西川和久の不定期コラム
WindowsとAndroidがデュアルブートする10.1型機Teclast「Tbook 10 S」
2017年10月31日 11:00
10月19日アクティブサポートジャパン合同会社は、Teclastと正規代理店契約を交わし、第1弾として、日本用にファームウェアとOSをインストールした上、Windows 10とAndroidのデュアルブートで、技適も通した2in1「Tbook 10 S」を国内で発表した。
編集部から実機が送られてきたので、試用レポートをお届けしたい。
国内初登場のWindows 10とAndroidのデュアルブート2in1
じつは、海外サイトを眺めていると、Atom x5/x7を搭載したタブレットや2in1で、WindowsとAndroid両対応のデバイスが意外と多い。価格も安く、日本円換算で2万円前後。たまにAKIBA PC Hotline!に並行輸入ものが載っているので、その存在を知っている人もいるだろう。
個人でも並行輸入可能だが、ほとんどのケースで技適マークがなく、基本的に日本国内では無線機能が使えない(Wi-FiとBluetoothを切れば良いのだが、初期起動はオンになっている)。安いし面白そうだし使ってみたいと思っても、この問題がある限りどうにもならない。
そこへ登場したのが、冒頭に書いたように、アクティブサポートジャパン合同会社がTeclastと正規代理店契約を交わし、ファームウェアとOSを日本用へ変更、加えて技適マークを取得したデバイス「Tbook 10 S」だ。WindowsとAndroidがデュアルブートする2in1は、国内初となる。主な仕様は以下の通り。
Teclast「Tbook 10 S」の仕様 | |
---|---|
プロセッサ | Atom x5-Z8350(4コア/4スレッド、クロック1.44GHz/1.92GHz、キャッシュ2MB、SDP 2W) |
メモリ | 4GB/LPDDR3 |
ストレージ | eMMC 64GB |
OS | Windows 10 Home(64bit)/Android 5.1 |
グラフィックス | プロセッサ内蔵Intel HD Graphics 400、Mini HDMI |
ディスプレイ | 10.1型IPS式1,920×1,200ドット(光沢あり)/10点タッチ |
ネットワーク | IEEE 802.11b/g/n無線LAN、Bluetooth 4.0 |
インターフェイス | Micro USB 2.0×1、200万画素Webカメラ、microSDカードスロット、音声入出力、2.5mm DC端子(USB式ACアダプタ付属せず) |
センサー | 加速度センサー |
バッテリ駆動時間 | 最大約5時間(5,800mAh) |
サイズ(幅×奥行き×高さ)/重量 | 246.1×165.9×8.7mm/545.9g(単体)、246.1×175.9×15.7mm/1,130.9g(キーボード装着時) |
店頭予想価格 | 29,800円前後(専用の英語キーボードと充電式スタイラスペンのセットは36,800円) |
プロセッサはAtom x5-Z8350。4コア4スレッド、クロックは1.44GHzから最大1.92GHz。キャッシュは2MB、SDPは2W。タブレットや2in1でお馴染みのSKUだ。メモリは4GB、ストレージは64GBのeMMCを搭載している。
そして、OSは冒頭に書いたように、64bit版のWindows 10 Homeと、Android 5.1のデュアルブートだ。ただし、Androidはすでに8.0が出ているので、せめて画面分割が利用できる7だと嬉しかったのだが、さすがに3つ前のバージョンは古いと言わざるを得ない。
グラフィックスは、プロセッサ内蔵のIntel HD Graphics 400。外部出力用にMini HDMIも装備している。ディスプレイは光沢ありの10.1型IPS式1,920×1,200ドット。10点タッチに対応する。この価格帯でIPS、そして1,920×1,200ドットというのはポイントが高い。
ネットワークは、IEEE 802.11b/g/n無線LAN、Bluetooth 4.0。インターフェイスは、Micro USB 2.0×1、200万画素Webカメラ、microSDカードスロット、音声入出力、2.5mm DC端子。
Micro USBからでも、2.5mm DC端子からでも充電可能だが、USB式ACアダプタは付属しないので要注意。センサーは加速度センサーを搭載する。
5,800mAhのバッテリを内蔵し、駆動時間は最大約5時間。本体のサイズは、246.1×165.9×8.7mm(幅×奥行き×高さ)、重量545.9g。キーボードと合体時は、246.1×175.9×15.7mm(同)、重量1,130.9gとなる。
このように全部入り(足りないのは11ac程度)で、価格は単体29,800円前後。専用の英語キーボードと充電式スタイラスペンのセットで36,800円。技適を通しているため、海外の同クラスより高めとはいえ、それでも安い。
写真は掲載しなかったが、パッケージは中国語のままだった。裏側に日本語で仕様などが書かれたシールが貼られているだけとなる。本体はありがちな10.1型タブレットで、裏がゴールド。ゴールドでも茶に近い感じだ。実測で572gなので、重くなく普通に扱える。
横向きで持った時、前面はパネル中央上に200万画素Webカメラ、右中央にWindowsボタン。背面にはカメラはなく、下に技適マークがある。
左側面はスピーカーL。右側面は、音声入出力、microSDカードスロット、Micro USB、Mini HDMI、電源入力、スピーカーR。上側面に電源ボタンと音量±ボタン。下側面中央にDockコネクタと、その両サイドに固定用の凹みを配置。またキーボードとの固定はこの凹みと磁石になっている。
付属品は、USB/電源プラグ、Micro USB/USB(OTG)、USB/Micro USBのケーブル3本。USB式ACアダプタは付属しないので要注意だ(5V/2.4A PSEマーク付き推奨)。
IPS式10.1型のディスプレイは、発色、明るさ、コントラスト、視野角ともに悪くない。この価格帯なら十分だ。(上を見ればそれなりとはいえ)実際試用してもとくに不満はない。また、解像度が1,920×1,080ドットではなく、1,920×1,200ドットなのも横位置、縦位置ともに見やすい。タッチの反応もスムーズだ。
振動やノイズは皆無。発熱は右上が少し暖かくなる程度で許容範囲だ。サウンドは左右側面の下にあるため、そのままだと音が横に抜けてしまうが、両手で持つとき、ちょうどスピーカー辺りにてのひらが来るようにすると、手前に音が出て音量・迫力ともに増し、それなりに楽しめる。
オプションのキーボードは実測で重量630g。本体と合わせて計1.2kgと少々重い。ただキーボード側が軽いと、合体した時、パネルの重さで後ろに倒れてしまうケースがあるため、痛しかゆしといったところだ。傾きは扉の写真が最大となる。カラーは、本体と全く同じの少し茶っぽいゴールドだ。
キーボード自体は、アイソレーションタイプでUS配列。キーピッチは実測で約18mmと少し狭いものの、この手の日本語キーボードでよく見かける、破綻している配置はなく、普通に入力できる。また打鍵感も悪くない。ただ、日本語入力切替が[Alt]+[Fn]+[Q]、ひらがな英数切替が[Shift]+[Caps]……と変則的。これを我慢できるかで、評価が分かれると思われる。
タッチパッドはボタンのない1枚プレート型。フットプリントの関係で、少し面積は狭いものの、割とスムーズに操作できる。
同じくオプションのスタイラスペンは、重量18gでMicro USBを使った充電式だ。筆者の場合、絵が描けないので、スクロールやマーカー程度にしか試していないものの、ストレスなく扱えた。
総じて、価格を考慮すると無難にまとまっており、コストパフォーマンスは良いと思う。ただ、これは個人的な意見となるが、いかにも的なゴールドが好みではない。シルバーか、せめて真鍮色なら良かったのだが……
Windows 10とAndroidの切替は再起動
電源を入れると、まずOS選択の表示となり、WindowsかAndroidを選ぶ。OS起動後も「OS Switch」を使い、もう一方のOSに切り替えることが可能だ。ただし、ハイバネーション的な瞬時切替ではなく、再起動となる。
Windows初期起動時のスタート画面(タブレットモード)は1画面。デスクトップは壁紙の変更と、タスクバーに「OS Switch」をピン止めしただけの素のWindowsだ。Atom x5、eMMCだが、メモリが4GBあるので、重い処理を行なわない限り普通に操作できる。
ストレージはeMMC 64GBの「SanDisk SEM64G」。Windows自体のパーティションは、Cドライブのみで約37.5GBが割り当てられ、空きは24.1GB。空きが少ないので、データはクラウドかmicroSDカードに逃がした方が無難だ。Androidが同居しているため、細かいパーティションがいくつもあるのが確認できる。Wi-FiとBluetoothはBroadcom製。
Android側の初期起動時は、ホーム画面が5つあるなか、真ん中の3/5画面目に時計のウィジェットのみ。Dockには設定とカメラを配置。通知エリアに「OS Switch」がある。Androidのバージョンは5.1。ストレージは約15GBが空きだ。ナビゲーションバーはソフトウェア式。
Android 7ではないので、画面分割には非対応。全画面のみでアプリの切替となるが、キーボードとタッチパッドを使って、デスクトップ的な使い方もできる。
インストール済のアプリケーションは、「カメラ」、「ギャラリー」、「ダウンロード」、「ブラウザ」、「マップ」、「メール」、「音楽」、「音声レコーダ」、「時計」、「設定」、「電卓」、「File Manager」、「Gmail」、「Google設定」、「Playストア」、「YouTube」……とかなり少ないが、「Playストア」に対応しているので、好きなアプリをダウンロードすれば良い。
ウィジェットは「アナログ時計」、「おすすめのコンテンツを楽しむ」、「カレンダー」、「デジタルクロック」、「フォトギャラリー」、「ブックマーク」×2、「ミュージックプレイリスト」、「メール」、「メールフォルダ」、「音楽」、「経路を検索」、「設定をショートカットする」、「Folder shortcut」、「Gmail」、「Gmailのラベル」、「Google Now」、「Google Sound Search」、「Googleアプリ」、「Playマイライブラリ」、「Playストア」。
ベンチマークテストは、Windows 10側では「winsat formal」コマンド、PCMark 8 バージョン2/Home(accelerated)、BBench、CrystalDiskMark、CrystalMark(4コア4スレッドで条件的に問題ない)。Android側ではGoogle Octane 2.0と、Antutu Benchmarkを使用した。
winsat formalの結果は、総合 3.4。プロセッサ 6、メモリ 5.9、グラフィックス 3.4、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 6.1。64bitでメモリ4GBなので、リミッターがかかっている。バンド幅は4,883.07478MB/s。
PCMark 8 バージョン2のHome(accelerated)は1,283。CrystalDiskMarkは、Seq Q32T1 Read 85.31/Write 46.45、4K Q32T1 Read 11.06/Write 3.879、Seq Read 99.74/Write 27.89、4K Read 8.510/Write 3.419(MB/s)。CrystalMarkは、ALU 22,036、FPU 18,311、MEM 15,979、HDD 11,539、GDI 3,349、D2D 2,773、OGL 2,097。
BBenchは、バッテリー節約機能オン、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果は、バッテリの残6%で26,880秒/7.5時間。仕様上、最大5時間なので少し上回った。10.1型タブレットでAtomならクラス相当だろう。
Android側のGoogle Octaneは6,684。Antutu Benchmarkは58,809となった。これからも分かるように、Windowsとしてはエントリークラスとなるが、Androidとしては、なかなか速い方となる(Google Octaneはシングルスレッド性能)。
以上のようにTeclast「Tbook 10 S」は、Windows 10とAndroidがデュアルブートする、10.1型Atom x5-Z8350/4GB/64GBの2in1だ。オプションで、専用キーボードとスタイラスペンが使えるのもポイントが高い。
外装など、作りがいかにも中国っぽく、またストレージの容量が若干足りないかも知れないが、仕様上、特に気になる部分もなく、お手頃価格で2つのOSが楽しめる2in1を試してみたいユーザーに使って欲しい逸品と言えよう。