西川和久の不定期コラム
13.3型でCore i7/GeForce MX150を搭載したモバイルノート「Razer Blade Stealth」
2019年2月14日 06:00
Razerは2月7日、13型モバイルノートPCの新モデル「Razer Blade Stealth」を発表した。
iGPUモデルとdGPUモデルの2種類あるなか、後者が送られて来たので試用レポートをお届けしたい。
4C/8TのCore i7、16GB、GeForce MX150、PCIe M.2 SSD搭載と、13.3型ではほぼ最強
Razerは、おもにマウス、キーボード、ヘッドセットなど、ゲーミングデバイスのブランドであるが、その延長線上で、ゲーミング色の強いノートPCやスマートフォンなども出荷している。
ノートPCとしては、15.6型で第8世代Coreプロセッサ搭載の「Blade」、17.3型第7世代Coreプロセッサ搭載の「Blade Pro」、13.3型第8世代Coreプロセッサ搭載の「Blade Stealth」と、ディスプレイサイズの違いで大きく分けて3種類あり、どれもブラックなアルミ製ユニボディ、1,680万色のキーボードバックライト、高品質液晶パネル、dGPU搭載(iGPUモデルもある)などの特徴を持つ。
このなかで、今回ご紹介するのは、13.3型「Blade Stealth」のdGPUモデルだ。おもな仕様は以下のとおり。
Razer「Razer Blade Stealth」 | |
---|---|
プロセッサ | Core i7-8565U(4コア8スレッド/1.8~4.6GHz/キャッシュ 8MB/TDP 15W) |
メモリ | 8GB×2/LPDDR3-2133 |
ストレージ | PCIe M.2 SSD 256GB |
OS | Windows 10 Home(64bit) |
ディスプレイ | 13.3型フルHD(1,920x1,080ドット)、光沢なし、タッチ非対応 |
グラフィックス | Intel UHD Graphics 620、NVIDIA GeForce MX150 4GB(GDDR5)/Thunderbolt 3 |
ネットワーク | IEEE 802.11ac対応、Bluetooth 5.0 |
インターフェイス | Thunderbolt 3、USB 3.1×3(うち1基はType-C)、720p Webカメラ、Windows Hello準拠赤外線カメラ、音声入出力 |
バッテリ/駆動時間 | 53.1Wh/最大13時間 |
サイズ/重量 | 304.6×210×14.8mm(幅×奥行き×高さ)/約1.31kg |
価格 | 209,304円 |
プロセッサはWhiskey Lakeこと第8世代のCore i7-8565U。4コア8スレッドで、クロックは1.8GHzから最大4.6GHz。キャッシュは8MB、TDPは15W。現在、モバイル用Whiskey Lakeは、Core i7-8565/i5-8265U/i3-8145Uとあり、このなかで最上位のSKUとなる。
メモリはLPDDR3-2133の8GBメモリ×2。ストレージはPCIe M.2 SSD 256GB。OSは64bit版のWindows 10 Homeを搭載する。
グラフィックスは、プロセッサ内蔵のIntel UHD Graphics 620に加え、Pascalアーキテクチャの「GeForce MX150 4GB(GDDR5)」を搭載。外部出力はThunderbolt 3を使用する。
より強力なGPUが必要な時は、別売のGPUエンクロージャ「Razer Core X」で、ビデオカードもThunderbolt 3経由で接続可能だ(参考までに、同製品はThunderbolt 3搭載のMacにも対応している)。
ディスプレイは4.9mmの狭額縁で、13.3型非光沢のフルHD(1,920x1,080ドット)液晶パネルを搭載。タッチには非対応だ。sRGB比100%で、個別キャリブレーション後に出荷されている。
ネットワークはIEEE 802.11ac無線LAN対応、Bluetooth 5.0で、有線LANは非搭載。そのほかのインターフェイスは、Thunderbolt 3、USB 3.1×3(うち1基はType-C)、720p Webカメラ、Windows Hello準拠赤外線カメラ、音声入出力(Dolby Atmos対応)。
キーボードは1,680万色のバックライト付きだが、ほかのモデルとは異なり、キー1つ1つの設定はできず、全体まとめての設定となる。
サイズは304.6×210×14.8mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約1.31kg。53.1Whのバッテリを内蔵し、最大駆動時間は13時間。
価格は209,304円で、下位モデルは主要部分はそのまま、iGPUのみ、メモリ8GB、M.2 SATA SSD 256GB、重量1.28kgで、183,384円だ。
筐体は、高精度CNC加工のユニボディでアルミニウム製、さらに陽極酸化処理のブラック仕上げと、かなりカッコいい。余談になるが、届いたのは雪の降った日で、梱包をあけて本体を取り出すとキンキンに冷えていた(笑)。この感触はプラスチック製では味わえないだろう。
重量は実測で1,315g。このクラスとしては特別軽い方ではないものの、この素材、質感なら納得だ。
全面はパネル中央上にWebカメラ。また狭額縁(4.9mm)なのが分かる。正面側面右にPowerLED。左側面にUSB 3.1 Type-C(電源)、USB 3.1、音声入出力。右側面にThunderbolt 3、USB 3.1を配置。有線LANとカードリーダがない。
裏は前後にバー式のゴム足。少し後ろ側に2つのファン、その後ろにスリットがある。後ろのゴム足が若干高く、これによりキーボードが手前に傾いている。
付属のACアダプタは、サイズが108×35×25mm(同)、重量191g、出力が5V/9V/15V/3A、20V/3.25A。
キャリブレーション後に出荷されるディスプレイは非常に美しく、明るさ、コントラスト、発色、視野角、すべて良好。非光沢なので目に優しく、非光沢でありがちな原色系が地味な見た目にもならない。見栄えするパネルだ。
キーボードはテンキーなしのアイソレーションタイプ。1,680万色のバックライト付きで、後述する「Razer Synapse」でカスタマイズが可能。
打鍵感はそこそこで、ストロークとクリック感があり良好。キーピッチは主要キーは約19mmだが、右側の一部が狭くなっている。とくに「.」、「,」、「/」が狭いのは使いにくさを感じた。ガラス製タッチパッドは指の滑りが非常に滑らかで、パームレストも含め、面積は十分確保されている。
ノイズや振動は、底面にファンが2つ見えているわりに、試用中とくに気にならなかった。発熱は、ベンチマークテストなど負荷をかけると、まずキーボードの左上、その後徐々にパームレストまで下りてくる。とはいえ、内容を考えると十分に排熱は処理されており、それほどは熱くならない。
サウンドは、スピーカーがキーボード左右のメッシュ部分に埋め込まれ、ダイレクトに耳に届く。パワーも十分あり、音質も結構いける。このクラスとしてはなかなかのものだ。ゲームは迫力があり、音楽や映像も十分楽しめる。
全体的に、ゲーミングで使うだけではもったいなく、性能やある程度正確な色が必要なクリエイト系の仕事にも使いたいところ。ただし、内容相当とはいえ少し価格が高めなので、できればこの筐体/パネルのまま、Core i5/iGPU/キーボードバックライト白のみの廉価版も欲しいところだ。
高性能に加えBBenchで14時間越えのスタミナ
OSは64bit版のWindows 10 Home。初期起動時のスタート画面(タブレットモード)は1画面。Razerグループがプリインストールとなる。デスクトップは壁紙のみの変更。派手で本機のパネル性能がよく分かる絵柄だ。
使用感は、4コア/8スレッドのCore i7、メモリ16GB、GeForce MX150、PCIe M.2 SSDと、13.3型であることを考えればほぼ最強の仕様で、非常に快適に作動する。Windows Hello準拠赤外線カメラは、登録/認識ともに即座に反応。楽にログインできる。
ストレージはPCIe M.2 SSD 256GBの「LITEON CA3-8D256」。Cドライブのみの1パーティションで、約222.54GBが割り当てられ、空きは184GB。前半に書いたように、iGPUモデルはM.2 SATA接続のSSDとなる。Wi-Fi(Wireless-AC 9560)とBluetoothはIntel製だ。
グラフィックスは、Intel UHD Graphics 620とNVIDIA GeForce MX150が両方見えており、状態に応じてシームレスに切り替わる。
インストール済のソフトウェアは「Razer Synapse」のみ。画面キャプチャからも分かるように、システムの状態、キーボードバックライトのカスタマイズ、マクロ、ストアなど、多彩な機能を持つ。
ただ、システムの確認やキーボードバックライトのカスタマイズのためだけにアカウントを作らなければならないのは、個人的には好ましくない。機能的にアカウントが必要なものと、そうではないものと分けて欲しいところだ。
ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、CINEBENCH R15、CrystalDiskMark、BBench。
PCMark 10とCINEBENCH R15のカッコ内はバッテリ駆動時、つまりおもにiGPU時のスコアとなっている。結果は以下のとおりだ。
ベンチマーク結果 | |
---|---|
PCMark 10 v1.0.1457 | |
PCMark 10 Score | 4,205(3,443) |
Essentials | 8,048(6,462) |
App Start-up Score | 10,041(8,759) |
Video Conferencing Score | 6,654(4,559) |
Web Browsing Score | 7,802(6,760) |
Productivity | 6,445(6,308) |
Spreadsheets Score | 8,375(7,743) |
Writing Score | 4,961(5,139) |
Digital Content Creation | 3,893(2,718) |
Photo Editing Score | 4,019(2,744) |
Rendering and Visualization Score | 3,721(2,696) |
Video Editting Score | 3,948(2,717) |
PCMark 8 v2.8.704 | |
Home Accelarated 3.0 | 3,208 |
Creative Accelarated 3.0 | 3,563 |
Work Accelarated 2.0 | 4,911 |
Storage | 5,043 |
3DMark v2.4.4264 | |
Time Spy | 1,261 |
Fire Strike Ultra | 811 |
Fire Strike Extreme | 1,708 |
Fire Strike | 3,376 |
Sky Diver | 11,884 |
Cloud Gate | 16,434 |
Ice Storm Extreme | 82,031 |
Ice Storm | 78,537 |
CINEBENCH R15 | |
OpenGL | 93.29(44.38) fps |
CPU | 699(464) cb |
CPU(Single Core) | 192(191) cb |
CrystalDiskMark 6.0.0 | |
Q32T1 シーケンシャルリード | 2,983.721MB/s |
Q32T1 シーケンシャルライト | 1,079.538MB/s |
4K Q8T8 ランダムリード | 702.533MB/s |
4K Q8T8 ランダムライト | 665.347MB/s |
4K Q32T1 ランダムリード | 399.812MB/s |
4K Q32T1 ランダムライト | 320.103MB/s |
4K Q1T1 ランダムリード | 55.139MB/s |
4K Q1T1 ランダムライト | 131.228MB/s |
BBench(ディスプレイ/キーボードバックライトの明るさ0%、電源モード: バッテリー節約機能) | |
バッテリ残量5%まで | 14時間54分21秒 |
カッコ内のバッテリ/iGPU作動時でも、プロセッサがCore i7-8565Uということもあり、結構なスコアだが、電源に接続しdGPU/GeForce MX150側に切り替わると、さらに高いスコアになる。
試しに(変わらないだろうなと思いつつ)、バッテリ駆動時のCrystalDiskMarkを測ってみたが、やはり変わらなかった。いずれにしても、13.3型でこれだけのスコアを叩き出す機種はそれほどないだろう。
バッテリ駆動時間は、ディスプレイ/キーボードバックライトの明るさ0%、電源モード:バッテリ節約機能で残り5%まで14時間54分21秒。仕様では最大13時間とあるが、それを2時間近く上回っている。またパネルの輝度が0%でもそれなりに見えるため、実使用時でも同じレベルと思われる。
以上のように、Razer「Razer Blade Stealth」は、13.3型の薄型筐体に、Core i7と16GB、GeForce MX150、PCIe M.2 SSDを詰め込んだモバイルノートPCだ。
加えてsRGB比100%のパネル、Windows Hello対応赤外線Webカメラ、アルミ製ユニボディで黒色アルマイト加工、キーボードバックライトなど、ゲーミングPCとしてだけでなく、普段使いのノートPCとしても十分なスペックを誇る。バッテリ駆動も軽く12時間を超えるスタミナだ。
仕様上とくに気になる部分もなく、13.3型でカッコよくパワフルなノートPCを求めているユーザーにお勧めしたい1台だ。