西川和久の不定期コラム
驚異の21時間駆動、13.3型モバイルノート「ASUS ZenBook 13 UX333FA」
~テンキー兼用タッチパッド搭載の狭額縁モバイルノートPC
2019年4月11日 11:00
ASUSは3月29日、ノートPC 4製品を発表、4月6日より順次販売を開始した。
今回はそのなかから13.3型のモバイルノートPC「ZenBook 13 UX333FA」が編集部から送られてきたので、試用レポートをお届けしたい。
Whiskey Lake世代13.3型モバイルノートPCにちょっと変わったNumberPadを搭載
今回ご紹介する「ZenBook 13 UX333FA」は、上位/下位モデルで2種類、加えてそれぞれ2色のカラーバリエーション、合わせて4つのモデルが用意されている。
本来であれば、下位モデルは本文の後ろでサラッと紹介するだけだが、今回は少しややこしいので、先に大雑把ながら解説したい。
まず上位モデルは「UX333FA-8265RBG」と「UX333FA-8265ISG」。2つあるのは、先に書いたとおりカラーバリエーションの違いだ。プロセッサはWhiskey Lake世代のCore i5、メモリ8GB、ストレージNVMe SSD 512GB、13.3型のパネルは光沢で、有線LANはアダプタも含め非搭載だ。
対して下位の「UX333FA-8145RBS」と「UX333FA-8145ISS」は、プロセッサがWhiskey Lake世代のCore i3、メモリ8GB、ストレージNVMe SSD 256GBと、ここまでは一般的な差別化だが、なぜかパネルが非光沢で、Gigabit EthernetのUSBアダプタが付属し、さらに(2019が発売済みにも関わらず)「Microsoft Office Home & Business 2016」がプリインストールされている。
結果、ハードウェアの仕様は上位モデルが上なのだが、下位モデルはアクセサリやOfficeなどが付属する関係で、税別価格はどちらも同じ129,500円。個人的にはOffice 365を契約しているので、価格が同じなら上位モデルを選びたいが、パネルが光沢になってしまい、「うーん」となる。読者の皆さんならどちら派だろうか。
今回手元に届いたのは、上位モデルの「UX333FA-8265RBG」だ。おもな仕様は以下のとおり。
【表1】ASUS「ZenBook 13 UX333FA/UX333FA-8265RBG」の仕様 | |
---|---|
プロセッサ | Core i5-8265U(4コア/8スレッド、1.6~3.9GHz、キャッシュ 6MB/TDP 15W) |
メモリ | 8GB/LPDDR3-2133 |
ストレージ | NVMe SSD 512GB |
OS | Windows 10 Home(64bit) |
ディスプレイ | 13.3型フルHD(1,920×1,080ドット)、sRGB100%、光沢あり、タッチ非対応 |
グラフィックス | Intel UHD Graphics 620/HDMI |
ネットワーク | IEEE 802.11ac対応、Bluetooth 4.1 |
インターフェイス | USB 3.1×2(1基Type-C)、USB 2.0、92万画素カメラ(Windows Hello対応)、microSDカードスロット、音声入出力、キーボードバックライト/NumberPad |
本体色 | ロイヤルブルー(UX333FA-8265RBG)、アイシクルシルバー(UX333FA-8265ISG) |
バッテリ駆動時間 | 約14.9時間 |
サイズ/重量 | 302×189×16.9mm(幅×奥行き×高さ)/約1.25kg |
税別価格 | 129,500円 |
プロセッサはWhiskey Lake世代のCore i5-8265U。4コア/8スレッド、クロックは1.6GHzから最大3.9GHz。キャッシュは6MB、TDPは15Wとなる。
最近、このSKUを搭載したノートPCのレビューが続いているが、やはりCore i5でも4コア/8スレッドの仕様など、従来のCore i7とあまり変わらず、コストパフォーマンスが良いためだと思われる。
メモリはLPDDR3-2133で8GB。PCMark 10のSystem Informationで、デュアルチャネルなのを確認した。このプロセッサはDDR4-2400にも対応しているので、若干速度が落ちることになる。ストレージはNVMe SSD 512GB、OSは64bit版のWindows 10 Home。
グラフィックスはプロセッサ内蔵のIntel UHD Graphics 620。外部出力用としてHDMIを備えている。Type-Cに関しては、手持ちのType-C/DisplayPortケーブルで試したところ表示されなかった。
ディスプレイは狭額縁の13.3型フルHD(1,920×1,080ドット)。上位モデルは光沢パネルとなる。sRGB 100%なので、色にシビアな仕事も問題なく処理できる。
ネットワークはIEEE 802.11ac無線LAN対応、Bluetooth 4.1。有線LANはなく、アダプタも付属しない。できれば下位モデル同様、USBアダプタを同梱してほしかった。
そのほかのインターフェイスは、USB 3.1×2(1基Type-C)、USB 2.0、92万画素カメラ(Windows Hello対応)、microSDカードスロット、音声入出力、キーボードバックライト/NumberPad。タッチパッドをテンキー化する「NumberPad」が少しめずらしい機能と言えるだろうか。
本体色はロイヤルブルーとアイシクルシルバーの2色。バッテリ駆動時間は約14.9時間。サイズは302×189×16.9mm(幅×奥行き×高さ)、重量約1.25kg。
下位モデルは、先に書いたとおり主要部分は同じで、プロセッサがCore i3-8145U(2コア/4スレッド、4MB、2.1~3.9GHz)、ストレージがNVMe SSD 256GB、非光沢液晶パネル、Gigabit Ethernet USBアダプタとMicrosoft Office Home & Business 2016付きで、同じく税別129,500円となる。
パネルが非光沢ということもあり、こちらのほうがよりビジネス向きだろうか。
届いたのはロイヤルブルーで、かなり濃いメタリックブルーな感じだ。質感も良く、「MIL-STD 810G」規格のテストをクリアしているだけあって、作りもガッチリしている。
筐体のフットプリントは302×189mm(幅×奥行き)で、A4と幅はほぼ同じ、奥行きが約2cm短いとかなりコンパクトだ。コンパクトな分、重量1,227gは持った時、ズッシリ重く感じる。
前面はパネル中央上にWindows Hello対応のWebカメラ。フチは、左右が4.5mm、下側が6mm、カメラを搭載した上面でも8mmと薄い。
左側面は電源入力、HDMI、USB 3.1、Type-C。右側面はmicroSDカードスロット、USB 2.0、音声入出力、ステータスLEDを配置。裏は4隅にゴム足。手前左右にスピーカーがある。横から見ると、(仕様上)パネルの傾きは143度、キーボードの傾きが3度。パネルの下側が足になってキーボード面を傾けているのがわかる。
付属のACアダプタは、サイズ約52×52×28mm(同)、重量134g、出力19V/2.37A。
13.3型フルHDのディスプレイは、Core i5モデルの場合は光沢ありとなる。光沢ありでもギラギラした感じではなく上品な感じだ。画面占有率は89%。明るさ、コントラスト、発色、視野角すべて良好。またsRGB 100%なので、色が気になる処理もバッチリこなせる。
キーボードはテンキーなしのアイソレーションタイプで、3段階のバックライト付き。おもなキーピッチは約19mmで、1.4mmのキーストローク。カッチリした打鍵感で、個人的に結構好きなキーボードだ。また先に書いたとおり、若干手前に傾いているので、入力しやすい。
タッチパッドは1枚プレート型で、パームレストも含め十分面積が確保されており、スムーズに操作可能だ。
本機の特徴と言えるNumberPadは写真のとおりで、タッチパッド右上のアイコンをタップすると表示/非表示の切り替えとなる。またオンの状態でもマウスカーソルの操作はできる。筆者の場合、デスクトップPC用のキーボードですらテンキーレスを使うので、この必要性はまったくないが、用途によっては結構使えるのではないだろうか。
ただ、このNumberPadの実装のためかどうかは不明だが、どうもタッチパッドの反応が鈍感で、マウスカーソルがスムーズに動かなかったり(CPUが高負荷の時にギクシャクする感じと似ている)、タップしてるのに無反応だったりするケースがしばしば見られた。ドライバ側の問題であれば改善を望みたい。
ノイズや振動は、試用した範囲では問題なし。発熱はベンチマークテストなど負荷をかけると、キーボードの上、ゴールドの部分がほんのり暖かくなる程度に熱を持つ。パームレストまでは降りてこないので、気になることもないだろう。
Harman/Kardon認定のサウンドは、スピーカーが裏にあるため、机など反射するものによって大きく変わる。同クラスと比較して鳴りっぷりは良いほうだが、やはりノートPCの音だ。幅があるのでステレオ感はそれなりだが、パワーはもう少しほしい。
4C/8Tの性能に加えBBenchがなんと21時間越え!
OSは64bit版のWindows 10 Home。初期起動時のスタート画面(タブレットモード)は1画面半。2つあるASUSグループがプリインストールとなる。デスクトップは壁紙の変更のみとシンプルだ。
Core i5、メモリ8GB、NVMe SSD 512GBということもあり、ブート/シャットダウン、アプリの起動/終了、そのほかの反応などなにをしても快適だ。
ストレージはNVMe SSD 512GBの「INTEL SSDPEKNW512GB」(通称「Intel SSD 660p」)。Cドライブのみの1パーティションで、約475GBが割り当てられ、空きは448GB。BitLockerで暗号化されている。Wi-Fi(Intel Wireless-AC9560)とBluetoothはIntel製だ。
おもなプリインストールソフトウェアは、ASUSフォルダに「ASUS Hello」。「ASUS GIFTBOX」、「ASUS Keyboard Hotkeys」、「ASUS Sync」、「AudioWizard」、「i-フィルター6.0」、「McAfee Security」、「Director for ASUS」、「PowerDirector for ASUS」、「WPS Presentation/Spreadsheets/Writer」など。
ASUS Syncは、画面キャプチャからもわかるように、スマートフォンと同期する仕掛けだ。Bluetoothでペアリングした後、Wi-Fi Directで転送しているようだ。
手持ちのP20 Proで試したが、接続はできるものの、うまく同期できたりできなかったりと、残念ながら実用的ではなかった。スマートフォン側のOSや環境と相性があるのかもしれない。
ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、CINEBENCH R15、CrystalDiskMark、BBench。結果は以下のとおり。
【表2】ベンチマーク結果 | |
---|---|
PCMark 10 v1.1.1761 | |
PCMark 10 Score | 3,928 |
Essentials | 8,382 |
App Start-up Score | 11,611 |
Video Conferencing Score | 7,036 |
Web Browsing Score | 7,209 |
Productivity | 6,231 |
Spreadsheets Score | 7,390 |
Writing Score | 5,254 |
Digital Content Creation | 3,150 |
Photo Editing Score | 3,862 |
Rendering and Visualization Score | 2,144 |
Video Editting Score | 3,778 |
PCMark 8 v2.8.704 | |
Home Accelarated 3.0 | 3,420 |
Creative Accelarated 3.0 | 3,541 |
Work Accelarated 2.0 | 4,799 |
Storage | 5,023 |
3DMark v2.8.6546 | |
Time Spy | 455 |
Fire Strike Ultra | 293 |
Fire Strike Extreme | 559 |
Fire Strike | 1,184 |
Sky Diver | 4,709 |
Cloud Gate | 8,934 |
Ice Storm Extreme | 32,489 |
Ice Storm | 45,489 |
CINEBENCH R15 | |
OpenGL | 53.95 fps |
CPU | 679cb |
CPU(Single Core) | 156cb |
CrystalDiskMark 6.0.0 | |
Q32T1 シーケンシャルリード | 1841.391MB/s |
Q32T1 シーケンシャルライト | 936.112MB/s |
4K Q8T8 ランダムリード | 340.391MB/s |
4K Q8T8 ランダムライト | 346.183MB/s |
4K Q32T1 ランダムリード | 247.653MB/s |
4K Q32T1 ランダムライト | 400.626MB/s |
4K Q1T1 ランダムリード | 45.525MB/s |
4K Q1T1 ランダムライト | 62.815MB/s |
BBench(キーボードバックライトオフ、ディスプレイの明るさ0%、電源モード:バッテリー節約機能) | |
バッテリ残量2%まで | 21時間10分35秒 |
Core i5-8265Uは、これまで何度も扱ってきているので、その高性能ぶりはすでに実証済みだ。
スコア的には、メモリの種類(LPDDR3-2133/DDR4-2400)とシングル/デュアルチャネル、ストレージ性能などがプロセッサ以外の外部要因となるだろうか。いずれにしても、ストレージがHDDでもないかぎり、多少のブレはあるものの大差はない。
バッテリ駆動時間は、キーボードバックライトオフ、ディスプレイの明るさ0%、電源モード:バッテリー節約機能で、残2%まで21時間10分35秒。なんと21時間を超えた。
昨今、12時間駆動程度は普通になってきたとはいえ、この駆動時間はすばらしい。輝度最小でも、暗い室内であれば見えるため、実際の運用時もほぼ同じになると思われる。
以上のようにASUS「ZenBook 13 UX333FA/UX333FA-8265RBG」は、13.3型Whiskey Lake世代のCore i5、メモリ8GB、ストレージNVMe SSD 512GBを搭載したモバイルノートPCだ。
重量が実測で約1.2kgあり、超軽量級ではないものの、狭額縁で薄型コンパクト、そしてBBenchで21時間超えのバッテリ駆動時間と、魅力的に仕上がっている。NumberPadに関しては用途によるだろうか。
タッチパッドの動きが少し気になるものの、それ以外、仕様上とくに気になる部分もなく、長時間のバッテリ駆動に加え、すべてにおいてうまくまとまっている13.3型モバイルノートPCを探しているユーザーにおすすめしたい1台だ。