西川和久の不定期コラム

着席するだけでスタンバイから復帰する便利な2in1「Latitude 7400 2-in-1」をテスト

 デル株式会社は3月28日、Whiskey Lake-Uを搭載し、13.3型のフットプリントで14型のパネルを採用する2in1「Latitude 7400 2-in-1」を発表した。編集部から実機が送られて来たので、試用レポートをお届けしたい。

13.3型のフットプリントで14型を搭載した2in1

 今回ご紹介する「Latitude 7400 2-in-1」は、ヒンジが360度回転し、クラムシェル、タブレット、テント、スタンドモードに変身可能な2in1。狭額縁により、13.3型のフットプリントで14型のパネルを採用し、従来同社の狭額縁モデルではWebカメラが下にあったのを、カメラの小型化により上の額縁へ配置したのが最大の特徴だ。

 従来モデルのワンサイズ下のフットプリントでより大きなパネルを採用する流れは、同社に限らず他社でも最近見かけるパターンだ。たとえば13.3型「Latitude 7390 2-in-1」の305.1×210mmと比較して「Latitude 7400 2-in-1」は319.77×199.9mm。面積は64,071平方mm対63,922平方mmとなり、14型搭載だけでなく、フットプリントが狭くなっているのがわかる。

 額縁にカメラが入らず、下へ配置するとローアングルになってしまうため、顔などの写り(見栄え?)が悪くなる。それを避けるため、今回のモデルではカメラの小型化で上へ戻している。そのほかのおもな仕様は以下のとおり。

「Latitude 7400 2-in-1」の仕様
プロセッサCore i5-8365U(4コア8スレッド/1.60~4.10GHz/キャッシュ 6MB/TDP 15W)
メモリ GB/LPDDR3 2133MHz
ストレージNVMe SSD 128GB
OSWindows 10 Pro(64bit)
ディスプレイ14型フルHD(1,920×1,080ドット)、光沢あり、10点タッチ対応
グラフィックスIntel UHD Graphics 620/HDMI 1.4、Thunderbolt 3(DisplayPort)
ネットワークIEEE 802.11ac対応、Bluetooth
インターフェイスThunderbolt 3×2、USB 3.0×2(内1つはPowered USB)、microSDカードスロット、Webカメラ、音声入出力、キーボードバックライト
バッテリ4セル52Whr(オプション6セル78Whr)
サイズ/重量319.77×199.9×8.57~14.89mm(幅×奥行き×高さ)/約1.36kg
オプションNFC、WAN(Snapdragon X20 LTE-A、マイクロSIM/38,200円)、スマートカードリーダなど
税別直販価格249,980円から

 プロセッサはWhiskey Lake-U/第8世代のCore i5-8365U。4コア8スレッドでクロックは1.6GHzから最大4.1GHz。キャッシュは6MBでTDPは15W。メモリはLPDDR3 2,133MHzの8GB(4GB×2。PCMark 10 System Informationで確認)、ストレージは128GBのNVMe SSD。OSは64bit版のWindows 10 Proを搭載している。

 グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel UHD Graphics 620。外部出力用としてHDMIとDisplayPort対応のThunderbolt 3を装備。ディスプレイは光沢ありの14型フルHD(1,920×1,080ドット)。10点タッチ対応だ。オプションでAES 2.0のペンも使用できる。

 ネットワークは有線LANはなく、IEEE 802.11ac対応無線LANとBluetooth。加えてオプションであるものの、WAN(LTE)にも対応する。また「Intel Wi-Fi 6 AX200」も選択可能だ。

 そのほかのインターフェイスは、Thunderbolt 3×2、USB 3.0×2(内1つPowered)、microSDカードスロット、Webカメラ、音声入出力、キーボードバックライト。2つあるThunderbolt 3は電源入力も兼ねている。オプションでNFC、スマートカードリーダなども追加できる。

 サイズ319.77×199.9×8.57~14.89mm(幅×奥行き×高さ)、重量約1.36kg。4セル52Whrのバッテリを内蔵し、税別直販価格は249,980円から。手元に届いた実機は標準構成で該当モデルがなく、「New Latitude 7400 2-in-1 プレミアムモデル(vPro対応)」の256,980円(税別)にオプション(WAN、OSがPro)を加え303,680円だった。

 なお、一緒にドッキングステーション「Dell Thunderbolt Dock WD19TB」(税別33,700円)と、ケースも届いたので合わせて写真を参考にして頂きたい。とくにドッキングステーションは、電源供給も含め1本のケーブルで接続でき、最大3台の4Kディスプレイ、豊富なポート類と、本機をデスクトップ化するのに最適なアイテムになっている。

狭額縁な液晶ディスプレイ。細くてわかりにくいがパネル中央上にWebカメラ
前後バー式のゴム足。中央左右のスリットにスピーカー
左側面はType-C×2、HDMI、USB 3.0(Powered USB)
右側面はロックポート、USB 3.0、microSDカード(上)、SIMスロット(下)、音声入出力
ロゴのみとシンプル。バッテリは内蔵で着脱できない
タブレットモード
スタンドモード
テントモード
キーボードはテンキーなしのアイソレーションタイプ。2段階のキーボードバックライト付き。右上に指紋センサー兼の電源ボタン。タッチバッドは一枚プレート型
キーピッチは実測で約19mm
付属のACアダプタはType-C型。サイズは約100×65×25mm(幅×奥行き×高さ)、重量215g、出力は5/9/15/20Vで3/3/3/3.25A
重量は実測で1,456g
オプションのドッキングステーション「Dell Thunderbolt Dock WD19TB」。見えてる面にDisplayPort×2、HDMI、Type-C、USB 3.0×2、Ethernet、電源入力。裏側にUSB 3.0、Type-C、音声入出力。専用ACアダプタもかなり大きい
オプションのケース本機はキーボードが外れる2in1ではないので単なるケース
横からHDMIコネクタがギリギリとかなり薄い

 筐体は削り出しアルミ素材を採用しており、見栄えと質感は非常に良い。ただし実測で約1.4kgあるため、このクラスとしてはズッシリ重く感じる。クラムシェル、テント、スタンドモードはいいとして、タブレットとして手で持って使うには少し厳しそうな感じだ。

 全面は狭額縁で、冒頭で説明したとおり上にWebカメラがある。左側面にType-C×2、HDMI、USB 3.0(Powered USB)。右側面にロックポート、USB 3.0、microSDカード(上)、SIMスロット(下)、音声入出力。天板にはロゴ、裏には前後にバー状のゴム足と左右のスリットにスピーカーを配置。

 付属のType-C式ACアダプタのサイズは約100×65×25mm(幅×奥行き×高さ)。重量215g。出力5/9/15/20V:3/3/3/3.25A。本体側のType-C×2の一方が電源入力を兼ねている。

 14型フルHDのディスプレイは明るさ、コントラスト、発色は良好。視野角も広いのだが、スタンド/テントモードの写真からもわかるように、角度が付くと一般的なIPS式よりは若干狭い感じがする(全面の写真以外はすべて輝度100%)。10点タッチも良好だ。360度回転するヒンジもスムーズに回り、カッチリ止まる。クラムシェル、タブレット、テント、スタンド、どのモードでも安定して利用できる。

 キーボードはテンキーなしのアイソレーションタイプで、明るさ2段階のバックライトも搭載。非常にカッチリした打鍵感で個人的には好みだ。キーピッチは約19mm。歪な並びやピッチもない。タッチパッドは1枚プレート型。パームレストも含め十分面積が確保されており扱いやすい。

 試用中、ノイズや振動はとくに気にならなかった。発熱はベンチマークテストなど負荷をかけると、おもに左上側に熱を持つが、暖かくなるレベルでまったく問題ない。サウンドはスピーカーが裏にあるため、机などに音が反射するタイプだ。低音は出ずシャリシャリ音だが、パワーがかなりある。またある程度幅も確保しているためステレオ感も上々だ。ビジネスモデルとしては良い方だろう。

パフォーマンスは平均的だがBBenchで約19時間駆動

 スタート画面(タブレットモード)は1画面。とくに追加されたグループはない。デスクトップもシンプルだ。4C/8TのCore i5、メモリ8GB、NVMe SSDと言うこともあり、非常にスムーズに作動する。

 ストレージはSSD 128GBの「NVMe PC SN520 NVMe WD」。データシートによるとシーケンシャルリードが1,500MB/s、同ライトが800MB/s。後述するベンチマークテストでも同等のスコアが出ている。C:ドライブのみの1パーティションで約118.61GBが割り当てられ空き91.3GB。BitLockerで暗号化されている。容量が足らない場合は、カスタマイズで256GB/512GB/1TB/2TBと増やせばよい(ただし変更できないモデルもある)。

 Wi-FiとBluetoothはIntel製。またWAN用「DW5821e Snapdragon X20 LTE」の文字も見える。

スタート画面(タブレットモード)。1画面。とくに追加されたグループはない
起動時のデスクトップはWindows標準構成のままでシンプル
デバイスマネージャ/主要なデバイス。ストレージはNVMe SSD 128GBの「NVMe PC SN520 NVMe WD」。Wi-FiとBluetoothはIntel製。WAN用「DW5821e Snapdragon X20 LTE」の文字も見える
ストレージのパーティション

 プリインストールのアプリケーションはとくになく、システム用のドライバー類のみとなっている。

 そのなかで面白いのは「DELL ExpressSign-in」だろうか。画面キャプチャからもわかるように、PCに近づくと電源オン、離れるとPCをロック/ディスプレイをオフにする機能だ。Windows Hello対応のカメラと併用すれば、椅子に座るだけで作業が続行可能となる。これはIntelの「Context Sensingテクノロジー」と言うのが用いられ、3月の時点では世界初とのこと。

 実際に使ってみると、(厳密に測ってないものの)約60cmほど近づくとスリープから復帰し、顔認証(Windows Hello)が作動し出す。なるほど、このノートPCを机の上に置き、いったん席を離れ、戻って座る……的な距離感だ。ただこの距離だと、天板を開けたり、電源ボタンやキーなどを押せば復帰するため、それが面倒なのか!? と言う話もある(笑)。

DELL ExpressSign-in

 ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、CINEBENCH R15、CrystalDiskMark、BBench。結果は以下のとおり。

PCMark 10 v2.0.2115
PCMark 10 Score3,824
Essentials8,298
App Start-up Score11,738
Video Conferencing Score6,788
Web Browsing Score7,173
Productivity6,354
Spreadsheets Score7,413
Writing Score5,448
Digital Content Creation2,879
Photo Editing Score3,693
Rendering and Visualization Score1,772
Video Editting Score3,649
PCMark 8 v2.8.704
Home Accelarated 3.03,333
Creative Accelarated 3.03,487
Work Accelarated 2.04,786
Storage4,954
3DMark v2.9.6631
Time Spy420
Fire Strike Ultra273
Fire Strike Extreme526
Fire Strike1,079
Sky Diver4,452
Cloud Gate8,369
Ice Storm Extreme44,267
Ice Storm61,799
CINEBENCH R15
OpenGL49.33 fps
CPU537 cb
CPU(Single Core)166 cb
CrystalDiskMark 6.0.0
Q32T1 シーケンシャルリード1517.699 MB/s
Q32T1 シーケンシャルライト797.301 MB/s
4K Q8T8 ランダムリード420.148 MB/s
4K Q8T8 ランダムライト245.734 MB/s
4K Q32T1 ランダムリード323.099 MB/s
4K Q32T1 ランダムライト242.604 MB/s
4K Q1T1 ランダムリード42.960 MB/s
4K Q1T1 ランダムライト131.319 MB/s
BBench(キーボードバックライト/ディスプレイの明るさ0%、電源モード:バッテリー節約機能)
バッテリ残量3%まで19時間23分53秒

 ベンチマークテストのスコアは、Core i5-8365U搭載機としては平均的だろうか。またSSDはNVMeとは言えシーケンシャルリード1,500MB/s、ライト800MB/sで爆速タイプではない。

 バッテリ駆動時間は、キーボードバックライト/ディスプレイの明るさ0%、電源モード:バッテリー節約機能で残3%まで19時間23分53秒。負荷やパネルの明るさにもよるだろうが、仮に毎日8時間(一般的な労働時間)使って、その後帰宅中に充電すればOKなレベルだ。ビジネス用途としては十分だろう。


 以上のようにLatitude 7400 2-in-1は、Whiskey Lake-Uを搭載し、13.3型のフットプリントで14型のパネルを採用した2in1だ。4C/8T、8GB、NVMe SSD 128GBとパフォーマンスも十分に高く、予算や用途に応じてさまざまな構成にできるのも魅力的だ。

 14型としては若干重量があるものの、仕様上とくに気になる部分もなく、スタイリッシュでパワフル、そして長時間バッテリ駆動の2in1を探しているユーザーにお勧めしたい1台と言えよう。