西川和久の不定期コラム

Jasper Lake搭載で重量1kgの11.6型2in1!「BMAX Y11 Plus」

Y11 Plus

 BMAXというブランドの「Y11 Plus」が編集部から送られてきた。あまり馴染みのないブランドかも知れないが、コストパフォーマンスやルックスなど良く、加えてSSDが交換可能と、面白そうな2in1だ。さっそく試用レポートをお届けしたい。

 ちなみに販売はBanggoodで行なわれており、価格は執筆時点で3万8,904円となっていた(HKからの配送)。今回のサンプルはBanggoodからの提供である。

Celeron N5100/8GB/256GBを搭載し重量1kgの11.6型2in1!

 今回ご紹介するブランドはBMAX。まさに知る人ぞ知る的なブランドで、例えばAmazonを見ると、ノートPC、ミニPC、タブレットなどを扱っているところのようだ。いずれもシンプルなデザインで、価格も同クラスの大手メーカー製と比較した場合、結構安価。なかなか面白そうだ。

 手元に届いたのは2in1形状の「Y11 Plus」。11.6型フルメタルで2in1、そして重量1kgなどの特徴を持つ。型番として「Y11」もあるが、筐体などはほぼ同じであるものの、搭載しているプロセッサの世代が古く、またパネル性能(色域)も低い別物なので要注意。Y11 Plusの主な仕様は以下の通り。

BMAX「Y11 Plus」の仕様
プロセッサCeleron N5100(4コア4スレッド、1.1〜2.8GHz、キャッシュ 4MB、TDP 6W)
メモリ8GB(LPDDR4)
ストレージSSD 256GB
OSWindows 10 Pro(64bit)/21H1
ディスプレイ11.6型IPS式1,920×1,080ドット、光沢、10点タッチ対応
グラフィックスIntel UHD Graphics、Micro HDMI/Type-C
ネットワークWi-Fi 11ac対応、Bluetooth 4.2
インターフェイスUSB Type-C、Micro USB、SDカードスロット、Webカメラ、3.5mmジャック
バッテリ/駆動時間7,000mAh/最大10時間
サイズ/重量274×187×13mm(幅×奥行き×高さ)/約1kg
カラーバリエーションスペースグレイ
税込価格3万8,904円@Banggood

 プロセッサはJasper LakeのCeleron N5100。4コア4スレッドでクロックは1.1〜2.8GHz。キャッシュは4MB、TDPは6W。先に書いた通り、Y11は内部的には別物で、当初Gemini LakeのCeleron N4100、その後Gemini Lake RefreshのCeleron N4120と、プロセッサ自体が違う。

 メモリはLPDDR4 8GB。PCMark 10のSystem Informationでは8GB×1となっていた。ストレージはSSD 256GB。OSは64bit版のWindows 10 Pro。このクラスでProなのはポイントが高い。21H1だったので、この範囲でWindows Updateを適応し評価した。なお、本機はスペックからもわかるようにWindows 11へアップデート可能だ。

 グラフィックスはプロセッサ内蔵、Intel UHD Graphics。外部出力用にMicro HDMIとUSB Type-Cを装備。ディスプレイは光沢ありの11.6型IPS式1,920×1,080ドット。10点タッチ対応で、360度回転し、テント/スタンド/タブレットモードにも変身できる。なおパネルもY11の色域NTSC 45%から72%へと良くなっている。

 ネットワークはWi-Fi 11ac対応、Bluetooth 4.2。有線LANはない。インターフェイスは、Type-C、Micro USB、SDカードスロット、Webカメラ、3.5mmジャック。USB Type-Aがないためちょっと使いにくいかもしれない。USB Type-CはPDおよびDisplayPortにも対応している(作動確認済み)。

 7,000mAhのバッテリを内蔵し、最大10時間駆動可能。カラーバリエーションはスペースグレイのみ。キーボードはUSレイアウトのみ。サイズは274×187×13mm(幅×奥行き×高さ)、重量約1kg。なお技適は取得しており、国内でも使用可能だ。

本体正面。Webカメラがパネル中央上ではなく右下にある。フチは太過ぎず細過ぎず
斜め後ろから。フルメタルのスペースグレイでなかなかカッコいい
左側面。3.5mmジャック、音量±ボタン、電源ボタン、小さい穴がマイクL、スピーカーL
右側面。電源入力、Type-C、Micro HDMI、マイクR、Micro USB、SDカードスロット、スピーカーR
キーボードはテンキーなしのUS配列。キートップがグレイに刻印が白なので見にくい(青のファンクションは更に見にくい)。タッチパッドはボタンのないプレート型
キーピッチは実測で約17mm(+α)。JIS配列でこのサイズだと確実に何処かが破綻するが、US配列なので綺麗に収まっている
底面は前後に4つのゴム足。技適マークもある。右上にある小さいパネルはSSD用(M.2/2242サイズ)で交換可能。交換してChrome OSのCloud Readyを入れるのも面白いかもしれない
横から。3.5mmジャックのサイズから分かるようにかなりスリム
重量は実測で1,063g
ACアダプタのサイズ約70×42×30mm(幅×奥行き×高さ、突起物含まず)、重量142g、出力12V/2A。各国用のプラグが付属する
テントモード
スタンドモード
タブレットモード

 筐体はフルメタル(アルミニウム合金)で質感も良くなかなかカッコいい。加えて横からの写真でわかるように結構スリムだ。重量も実測で1,063gと約1kgなので片手で楽々持ち上がる。価格の割に筐体は頑張っている2in1と言える。

 前面はフチは太過ぎず細過ぎず。Webカメラがパネル中央上ではなく右下にある。左側面に3.5mmジャック、音量±ボタン、電源ボタン、小さい穴がマイクL、スピーカーL。右側面に電源入力、USB Type-C、Micro HDMI、Micro USB、マイクR、SDカードスロット、スピーカーRを配置。

 裏は前後に4つのゴム足に技適マークもある。また手前にある小さいパネルを開けるとSSD(M.2/2242サイズ)があり交換可能。簡単に交換できるので、Chrome OSのCloud ReadyやLinuxなどSSDごとにインストールし、入れ替えて使えば楽しそうだ。

 付属のACアダプタはサイズ約70×42×30mm(幅×奥行き×高さ、突起物含まず)、重量142g、出力12V/2A。各国用のプラグが付属する。なおUSB Type-CはPD/DisplayPort対応だ。以前ご紹介したキーボード付きモバイルディスプレイで試したところ、USB Type-C/Type-Cケーブル1本で給電/ディスプレイそしてキーボード/タッチパッドも機能し、まるでノートPCが2台並んでいるような感じとなった。

 11.6型のディスプレイは360度回転し、テント/スタンド/タブレットモードに変形できる。明るさはそれなり。コントラスト、発色、視野角もこのクラスで考えるとなかなか優秀だ。10点タッチも問題なく操作できる。

 i1 Display Proを使い特性を測定したところ最大輝度は233cd/平方m。やはりあまり明るくない。写真を観るのに適していると言われる明るさ120cd/平方mは、最大から-3が142cd/m2、-4が118cd/m2。従って前者で計測。黒色輝度は0.206cd/平方m。リニアリティは輝度が上がるほどR/G/Bの差が広がる。補正前は結構青白い感じだった。

測定結果1/白色点と黒色輝度
測定結果2/R・G・Bのリニアリティ

 キーボードはテンキーなしのアイソレーションタイプでUS配列。キーピッチは約17mm(+α)。通常このサイズでJIS配置だとどこかの並びが破綻するが、US配列なので綺麗に収まっている。そろそろ国内向けもこれをベースにスペースキーだけ3分割(無変換/変換キー)して出荷して欲しいところ。ただしキートップがグレーに刻印が白(ファンクションキーは青)と、少し暗い場所だととにかく見にくい。ここは是非配色を変更するなど改善してほしい点だ。

 タッチパッドはボタンのないプレート型。フットプリント的に面積をあまり確保できないものの、実用上は十分だった。

 ノイズや振動は特になし。発熱はベンチマークテストなど負荷をかけると右半分に熱を持つ。ただ気になるほど熱くならず許容範囲だろう。サウンドは左右側面にスピーカーがあり、音が外に逃げるものの、その分、ステレオ感は十分ある。音質はかまぼこレンジでパワーも後一歩だが、このクラスにこれ以上は酷なところか。

 Webカメラを試したところ、場所がパネル右下にあるためローアングルになってしまい映りが悪い。また画質も昨今ではあまりみかけないほど良くなく、使えないと思った方がいいだろう。全体的に作りがいいだけに、ここはちょっと残念。

ネットアクセスなど軽い用途なら問題ないパフォーマンス

 初期起動時、スタート画面(タブレットモード)は1画面。とくにグループなど追加もなく素のWindows 10。デスクトップも同様だ。Celeron N5100/8GB/SSDなので爆速ではないが、ネット程度なら普通に操作可能だ。また必要に応じてWindows 11にアップデートできるものありがたい。

 ストレージはSSD 256GBの「SSD256GBS420」。C:ドライブのみの1パーティションで約225GBが割り当てられ空き194GB。CrystalDiskMarkのスコアからも分かるようにNVMeなど高速タイプではない。Wi-FiとBluetoothはRealtek製だ。主なプリインストール済のソフトウェアはOffice(使用するには契約中のアカウントが必要)とChrome。

スタートメニュー(タブレットモード)は1画面。Officeが入っているものの契約中のアカウントが必要
起動時のデスクトップ。壁紙などの変更は無し
デバイスマネージャ/主要なデバイス。ストレージはSSD 256GBの「SSD256GBS420」。Wi-FiとBluetoothはRealtek製
ストレージのパーティション。C:ドライブのみの1パーティションで約225GBが割り当てられている
Windows 11 Proへアップデート可能

 ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、CINEBENCH R23、CrystalDiskMark、PCMark 10/BATTERY/Modern Office。

 全ベンチマークのスコアからもわかるように、Celeronは世代が新しくなってもCeleron。Core iクラスと比較すると遅い。とはいえ旧世代からスコアが向上しているほか、Google Octane 2.0のスコアは25,175@Chromeとなっており、Webブラウザでサイトアクセスなどは特に問題ないレベルにある。この辺りは割り切って使うべきだろう。

 PCMark 10/BATTERY/Modern Officeは3時間6分(明るさ、バッテリモードなどはシステム標準)。短いのでバックライトを最小にして再測定したところ4時間52分となった。いずれにしても仕様上最大10時間に対して半分未満。約1kgでコンパクトなので外出用に使いたいところだが、この駆動時間だと厳しいと感じる人もいるかもしれない。

【表】ベンチマーク結果
PCMark 10 v2.1.2532
PCMark 10 Score2,287
Essentials5,578
App Start-up Score5,894
Video Conferencing Score5,681
Web Browsing Score5,184
Productivity3,344
Spreadsheets Score2,970
Writing Score3,766
Digital Content Creation1,741
Photo Editing Score2,320
Rendering and Visualization Score1,064
Video Editting Score2,138
PCMark 8 v2.8.704
Home Accelarated 3.02,364
Creative Accelarated 3.02,301
Work Accelarated 2.02,070
Storage4,857
3DMark v2.22.7334
Time Spy317
Fire Strike Ultra210
Fire Strike Extreme431
Fire Strike809
Sky Diver2,873
Cloud Gate4,934
Ice Storm Extreme30,272
Ice Storm37,181
CINEBENCH R23
CPU664 pts
CPU(Single Core)429 pts
CrystalDiskMark 6.0.0
Q32T1 シーケンシャルリード506.624 MB/s
Q32T1 シーケンシャルライト425.500 MB/s
4K Q8T8 ランダムリード198.256 MB/s
4K Q8T8 ランダムライト264.437 MB/s
4K Q32T1 ランダムリード195.355 MB/s
4K Q32T1 ランダムライト152.610 MB/s
4K Q1T1 ランダムリード19.418 MB/s
4K Q1T1 ランダムライト28.776 MB/s

 以上のようにBMAX「Y11 Plus」は、フルメタルボディに11.6型タッチ対応で360度回転するパネル、Celeron N5100/8GB/SSD 256GBを搭載した2in1だ。Windows 11 Proへアップデート可能やSSD交換できるのはポイントが高い。

 Celeronなのでハイパフォーマンスは期待できないものの、ネットアクセスなどちょい使いなら問題ないレベルで作動する。また(嫌な人も多いだろうが)US配列なのでJIS配列よりいろいろスッキリしているのもGoodだ。

 キートップの刻印が見にくく、バッテリ駆動時間が短いのは欠点だが、US配列でもいいので安くて軽く、カッコいい11.6型の2in1を探しているユーザーにお勧めしたいモデルと言えよう。