西川和久の不定期コラム
マウス「m-Book W875/MB-W875SN1-SH2」
~4コア8スレッド、GeForce GTX 1050搭載17.3型フルHDノートPC!
2017年6月30日 06:00
6月8日マウスコンピューターは、Core i7、GeForce GTX 1050搭載の17.3型ノートPC「m-Book W875」を発表した。メモリやストレージによって3モデルあるなか、最上位モデルが送られて来たので試用レポートをお届けしたい。
Core i7/16GB/256GB+1TB/GeForce GTX 1050の高性能ノートPC
今回発表された「m-Book W875」シリーズは、「MB-W875BN1」、「MB-W875SN1-S5」、「MB-W875SN1-SH2」の3モデルあり、Core i7プロセッサや17.3型フルHDパネル、GeForce GTX 1050など主要部分は同じで、メモリとストレージの構成が異なる。
順に8GB/HDD 500GB、8GB/SSD 480GB、16GB/SSD 256GB+HDD 1TB。価格は税別で119,800円、139,800円、144,800円(意外と差が少ない)。
手元に届いたのは、最上位モデルの「MB-W875SN1-SH2」。主な仕様は以下の通り。
マウスコンピューター「m-Book W875/MB-W875SN1-SH2」の仕様 | |
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プロセッサ | Core i7-7700HQ (4コア/8スレッド、クロック 2.8GHz/3.8GHz、キャッシュ6MB、TDP 45W) |
メモリ | 16GB (8GB×2/デュアルチャネル)/PC4-19200 DDR4 SO-DIMM/2スロット空き0/最大32GB |
ストレージ | M.2 SSD 256GB + HDD 1TB (5,400rpm) |
OS | Windows 10 Home 64bit |
ディスプレイ | 17.3型フルHD(1,920x1,080ドット)、非光沢、タッチ非対応 |
グラフィックス | Intel HD Graphics 630+GeForce GTX 1050 (4GB)/HDMI、Mini DisplayPort×2 |
ネットワーク | Gigabit Ethernet、IEEE 802.11ac対応無線LAN、Bluetooth 4.2+LE |
インターフェース | USB 2.0、USB 3.0×2、USB 3.0 Type-C、200万画素カメラ、マルチカードリーダー(UHS-I対応)、指紋センサー、音声入出力 |
バッテリ駆動時間 | 約5.6時間 |
サイズ(幅×奥行き×高さ)/重量 | 約418.5×288.7×30mm/約2.7kg |
Web販売価格 | 144,800円(税別) |
プロセッサはKaby Lake世代のCore i7-7700HQ。4コア8スレッド、クロックは2.8GHzから最大3.8GHz。キャッシュ6MB、TDP 45W。モバイル用としてはハイエンドクラスのSKUとなる。チップセットはMobile Intel HM175。
メモリは2スロットあり、8GB/PC4-19200 DDR4 SO-DIMM×2で計16GB。最大32GBまで搭載可能だ。もちろんデュアルチャネル動作だ。ストレージは、M.2 SSD 256GBと、5,400rpmのHDD 1TB。OSは64bit版のWindows 10 Home。
グラフィックスは、プロセッサ内蔵Intel HD Graphics 630と、PascalアーキテクチャのGeForce GTX 1050 (4GB)。本来デスクトップ向けのローエンドモデルだ。Pascal初の低消費電力モデルとはいえ、大胆にも17.3型のノートPCへ詰め込んだ形となる。
外部出力用としてHDMI×1、Mini DisplayPort×2を備える。ディスプレイは17.3型非光沢のフルHD(1,920x1,080ドット)。タッチには非対応。
ネットワークは、有線LANがGigabit Ethernet。無線LANが11ac対応。Bluetooth 4.2+LEも内蔵する。
そのほかのインターフェースは、USB 2.0、USB 3.0×2、USB 3.0 Type-C、200万画素カメラ、マルチカードリーダー(UHS-I対応)、指紋センサー、音声入出力。ノートPCとしては、豊富な映像出力とUSBポートが魅力的だ。
サイズは約418.5×288.7×30mm(幅×奥行き×高さ)、重量約2.7kg。17.3型だけあってかなり大きい。バッテリ駆動時間は約5.6時間。
価格は先に書いたように、この構成で144,800円(税別)となる。なおストレージやメモリ、OSなど、カスタマイズも可能だ。
筐体はプラスチック製。高級感はないが、といってチープでもない。深めのグレーとブラックでまとめられ、どこに置いてもマッチする。流石に17.3型で2.7kgは大きくて重いが、このハイパフォーマンスマシンを持ち運べるのなら文句なしだろう。
前面は、パネル中央上に200万画素Webカメラ。本体手前の側面にステータスLED。裏は、手前左右のスリットにスピーカー。メモリなどにアクセスできる小さいパネルはなく、中央のスリットからヒートパイプなどが見えている。
左サイドは、ロックポート、電源入力、Ethernet、Mini DisplayPort×2、HDMI、USB Type-C、USB 3.0、マルチカードリーダー。右サイドにUSB 3.0、USB 2.0、音声入出力を配置。主要コネクタの多くが、左サイドにまとまっており、使い勝手は良さそうだ。パネルはこの写真の傾きが最大となる。
付属のACアダプタは、サイズが145×72×25mm(同)、重量485g。ノートPC用としては大きいものの、17.3型と考えれば少し小さいほうだろうか。バッテリは着脱式で4,200mAhのものが使われている。
ディスプレイは非光沢なので反射が少なく、長時間の使用でも光沢ありほどは眼が疲れない。明るさは十分あり、最小でも暗めの室内であれば普通に操作可能だ。発色とコントラストは、光沢タイプほど見栄えはしないが、品質は確保されている。視野角も正面から使う限りは実用範囲だ。
キーボードは10キー付き。加えて5段階に調整できるキーボードバックライトを搭載し、最大にすると眩しいほど白く光る。主要キーのキーピッチは約18mm。フットプリントが広いだけに歪な並びはなく、加えて打鍵感も結構良い(ストローク約1.8mm)。タッチパッドは物理的なボタンが2つあるタイプだ。パームレストも含め十分広い。ボタンの間にWindows Hello対応の指紋センサーがある。
振動やノイズは通常使用時には特に気にならないレベルに収まっている。ベンチマークテストなど負荷をかけるとファンの音が少し増し、キーボード左上の部分が特に暖かくなる(熱いレベルではない)。とはいえ、GeForce GTX 1050など、搭載している内容を考えると十分制御されているほうだろう。
サウンドは裏にスピーカーがあるので、机などに音を反射するタイプだ(加えて筐体も共振して全体が鳴っている感がある)。低音は少なめでレンジは狭いもののパワーはそこそこあり、YouTubeの映像や3DMarkのデモは楽しめた。また「Sound Blaster Cinema 3」を使って好みの音に調整もできる。
総じてアルミ筐体のような高級感はないものの、結構なスペックをうまく収め、堅実なノートPCに仕上がっている。
文句なしの性能
OSは64bit版のWindows 10 Home。初期起動時のスタート画面とデスクトップは、壁紙の変更のみと、ほぼ素のWindowsだ。流石に16GBメモリ、M.2 SSD、GeForce GTX 1050の環境は快適で、起動も速く、アプリケーションなどの動作も良い。動画編集や、仮想マシンを多く立ち上げた開発環境としても快適だろう。17.3型で大きいとはいえ、この環境を持ち運べるのは魅力的だ。
M.2 SSDは256GBの「SanDisk SD85NAT256G1122」、HDDは1TB/5400rpm/128MBの「SEAGATE ST1000LM048」。それぞれCドライブとDドライブの1パーティションで、約237GB/空き212GB、約931GBが割り当てられている。
Gigabit EthernetはRealtek製、Wi-FiとBluetoothはIntel製だ。グラフィックスは、Intel HD Graphics 630とGeForce GTX 1050が見えており、状況に応じてシームレスに切り替わる。
インストール済みのソフトウェアは、Windowsストアアプリは特になし。デスクトップアプリは、「マカフィー リブセーフ(60日体験版)」以外は、「Flexikey」、「Sound Blaster Cinema 3」、「Control Center」などのシステム系となる。
ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 8 バージョン2/Home accelerated、3DMark、CrystalDiskMark。バッテリ駆動時間テストはBBench。またCrystalMarkの結果も掲載した(4コア8スレッドと条件的に問題があるので参考まで)。
winsat formalの結果は、総合 6.3。プロセッサ 8.3、メモリ 8.3、グラフィックス 6.3、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 8.15。メモリのバンド幅は28,547.96274MB/s。PCMark 8 バージョ2/Home acceleratedは3,514。3DMarkは、Ice Storm 10,5412、Cloud Gate 20,527、Sky Diver 17,450、Fire Strike 5,554。
CrystalDiskMarkは、Seq Q32T1 Read 534.6/Write 350.6、4K Q32T1 Read 150.9/Write 223.3、Seq Read 473.0/Write 321.5、4K Read 14.82/Write 56.92(MB/s)。CrystalMarkは、ALU 82,170、FPU 70,380、MEM 84,206、HDD 35,857、GDI 18,142、D2D 3,485、OGL 38,162。
プロセッサ、メモリ、ストレージは、このクラス的には(高レベルで)標準的。これだけ速いとグラフィックスはもっと上のSKUが欲しくなる。
BBenchは、バッテリ節約機能オン、キーボードともにバックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、WiFi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残5%で26,768秒/7.4時間。仕様の約5.6時間を少し超えた。
先に書いたように、バックライト最小でも暗めの室内であれば十分見れる明るさなので、GeForce GTX 1050を長時間動かさないような使い方だと、同程度は持つと思われる。最近、普通のノートPCのバッテリ駆動時間が異様に長いため、7時間ほどだと短く思うが、内容を考えれば結構な駆動時間だ。
以上のように、「MB-W875SN1-SH2」は、17.3型と大きい筐体に、4コア/8スレッドのCore i7、メモリ16GB、M.2 SSDとHDD、GeForce GTX 1050などを詰め込んだハイエンドノートPCだ。非光沢のパネル、3つある映像出力、予算や用途に応じて3モデル選べるのも魅力的だ。
試用した範囲で特に気になる部分もなく、17.3型の高性能なマシンを望んでいるユーザーにおすすめしたい逸品と言えよう。