西川和久の不定期コラム
38,800円のAndroidスマホ「moto g8 Plus」をレビュー。3カメラ搭載で超広角動画対応
2020年2月25日 11:00
モトローラ・モビリティ・ジャパンは2月25日、Androidスマートフォン「moto g8 Plus」を発表。3月16日に発売する。Motoストアでの直販価格は38,800円。名前のとおり8世代目に相当する製品だ。今回はmoto g8 plusを事前に使う機会を得たので試用レポートをお届けしたい。
Snapdragon 665搭載のミドルレンジスマホ
motoシリーズは初代が2013年に発売されており、結構長い歴史がある。またg4以降はファミリーとして複数モデルを展開するようになった。そして、近年のmoto gシリーズは、使用者が近づくと通知を表示する「motoディスプレイ」、持ち上げて着信音を停止するといった「motoアクション」を搭載しているのが特徴だ。
【表】moto g8 Plusの仕様 | ||
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SoC | Snapdragon 665(4コア/2GHz、4コア/1.8GHz | |
GPU | Adreno 610 | |
メモリ | 4GB | |
ストレージ | 64GB | |
OS | Android 9 | |
ディスプレイ | 6.3型IPS式フルHD+(2,280×1,080ドット、400ppi) | |
ネットワーク | IEEE 802.11ac、Bluetooth 5 | |
SIM | Nano SIMスロット×2 | |
対応バンド | 4G : B1/B2/B3/B4/B5/B7/B8/B18/B19/B20/B26/B28/B38/B40/B41 3G : B1/B2/B4/B5/B8/B19(B6含む) 2G : 850MHz/900MHz/1,800MHz/1,900MHz | |
インターフェイス | USB Type-C、NFC、3.5ミリジャック、microSDスロット(Nano SIMカードスロット1基と排他)、ステレオスピーカー | |
センサー | 指紋認証、加速度計、ジャイロスコープ、コンパス、近接センサー、環境照度センサー | |
カメラ | 前面 : 2,500万画素(F2.0、ディスプレイフラッシュ) 背面 : 4,800万画素(メイン、F1.7)、500万画素(深度センサー)、1,600万画素(広角117度、動画のみ)、TOF(Time Of Flight)カメラ、8倍デジタルズーム、LEDフラッシュ | |
バッテリ | 4,000mAh | |
サイズ | 約75.8×158.4×8.27mm(幅×奥行き×高さ) | |
重量 | 約188g | |
カラーバリエーション | コズミックブルー、ポイズンベリー | |
Motoストア価格 | 38,800円 |
SoCはQualcomm Snapdragon 665。4コア/2GHz、4コア/1.8GHzのオクタコアCPUで、GPUにAdreno 610を内包している。ミドルレンジクラスのSKUだ。メモリは4GB、ストレージは64GBであり、今時のスマートフォンとしてはひかえめのスペック。OSはAndroid 9だが、後日Android 10へのアップデートを提供予定。
ディプレイは6.3型IPS式フルHD+(2,280×1,080ドット)で400ppi。ネットワーク機能はIEEE 802.11ac対応、Bluetooth 5。SIMはNano SIM×2。対応バンドは上記の表のとおり。
インターフェイスは、USB Type-C、3.5mmジャック、microSDスロット(Nano SIMカードスロット1つと排他)、ステレオスピーカー。センサーは、指紋認証、加速度計、ジャイロスコープ、コンパス、近接センサー、環境照度センサーを搭載する。
カメラは、前面2,500万画素(F2.0、ディスプレイフラッシュ)。背面4,800万画素(メイン、F1.7)、500万画素(深度センサー)、1,600万画素(広角117度、動画のみ)、TOF(Time Of Flight)カメラ、8倍デジタルズーム、LEDフラッシュ。広角117度の超広角は動画(アクションカメラ)のみで使用できる。
サイズは約75.8×158.4×8.27mm(幅×奥行き×高さ)、重量約188g。カラーバリエーションは、コズミックブルーとポイズンベリーの2色。4,000mAhのバッテリを内蔵し、Motoストア価格は38,800円。内容を考えるとなかなかリーズナブルと言えよう。
今回手元に届いたのはコズミックブルー。深いブルーで質感も含め高級感があり、4万円未満のスマートフォンとしてはかなり良い筐体だ。サイズ感はiPhone Xとの比較写真を掲載したので参考にしていただきたいが、パネルサイズの分が大きく、また若干厚みもある。重量は実測187gでクラス相応。
パネル中央上に小さめのノッチがあり、ナビゲーションバーはソフトウェア式だ。狭額縁に近い設計だが、持った手で画面が隠れるほどではない。
背面の左上にレンズ群がある。Mの部分が指紋センサーだ。左側面にSIMカードスロット、下側面にType-C。右側面に音量±ボタンと電源ボタン、上側面に3.5mmヘッドフォンジャックを配置。SIMスロットは奥がSIM1/手前がSIM2+microSD。
付属品は、ケース、USBケーブル、ACアダプタ、イヤフォン、イジェクトピン。なおACアダプタは、独自のTurboPower充電に対応し、15分間の充電で約8時間駆動させることが可能だ。出力は、5V/3A、9V/2A、12V/1.5A。
ディスプレイは、6.3型IPS式フルHD+(2,280×1,080ドット)。明るさ、コントラスト、発色、視野角すべて良好。OLEDを見ないかぎりまったく問題ない。加えて400ppiということもあり、ジャギーなどは皆無だ。
発熱は試用した範囲ではまったく問題にならないレベルだった。サウンドは、スピーカーがステレオで加えてDolby Audio搭載。このクラスとしてはかなりパワーがあり大迫力で再生し、ステレオ感も十分。これだけ鳴りっぷりのいいスマートフォンはひさびさのような気がする。
反面イヤフォン出力は、最大にしてもパワー不足。鳴りっぷりもスピーカーほどではない。音にこだわるのであればBluetoothのコーデックがSBC/AAC/aptX(HD/Adaptiveオーディオ)/LDACに対応しているので、こちらを経由したほうがいいだろう。ワイヤレスイヤフォンの左右へ同時に独立して信号を伝送するaptX TWS Plusオーディオにも対応している。
ナイトビジョンが印象的な背面カメラ
カメラは背面が、4,800万画素(メイン、F1.7)、500万画素(深度センサー)、1,600万画素(広角117度、動画のみ)、TOFカメラ。LEDフラッシュを搭載し、8倍デジタルズームに対応。最大出力解像度は4,000×3,000ピクセル。写真からもわかるように3つのレンズ(+レーザーオートフォーカス)で構成されている。前面は、2,500万画素(F2.0、ディスプレイフラッシュ)だ。
写真モードは、通常のオート/マニュアルに加え、ポートレート、カットアウト、スポットカラー、ナイトビジョン、Cinemagraph、パノラマ、ライブフィルタ。ポートレートはボケ具合やライティングも設定でき、編集時にもピント/ボケ味が調整可能だ。
オートモードは、上にHDR/フラッシュ/タイマー/アクティブフォト、マニュアルモードは、フラッシュ/タイマー/JPEG or RAW(DNG) or JPEG + RAWが並んでいる。またカメラアイコンの左にナイトビジョンのアイコンがあるが、これは直近に使用したモードのアイコンとなる。シャッターボタンの右にあるのはGoogleレンズ。
マニュアルは、WB: 2,457K~7,500K、シャッタースピード: 1/6,000~1/3秒、ISO: 100~3,200、露出補正: ±2に対応する。
動画モードは、スローモーション、タイムラプス、ARステッカー。録画ボタンの左横にあるアイコンが超広角アクションカメラへの切替だ。通常の広角だと写真モードと同じく、全画面に表示するが、超広角アクションカメラにするとご覧のように縦位置で中央付近の横表示となる。またこのとき、カメラを横位置で持つと、縦位置で持つように表示が出る。
設定は背面が、写真サイズ(4:3/16:9/19:9、12MP/8MP)、ビデオサイズ(4K UHD/4K UHD 19:9/フルHD 60fps/フルHD/フルHD 19:9/HD)、アクションカメラのビデオサイズ(フルHD 60fps/フルHD/フルHD 19:9/HD)、スローモーションのサイズ(フルHD 120fps/HD 240fps)。前面が写真サイズ(4:3/16:9/19:9、25MP/6MP)、ビデオサイズ(フルHD/フルHD 19:9/HD)、HDR、ミラー表示。その他、撮影時の設定や、スマート構図などのAI設定となる。
背面メインセンサー自体は4,800万画素なのだが、記録サイズは1,200万画素となっている。これは4ピクセルを1画素として扱う「クアッドピクセルテクノロジー」と呼ばれているもので、高画質や低照度でもクリアな画像などが期待できる。
カメラの動作自体は、起動、オートフォーカス(AF)は速いものの、書き込みが気持ちかかるのか、連続してシャッターボタンを押そうにも一瞬待たされる感じだ。また操作もほかの一般的なスマートフォンとは違って、左端を上下にスライド、もしくはピンチイン/アウトでズーム、ピント指定後、右端を上下にスライドすると露出補正となる。
作例を20枚掲載したので参考にしていただきたい。基本オートで日中のボトルと恐竜のようなオブジェはポートレート、夜景はすべてナイトビジョン。AIシーン認識に対応しているため暗いと多くの場合で自動的にナイトビジョンへ切り替わる。
日中に関しては割と素直であたりさわりのない絵に仕上がっているが、ナイトビジョンは結構ドラマティックな雰囲気になるケースがある。とくに1枚目と最後はその傾向が強い。どんな感じで写るのか出たとこ勝負でいろいろ撮ってみるのも楽しいだろう。
動画の作例は掲載していないが、少し試したところ超広角アクションカメラは画角が広く、またスタビライザーの効きがすごいのか手ぶれしないどころの話ではなく、ものすごくスムーズに撮ることができる。超広角がアクションカメラのみなのは残念だが、比較的安価で写真も動画も両方楽しみたいユーザーには今のところベストチョイスかもしれない。
素のAndroidに近いUI
初回起動時、ストレージは64GB中21%が使用中だった。OSはAndroid 9。IMEは「Gboard」がインストールされている。同社は以前から“Androidピュア”を謳っており、本機もそれに沿ったかたちで、若干のアプリ追加程度の構成だ。
上から下へのスワイプで通知パネル、下から上のスワイプでアプリ一覧。壁紙を長押しでホームの設定/ウィジェット/壁紙。画面分割にも対応。
Home画面は2画面。Dockに「電話」、「メッセージ」、「Chrome」、「Google」、「カメラ」。1画面目に「Google」フォルダ、「Duo」、「Moto」、「フォト」、「Playストア」。2画面目に「設定」と「ニュース」を配置。Googleフォルダには、「Gmail」、「マップ」、「YouTube」、「ドライブ」、「Play Music」、「Playムービー&TV」、「カレンダー」、「ドキュメント」、「スプレッドシート」、「スライド」。
アプリは、「カメラ」、「カレンダー」、「スプレッドシート」、「スライド」、「デバイスのヘルプ」、「ドキュメント」、「ドライブ」、「ニュース」、「フォト」、「マップ」、「メッセージ」、「時計」、「設定」、「電卓」、「電話」、「壁紙」、「連絡帳」、「Chrome」、「Dolby Audio」、「Duo」、「Facebook」、「Files」、「FMラジオ」、「Gmail」、「Google」、「Moto」、「Playストア」、「Plau Music」、「Playムービー&ビデオ」、「YouTube」。Google標準アプリにMotoアプリなど追加したかたちとなる。
Motoアプリは以前からmoto gシリーズに搭載している同社独自アプリで、MotoディスプレイやMotoアクションなどを設定する。これらの対応度はモデルによって異なるが、本機では「Motoディスプレイ」、「親切ディスプレイ」、「ピークディスプレイ」に対応。Motoアクションは、「カメラ起動」、「LEDライト点灯」、「ワンボタンナビ」、「片手操作切換」、「持ち上げて着信音停止」、「伏せて置いて無音化」、「メディアコントロール」、「3本指でスクリーンショット」、「スクリーンショットエディター」に対応している。
ウィジェットは、「カレンダー」、「スプレッドシート」、「スライド」、「ドキュメント」、「ドライブ」、「マップ」、「時計」、「時刻と天気」、「設定」、「連絡帳」、「Chrome」、「Gmail」、「Google」、「Googleニュース」、「Google Play Music」が用意されている。
ミドルレンジとしては一般的な性能
ベンチマークテストは簡易式だが「AnTuTu Benchmark」と「Google Octane 2.0」を使用した。AnTuTu Benchmarkは174,229で60位。Octane 2.0は9,343。ミドルレンジとしては一般的なスコアだ。とくに速くも遅くもないが、普通のアプリであればストレスなく操作できるレベルである。
バッテリのベンチマークテストは、輝度/音量50%、Wi-Fi経由でフルHD動画の全画面連続再生を行なったところ、約17時間で電源が落ちた。バッテリ容量が4,000mAhということもあり、少し長めだ。
以上のように、「moto g8 Plus」は、Snapdragon 665、メモリ4GB、ストレージ64GB、6.3型IPS式フルHD+(2,280×1,080ドット)、Android 9を搭載したスマートフォンだ。クアッドピクセルテクノロジーを採用した背面カメラの写りは良好。また超広角アクションカメラもなかなかの性能だ。
さすが第8世代だけあってとくにこれと言って弱点もなく、税込みで4万円未満のミドルレンジスマートフォンとしては、良く作り込まれている印象を受ける。ハイエンドクラスの性能は必要なく、コストを抑えてでオールマイティなスマートフォンを探しているユーザーに試してほしい1台と言えよう。