西川和久の不定期コラム
6コアCore i7とGeForceを搭載した高性能な15.6型ノート「dynabook C8」
2020年4月9日 11:00
Dynabook株式会社は3月4日、従来のTシリーズから光学ドライブを排除し、狭額縁化で小型化を図った「dynabook C8」を発表、3月13日より販売を開始した。編集部から実機が送られて来たので試用レポートをお届けしたい。
6コア/12スレッドのCore i7やGeForce MX250、Optane メモリーを搭載
従来モデルのTシリーズは、同じ15.6型でも狭額縁ではなく、光学ドライブを搭載していた。T6だとサイズ約379×258×23.7mm(幅×奥行き×高さ)で重量約2.4kgだったが、C8は約361×244×19.9mm(同)、重量約1.84kgと、フットプリントが小さくなり厚みも減り、1kg台まで軽くなっている。
加えて6コア/12スレッドのComet Lake世代のCore i7、GPUはディスクリートのGeForce MX250、ストレージはOptane メモリーH10という構成だが、興味深いのは量販店モデルでメモリを16GBも搭載していることだ。少し割高になるかもしれないが、国産メーカーの店頭モデルで8GBのものが多いなかで、強力な1台と言えるだろう。
おもな仕様は以下のとおり。
【表1】dynabook C8の仕様 | |
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プロセッサ | Core i7-10710U(6コア12スレッド/1.1GHz~4.7GHz/キャッシュ 12MB/TDP 15W) |
メモリ | DDR4-2666 16GB(8GB×2) |
ストレージ | OptaneメモリーH10(32GB Optaneメモリー+512GB PCIe QLC SSD) |
OS | Windows 10 Home |
ディスプレイ | 15.6型フルHD(1,920×1,080ドット)、IGZO非光沢液晶 |
グラフィックス | Intel UHD Graphics + GeForce MX250(2GB) |
ネットワーク | Gigabit Ethernet、IEEE 802.11ax(Wi-Fi6)対応、Bluetooth 5.0 |
インターフェイス | USB 3.0×3、USB Type-C(DisplayPort Alt Mode対応)、HDMI、約200万画素Webカメラ、SDカードリーダ、音声入出力 |
バッテリ駆動時間 | 約13.5時間(リチウムポリマー) |
カラーバリエーション | スタイリッシュブルー、リュクスホワイト |
その他 | Microsoft Office Home & Business 2019、無線マウス付属 |
サイズ | 約361×244×19.9mm(幅×奥行き×高さ) |
重量 | 約1.84kg |
税別店頭予想価格 | 21万円前後 |
プロセッサは第10世代のComet LakeのCore i7-10710U。6コア/12スレッドで、クロックは1.1GHzから最大4.7GHz。キャッシュは12MBでTDPは15Wとなる。モバイル用SKUとしてはなかなか強力だ。メモリはDDR4-2666 8GB×2の計16GB。本体裏の写真をご覧いただきたいが、小さいパネルを開けるとメモリスロットにアクセスできる。最近のノートPCとしては結構めずらしい仕様だ。ただすでに2スロットが埋まっている状態だ。
ストレージはIntel OptaneメモリーH10。これも少し変わった構成のSSDだ。Optaneメモリーは以前HDDと組み合わされていたが、OptaneメモリーH10では3DXpoint技術による32GBのOptaneメモリーとQLCの512GB PCIe SSDが使われている。巨大なメモリキャッシュを持ったSSDと言ったところか。OSは64bit版Windows 10 Home。
グラフィックス機能は、プロセッサ内蔵のIntel UHD Graphicsに加え、PascalアーキテクチャのGeForce MX250(2GB)を搭載している。外部出力用にHDMIとUSB Type-C(DisplayPort Alt Mode対応)を装備。ディスプレイは、15.6型非光沢のIGZO液晶ディスプレイを採用。解像度はフルHD(1,920×1,080ドット)。タッチ操作には非対応だ。
ネットワーク機能は、Gigabit Ethernet、Wi-F i6(IEEE 802.11ax)対応、Bluetooth 5.0。そのほかのインターフェイスは、USB 3.0×3、約200万画素Webカメラ、SDカードリーダ、音声入出力。WebカメラはWindows Helloによる顔認証に対応する。
カラーバリエーションは、スタイリッシュブルー、リュクスホワイトの2色。Microsoft Office Home & Business 2019と、無線式のマウスが付属し、税別店頭予想価格は21万円前後となる。Office分を引くと、20万円を切るので、内容を考えればそれほど高くない印象だ。
手元に届いたのはリュクスホワイトで、テンキーつきのオーソドックスな15.6型だが、薄型で狭額縁と最近のトレンドに沿った作りになっている。写真からではわかりにくいが、天板とパームレストには薄くドット(ひし形)のような模様が施されている。
パネル中央上にWindows Hello対応のWebカメラ。上左右が狭額縁だ。左側面にGigabit Ethernet、HDMI、USB 3.0×2、USB Type-C、音声入出力。右側面にロックポート、USB 3.0、SDカードリーダを配置。裏は手前左右のスリットにスピーカー、前後に1本バータイプの足。そして小さいパネルを開けるとメモリスロットにアクセスできる。
ACアダプタはサイズ約85×50×27mm(同)、重量220g、出力19V/3.42A。バッテリ駆動時間の約40%を30分で充電できる「お急ぎ30分チャージ」対応だ。無線式マウスは単4形乾電池1本で動作する。
15.6型IGZO液晶ディスプレイは、明るさ、コントラスト、発色、視野角すべて良好。明るくて鮮やか。最大だとまぶしいほどだ。とにかくこのパネルだけで、他社の同クラスとは一線を画す。加えて非光沢なので見やすい。パネルの傾きは写真が最大となる。
キーボードはテンキーつきのアイソレーションタイプで105キー(JIS配列準拠)。主要キーのキーピッチは実測で約19mm、仕様上は18.7mmで、キーストロークは1.5mm。いびつな並びや特別ピッチのせまいものはないが、個人的にはカーソルキーが小さいのが気になった。また中央を強めに押すと若干たわむ。タッチパッドは物理的なボタンのない1枚プレート式。パームレストも十分広く快適に操作できる。
試用した範囲でノイズや振動はとくに感じなかった。発熱はベンチマークテストなど負荷をかけると、キーボード上側のスペース、おもに中央から左側が熱を持つものの、パームレストまでは降りてこない。
サウンドは、スピーカーが裏にあり、机などに反射して前に出るタイプだ。音質的にはステレオ感はあるが、中域中心でいかにもノートPCっぽく、パワーも今一歩と言ったところ。
ベンチマーク結果は好成績
初回起動のスタート画面(タブレットモード)は1画面。Dynabookグループがプリインストールとなる。デスクトップは、壁紙の変更と「ウイルスバスタークラウドの購入と表示」のショートカットのみ追加とシンプルだ。この赤い壁紙はIGZO液晶ディスプレイではとても映える。動作速度は快適だ。
おもなプリインストールアプリは、「CyberLink ColorDirector/PhotoDirector/PowerDirector/Screen Recorder」、「dynabookお客様登録」、「dynabookサポートユーティリティ」、「dynabookスマートフォンリンク」、「dynabookリカバリーメディアクリエーター」、「ExpressVPN」、「i-フィルター6.0」、「LoiLoScope 2.0」、「PC引越ナビ」、「sMedio TrueLink+ Phone」、「TruRecorder」、「TVコネクトスイート」、「アプリケーションの再インストール」、「あんしんWeb」、「ウイルスバスタークラウド」、「おたすけナビ」、「思い出フォトビューア」、「思い出フォトビューア クッキングプラス」、「パソコンで見るマニュアル」、「バックアップナビ クラウド」、「ぱらちゃん」、「ぱらちゃんカフェ」、「筆ぐるめ27」、「ポコ★タイピング」、「Microsoft Office Home & Business 2019」などたくさん用意されている。
ここのところ同社のPCを何度か扱っていることもあり、以下の画面キャプチャはこれまで掲載していないものを中心とした。少し気になるのはモデルのポジショニングなど無関係に同じアプリケーションが多く入っていることだ。しかも子供っぽいのがいくつもある。ファミリー向けとしても考えられているということだろうか。
使用したベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、CINEBENCH R20、CrystalDiskMark、PCMark 10/BATTERY/Modern Office。結果は以下のとおり。
【表2】ベンチマーク結果 | |
---|---|
PCMark 10 v2.1.2177 | |
PCMark 10 Score | 3,775 |
Essentials | 7,121 |
App Start-up Score | 8,587 |
Video Conferencing Score | 6,449 |
Web Browsing Score | 6,522 |
Productivity | 6,455 |
Spreadsheets Score | 7,271 |
Writing Score | 5,732 |
Digital Content Creation | 3,178 |
Photo Editing Score | 4,135 |
Rendering and Visualization Score | 2,059 |
Video Editting Score | 3,772 |
PCMark 8 v2.8.704 | |
Home Accelarated 3.0 | 3,644 |
Creative Accelarated 3.0 | 3,773 |
Work Accelarated 2.0 | 5,100 |
Storage | 5,025 |
3DMark v2.11.6866 | |
Time Spy | 1,295 |
Fire Strike Ultra | 501 |
Fire Strike Extreme | 1,775 |
Fire Strike | 3,517 |
Sky Diver | 11,760 |
Cloud Gate | 14,756 |
Ice Storm Extreme | 79,770 |
Ice Storm | 72,484 |
CINEBENCH R20 | |
CPU | 1,427 pts |
CPU(Single Core) | 349 pts |
CrystalDiskMark 6.0.0 | |
Q32T1 シーケンシャルリード | 2,464.306 MB/s |
Q32T1 シーケンシャルライト | 1,280.500 MB/s |
4K Q8T8 ランダムリード | 752.126 MB/s |
4K Q8T8 ランダムライト | 634.860 MB/s |
4K Q32T1 ランダムリード | 420.945 MB/s |
4K Q32T1 ランダムライト | 297.439 MB/s |
4K Q1T1 ランダムリード | 180.795 MB/s |
4K Q1T1 ランダムライト | 146.044 MB/s |
PCMark 10/BATTERY/Modern Office | |
6時間50分(明るさ、バッテリモードなどはシステム標準) |
全般的に6コア/12スレッドのCore i7だけあって高スコアだ。またストレージも結構速い。ディスクリートGPUを搭載しているだけあって高性能。バッテリ駆動時間はシステム標準設定で6時間50分だった。仕様上約13.5時間なのでかなり短い。ただしディスプレイは下げてもいいのではと思うほど明るく、実用の設定と使い方ではもっと動作するはずだ。おもに室内での利用が多いと思われるのでとくに問題はないだろう。
以上のようにdynabook C8は、6コア/12スレッドのCore i7-10710Uプロセッサ、メモリ16GB、Optane メモリーH10、そしてGeForce MX250を搭載した15.6型ノートPCだ。おそらく店頭で販売されているスタンダードなノートPCとしてはかなり高性能な機種となるだろう。オーソドックスなテンキーつき高性能ノートを探しているユーザーに使ってほしい1台だ。