西川和久の不定期コラム

15.6型で約990gの超軽量ノート「日本エイサー Swift 5」

日本エイサー Swift 5

 日本エイサー株式会社は3月5日、「Swift 5」シリーズに15.6型で1kgを切るモデルを発表、19日より販売を開始した。編集部から実機が送られて来たので、試用レポートをお届けしたい。

Whiskey Lake世代のIntel Core i5搭載15.6型フルHDで何と約990g!

 同社の「Swift 5」はかなり前から販売していたものの、国内は14型のみとなっていた。満を期して投入されたのが、今回ご紹介するSwift 5(SF515-51T-H58Y/B)だ。

 Whiskey Lake世代のCore i5、メモリ8GB、NVMe SSD、15.6型狭額縁フルHDでタッチ対応、そして重量約990g。当然薄型と聞けば「おー!」っとなる読者の方も多いのではないだろうか(笑)。これだけのサイズ/スペックで1kgを切れば、それだけでも興味の対象となりえる。おもな仕様は以下のとおり。

「Swift 5(SF515-51T-H58Y/B)」の仕様
プロセッサCore i5-8265U(4コア8スレッド/1.6GHz~3.9GHz/キャッシュ 6MB/TDP 15W)
メモリ8GB/DDR4-2666MHz SDRAM(デュアルチャネル対応/空き0)
ストレージNVMe SSD 512GB
OSWindows 10 Home(64bit)
ディスプレイ15.6型IPS式フルHD(1,920x1,080ドット)、光沢、10点タッチ対応
グラフィックスIntel UHD Graphics 620/HDMI、Type-C
ネットワークIEEE 802.11ac対応、Bluetooth 5.0
インターフェイスUSB 3.0×3(内1つType-C)、HD対応Webカメラ、音声入出力、指紋センサー、キーボードバックライト
バッテリ/駆動時間4,670mAh(3セルリチウムイオン)/約10時間
サイズ/重量358×230×15.9mm(幅×奥行き×高さ)/約990g
税別店頭予想価格15万円前後

 プロセッサはWhiskey Lake世代のCore i5-8265U。4コア8スレッド、クロックは1.6GHzから最大3.9GHz。キャッシュは6MBで、TDPは15W。上位にCore i7-8565Uがあるものの、i5でも4C/8Tで強力なSKUだ。

 メモリはDDR4-2666MHz SDRAMの8GB。同社のサイトおよび、PCMark10 System informationでもデュアルチャネル対応を確認した。ストレージはNVMe SSD 512GB。OSは64bit版Windows 10 Homeを搭載する。

 グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel UHD Graphics 620。外部出力用として、HDMIに加えType-Cからも可能だ。ディスプレイは、光沢ありの15.6型IPS式フルHD(1,920×1,080ドット)。10点タッチにも対応する。

 ネットワークはIEEE 802.11ac対応、Bluetooth 5.0。有線LANはなく、USB/Gigabit Ethernetなどの変換アダプタも付属しない。そのほかのインターフェイスは、USB 3.0×3(内1つType-C)、HD対応Webカメラ、音声入出力、指紋センサー。キーボードはバックライト対応だ。Type-Cは、USB 3.1 Gen 2/最大10Gbps/PD対応/映像出力機能付きとなる。

 サイズは358×230×15.9mm(幅×奥行き×高さ)、重量約990g。なんと15.6型ながら1kgを切っている。4,670mAh(3セルリチウムイオン)を内蔵し、バッテリ駆動は約10時間。カラーバリエーションはチャコールブルーのみ。税別店頭予想価格は15万円前後。

 なお、Office Home & Business 2019をインストールしたモデル(SF515-51T-H58Y/BF)は、税別店頭予想価格17万円前後となっている。

パネル中央上にHD対応Webカメラ。狭額縁なのがわかる
天板中央にロゴ。バッテリは内蔵式
左側面のインターフェイスは電源入力、HDMI、USB 3.0×2、Type-C
右にはロックポート、ステータスLED、音声入出力を装備
キーボードはテンキーなしのアイソレーションタイプ。バックライトにも対応する。筐体の色に合わせてキートップもチャコールブルー、刻印はゴールド
キーピッチは実測で約19mm。15.6型でもテンキーなしなのでフットプリントに余裕があり、歪な並びや変なピッチはほぼない
底面四隅にゴム足。斜めに傾くような機構はない。手前の左右にスピーカー
横から。USBコネクタの厚みからも分かるようにかなり薄い
付属のACアダプタのサイズ約52×52×28mm(同)、重量133g、出力19V/2.37A
重量は実測で977g

 マグネシウム合金の筐体はとにかく軽く、届いた時に空箱かと思ったほど。15.6型で実測977gは驚くほどの軽量だ。色はチャコールブルー。光の状態にもよるが、濃いメタリックブルー的発色となる。フットプリントは手持ちのThinkPad T440sと比較してみたところ、奥行きはほぼ同じ、幅はSwift 5のほうが約3cmはみ出る……と、「14型級の筐体に」という表現もあながち嘘ではない。

 天板は中央にゴールドのロゴ。フロントはパネル中央上にHD対応Webカメラ。狭額縁なのがわかる。左側面は電源入力、HDMI、USB 3.0×2、Type-C。右側面はロックポート、ステータスLED、音声入出力を配置。裏は四隅にゴム足。手前の左右にスピーカー。キーボード面が手前に傾くような仕掛けはない。(micro)SDカードスロットがないのは使い勝手の上で残念だ。付属のACアダプタはサイズ約52×52×28mm(同)、重量133g、出力19V/2.37A。本機はPD(Type-C)にも対応するが、付属するのは専用となる。

 横から見るとかなり薄く、強度などが心配になるが、先に書いたとおり筐体はマグネシウム合金を採用しているため、軽量でありながら堅牢性も兼ね備えている。

 15.6型IPS式のフルHDディスプレイは、明るさ、コントラスト、発色、視野角すべて良好。発色も鮮やかだ。明るさ彩度を最適化する「Acer Color Intelligence」、ブルーライトカットの「Acer BluelightShield」も搭載している。そしてこれだけの薄型軽量モデルにもかかわらず10点タッチ対応だ。最近タッチ対応モデルは一時期より減っているものの、実際操作するとやはり使いやすいケースもある。

 キーボードはテンキーなしのアイソレーションタイプ。オン/オフ可能な(段階なし)バックライトも搭載する。一般的に15.6型だとテンキーありが多いものの、ない分、広い面積を十分活用でき、ほぼすべてのキーピッチが約19mmとなっている。打鍵感はクリック感があり、ストロークもちょうどいい。

 ただ[Enter]キーのさらに右側にHome/PgUp/PgDn/Endが並ぶのを好ましく思わない人もいるだろうか。筆者個人的には筐体とロゴなどに合わせてキートップもチャコールブルー(筐体より少し濃い目)で刻印もゴールドと言うのがちょっど残念な部分だ。ここは普通に黒/白でいいように思う。

 タッチパッドは1枚プレートタイプ。右端に指紋センサーがある。パームレストも含め、十分面積が確保され使いやすい。

 振動やノイズは試用した範囲ではとくに気にならなかった。発熱はベンチマークテストなど負荷をかけるとキーボード上の部分がそれなりに(暖かいと言うより熱い)熱を持つ。一番熱を持った時はキーボードの脇真ん中程度まで降りてきていた。とは言え、パームレストまでは熱が降りてこないので、使用中に気になることはないだろう。

 サウンドは裏にスピーカーがあるため、机など反射するものにもよるが、幅があるのでステレオ感はあるものの、明らかにパワー不足。「Dolby Audio Premium」をオフにすると、加えて線が細くなるので、オンのまま使った方が無難だ。

 いずれにしても、15.6型フルHDタッチ対応でこれだけ薄くそして軽いのが本機最大の特徴と言えよう。

4C/8T、NVMe SSDのハイパフォーマンスに加えBBenchで軽く12時間越え!

 OSは64bit版のWindows 10 Home。初期起動時のスタート画面(タブレットモード)は1画面。2つあるAcerグループがプリインストールとなる。デスクトップは左側にAgodaのショートカット(単にURLなのだがそんなに重要なのだろうか)追加と壁紙の変更となる。4C/8T、メモリ8GB、NVMe SSDなので、ブート/シャットダウン、アプリの起動……なにもしても快適だ。

 NVMe SSD 512GBは「Sk hynix BC501 NVMe 512GB」。C:ドライブのみの1パーティションで約475.82GBが割り当てられ空き447GB。Wi-Fi(Wireless-AC 9560)とBluetoothはIntel製だ。

スタート画面(タブレットモード)は1画面。2つあるAcerグループがプリインストール
起動時のデスクトップ。左側にAgodaのショートカット追加と壁紙の変更
デバイスマネージャー/主要なデバイス。NVMe SSD 512GBは「Sk hynix BC501 NVMe 512GB」。Wi-Fi(Wireless-AC 9560)とBluetoothはIntel製
ストレージのパーティション。C:ドライブのみの1パーティションで約475.82GBが割り当てられている

 おもなプリインストールのソフトウェアは、Acerフォルダに「Acer Jumpstart」、「Acer Legal Information」、「Acerドキュメント」。Acer JumpstartとAcer Legal InformationはURL、AcerドキュメントはPDF。

 そのほか、「Acer Care Center」、「Acer Collection 5」、「Acer Product Registration」、「Agoda」、「App Explorer」、「ノートンセキュリティUltra」、「PhotoDirector for acer」、「PowerDirector for acer」……などを備えている。

Acer Care Center
Acer Collection 5

 ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、CINEBENCH R15、CrystalDiskMark、BBench。結果は以下のとおり。

PCMark 10 v1.1.1761
PCMark 10 Score3,733
Essentials8,215
App Start-up Score12,109
Video Conferencing Score6,912
Web Browsing Score6,625
Productivity6,386
Spreadsheets Score7,689
Writing Score5,304
Digital Content Creation2,692
Photo Editing Score3,609
Rendering and Visualization Score1,605
Video Editting Score3,368
PCMark 8 v2.8.704
Home Accelarated 3.03,458
Creative Accelarated 3.03,553
Work Accelarated 2.04,911
Storage5,057
3DMark v2.8.6546
Time Spy422
Fire Strike Ultra274
Fire Strike Extreme500
Fire Strike1,037
Sky Diver3,965
Cloud Gate7,449
Ice Storm Extreme32,143
Ice Storm45,052
CINEBENCH R15
OpenGL48.15 fps
CPU475 cb
CPU(Single Core)161 cb
CrystalDiskMark 6.0.0
Q32T1 シーケンシャルリード1642.787 MB/s
Q32T1 シーケンシャルライト867.564 MB/s
4K Q8T8 ランダムリード829.031 MB/s
4K Q8T8 ランダムライト767.031 MB/s
4K Q32T1 ランダムリード340.761 MB/s
4K Q32T1 ランダムライト228.332 MB/s
4K Q1T1 ランダムリード40.110 MB/s
4K Q1T1 ランダムライト99.981 MB/s
BBench(キーボードバックライトオフ、ディスプレイの明るさ0%、電源モード:バッテリー節約機能)
バッテリ残量5%まで14時間55分06秒

 ここのところWhiskey Lake搭載機の試用が続いて、すでにその性能は十分わかっているが、各スコアはさすがにCore i5でも4C/8T、8GB、NVMe SSDだけあってかなり高い。重いゲーム以外の通常用途であれば何をしても快適だろう。

 バッテリ駆動時間は、キーボードバックライトオフ、ディスプレイの明るさ0%、電源モード:バッテリー節約機能で残5%まで14時間55分06秒。明るさ0%でも暗めの室内であれば十分見えるため、14時間はほぼリアルに動きそうだ。15.6型約990gでこれだけ持てば、かなり強力なそして心強いモバイルPCと言える。


 以上のようにAcer「Swift 5(SF515-51T-H58Y/B)」は、タッチ対応15.6型フルHD、Whiskey Lake世代のCore i5、デュアルチャネル対応の8GB、そしてNVMe SSD 512GBを搭載し、14型級の筐体で重量約990gの“ハイパフォーマンス”と“軽量”を兼ね備えたモバイルノートPCだ。(micro)SDカードスロットがなく、サウンド出力が若干低いものの、取り立てての弱点はない。

 仕様的に気になる部分もなく、とにかく15.6型で軽くて薄くてハイパフォーマンスなモバイルノートPCを探しているユーザーにお勧めしたい逸品だ。