西川和久の不定期コラム

Ryzen 9 5950XとRTX 3090を搭載可能なパワフルなデスクトップ!「エプソン Endeavor Pro9050a」

Endeavor Pro9050a

 エプソンは9月22日、Ryzen搭載の「Endeavor Pro9050a」とCore X搭載の「Endeavor Pro9100」を発売した。今回は前者の、ほぼ最上位とも言える仕様のモデルが編集部から送られて来たので、試用レポートをお届けしたい。

フルカスタマイズ可能なパワフル・デスクトップPC

 「Endeavor Pro9050a」は、カスタマイズでさまざまな構成に可能だ。OSのWindows 10 Home/Proはもちろん、プロセッサにRyzen 5 5600X/Ryzen 7 5800X/Ryzen 9 5900X/Ryzen 9 5950Xが選択可能。

 ディスクリートGPUはGeForce GT 1030/GeForce GTX 1650/GeForce RTX 3060/GeForce RTX 3070/GeForce RTX 3080/GeForce RTX 3090/Quadro P620(*)/Quadro P1000(*)/Quadro RTX 4000から選べる。なお*印のあるものは在庫限りとなる。

 メモリは8GBから128GB。ストレージはSSD/HDDやRAIDをおり混ぜ5台。光学ドライブ。電源は650W/1,000Wなど。これだけ違うと重量はもちろん価格も大幅に変わる。

 今回手元に届いたのはほぼ最上位仕様と呼べる構成だ。価格も凄いが、後半のベンチマークテストでは凄まじいスコアを叩き出している。主な仕様は以下の通り。

エプソン「Endeavor Pro9050a」の仕様
プロセッサRyzen 9 5950X(16コア32スレッド/3.4~4.9GHz/キャッシュ 8MB, 64MB/TDP 105W)
メモリ64GB/PC4-3200 DDR4 SDRAM(32GB×2)/4スロット最大128GB
チップセットAMD B550
ストレージM.2 PCIe Gen4 x4 SSD 2TB、HDD 4TB
光学ドライブBlu-ray Discドライブ
OSWindows 10 Pro(64bit)
グラフィックスGeForce RTX 3090(24GB)/DisplayPort 1.4a×3、HDMI 2.1×1
ネットワークGbE
インターフェイスUSB 3.2 Gen2(Type-A×1,Type-C×1)、USB 3.2 Gen1(Type-A×6)、USB 2.0×3
拡張スロットPCI Express x16(Gen4)×1、PCI Express x4(Gen3)×1、PCI Express x1(Gen3)×3 (各ボード長312mmまで)
ドライブベイ3.5型HDD/2.5型SSD×4、5.25型×3、3.5型×1、M.2スロット×2
電源1,000W
サイズ/重量約216.8×498.7×470.8mm(幅×奥行き×高さ)/約16.2~17.1kg。
税込価格181,940円から(今回の構成で690,690円)

 プロセッサはZen 3アーキテクチャのRyzen 9 5950X。7nmプロセスで2020年11月5日にリリース。16コア32スレッド、L2キャッシュ8MB、L3キャッシュ64MB、TDP 105Wと強力なものだ。先にあげたSKUも含めiGPUは内蔵していない。チップセットはAMD B550。

 メモリはPC4-3200 DDR4 SDRAMの32GB×2で計64GB。4スロットあり最大128GBまで対応する。ストレージはM.2 PCIe Gen4 x4 SSD 2TBとHDD 4TB。Blu-ray Discドライブも搭載。OSは64bit版Windows 10 Pro。20H2だったのでこの範囲でWindows Updateを適応し評価した。

 グラフィックスは第2世代RTXアーキテクチャのAmpereを採用したNVIDIA GeForce RTX 3090(24GB)。CUDAコア10,496、ブーストクロック1.70GHz、メモリGDDR6X/24GBと非常に強力なdGPUだ。グラフィックスカード電力が350Wとこちらも凄い。外部出力用にDisplayPort 1.4a×3、HDMI 2.1×1を装備している。

 インターフェイスは、GbE、USB 3.2 Gen2(Type-A×1,Type-C×1)、USB 3.2 Gen1(Type-A×6)、USB 2.0×3。拡張スロットはPCI Express x16(Gen4)×1、PCI Express x4(Gen3)×1、PCI Express x1(Gen3)×3。なお各ボード長312mmまでとなる。ドライブベイは3.5型HDD/2.5型SSD×4、5.25型×3、3.5型×1、M.2スロット×2。電源は1,000W。GeForce RTX 3090のシステム電力要件が750Wなので標準の650Wから変更されている。

 サイズ約216.8×498.7×470.8mm(幅×奥行き×高さ)、重量約16.2~17.1kg。税込価格はWindows 10 Home/Ryzen 5 5600X/16GB(8GB×2)/1TB HDD/DVD-ROMドライブ/NVIDIA GeForce GT 1030 2GB/電源650Wの最小構成で181,940円。今回の構成だと690,690円となる。GeForce RTX 3090だけでも30万円超えるため(価格.com調べ)、高価とは言え、この価格になるのは仕方ないところ。

前面。フルタワーの筐体。赤のアクセントが映える
前面(アップ)。Blu-ray Discドライブ、電源ボタン、音声入出力、USB 2.0 Type-A、USB 3.2 Gen1(Type-A×2)
背面。右側面は中央辺りにある青いレバーでロックされているだけなので引くと簡単に外れる
背面(アップ)。USB 3.2 Gen2(Type-A×1,Type-C×1)、USB 3.2 Gen1(Type-A×2)、Ethernet、USB 3.2 Gen1(Type-A×2)、USB 2.0 Type-A×2、音声入出力
横から(左側)。プロセッサの冷却はファン式。ドライブベイもツールフリー。NVIDIA GeForce RTX 3090が巨大。手前も2つのバーで固定しているのがわかる
上側面にキャリングハンドル。これがないと設置が結構大変
内部(1/2)。M.2スロット、PCI Express x16(Gen4)×1、PCI Express x1(Gen3)×1、PCI Express x4(Gen3)×1、PCI Express x1(Gen3)×2。マザーボードはASUS APB550-TJ
内部(2/2)。プロセッサの手前にメモリスロット×4。32GB×2が実装済み
電源は1,000W
GeForce RTX 3090。ファンが3つで厚みは3スロット分。iPhone 13 Proとの比較からも分かるようにかなり大きい。出力はDisplayPort×3、HDMI×1
BIOS/EZ Mode(Boot時[Del]キーで表示)
BIOS/Advanced Mode

 筐体は写真からもわかるようにフルタワー。白ベースに赤のアクセントが映えるデザインとなっている。上部のキャリングハンドルは、これがないとサイズ約216.8×498.7×470.8mm(幅×奥行き×高さ)、重量約16.2~17.1kgを持ち上げたりするのに結構大変だ。

 前面はBlu-ray Discドライブ、電源ボタン、音声入出力、USB 2.0 Type-A、USB 3.2 Gen1(Type-A×2)。リアはUSB 3.2 Gen2(Type-A×1,Type-C×1)、USB 3.2 Gen1(Type-A×2)、Ethernet、USB 3.2 Gen1(Type-A×2)、USB 2.0 Type-A×2、音声入出力。Type-Cが1つなのは残念だが、主な用途のストレージが内部に搭載できるので特に問題にならないだろう。GeForce RTX 3090にDisplayPort×3、HDMI×1。

 左側面は背面中央あたりの青いバーでロックされており、引くだけで簡単に外すことができる。似たような仕掛けがドライブベイにも採用され、部分的にツールフリーとなっている。プロセッサの冷却はファン式だ。カスタマイズの項目を見る限り水冷式は未対応。手前にメモリスロットが4つあり、今回は32GB×2が実装済みで計64GB。

 GeForce RTX 3090はファンが3つ。厚みがあり3スロット占有する。iPhone 13 Proとの比較写真からも分かるように結構大きく、また重い。筐体への固定は手前側2つのバーで動かないようにしているのが分かる。

 拡張スロットはPCI Express x16(Gen4)×1、PCI Express x1(Gen3)×1、PCI Express x4(Gen3)×1、PCI Express x1(Gen3)×2。PCI Express x16(Gen4)の横にあるPCI Express x1(Gen3)とPCI Express x4(Gen3)×1はdGPUで塞がれるので実際は使えない。M.2スロットも隣接(写真には写っていないがもう1つのM.2スロットは拡張スロットの下側)。マザーボードは刻印よりASUS APB550-TJとなる。

 ノイズは通常用途だと構成の割には結構静かだ。足元に置く限り気にならないと思われる。とは言え、3DMarkなどでフルに負荷がかかると、ファンの数からしてそれなりのノイズが発生する。熱は主に背面側から出るものの少し暖かい程度だった。

凄まじい3DMarkのスコア!

 初期起動時、スタート画面(タブレットモード)はフルHDのディスプレイで1画面。「EPSONのお勧め」がプリインストールとなる。デスクトップは壁紙の変更のみとシンプル。流石にこれだけのスペックなので遅いはずもなく快適に作動する。ただ普通のアプリ程度では完全にオーバースペックだと思われる。

 ストレージはM.2 PCIe Gen4 x4 SSD 2TBのSamsung「MZVL22T0HBLB-00B00」。スペックによると、シーケンシャルリード7,000MB/s、シーケンシャルライト5,200MB/s。CrystalDiskMarkのスコアもほぼそのまま出ている。

 HDDは4TB/SATA 6Gbps/5,400rpm/256MBのSEAGATE「ST4000DM004」。SSDはC:ドライブのみの1パーティションで約1,906GBが割り当てられ空き1.8TB。HDDはD:ドライブのみの1パーティションで約3,726GBが割り当てられ全て空き。Blu-ray DiscドライブはPIONEER「BD-RW BDR-212M」。

 Wi-FiやBluetooth(カスタマイズで搭載可能)はなく、GbEはRealtek製。なおカスタマイズで10Gbitも選択可能だ。Windows 11に必要なTPM 2.0の項目も見える。GeForce RTX 3090は、CUDAコア10,496/メモリ24,576MB GDDR6Xなのがわかる。

スタート画面(タブレットモード)。フルHDのディスプレイで1画面。「EPSONのお勧め」がプリインストール
起動時のデスクトップは壁紙の変更のみ
デバイスマネージャ/主要なデバイス。ストレージはM.2 PCIe Gen4 x4 SSD 2TBのSamsung「MZVL22T0HBLB-00B00」と、HDD 4TBのSEAGATE「ST4000DM004」。Blu-ray DiscドライブはPIONEER「BD-RW BDR-212M」。GbEはRealtek製
ストレージのパーティション。SSDはC:ドライブのみの1パーティションで約1,906GBが、HDDはD:ドライブのみの1パーティションで約3,726GBが割り当てられている
NVIDIAコントロールパネル。RTX 3090は、CUDAコア10,496/メモリ24,576MB GDDR6X

 プリインストールのアプリケーションは、「CyberLink Power2Go 8」、「CyberLink PowerDVD 8」、「NVIDIA Control Panel」、「PCお役立ちナビ」、「ネットワーク診断ツール」、「システム診断ツール」など。最後3つが同社独自となる。

 この3つを試したところ、ネットワーク診断ツールのDNSがエラーになっているが、サイトなど普通にアクセスできるし、プロパティには8.8.8.8/8.8.4.4(Google Public DNS
)が設定されているので、なぜエラーになるか不明だ。

PCお役立ちナビ/Home
ネットワーク診断ツール
システム診断ツール

 ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、CINEBENCH R23、CrystalDiskMark。追加でGeekbench 5。

 まずCINEBENCH R23はCPU 25,228 pts(2位)/CPU(Single Core) 1,621 pts(1位)。言うまでもなく爆速。CPUのテストがあっと言う間に終わる感じだ。

 PCMarkも全体的に高スコアだが特にDigital Content Creationがかなり凄い。そして3DMarkは圧巻。Time Spyのデモが映画に見える(笑)。CrystalDiskMarkのスコアも結構速い。CPU、GPU、ストレージと、一般的なPCとは別次元のレベルでバランスしていることがわかる。

PCMark 10 v2.1.2523
PCMark 10 Score8,365
Essentials10,802
App Start-up Score15,933
Video Conferencing Score8,137
Web Browsing Score9,722
Productivity9,745
Spreadsheets Score11,691
Writing Score8,124
Digital Content Creation15,093
Photo Editing Score25,260
Rendering and Visualization Score20,100
Video Editting Score6,772
PCMark 8 v2.8.704
Home Accelarated 3.05,300
Creative Accelarated 3.06,727
Work Accelarated 2.05,965
Storage5,087
3DMark v2.20.7290
Time Spy18,171
Fire Strike Ultra12,498
Fire Strike Extreme22,989
Fire Strike39,237
Sky Diver93,811
Cloud Gate77,572
Ice Storm Extreme226,897
Ice Storm236,609
CINEBENCH R23
CPU25,228 pts(2位)
CPU(Single Core)1,621 pts(1位)
CrystalDiskMark 6.0.0
Q32T1 シーケンシャルリード6961.832 MB/s
Q32T1 シーケンシャルライト5123.913 MB/s
4K Q8T8 ランダムリード2692.187 MB/s
4K Q8T8 ランダムライト2538.695 MB/s
4K Q32T1 ランダムリード615.912 MB/s
4K Q32T1 ランダムライト582.536 MB/s
4K Q1T1 ランダムリード85.218 MB/s
4K Q1T1 ランダムライト217.011 MB/s

 Geekbench 5は、噂のM1 Maxとの比較したいと思い測ってみた。結果は以下の通り。SingleはM1 Maxの方が上だが、流石にMultiはコア数の違い、そしてGPUは貫禄の違い…と言ったところか。とは言え方や重量級のフルタワー、方や16型のノートPC。価格差も含め単純に比較できるものではないだろう。

Geekbench 5SingleMultiOpenCL
Ryzen 9 5950X+GeForce RTX 30901,68216,070213,624
MacBook Pro 16(M1 Max)1,77412,48848,548
※M1 MaxのスコアはGeekbench Browserより

 以上のようにエプソン「Endeavor Pro9050a」は、プロセッサにRyzen 5 5600X/Ryzen 7 5800X/Ryzen 9 5900X/Ryzen 9 5950Xを中核にして、メモリ、ストレージ、dGPUなど様々にカスタマイズできるデスクトップPCだ。税込価格は181,940円から今回のように70万円近くなる構成(以上)にまで対応する。

 試用した範囲でType-Cが1つ以外は特に気になるところもなく、Zen 3+dGPUで爆速なデスクトップPCを求めているユーザーにお勧めしたい1台だ。