西川和久の不定期コラム
Whiskey Lake搭載で約965gのLG製13.3型モバイルノート
2019年2月18日 11:00
LGは1月30日、13.3/14/15.6/17型のLG gramシリーズを発表した。全11モデルが2月15日から販売開始となる。編集部から13.3型/Core i5搭載機が送られて来たので試用レポートをお届けしたい。
13.3型フルHD、Whiskey LakeのCore i5搭載で重量1kg未満!
今回ご紹介する「LG gram 13Z990-GA56J」は、ちょうど1年前の2018年2月にそのベースとなるモデルが発表されている。スペック的にはCore i3-7100U/4GB/SSD 128GB(13Z980-MR33J)とCore i5-8250U/4GBまたは8GB/SSD 256GB(13Z980-GR55J/13Z980-GA56J)。サイズ305.9×211.8×15.5mm(幅×奥行き×高さ)、重量965g。見た目はほぼ同じだ。
当時としても薄くて、軽くて、長時間のバッテリ駆動……と驚きのモバイルノートPCとして仕上がっていた。
その後8月にCore i7-8550U/16GB/SSD 512GBに+Thunderbolt 3/指紋センサー対応のモデルも追加された(13Z980-NA77J)。いずれもプロセッサはKaby Lake Refreshとなる。
2019年モデルの変更点は、プロセッサがWhiskey Lakeになったことだ。Core i5モデルとCore i7モデルがあるが、届いたのは前者だ。おもな仕様は以下の通り。
LG「LG gram 13Z990-GA56J」の仕様 | |
---|---|
プロセッサ | Core i5-8265U(4コア8スレッド/1.6GHz~3.9GHz/キャッシュ 6MB/TDP 15W) |
メモリ | 8GB×1/DDR4-2400(最大16GB) |
ストレージ | M.2 SSD 256GB |
OS | Windows 10 Home(64bit) |
ディスプレイ | 13.3型IPS式フルHD(1,920x1,080ドット)、光沢あり、タッチ非対応 |
グラフィックス | Intel UHD Graphics 620/HDMI×1、Type-C |
ネットワーク | IEEE 802.11ac対応、Bluetooth 5.0、Type-Cアダプタ式10Base-T/100Base-TX付属 |
インターフェイス | USB 3.1 Type-C(DisplayPort Alternate Mode)、USB 3.0×2、720p Webカメラ、MicroSDカードスロット、指紋センサー、キーボードバックライト、音声入出力 |
バッテリ/駆動時間 | 4セル 72WHr/約28時間 |
サイズ/重量 | 305.9×211.8×15.5mm(幅×奥行き×高さ)/約965g |
税別店頭予想価格 | 146,880円前後 |
プロセッサはWhiskey Lake第8世代のCore i5-8265U。i5ながら4コア8スレッドだ。クロックは1.6GHzから最大3.9GHz、キャッシュ6MB、TDP 15W。メモリはDDR4-2400で8GB×1。最大8GB×2の計16GB。ストレージはM.2 SSD 256GB。
どちらも内部にもう1スロットあり、カスタマーセンターでアップグレードサービスが行なわれている。価格の一例をあげると+8GBで15,000円、+128GBで18,000円(いずれも税別/往復送料はメーカー持ち。メモリ/SSD同時の場合は合計金額から5,000円引き)。
グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel UHD Graphics 620。外部出力用にHDMIとType-Cを装備している。この時、出力は最大、HDMI:4,096×2,160@24Hz、3,840×2,160@30Hz、2,560×1,600@60Hz。USB Type-C(DisplayPort Alternate Mode):4,096×2,160@60Hzとなる。
ディスプレイは光沢あり13.3型IPS式のフルHD(1,920×1,080ドット)。タッチには非対応だ。sRGBの色域を96%以上カバーする。
ネットワークはIEEE 802.11ac対応、Bluetooth 5.0。有線LANは非搭載ながらType-Cアダプタ式の10Base-T/100Base-TXが付属する。
その他のインターフェイスは、USB 3.1 Type-C(DisplayPort Alternate Mode対応)、USB 3.0×2、720p Webカメラ、MicroSDカードスロット、指紋センサー、音声入出力。キーボードはキーボードバックライト付きとなる。
サイズは305.9×211.8×15.5mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約965g。4セル72WHrのバッテリを内蔵し最大駆動時間はなんと約28時間。カラーバリエーションはホワイトとダークシルバー。税別店頭予想価格は146,880円前後だ。
Core i7-8565Uを搭載した上位モデルの「13Z990-VA76J」は、ダークシルバーのみ、サイズ/重量などは同じで、プロセッサ以外にストレージがSSD 512GB、そしてType-CがThunderbolt 3対応になる。この時、外部ディスプレイ出力は最大5,120×2,880@60Hz、4,096×2,160×2@60Hz。税別店頭予想価格は178,880円前後。
本機の特徴は何と言っても13.3型で実測約942gの軽さ。梱包から本体を取り出したとき、思わず「軽い!」と呟いてしまうほど。それがこのマシンの魅力のすべてだろう。
マグネシウム合金を採用した筐体は、米国国防総省「MIL-STD-810G」準拠のテストをクリア。今回手元に届いたのはダークシルバーであるが、ホワイトもある。ダークシルバーだとどこにでもあるごくごく普通のノートPCに見えてしまうため、なにかデザイン的にもうひと捻り欲しいところか。個人的にはホワイトの方が(まだ)好みだ。
全面はパネル中央上に720p Webカメラ。狭額縁のなかにWebカメラが埋め込まれている。左側面にUSB 3.0、HDMI、Type-C。右側面にロックポート、USB 3.0、音声入出力、MicroSDカードスロットを配置。パネルの傾きはこれが最大となる。トップカバーはgramのロゴのみ。裏は四隅と後ろ中央にゴム足、手前左右のスリットにスピーカーがある。付属のACアダプタはサイズ約95×60×25mm(幅×奥行き×高さ)、重量180g、出力19V/2.53A。
13.3型IPS式フルHDのディスプレイは明るさ、コントラスト、発色、視野角すべて良好。光沢があるため少しギラギラ感があるのは仕方ないところか。輝度0%にしても暗めの室内であれば十分使える明るさだ。
キーボードはテンキーなしのアイソレーションタイプでバックライト付き。主要キーのキーピッチは約19mm。右側[Enter]キー周辺のキーが狭くなっているものの、これは許容範囲だろう。打鍵感も浅すぎず深すぎず、クリック感もあり、打ち易い。タッチパッドは1枚プレートタイプだ。パームレストも含め十分面積が確保されている。
少し怖いのは[BS]の上、[Delete]の右に電源ボタンがあること。慣れの問題だとは思うが、何かの拍子に押してしまいそうだ。なおこの電源ボタンは、指紋センサーも兼ねている。面積が狭いので登録は少し面倒だが、認識は即座で扱いやすい。
振動やノイズは試用した範囲でとくに気にならなかった。発熱はベンチマークテストなど負荷をかけるとキーボード左上側、次に上側が熱くなる。とは言えパームレストまで熱は降りてこないので十分処理はできている。
サウンドは、スピーカーが裏にあるため、反射する素材によって音のイメージが変わる。基本カマボコレンジだがパワーはほどほどにある。また筐体が薄いため、出力を大きくすると筐体全体が振動する。音楽を聴くにはいろいろ物足りないが、まったくダメでもなく、微妙なさじ加減だ。
以上のように無難だが完成度は高く、加えて重量は1kg未満。非常に魅力的な13.3型に仕上がっている。個人的にはパネルが非光沢でマットブラックモデル(ダークシルバーは普通過ぎる、ホワイトは汚れが目立つ)が欲しいところか。
十分なパフォーマンスに加えBBenchで16時間!
OSは64bit版のWindows 10 Home。初期起動時のスタート画面(タブレットモード)はギリギリ1画面。LGグループがプリインストールとなる。デスクトップは壁紙と、同社のイメージカラーへアクセントカラーを変更している。
4C/8TのCore i5、メモリ8GB、SSDなので、昨今の爆速までは行かないが、十分高速に作動しストレスを感じない。ノートPC、デスクトップPC問わず、この組み合わせであれば標準+α(プロセッサが4C/8Tのため)のランクだろう。
ストレージはSSD 256GBのHynix「HFS256G39TNF」。C:ドライブのみの1パーティションで約216GB割り当てられ空き183GB。Wi-FiとBluetoothはIntel製だ。またType-C接続の10Base-T/100Base-TXはRealtek製となっている。
おもなプリインストールのソフトウェアは、「LG Easy Guide 2.0」、「LG Reader Mode」、「LG TroubleShooting 2.0」。LG Softwareフォルダに、「LG Control Center」、「LG Update Center」。加えて、「PhotoDirector for LGE」、「PowerDirector for LGE」、「Power Media Player for LGE」などCyberLink製となる。LG Easy GuideとLG TroubleShootingは使うアプリは同じでデータを差し替えているようだ。
ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、CINEBENCH R15、CrystalDiskMark、BBench。結果は以下のとおり。
ただしPCMark 10については、Rendering and Visualization Scoreがエラーで落ち、結果、PCMark 10 ScoreとDigital Content Creationのスコアがない。少し前にDell「New Inspiron 15 5000 2-in-1 プラチナ」でも同じ現象になったが、ディスプレイドライバとの相性だろうか。
PCMark 10 v1.0.1457 | |
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PCMark 10 Score | n/a |
Essentials | 6,704 |
App Start-up Score | 7,972 |
Video Conferencing Score | 6,111 |
Web Browsing Score | 6,185 |
Productivity | 5,564 |
Spreadsheets Score | 6,752 |
Writing Score | 4,586 |
Digital Content Creation | n/a |
Photo Editing Score | 3,236 |
Rendering and Visualization Score | n/a |
Video Editting Score | 3,196 |
PCMark 8 v2.8.704 | |
Home Accelarated 3.0 | 2,959 |
Creative Accelarated 3.0 | 3,012 |
Work Accelarated 2.0 | 4,331 |
Storage | 4,936 |
3DMark v2.4.4264 | |
Time Spy | 379 |
Fire Strike Ultra | 245 |
Fire Strike Extreme | 435 |
Fire Strike | 945 |
Sky Diver | 4,021 |
Cloud Gate | 7,254 |
Ice Storm Extreme | 34,256 |
Ice Storm | 52,126 |
CINEBENCH R15 | |
OpenGL | 41.83 fps |
CPU | 514 cb |
CPU(Single Core) | 154 cb |
CrystalDiskMark 6.0.0 | |
Q32T1 シーケンシャルリード | 559.200 MB/s |
Q32T1 シーケンシャルライト | 504.697 MB/s |
4K Q8T8 ランダムリード | 370.465 MB/s |
4K Q8T8 ランダムライト | 333.155 MB/s |
4K Q32T1 ランダムリード | 220.250 MB/s |
4K Q32T1 ランダムライト | 198.523 MB/s |
4K Q1T1 ランダムリード | 19.275 MB/s |
4K Q1T1 ランダムライト | 71.502 MB/s |
BBench(ディスプレイ/キーボードバックライトの明るさ0%、電源モード:バッテリー節約機能) | |
バッテリ残量5%まで | 16時間03分42秒 |
ここのところ試用はWhiskey Lake世代のプロセッサ搭載機が続いている。Core i3/i5/i7、それぞれ安定したスコアだが、純粋な違いが出るCINEBENCH R15以外は、(iGPUかdGPUか以外)プロセッサの差よりSSDがSATA接続かPCIe接続かの方が性能に差が出る。
加えてメモリが本機のように8GB×1だと、デュアルチャネル作動にならず、iGPUの場合、グラフィック性能にまで影響する。LG gramシリーズはメーカーによるメモリ/ストレージのアップグレードが可能なので、できれば8GB×2/16GBとして使いたいところか。
バッテリ駆動時間は、ディスプレイ/キーボードバックライトの明るさ0%、電源モード:バッテリー節約機能で、残量5%まで16時間03分42秒となった。仕様上は約28時間とあるのものの、この程度が実レベルだろう。とは言えかなりのスタミナだ。輝度0%でも暗い室内であれば見れる明るさのため、結果はリアルに近いと思われる。
余談になるが今回発表された各サイズの重量は、13.3型965g、14型995g、15.6型1,099g、そして17型でさえも1,340gと、同クラスで比較するとかなり軽い。またすべてバッテリ駆動時間は最大22時間以上だ(BBenchの結果から実用範囲は60%ほどとしてもなお長め)。Core i5/7を搭載したモバイルノートPCがここまで進化したと思うとなかなか興味深い。
以上のようにLG「LG gram 13Z990-GA56J」は、Whiskey Lake第8世代のCore i5、メモリ8GB、SSD 256GBを搭載した13.3型フルHDのモバイルノートPCだ。一見どこにでもあるようなオーソドックスなデザインだが、何と言っても重量1kg切りはインパクトがある。加えてメーカーによるメモリ/ストレージのアップグレードサービスもポイントが高い。
仕様上とくに気になる部分も無く、13.3型でとにかく軽くてバランスの良いモバイルノートPCを探しているユーザーにお勧めの1台だ。