレックスモード設定
フレックスモード非対応のアプリを先の設定でONにすると下半分がタッチパネルなどになる

 前半でも触れたが、90度前後折り曲げて使うフレックスモードは、本機最大の特徴の1つ。アプリの作動的には3パターンある。

  1. フレックスモード対応アプリ
  2. フレックスモード設定でアプリを指定しON
  3. フレックスモード設定でアプリを指定しOFF(デフォルト)

 3)は単にそのまま全画面表示。1)については多くの純正アプリがこれに該当し、上半分にコンテンツ系、下半分にコントール系などを表示する。またMeet、YouTube、SNOWアプリも対応しており、YouTubeの場合、上に画面、下にコメントなどが並ぶ。

 2)は指定アプリをONにすると、コンテンツは上半分、下半分には画面キャプチャのようなコントロールが表示される。左から順に通知パネル表示、上半分の画面キャプチャ、明るさ調整、音量調整、タッチパッド。つまり超小型のPCっぽく操作が可能となる。

 2)と3)についてはアプリの特性にもよるので、どちらにするかは試した結果となるだろうか。本機を机の上に置いたまま操作できることもあり、予想外にGoodな機能だった。

 もちろん、ストレート状態でも90度前後折り曲げた状態でも、画面分割で別々のアプリを使用可能だ。例えばスケジュールと天気予報を上下に配置、撮影日を決めるなど、アプリの組合せによって便利に使える。

Windowsのスマホ同期(1/2) Android側のフォトライブラリを表示
Windowsのスマホ同期(2/2) Samsungの場合、Androidアプリを実行、Windows側の画面で表示できる。もちろん日本語入力もOK

 Windowsのスマホ同期は、同アプリリリース当初から触っていたものの、連携できる機能が写真とメッセージなど限定的で個人的には全く使わなかった機能だ。ただしSamsung製スマホの場合、事情が異なり、Windows上でスマホ側のAndroidアプリを起動できる。仕掛け的には最近対応したAndroidアプリをWindows上で動かすものではなく、スマホ側のアプリ画面をWindowsへ転送しているだけであるが、この機能の有無は大きい。描画速度はWi-Fiを使うのでそれなりだが日本語入力もOK。PCの側へスマホを置いておけば、PCからスマホの操作が可能となる。

 残念なのはこの機能が使えるのはSamsung製スマホのみと言う点。技術的な問題なのか、政治的な問題なのかは不明だが、もっと多くのAndroid搭載スマホで実現して欲しいところ。

パフォーマンスはもちろんハイエンド。ただしバッテリも持ちは今一歩

 ベンチマークテストは簡易式でGeekBench 5とGoogle Octane 2.0の結果を掲載した。GeekBench 5はSingle-core 1,299、Multi-core 3,837、Vulkanは6,365。Google Octane 50,433。前回、iPhone 14 Proのスコアを見ているだけに低い感じがするものの、Snapdragonとしてはハイエンドとなる。カッコ内はもともと使っていたXperia 1 II(GeekBenchのスコアより)。2年で結構速くなっていることが分かる。

 バッテリ駆動時間は、明るさ、音量ともに50%。Wi-Fi接続でフルHD動画を連続再生したところ約10時間でバッテリが切れた。途中経過を眺めていたところ-10%/hだったが、その通りの結果だ(パフォーマンスプロファイルは標準)。Snapdragon 8+ Gen 1で3,700mAhなので短いだろうな……っと思っていたがやはり12時間にはとどかなかった。

 この関係のあり、少しでも長持ちさせようと、パフォーマンスプロファイルを先に書いたようにライトへ、またメール/メッセージ系(DMも含む)以外のアプリはバックグラウンド作動オフ(ディープスリープ)などとし、工夫し使用している。この場合、Facebookアプリなどから通知が入らなくなるが、バンバン入ってもうるさいだけなので、自分のタイミングでアプリを起動、確認すればいいので特に問題はない。

GeekBench 5(Single-core / Multi-core)は1,299 / 3,837(812 / 2,854)
GeekBench 5(Vulkan)は6,365(3,032)
Google Octane 2.0は50,433
9時間経過して残10%

 最後に本機の良い点、悪い点を列挙するとこんな感じだろうか。悪い点の後ろ3つは、テクニカルイシューなので、時間が解決するだろう。

良い点

  • 折り畳んでコンパクト
  • ジーンズの前ポケットに挟んで入る。後ろポケットに入れても高さで突っ張ったりしない
  • フレックスモードで三脚を使わずカメラを固定できる
  • フレックスモードで机の上に置き、ソーシャルなどが見れ、ながら的用途が便利
  • (筆者は使わないが)背面のメインカメラで自撮り可能
  • 思いの外、カメラの画質が良い。デジタルズームx2もワンタッチ
  • ギャラリーに標準装備で消しゴムがある
  • カバーディスプレイによる通知やウィジェットが便利
  • 日本の周波数に対応したFMラジオ内蔵
  • Windowsのスマホ同期によるAndroidアプリ実行が可能

悪い点

  • 海外モデルにあるブルーが国内ではない
  • DeXがない(それどころかType-Cに音声/映像出力がなく単にUSB 2.0)
  • microSD未対応
  • FMラジオに使うアンテナ替わりのイヤフォン仕様に難あり
  • バッテリの持ちが(容量相応だが)他のハイエンドと比較してイマイチ
  • 真ん中の折り目が目立つ事がある
  • 防塵に未対応
引き出しの奥に眠っていたSH505i(2003年6月20日発売)との比較。Z Flip4が負けているのは1点(笑)。microSD(実際はminiSD)カード未対応なところ

 以上のようにSamsung「Galaxy Z Flip4」は、Qualcomm Snapdragon 8+ Gen 1/8GB/128GB、そして6.7型メインOLEDパネル+1.9型カバーディスプレイにOLEDパネルを採用した縦折りSIMロックフリーAndroidスマホだ。光学的な望遠はないものの、カメラの写りもなかなか良い。

 閉じてコンパクト、開いて縦長でタイムラインが見やすく、90度前後に折り曲げて使うフレックスモードもいろいろ便利。長年ストレートタイプのスマホばかり使っていると、ちょっとしたカルチャーショックを受ける。

 ただしバッテリ駆動時間が短め、防塵未対応、microSDカード未対応、DeX未対応など、残念な部分もあり、これがOKかNGかで大きく評価は分かれそうだ。とは言え、これらがOKで扉の写真にグッと来たなら是非試して欲しい1台だ。こんな面白いスマホ、男性も使わないともったいない(笑)。