西川和久の不定期コラム
着席するだけでスタンバイから復帰する便利な2in1「Latitude 7400 2-in-1」をテスト
2019年8月31日 11:13
デル株式会社は3月28日、Whiskey Lake-Uを搭載し、13.3型のフットプリントで14型のパネルを採用する2in1「Latitude 7400 2-in-1」を発表した。編集部から実機が送られて来たので、試用レポートをお届けしたい。
13.3型のフットプリントで14型を搭載した2in1
今回ご紹介する「Latitude 7400 2-in-1」は、ヒンジが360度回転し、クラムシェル、タブレット、テント、スタンドモードに変身可能な2in1。狭額縁により、13.3型のフットプリントで14型のパネルを採用し、従来同社の狭額縁モデルではWebカメラが下にあったのを、カメラの小型化により上の額縁へ配置したのが最大の特徴だ。
従来モデルのワンサイズ下のフットプリントでより大きなパネルを採用する流れは、同社に限らず他社でも最近見かけるパターンだ。たとえば13.3型「Latitude 7390 2-in-1」の305.1×210mmと比較して「Latitude 7400 2-in-1」は319.77×199.9mm。面積は64,071平方mm対63,922平方mmとなり、14型搭載だけでなく、フットプリントが狭くなっているのがわかる。
額縁にカメラが入らず、下へ配置するとローアングルになってしまうため、顔などの写り(見栄え?)が悪くなる。それを避けるため、今回のモデルではカメラの小型化で上へ戻している。そのほかのおもな仕様は以下のとおり。
「Latitude 7400 2-in-1」の仕様 | |
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プロセッサ | Core i5-8365U(4コア8スレッド/1.60~4.10GHz/キャッシュ 6MB/TDP 15W) |
メモリ | GB/LPDDR3 2133MHz |
ストレージ | NVMe SSD 128GB |
OS | Windows 10 Pro(64bit) |
ディスプレイ | 14型フルHD(1,920×1,080ドット)、光沢あり、10点タッチ対応 |
グラフィックス | Intel UHD Graphics 620/HDMI 1.4、Thunderbolt 3(DisplayPort) |
ネットワーク | IEEE 802.11ac対応、Bluetooth |
インターフェイス | Thunderbolt 3×2、USB 3.0×2(内1つはPowered USB)、microSDカードスロット、Webカメラ、音声入出力、キーボードバックライト |
バッテリ | 4セル52Whr(オプション6セル78Whr) |
サイズ/重量 | 319.77×199.9×8.57~14.89mm(幅×奥行き×高さ)/約1.36kg |
オプション | NFC、WAN(Snapdragon X20 LTE-A、マイクロSIM/38,200円)、スマートカードリーダなど |
税別直販価格 | 249,980円から |
プロセッサはWhiskey Lake-U/第8世代のCore i5-8365U。4コア8スレッドでクロックは1.6GHzから最大4.1GHz。キャッシュは6MBでTDPは15W。メモリはLPDDR3 2,133MHzの8GB(4GB×2。PCMark 10 System Informationで確認)、ストレージは128GBのNVMe SSD。OSは64bit版のWindows 10 Proを搭載している。
グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel UHD Graphics 620。外部出力用としてHDMIとDisplayPort対応のThunderbolt 3を装備。ディスプレイは光沢ありの14型フルHD(1,920×1,080ドット)。10点タッチ対応だ。オプションでAES 2.0のペンも使用できる。
ネットワークは有線LANはなく、IEEE 802.11ac対応無線LANとBluetooth。加えてオプションであるものの、WAN(LTE)にも対応する。また「Intel Wi-Fi 6 AX200」も選択可能だ。
そのほかのインターフェイスは、Thunderbolt 3×2、USB 3.0×2(内1つPowered)、microSDカードスロット、Webカメラ、音声入出力、キーボードバックライト。2つあるThunderbolt 3は電源入力も兼ねている。オプションでNFC、スマートカードリーダなども追加できる。
サイズ319.77×199.9×8.57~14.89mm(幅×奥行き×高さ)、重量約1.36kg。4セル52Whrのバッテリを内蔵し、税別直販価格は249,980円から。手元に届いた実機は標準構成で該当モデルがなく、「New Latitude 7400 2-in-1 プレミアムモデル(vPro対応)」の256,980円(税別)にオプション(WAN、OSがPro)を加え303,680円だった。
なお、一緒にドッキングステーション「Dell Thunderbolt Dock WD19TB」(税別33,700円)と、ケースも届いたので合わせて写真を参考にして頂きたい。とくにドッキングステーションは、電源供給も含め1本のケーブルで接続でき、最大3台の4Kディスプレイ、豊富なポート類と、本機をデスクトップ化するのに最適なアイテムになっている。
筐体は削り出しアルミ素材を採用しており、見栄えと質感は非常に良い。ただし実測で約1.4kgあるため、このクラスとしてはズッシリ重く感じる。クラムシェル、テント、スタンドモードはいいとして、タブレットとして手で持って使うには少し厳しそうな感じだ。
全面は狭額縁で、冒頭で説明したとおり上にWebカメラがある。左側面にType-C×2、HDMI、USB 3.0(Powered USB)。右側面にロックポート、USB 3.0、microSDカード(上)、SIMスロット(下)、音声入出力。天板にはロゴ、裏には前後にバー状のゴム足と左右のスリットにスピーカーを配置。
付属のType-C式ACアダプタのサイズは約100×65×25mm(幅×奥行き×高さ)。重量215g。出力5/9/15/20V:3/3/3/3.25A。本体側のType-C×2の一方が電源入力を兼ねている。
14型フルHDのディスプレイは明るさ、コントラスト、発色は良好。視野角も広いのだが、スタンド/テントモードの写真からもわかるように、角度が付くと一般的なIPS式よりは若干狭い感じがする(全面の写真以外はすべて輝度100%)。10点タッチも良好だ。360度回転するヒンジもスムーズに回り、カッチリ止まる。クラムシェル、タブレット、テント、スタンド、どのモードでも安定して利用できる。
キーボードはテンキーなしのアイソレーションタイプで、明るさ2段階のバックライトも搭載。非常にカッチリした打鍵感で個人的には好みだ。キーピッチは約19mm。歪な並びやピッチもない。タッチパッドは1枚プレート型。パームレストも含め十分面積が確保されており扱いやすい。
試用中、ノイズや振動はとくに気にならなかった。発熱はベンチマークテストなど負荷をかけると、おもに左上側に熱を持つが、暖かくなるレベルでまったく問題ない。サウンドはスピーカーが裏にあるため、机などに音が反射するタイプだ。低音は出ずシャリシャリ音だが、パワーがかなりある。またある程度幅も確保しているためステレオ感も上々だ。ビジネスモデルとしては良い方だろう。
パフォーマンスは平均的だがBBenchで約19時間駆動
スタート画面(タブレットモード)は1画面。とくに追加されたグループはない。デスクトップもシンプルだ。4C/8TのCore i5、メモリ8GB、NVMe SSDと言うこともあり、非常にスムーズに作動する。
ストレージはSSD 128GBの「NVMe PC SN520 NVMe WD」。データシートによるとシーケンシャルリードが1,500MB/s、同ライトが800MB/s。後述するベンチマークテストでも同等のスコアが出ている。C:ドライブのみの1パーティションで約118.61GBが割り当てられ空き91.3GB。BitLockerで暗号化されている。容量が足らない場合は、カスタマイズで256GB/512GB/1TB/2TBと増やせばよい(ただし変更できないモデルもある)。
Wi-FiとBluetoothはIntel製。またWAN用「DW5821e Snapdragon X20 LTE」の文字も見える。
プリインストールのアプリケーションはとくになく、システム用のドライバー類のみとなっている。
そのなかで面白いのは「DELL ExpressSign-in」だろうか。画面キャプチャからもわかるように、PCに近づくと電源オン、離れるとPCをロック/ディスプレイをオフにする機能だ。Windows Hello対応のカメラと併用すれば、椅子に座るだけで作業が続行可能となる。これはIntelの「Context Sensingテクノロジー」と言うのが用いられ、3月の時点では世界初とのこと。
実際に使ってみると、(厳密に測ってないものの)約60cmほど近づくとスリープから復帰し、顔認証(Windows Hello)が作動し出す。なるほど、このノートPCを机の上に置き、いったん席を離れ、戻って座る……的な距離感だ。ただこの距離だと、天板を開けたり、電源ボタンやキーなどを押せば復帰するため、それが面倒なのか!? と言う話もある(笑)。
ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、CINEBENCH R15、CrystalDiskMark、BBench。結果は以下のとおり。
PCMark 10 v2.0.2115 | |
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PCMark 10 Score | 3,824 |
Essentials | 8,298 |
App Start-up Score | 11,738 |
Video Conferencing Score | 6,788 |
Web Browsing Score | 7,173 |
Productivity | 6,354 |
Spreadsheets Score | 7,413 |
Writing Score | 5,448 |
Digital Content Creation | 2,879 |
Photo Editing Score | 3,693 |
Rendering and Visualization Score | 1,772 |
Video Editting Score | 3,649 |
PCMark 8 v2.8.704 | |
Home Accelarated 3.0 | 3,333 |
Creative Accelarated 3.0 | 3,487 |
Work Accelarated 2.0 | 4,786 |
Storage | 4,954 |
3DMark v2.9.6631 | |
Time Spy | 420 |
Fire Strike Ultra | 273 |
Fire Strike Extreme | 526 |
Fire Strike | 1,079 |
Sky Diver | 4,452 |
Cloud Gate | 8,369 |
Ice Storm Extreme | 44,267 |
Ice Storm | 61,799 |
CINEBENCH R15 | |
OpenGL | 49.33 fps |
CPU | 537 cb |
CPU(Single Core) | 166 cb |
CrystalDiskMark 6.0.0 | |
Q32T1 シーケンシャルリード | 1517.699 MB/s |
Q32T1 シーケンシャルライト | 797.301 MB/s |
4K Q8T8 ランダムリード | 420.148 MB/s |
4K Q8T8 ランダムライト | 245.734 MB/s |
4K Q32T1 ランダムリード | 323.099 MB/s |
4K Q32T1 ランダムライト | 242.604 MB/s |
4K Q1T1 ランダムリード | 42.960 MB/s |
4K Q1T1 ランダムライト | 131.319 MB/s |
BBench(キーボードバックライト/ディスプレイの明るさ0%、電源モード:バッテリー節約機能) | |
バッテリ残量3%まで | 19時間23分53秒 |
ベンチマークテストのスコアは、Core i5-8365U搭載機としては平均的だろうか。またSSDはNVMeとは言えシーケンシャルリード1,500MB/s、ライト800MB/sで爆速タイプではない。
バッテリ駆動時間は、キーボードバックライト/ディスプレイの明るさ0%、電源モード:バッテリー節約機能で残3%まで19時間23分53秒。負荷やパネルの明るさにもよるだろうが、仮に毎日8時間(一般的な労働時間)使って、その後帰宅中に充電すればOKなレベルだ。ビジネス用途としては十分だろう。
以上のようにLatitude 7400 2-in-1は、Whiskey Lake-Uを搭載し、13.3型のフットプリントで14型のパネルを採用した2in1だ。4C/8T、8GB、NVMe SSD 128GBとパフォーマンスも十分に高く、予算や用途に応じてさまざまな構成にできるのも魅力的だ。
14型としては若干重量があるものの、仕様上とくに気になる部分もなく、スタイリッシュでパワフル、そして長時間バッテリ駆動の2in1を探しているユーザーにお勧めしたい1台と言えよう。