西川和久の不定期コラム

Ryzen 9 4900Hを搭載したコンパクトなデスクトップPC!「CHUWI RZBOX」

CHUWI RZBOX

 CHUWIは9月7日、Ryzen 9 4900Hを搭載するミニPC「RZBOX」を予告。10月20日にクラウドファンディングを開始する予定で、現在事前登録キャンペーンを実施中だ。編集部から試作機が送られて来たので試用レポートをお届けしたい。

執筆時、事前キャンペーン実施中!

 執筆時(10月15日)、クラウドファンディングはまだ始まっておらず、ここでメールアドレスを登録すると早割価格案内および、製品の最新情報を受け取るができる。なお、クラウドファンディング開始は日本時間の10月20日22時を予定している。

事前キャンペーンサイト

 実際サイトにアクセスすると、プロセッサ、GPU、放熱性など、製品の特徴が記載されている。まずプロセッサがRyzen 9 4900H。その割にサイズが177×188×61mm(幅×奥行き×高さ)とコンパクトだ。

 ただまだ細かい部分が未定なのか、仕様表的なものはない。おそらく、メールを登録すれば送られて来るのだろう。現時点でわかっている主な仕様は以下の通り(デバイスマネージャから判明したものなども含む)。

CHUWI「RZBOX」の仕様
プロセッサAMD Ryzen 9 4900H(8コア16スレッド/3.3~4.4GHz/キャッシュ4MB、8MB/TDP 35~54W)
メモリ16GB/3200MHz,DDR4 SO-DIMM×2
ストレージSSD 512GB/M.2×2(1つ空き)
OSWindows 10 Home(64bit)
グラフィックスRadeon Graphics(8コア)、ミニD-Sub15ピン/HDMI 2.0/DisplayPort
ネットワークGigabit Ethernet×2、Wi-Fi 6対応、Bluetooth 5.2
インターフェイスUSB 2.0 Type-C×1、USB 2.0 Type-A×3、USB 3.0 Type-A×2、3.5mmジャック
サイズ/重量177×188×61mm(幅×奥行き×高さ)/1,334g(実測)
その他ベアボーンと16GB+512GBの2モデル
価格ベアボーン:499ドル、16GB+512GBモデル:649ドル

 プロセッサはZen 2アーキテクチャのRyzen 9 4900H。8コア16スレッドで、クロックは3.3~4.4GHz。キャッシュはL2:4MB/L3:8MB、TDPは35から54W。ベースクロックが3.3GHzと少し高めでハイパフォーマンスが期待できる。リリースは2020/3/16で7nmプロセス。

 メモリは8GB 3,200MHz/DDR4×2で計16GB。SO-DIMMスロットは2つ。ストレージはM.2 SSDで512GB。M.2スロットも2つある(内1つ空き)。OSは64bit版Windows 10 Home。21H1だったのでその範囲でWindows Updateを適応、評価した。

 グラフィックスはプロセッサ内蔵、Radeon Graphics。Vegaアーキテクチャベースで8コア。外部出力用にミニD-Sub15ピン、HDMI 2.0、DisplayPortを装備。同時出力可能だ。

 ネットワークはGigabit Ethernet×2、Wi-Fi 6対応、Bluetooth 5.2。その他のインターフェースはUSB 2.0 Type-C×1、USB 2.0 Type-A×3、USB 3.0 Type-A×2、3.5mmジャック。Gigabit Ethernetが2つあるのは面白いが、今時このクラスでType-CがUSB 2.0は残念なところか。SDカードスロットもない。

 サイズ177×188×61mm(幅×奥行き×高さ)。現在ベアボーンと16GB+512GBの2モデルを受付中だ。価格はベアボーンが499ドル、メモリ16GB+512GBモデルが649ドル。手持ちでパーツがあれば結構安くあげることが可能だ。

前面は電源ボタン、音声入出力、Type-C、Type-A
背面は電源入力、DisplayPort、HDMI、ミニD-Sub15ピン、USB 3.0 Type-A、Ethernet、USB 2.0 Type-A×2、USB 3.0 Type-A、Ethernet
横から(右側)。ゴム足と8つのネジ。ここと背面側の2つのネジを外せば内部にアクセスできるが、後者の一方が封印シールで塞がれているため、今回内部写真は見送った
ACアダプタ。サイズ約120×48×30mm、重量297g、出力19V/4.74A
重量は1,334g
iPhone 13 Proとの比較。IntelなどのNUCよりは大きいがそれでもコンパクト
BIOS/Main。起動時[DEL]キーで表示
BIOS/Advanced。fTPMの項目がある

 筐体はサンドブラスト仕上げのフルメタル製。写真からもわかるようになかなかカッコいい。サイズも177×188×61mm(幅×奥行き×高さ)とコンパクト。重量は実測で1,334g。縦置き、横置きどちらにも対応している。

 前面は電源ボタン、音声入出力、Type-C、Type-A。このUSBはどちらも2.0なのが少し残念。リアは電源入力、DisplayPort、HDMI、ミニD-Sub15ピン、USB 3.0 Type-A、Ethernet、USB 2.0 Type-A×2、USB 3.0 Type-A、Gigabit Ethernetを配置。

 右側面に横置き用のゴム足とネジ8本があり、背面のネジ2本と合わせて外せば内部にアクセスできる。側面は+だが、背面の2本は細い6角。これに対応するドライバを持ってない人もいると思うので、できれば簡易ドライバも付属して欲しいところか。試用機ではこの片方に封印シールがあったので編集部と相談した結果、内部写真は見送った。

 ACアダプタはサイズ約120×48×30mm、重量297g、出力19V/4.74Aと、それなりに大きい。サイトでは「バッグにサッと入れて気軽に持ち運べます」とあるものの、+ACアダプタ/ケーブルがあるので、その分嵩張る。

 発熱はこのクラスの割に特に気にならないレベル。内部(写真左側面)に冷却ファンがあり、ベンチマークテストなど負荷をかけると回り出す。

 BIOSはブート時、[DEL]キーで表示可能だ。BIOS/AdvancedにはfTPM(プロセッサによるTPM 2.0)の項目がある。TPM 2.0はWindows 11の要件で話題になったが、試しにMicrosoft純正のWindows 11互換チェッカーで確認したところOKだった。

PC正常性チェックはOK

Zen 2とは言えなかなかのパフォーマンス!

 初期起動時、スタート画面(タブレットモード)はフルHDのディスプレイで1画面。特に追加されたグループなどもない。デスクトップもWindows標準のままだ。高性能CPU、メモリ16GB、SSDということもあり作動は非常に快適だ。

 ストレージは「NS512GSSD530」。C:ドライブのみの1パーティションで約475.85GB割り当てられ空き444GB。Gigabit EthernetはRealtek製、Wi-FiとBluetoothはIntel製だ。Windows 11に必要なTPM 2.0もデバイスマネージャに項目がある。プリインストール済のソフトウェアは特になし。

スタート画面(タブレットモード)。フルHDのディスプレイで1画面。特に追加されたグループなどもない
起動時のデスクトップはWindows標準
デバイスマネージャ/主要なデバイス。ストレージは「NS512GSSD530」。Gigabit EthernetはRealtek製、Wi-FiとBluetoothはIntel製
ストレージのパーティション。C:ドライブのみの1パーティションで約475.85GB割り当てられている
AMD Radeon Software

 ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、CINEBENCH R23、CrystalDiskMarkを実施した。

 9月にZen 3アーキテクチャのRyzen 7 5800Uを搭載した「HP Pavilion Aero 13-be」をご紹介しているが、これと比較すると、CINEBENCH(CPU)はマルチはRyzen 9 4900Hの方が高いスコアだが、シングルではRyzen 7 5800Uの方が上だ。

 ほかのテストではDigital Content Creation以降やCreative Accelarated、3DMarkなど、この特性が活きそうな部分はRyzen 9 4900Hの方が上……とザックリこんな感じだろうか。

 なお、試作機でのTDPは35Wに設定されているが、量産ロットは45Wになるとのことで、スコアはさらに向上すると思われる。

【表】ベンチマーク結果
CHUWI RZBOXHP Pavilion Aero 13-be(参考)
PCMark 10 Score5,7485,806
Essentials9,69410,018
App Start-up Score12,65113,674
Video Conferencing Score8,4618,401
Web Browsing Score8,5138,754
Productivity8,3289,244
Spreadsheets Score10,14411,490
Writing Score6,8387,438
Digital Content Creation6,3855,736
Photo Editing Score9,4988,708
Rendering and Visualization Score6,4115,474
Video Editting Score4,2753,960
PCMark 8 v2.8.704
Home Accelarated 3.04,5934,547
Creative Accelarated 3.05,0464,400
Work Accelarated 2.05,3005,618
Storage5,0444,855
3DMark v2.20.7274
Time Spy1,441n/a
Fire Strike Ultra854704
Fire Strike Extreme1,6961,429
Fire Strike3,7273,182
Sky Diver13,63711,548
Cloud Gate23,63521,998
Ice Storm Extreme96,534107,830
Ice Storm113,556144,028
CINEBENCH R23
CPU10,530 pts8,006 pts
CPU(Single Core)1,284 pts1,391 pts
CrystalDiskMark 6.0.0
Q32T1 シーケンシャルリード2399.894 MB/s-
Q32T1 シーケンシャルライト1806.712 MB/s-
4K Q8T8 ランダムリード950.005 MB/s-
4K Q8T8 ランダムライト854.725 MB/s-
4K Q32T1 ランダムリード555.662 MB/s-
4K Q32T1 ランダムライト352.689 MB/s-
4K Q1T1 ランダムリード48.861 MB/s-
4K Q1T1 ランダムライト104.994 MB/s-

 最後にRyzen 7 5800Uを搭載した「HP Pavilion Aero 13-be」の時、Geekbench 5のスコアを取ったので追加テスト。結果は以下の通り。CPUに関しては上記と同じでシングルはRyzen 7 5800Uの方が少し上だが、マルチはRyzen 9 4900Hの方が大差で上。OpenCLほぼ互角となった。

 GPUに関してはZen 2とZen 3は同じVegaアーキテクチャベースで8コア。クロックが若干違う程度のなので(Zen 2の方が低い)、この結果は妥当なところだろう。

Geekbench 5Single-CoreMulti-CoreOpenCL
AMD Ryzen 9 4900H1,2347,71815,140
AMD Ryzen 7 5800U1,4365,87015,534

 以上のようにCHUWI「RZBOX」は、Ryzen 9 4900Hをサイズ177×188×61mm(同)のコンパクトな筐体へ収めたデスクトップPCだ。パフォーマンスもベンチマークの結果の通り。ベアボーンもあるので、手持ちのパーツがあれば安価にあげることもできる。

 唯一、Type-CがUSB 2.0なのは残念だが、コンパクトでパワフルのデスクトップPCを探しているユーザーに使って欲しい1台と言えよう。