西川和久の不定期コラム

Tiger Lakeを搭載した14型フルHDノートMSI「Prestige 14 Evo」

 MSIは10月29日、Tiger Lake搭載の14型モバイルノート3機種を発表した。今回はそのなかからPrestige 14 Evoが編集部から送られて来たので試用レポートをお届けする。

筐体がホワイトのTiger Lake搭載14型ノートPC

 Prestige 14 Evoシリーズは、「Prestige-14Evo-A11M-535JP」と「Prestige-14Evo-A11M-785JP」の2モデルあり、前者がCore i5-1135G7、後者がCore i7-1185G7を搭載。そのほかは筐体、パネル、メモリ/ストレージ容量などがすべて同じだ。

 前々回Core i5-1135G7を搭載したDell「Inspiron 13 7000(7036) 2-in-1」を試用してTiger Lakeの感触が良かったこともあり、「Core i7だとどうなのだろう」と思っていたところ、ちょうどいいタイミングでの試用となった。名前からもわかるようにEvoプラットフォーム対応機だ。おもな仕様は以下のとおり。

MSI「Prestige 14 Evo A11M 785JP」の仕様
プロセッサCore i7-1185G7(4コア8スレッド/最大4.8GHz/キャッシュ 12MB/cTDP down:12W(1.2GHz)/up:28W(3.0GHz))
メモリ16GB(LPDDR4X オンボード)
ストレージM.2 NVMe SSD 512GB
OSWindows 10 Home(64bit)
ディスプレイ14型フルHD(1,920×1,080ドット)、非光沢
グラフィックスIris Xe Graphics
ネットワークWi-Fi 6対応、Bluetooth 5.1
インターフェイスThunderbolt 4×2/Type-C、USB 2.0/Type-A、microSDカードスロット、Webカメラ(顔認証対応)、指紋センサー、音声入出力
その他Dock付属。Type-C(入力/出力)、microSD/SDカードスロット、Type-A×2、GbE、HDMI、音声入出力。キーボードバックライト
バッテリ/駆動時間リチウムイオン、52Whr、3セル、4,600mAh/最大12時間
サイズ/重量319×219×15.9mm(幅×奥行き×高さ)/1.29kg
販売価格16万9,800円

 プロセッサは第11世代Tiger LakeのCore i7-1185G7。4コア8スレッド。cTDPなのでシステムの設計によってベースクロックは1.2GHz(12W)から3.0GHz(28W)となる。後半のベンチマークテストでは結構なスコアが出ているので、おそらく3GHz駆動だと思われる(サイトの仕様にも3GHzの表記あり。最大は4.8GHz。キャッシュは12MB。

 メモリはLPDDR4X オンボードで16GB(PCMark 10のSystem Informaionでは2GB×8となっていた)、ストレージはM.2 NVMe SSD 512GB。OSは64bit版Windows 10 Homeを搭載している。

 グラフィックスはプロセッサ内蔵Iris Xe Graphics。外部出力用にThunderbolt 4と付属のDock側にHDMIを装備。ディスプレイは14型非光沢のフルHD(1,920×1,080ドット)だ。タッチには非対応。

 ネットワークはWi-Fi 6対応、Bluetooth 5.1とDock側にGigabit Ethernet。そのほかのインターフェイスは、Thunderbolt 4×2/Type-C、USB 2.0/Type-A、microSDカードスロット、Webカメラ(顔認証対応)、指紋センサー、音声入出力。加えて付属のDock側にType-C(入力/出力)、microSD/SDカードスロット、Type-A×2、音声入出力がある。キーボードはオフ~3段階のバックライトを搭載する。

 52Whr/3セル/4,600mAhリチウムイオンバッテリを内蔵し駆動時間は最大12時間。サイズ319×219×15.9mm(幅×奥行き×高さ)、重量1.29kg。カラーバリエーションはピュアホワイトのみ。価格は16万9,800円。内容を考えると妥当なところだと思われる。なおCore i5モデルだと約3万円ほど安いようだ。

パネル中央上に顔認証対応のWebカメラ。上左右はそれなりに狭額縁
斜め後ろから。天板は綺麗なホワイト。全体的に指紋跡が目立ちにくい
左側面。Type-C×2、ステータスLED。パネルは180度傾けることができる
右側面。Type-A、microSDカードスロット、音声入出力
キーボードはテンキーなしの日本語キーボード。[Enter]キーの外側にキーがあるのは好みがわかれるところ。タッチパッドの左上に指紋センサー
キーピッチ。実測で約19mm。[半角/全角]、[]、[ろ]、[無変換][変換]、右側の[Fn][Ctrl]などのピッチが狭くなっている
底面。前後にバー式のゴム足。手前左右のスリットにスピーカー
パネルの下が足代わりになり、キーボードが結構傾いているのがわかる
付属のACアダプタのサイズ約65×65×28mm(幅×奥行き×高さ)、重量216g。出力20V/3.25A、15V/3A、6V/3A、5V/3A
重量は実測で1,234g
キーボードバックライト。オフ+3段階。白いキートップなので、明るい場所でオンにすると刻印が見にくくなる
付属のドックのサイズ約95×48×10mm(同)、重量65gとコンパクト

 筐体はピュアホワイト。持ったときは結構軽く感じる。写真からはあまりガッチリしたようには見えないかも知れないが、MIL-STD 810G適合なので、その点は問題ない。また白なので指紋跡が目立たない。

 フロントはパネル中央上に顔認証対応Webカメラ。上左右はそれなりに狭額縁だ。左側面にType-C×2、ステータスLED。右側面にType-A、microSDカードスロット、音声入出力を配置。パネルは180度傾けることができ、また下の部分が足代わりになり、キーボード面が傾く仕掛けになっている。裏は前後に1本バー式のゴム足と、手前左右のスリットにスピーカーを備える。

 加えてサイズ約95×48×10mm(幅×奥行き×高さ)、重量65gのコンパクトなドックが付属し、Type-C(入力/出力)、microSD/SDカードスロット、Type-A×2、音声入出力、Gigabit Ethernet、HDMIを追加できる。これだけあれば、机の上で使うときはドック経由で各ケーブルを接続、Type-Cケーブル1本外せば、サクッと持ち出しでき便利だろう。

 付属のACアダプタはサイズ約65×65×28mm(同)、重量216g。出力20V/3.25A、15V/3A、6V/3A、5V/3A。USB PD式なので65Wの同タイプなら他社製でも利用可能だ。

 14型のディスプレイは、非光沢で映り込みが少ない。明るさ、コントラスト、発色、視野角も良好。

 i1 Display Proを使い特性を測ったところ、最大輝度284cd/平方m。写真の鑑賞/編集で最適とされる標準の明るさ120cd/平方mは、最大から-4が150cd/平方m、-5が119cd/平方mとなった。従って前者で計測している。黒色輝度は0.095cd/平方mで(目視可能かは別問題で)少し黒が浮く。リニアリティは、ほぼほぼ揃っているが、補正前は若干緑被りしていた。

測定結果1/白色点と黒色輝度
測定結果2/R・G・Bのリニアリティ

 キーボードはテンキーなしの日本語。オフ~3段階のバックライトを備えている。打鍵感はソフトながらストロークが深め、クリック感もあり悪くない。キーピッチは、主要どころは約19mm確保しているが、[半角/全角]、[]、[ろ]、[無変換]、[変換]、右側の[Fn]、[Ctrl]などのピッチが狭い。また[Enter]キーの外側にキーがあるのも好みが分かれそうだ。

 タッチパッドはボタンのない1枚プレート式。左上に指紋センサーがある。やや横に広く、その分、パームレストの面積が減っているものの、とくに使いにくくはなかった。

 振動やノイズは、ベンチマークなどCPUに負荷をかけて、キーボードに耳をつけると、若干ファンの風切り音がした。とは言え、通常の範囲ではまったく気にならない範囲だ。発熱はキーボード上のスペース及び、左側が若干暖かくなる程度だった。

 サウンドはEVOプラットフォームで「スピーカーの音圧レベルが78dB/50cm以上およびベース周波数が353Hz以下」と定義されており、測ったわけではないが、おそらくギリギリのレベルだろう。声の抜けなどはいいのだが、もう少しパワーが欲しいところ。スピーカーが裏にあるので、間接音として耳に届く。14型なので幅がある程度確保されステレオ感は十分ある。

Core i7 Tiger Lakeの実力はなかなかの性能

 初期起動時、スタート画面(タブレットモード)は1画面。2つあるMSIグループがプリインストールとなる。デスクトップは壁紙のみの変更とシンプルだ。Core i7、メモリ16GB、NVMe SSDなので、何をしても快適に運用できる。

 ストレージはM.2 NVMe SSD 512GBの「Phison 512GB S平方m80512GKBB4S」。CrystalDiskMarkのシーケンシャルリードで約5kMB/s、シーケンシャルライトで約2.5kMB/s出ており、結構速い。C:ドライブのみの1パーティションで約462GB割り当てられ空き約416GB。Wi-FiとBluetoothはIntel製、Dock搭載のGigabit EthernetはRealtek製だ。

スタート画面(タブレットモード)。2つあるMSIグループがプリインストール
起動時のデスクトップ。壁紙のみの変更とシンプル
デバイスマネージャ/主要なデバイス。ストレージはM.2 NVMe SSD 512GBの「Phison 512GB S平方m80512GKBB4S」。Wi-FiとBluetoothはIntel製、Dock搭載のGigabit EthernetはRealtek製
ストレージのパーティションはC:ドライブのみの1パーティションで約462GB割り当てられている

 おもなプリインストールのソフトウェアは、「AudioDirector for MSI」、「ColorDirector for MSI」、「MSI Center」、「PhotoDirector 10 Essential for MSI」、「PowerDirector 10 Essential for MSI」など。

 MSI Centerは、パフォーマンス調整やリソースの最適化、システム診断などが行なえるシステムユーティリティだ。なお1回目の起動はインストールとなり、管理者権限で実行する必要がある。

MSI Center / Home
MSI Center / User Scenario
MSI Center / System Info
MSI Center / System Diagnosis

 ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、Cinebench R20、CrystalDiskMark、PCMark 10/BATTERY/Modern Office。

 冒頭で少し触れたがCore i5-1135G7を搭載したDell「Inspiron 13 7000(7036) 2-in-1」のスコアと比べて、全スコアで勝っている。Cinebench R20のSingle Coreも567 ptsと、執筆時点では1位だ。3DMarkもiGPUとしては高速。すべてにおいて高性能でかつ、バランスの良い結果となっている。

 PCMark 10/BATTERY/Modern Officeは9時間1分(キーボードバックライトOFF。明るさ、バッテリモードなどはシステム標準)。EVOプラットフォームの要件9時間以上は満たしているが、仕様では最大12時間なので少し短めだろうか。

PCMark 10 v2.1.2506
PCMark 10 Score4,886
Essentials10,012
App Start-up Score13,103
Video Conferencing Score8,377
Web Browsing Score9,144
Productivity6,329
Spreadsheets Score5,940
Writing Score6,745
Digital Content Creation4,997
Photo Editing Score8,288
Rendering and Visualization Score3,020
Video Editting Score4,988
PCMark 8 v2.8.704
Home Accelarated 3.04,515
Creative Accelarated 3.04,805
Work Accelarated 2.03,154
Storage5,094
3DMark v2.15.7078
Time Spy1,839
Fire Strike Ultra1,331
Fire Strike Extreme5,239
Fire Strike3,782
Sky Diver14,749
Cloud Gate19,969
Ice Storm Extreme83,979
Ice Storm97,183
Cinebench R20
CPU2,337 pts(8位)
CPU(Single Core)567 pts(1位)
CrystalDiskMark 6.0.0
Q32T1 シーケンシャルリード4927.584 MB/s
Q32T1 シーケンシャルライト2527.199 MB/s
4K Q8T8 ランダムリード1389.653 MB/s
4K Q8T8 ランダムライト2200.202 MB/s
4K Q32T1 ランダムリード703.150 MB/s
4K Q32T1 ランダムライト623.144 MB/s
4K Q1T1 ランダムリード56.393 MB/s
4K Q1T1 ランダムライト251.086 MB/s

 以上のようにMSIの「Prestige 14Evo A11M 785JP」は、Tiger LakeのCore i7-1185G7を搭載した14型のノートPCだ。メモリ16GB、ストレージもNVMe SSD 512GBと容量は十分、趣味でも仕事でも快適にこなすことができる。付属のDockもなかなか便利そうだ。

 本文にあげたように、キーボードに一部にクセがあるものの、ほかの部分はとくに気になる部分もなく、Tiger Lake搭載の14型ノートPCを探しているユーザーにおすすめできる1台と言えよう。