西川和久の不定期コラム

日本HP「Elite x3」でカメラリベンジ

~ファームウェアのアップデートで大幅に改善!

Elite x3

 10月26日未明、日本HP「Elite x3」の新ファームウェアが公開された。カメラが良くなっているので試して欲しいと同社から連絡があったので、早速リベンジ。カメラのみの追加ミニレポートをお届けしたい。

ファームウェアのアップデートで改善された1,600万画素背面カメラ

 10月下旬に掲載した試用レポートでは、画面よし、速度よし、サウンドよし……でもカメラがハイエンドにも関わらずiPhoneやAndroid搭載機の同レベルには、AF/AE/AWB/発色全てにおいてまるで達していないという酷評となった。Windows 10 Mobileとしては最強のSnapdragon 820搭載機で期待も大きい分、落胆が激し過ぎたためもある。

 掲載後しばらく経った10月26日、「ファームウェアのアップデートでカメラが良くなったので試して欲しい」と同社から連絡があり、今回のリベンジすることにした。

 新しいファームウェアのリビジョン番号は“0002.0000.0014.0100”となっていた(1つ前は0002.0000.0007.0088)。また直接関係ないものの、11月2日未明に、カメラアプリも主に操作系が改善されたメジャーアップデートがあった。

ファームウェアリビジョン番号が0002.0000.0014.0100に(1つ前は0002.0000.0007.0088)
ファームウェアのアップデートとは直接関係ないが、カメラアプリも11月2日未明メジャーアップデート

 早速撮影したところ、まずAFが速く、また迷わなくなった(カメラアプリアップデート前も同じ)。1つ前のファームウェアでは、AFが遅い上に迷うため、普通のシーンをスナップするだけでも秒単位の撮影時間がかかり、ここが最大のストレスになっていたが、大幅に改善された。とは言え、iPhoneやカメラに特化したAndroid搭載機にはまだまだ追いついていないため、さらに改善して欲しいものの、とりあえずこのレベルであれば難なく普通に撮れる。

 AWBは前回、特に日影で効きが甘く青っぽくなると書いたが、これも少し改善された。逆に光源がタングステンの時、白く補正し過ぎるので、もう少し赤味を残した方が雰囲気は出ると思われる。

 AEも若干良くなったものの、相変わらず背景が白いとアンダー、黒いとオーバーになり、露出補正が必要となる(しなくて済むケースが少し増えた)。この点は(旧式?)カメラとしては当たり前の動作なのだが、昨今のスマートフォンのカメラは、シーン認識型のAEを搭載しており、ありがちなケースはほぼ適正となる。

 先のAWBも含めこの辺りは、かなりのノウハウが必要なので、(カメラメーカーとコラボしたり、詳しい人材を引き抜くなどしないと)これ以上精度を上げるには同社だけで解決するのは難しいかも知れない。

 以下、フルオートで撮影したスナップを20枚掲載する(P11のみマイナス露出補正)。前回掲載した写真は、“安価なタブレットのWebカメラ”的な写りだったが、ご覧のように随分写真と言える写りになったのがお分かり頂けると思う。お散歩カメラで、Instagramで加工、ソーシャルにアップするような用途であれば全く問題ないレベルだ。

作例
基本フルオート。比較しやすいよう、前回やiPhone 7 Plusの時とよく似た写真もあえて入れてある

 同社にアドバイスがあるとすれば、JPEG+DNG(RAW出力)にさえ対応してもらえれば、筆者のような写真にうるさい連中は、自分でRAW現像して好きに画像を触ることができ、自己完結可能になる。幸いWindows 10 Mobileには「Rawer」というアプリがあるので、とりあえずこれを使えばスマートフォン上でも何とかなる。もちろんPCへDNGをコピーし、Photoshopなどで現像可能であるが、そこまでするのはレアケースだろう。

Rawer(Elite x3はDNG未対応) / 現像前
現像後。露出補正や色温度など、一通りの機能がある

 いずれにしても、この短期間でここまで仕上げた同社には、今後も期待したいところ。

追加情報。NFCはType F、Quick Charge 3.0対応

 以前の記事では、同社の仕様表になかったのでサラッと流したところがある、NFCのTypeと、Quick Chargeだ。

 まずNFCだが、Type A/Bの対応は当然として、以前NuAns NEOの時のご紹介したFeliCaカードリーダーアプリの「Kumalica」をアプリストアからダウンロードして動かしたところSuicaの履歴を読むことができた。つまりType Fに対応している。同社に確認したところ、“対応している”とのことだった。

 iPhone 7(Plus)のようにSuica自体にはならないが、カードの履歴を読めるだけでも、結構便利に使えるので、この不意打ちのような対応は嬉しい限りである。

HP Elite x3とKumalicaでSuicaを読み取ったところ
Battery X。この手のアプリとしては珍しくUWPアプリ
Quick Charge 3.0対応のものは手持ちではなく、2.0対応のACアダプタとモバイルバッテリ。余談になるが、個人設定/スタート/タイルの数を増やすをオンで、スタート画面に標準サイズのタイルを横に4つ並べることができる(オフでは3つ)

 Quick Charge 2.0はもともとQualcommが作った規格で、Snapdragon 820、620、618、617、430などのSoCで対応している。HP Elite x3はSnapdragon 820なので、試しに手元の対応ACアダプタで充電した結果、結構速い時間でチャージでき、これも同社に確認したところ“Quick Charge 3.0対応している”とのこと。2.0ではなく3.0の対応だ。3.0は2.0と比較して充電効率が向上したもので、下位互換性があり、2.0対応充電器で(2.0の速度で)充電可能だ。

 この2点は細かいことであるが、結構重要なファクタなので、サイトの仕様表などにできれば追加して頂きたいところだ。

 なお、実際SIMを入れ、筆者が普段使うアプリをインストールした状態で1週間ほど試用したところ、カメラやアプリの使用頻度、メッセージやメールのアカウント数などにもにもよるが、丸2日でちょうどバッテリ切れになる感じだ。iPhone 7 Plusと同程度だろうか。

 以上のように、前回不満だったHP「Elite x3」搭載のカメラは、ファームウェアのアップデートによりかなり実用的に使えるようになった。感覚的には別物と言っても過言ではないほど進化している。とは言え、まだまだiPhoneなど競合機には追い付いていないので、さらなる向上に期待したい。