西川和久の不定期コラム

この秋冬最強のWindows 10 Mobile搭載スマートフォン「HP Elite x3」

製品写真

 日本HPは8月31日、Windows 10 Mobile搭載スマートフォン「HP Elite x3」を9月5日から販売、10月頭から順次出荷すると発表した。Snapdragon 820やWQHD解像度の有機ELパネル(AMOLED)を搭載し、おそらく今年最もハイスペックなモデルとなる。実機を試用する機会に恵まれたので、レポートをお届けしたい。

ハイスペック全部入りのまさに最強の一台

 今年に入って、Windows 10 Mobile搭載スマートフォンは一気に増えた。ただ、残念ながらそのほとんどは「Snapdragon 4xx」系以下のContinuum未対応機か、「Snapdragon 617」搭載のWi-FiによるContinuum対応。唯一、有線によるContinuum対応が可能なのは、以前紹介した、「Snapdragon 808」搭載のAcer「Liquid Jade Primo」のみだ。

 とは言え、Android採用機まで幅を広げると、今どきSnapdragon 808はハイエンドではなく、現在流通しているSoCとしては最強の「Snapdragon 820」搭載機の登場が待たれていた。

 もともとWindows 10 Mobileは、iOSやAndroidと比較してアプリが少なく、強みは(まだ不十分だが)PCのように扱えるContinuumにある。この機能がストレスなく動作する機種が望まれていたのは言うまでもない。

 そこに登場したのがHP「Elite x3」だ。存在自体はかなり前から知られていたが、やっと9月に販売開始。実機を試せるようになった。個人的には以前から機会があるごとに触れていたが、「遂に!」という感じだ。

 最後発だけあって仕様表の項目もご覧のようにギッシリ。「これ以外何か必要?」と言わんばかりの内容となっている。主な仕様は以下の通り。

HP「Elite x3」
SoCQualcomm Snapdragon 820(Qualcomm Snapdragon MSM8996 with Adreno 530 GPU)、64bit/クアッドコア/最大2.2GHz
メモリ4GB LPDDR4
ストレージ64GB/eMMC 5.1 + microSD
OSWindows 10 Mobile(Anniversary Update/Red Stone 1)
ディスプレイ5.96型低反射コーティング1,440×2,560ドット(WQHD)アクティブマトリクス型有機EL(AMOLED)、494ppi、Gorilla Glass 4
ネットワークIEEE 802.11a/b/g/n/ac、Bluetooth 4.0+LE
SIMスロットNano SIM×2(1つはmicroSDと排他)
通信方式2G/3G/4G対応
LTEバンドB1/B3/B8/B19/B26/B41、キャリアアグリゲーション(B1-B3/B3-B8/B3-B19/B3-B26/B1-B19/B1-B26/B41-B41)、auネットワーク上ではVoLTE対応、WiMAX 2+対応
インターフェイスUSB 3.0 Type-C(OTG、ホスト/クライアント両モード、USB-C経由ディスプレイ出力対応)、ノイズリダクション対応内蔵マイク3基(全方位対応)、ステレオミニコンボジャック(3.5mm 4極)、B&Oステレオスピーカー(最大1.2W)、1,600万画素 LEDフラッシュ搭載背面カメラ(PDAF、f/2.2、6枚レンズ)、800万画素前面カメラ、240万画素赤外線カメラ(虹彩認証用)、NFC、指紋認証リーダー
センサー周辺光、近接、加速度、ジャイロ、デジタルコンパス、圧力、磁気、GPS(Standalone, A-GPS)
セキュリティ虹彩認証/指紋認証、fTPM 2.0、256 キーディスク暗号化、FIPS 140-2認証、BitLocker暗号化、SSL-VPN
サイズ/重量83.5×161.8×7.8mm(幅×奥行き×高さ)/約194g
バッテリ4,150mAhバッテリ(リチウムポリマー)。無線充電(WPC(Qi)/PMA dual mode)対応
駆動時間スタンバイ500時間、通話33時間、ビデオ再生(720P、200nit)13時間、Webブラウジング14時間
その他IP67水準防塵防水設計、MIL-STD 810Gテスト
税抜価格69,800円(10月末まで早得キャンペーン)~

 SoCは、Snapdragon MSM8996とAdreno 530 GPUで構成された、QualcommのSnapdragon 820。CPUはクアッドコアで、クロックは最大2.2GHz。更に上のSnapdragon 821などもあるが、流通しているSoCとして現在最強クラスとなる。メモリはLPDDR4の4GB、ストレージは64GB/eMMC。またmicroSDにも対応している。ここだけ見ると、もはやPCのスペックで、とてもスマートフォンの内容ではない。

 ディスプレイは5.96型低反射コーティング2,560×1,440ドット(WQHD)のAMOLED。494ppiとかなり高密度だ。カバーガラスにはGorilla Glass 4を採用し、傷などにも強い。

 ネットワークは、IEEE 802.11ac対応無線LAN、Bluetooth 4.0+LE。SIMスロットはnano SIM×2。ただし、1つはmicroSDと排他となる。

【お詫びと訂正】初出時にIEEE 802.11ad対応としておりましたが、非対応となります。お詫びして訂正させていただきます。

 通信方式は表をご覧いただきたいが、LTEの主要バンドはもちろん、キャリアアグリゲーションにも対応。またauネットワークではVoLTEも利用可能だ。

 インターフェイスは、USB 3.0 Type-C、ノイズリダクション対応内蔵マイク3基、ステレオミニコンボジャック(3.5mm 4極)、B&Oステレオスピーカー(最大1.2W)、1,600万画素 LEDフラッシュ背面カメラ(PDAF、f/2.2、6枚レンズ)、800万画素前面カメラ、240万画素赤外線カメラ(虹彩認証用)、NFC、指紋認証リーダ。USB Type-Cは、OTG、ホスト/クライアント両モード、USB-C経由ディスプレイ出力対応。

 センサーは、周辺光、近接、加速度、ジャイロ、デジタルコンパス、圧力、磁気、GPS(Standalone, A-GPS)を搭載。

 本体サイズは83.5×161.8×7.8mm(幅×奥行き×厚み)、重量は約194g。4,150mAhのリチウムポリマーバッテリを内蔵し、駆動時間はスタンバイ500時間、通話33時間、ビデオ再生(720P、200nit)13時間、Webブラウジング14時間。加えて無線充電(WPC(Qi)/PMA dual mode)にも対応している(Qiについては手持ちの充電器で作動を確認)。

 そのほか、IP67水準防塵防水設計、MIL-STD 810Gテストに準拠。セキュリティも表の通りで、いろいろな意味でビジネス向けにターゲットを絞ったコンセプトと言えるだろう。

 税別価格は77,800円(ヘッドフォン付きの「プレミアムパッケージ」は79,800円)だが、現在、10月末まで、早得キャンペーンとして69,800円で販売中だ。内容を考えると、キャンペーン価格の69,800円はかなりお買い得だろう。後述する「デスクドック」は12,000円だ。

前面。パネル左上にパワーLED、中央にイヤホン&スピーカー、その右側に800万画素前面カメラと虹彩認証カメラ。ナビゲーションボタンはソフトウェア式。パネル下にスピーカー
背面。中央上に1,600万画素背面カメラ。その下にフラッシュと指紋認証リーダー。HPのロゴの下にコネクタ。バッテリは着脱できない
上側面/左側面。上側面に3.5mmコンボジャック。左側面にNano SIM/microSDスロット
下側面/右側面。下側面にUSB 3.0 Type-C。右側面に電源ボタンと音量±ボタン
デスクドック(前面/左側面)。前面中央下にパワーLED。上側面にUSB 3.0 Type-C。左側面は何も無い。実測で455g
デスクドック(背面/右側面)。右側面にロックポート。背面に電源入力、Ethernet、DisplayPort、USB 3.0×2、USB 3.0 Type-C
デスクドックのケーブル接続用アタッチメント。デスクドックの上部が簡単に外れ(磁石で固定)、直置きではなく、ケーブル接続できるアタッチメントとケーブルも付属
デスクドックのACアダプタ。サイズ約90×35×25mm(同)、重量185g。プラグはミッキータイプ
重量。実測で195g
iPhone 7 Plusとの比較。パネルが5.5型と約6型なので、その分だけフットプリントが広くなる。若干厚みもある

 筐体はブラックとシルバーがベースとなり、なかなか重厚な雰囲気を醸し出している。パネルが5.96型、そして重量約194gということもあり、スマートフォンとしてはかなり大きく、また重い。この点を許容できるかどうかは、用途や個人差が大きいだろう。

 前面は、パネル左上にフル充電でグリーンに光るパワーLED、中央にマイク&スピーカー、その右側に800万画素前面カメラと虹彩認証カメラ。パネル下にスピーカー。ナビゲーションボタンはソフトウェア式だ。B&Oロゴが入ったスピーカー部分が何ともカッコいい。

 背面は、中央上に1,600万画素背面カメラ。その下にフラッシュと指紋認証リーダー。HPのロゴの下にコネクタがある。上側面に3.5mmコンボジャック、左側面にNano SIM/microSDスロット。下側面にUSB 3.0 Type-C。右側面に電源ボタンと音量±ボタンを配置。

 5.96型1,440×2,560ドットのAMOLEDディスプレイは、低反射コーティングを採用しているだけあって、映り込みが少なく良好。明るさ、発色、コントラスト、視野角も十分で、特に発色は、AMOLED固有の原色系が鮮やかで美しい。また494ppiなので、ジャギーは皆無で、フォントなどが非常にスムーズに表示される。最上級のパネルと言っても過言ではないだろう。

 ノイズや振動はもちろん皆無。発熱は長時間使用すると、主に上半分がほんのり暖かくなる程度で、全く問題は無い。

 B&Oの冠が付いたサウンドは、横位置の時にはステレオで作動。iPhone 7 Plusのように片方が外向きにならず、両方とも正面に向いているので、バランスがよい。出力は普段聴く楽曲やMVなどを再生させたが、(ソースの録音レベルにもよるが)最大1.2Wも出ていない印象で、もっとパワーが欲しいところだ。ただしカマボコレンジではあるものの、耳障りの良い音作りとなっている。

 3.5mmからの出力は、iPhone 7 PlusのLightning/35mm変換アダプタと比較して、最大出力が[音量-]ボタン2回分ほど低いが、iPhone 7 Plusはどちらかと言えば線が細く(繊細?)、薄く広がる感じに対して、Elite x3は、芯があり密度が濃い傾向だ。好みの範囲かも知れないが、いずれにしても国内対応のWindows 10 Mobile搭載スマートフォンとしては、現状一番音がいい。

 今回は、本体と同時に「デスクドック」もお借りした。写真からも分かるように、金属の塊のようなドックで、実測で重量455gとかなり重く、非常に安定してスマートフォンを置くことができる。上部の黒い部分はアタッチメント式になっており、交換が可能だ。

 前面中央下にパワーLEDし、上側面にUSB 3.0 Type-C、左側面は何も無く、右側面にロックポートを備える。背面に電源入力、Ethernet、DisplayPort、USB 3.0×2、USB 3.0 Type-Cを配置。ACアダプタによる電源供給となる。また写真はないが、裏はゴム張りされており、机の上で滑ったりすることはない。

 現在市場に出回っているUSB 3.0 Type-C/HDMI(もしくはDisplayPort)単機能アダプタでも5千円前後するので、これだけの内容で1.2万円なら、納得の価格と言えるだろう。

 また間に合わなかったが、ノートPCのような「ノートドック」が49,800円で用意されている。狭額縁の12.5型フルHDディスプレイと、Elite x3へ充電可能なバッテリを搭載。Continuumのインターフェイスは、Wi-FiとUSB Type-Cに対応。内容的にElite x3以外のスマートフォンやPCでも使えると思われ、面白そうだ。

Atom x7-Z8700を超えるパワーを持つスマートフォン

 OSはWindows 10 Mobile。届いたときはbuild 10.0.14393.189と、Anniversary Update/Red Stone 1適応済みだった。なお評価は最新のbuild 10.0.14393.321で行っている。スタート画面は2画面。加えてアプリフォルダが1つ。ストレージは58.2GB中4.50GB使用と結構余裕がある(BitLockerにより暗号化されている)。

スタート画面(1/2)
スタート画面(2/2)
アプリフォルダ
通知エリア
バージョン情報/デバイス情報(OSビルド: 10.0.14393.189)
ストレージ(58.2GB中4.50GB使用)

 インストール済のアプリは、「アラーム&クロック」、「ウォレット」、「エクスプローラー」、「カメラ」、「サポートに問い合わせる」、「ストア」、「ストレージ」、「ニュース」、「はじめに」、「フィードバックHub」、「フォト」、「ボイスレコーダー」、「マップ」、「マネー」、「メッセージング1/2」、「映画&テレビ」、「設定」、「天気」、「電卓」、「電話1/2」、「Continuum」、「Cortana」、「Excel」、「Facebook」、「Grooveミュージック」、「Microsoft Edge」、「OneDrive」、「OneNote」、「Outlookカレンダー」、「Outlookメール」、「People」、「PowerPoint」、「Remote Desktop」、「Skype」、「WinZip Universal(OEM)」、「Word」、「Xbox」。

アプリ画面(1/6)
アプリ画面(2/6)
アプリ画面(3/6)
アプリ画面(4/6)
アプリ画面(5/6)
アプリ画面(6/6)

 SIMスロットが2つあるので、「メッセージング」と「電話」2つ。加えて、「HP 12C Financial Calculator for X3」、「HP AiO Printer Renmote」、「HP Devaice Hub」、「HP Display Tools」、「HP PC Hardware Diagnostics」、「HP Picks」、「HP Workspace」、「Salesforce」と、同社オリジナルのアプリなどが含まれている。

HP PC Hardware Diagnostics
HP 12C Financial Calculator for X3(縦位置)
HP 12C Financial Calculator for X3(横位置)

 ベンチマークテストは簡易的だが、「Google Octane 2.0」と「AnTuTuベンチマークテスト」を使用した。前者のスコアは9,744、後者は115,549。

 Google Octane 2.0については、Atom x7-Z8700を搭載するSurface 3が7,987と、軽く超えてしまった。基本的にJavascriptの実行速度を計測するものだが、経験上、体感速度もほぼこれと(GPUを駆使するゲームなど以外)比例するため、もはやローエンド(?)のPCよりは速い雰囲気だ。

 AnTuTuベンチマークテストは115,549と、iPhone 6sの133,937より若干遅いものの、全体で見ると速い方に属する。いずれにしても、これだけのスコアを叩き出すのだから、Continuumの作動速度にも期待が持てる。

 なおバッテリ駆動時間は、Wi-Fi接続で明るさ音量ともに50%、YouTubeをフル画面で連続再生したところ約10時間で電源が落ちた。

Google Octane 2.0: 9,744
AnTuTuベンチマークテスト: 115,549(iPhone 6sより若干下回る)

ファームウェアのアップデートに期待の1,600万画素背面カメラ

 HP「Elite x3」は、1,600万画素背面カメラ、800万画素前面カメラ、240万画素赤外線カメラ(虹彩認証用)と3つのカメラを搭載しているが、ここでは背面カメラについて評価した。

 カメラは標準のカメラアプリが使われ、ISO感度は最大3200。シャッタースピードは0.5~1/16,000秒。ただし光学式手ぶれ補正機能はない。

 Exifに35mm換算の焦点距離が書かれてないので何mm相当か不明だが、物理的には5mm。絞りはf/2.2で、6枚レンズと、仕様的にはそれなりに凝っているのが分かる。最大出力は3,456×4,608ピクセル。設定を見る限り、ピクセル数を落としたり、DNG(RAW)出力する機能は搭載していない。

カメラ(プロモード)のISO感度。最大ISO3200
カメラ(プロモード)のシャッタースピード0.5~1/16,000秒
設定/メインカメラの画像サイズは1,600万画素JPEGに固定。ビデオは、3,840×2,160p/30fpsが最大で、いろいろモードがある

 以下、オートで撮影した作例を14枚掲載する。実際スナップした感想としては、まずAFが遅く、また迷う。これはほかのWindows 10 Mobile搭載スマートフォンでも指摘しているのと同じ症状であり、特に本機だけの問題ではない。また、ご覧のように日影だとAWBの効きが甘く、青く写ってしまう。掲載しなかったが、白い皿にパスタが盛られているような一般的な食事カットでは、白い皿の部分に露出を合わそうとするケースが多く、結果アンダーになることがしばしば。

 つまりAF/AWB/AEが、数世代前のレベル(現在既にこのレベルはほぼ完了しており、背景をぼかす、デュアルレンズ/カメラ、多彩なフィルムモード/フィルターなど、次のフェーズに主軸が移っている)であり、最近のiPhoneやAndroid搭載スマートフォンのレベルには全く達していない。ローエンドであれば「仕方ない……」で済むところであるが、ハイエンドでこのカメラ性能はちょっと残念過ぎる。また画質ではなく絵作りも”そのまま色補完しました”的な、何の工夫も見られず、魅力がない。

 「主にビジネス用途なので……」と言えばそれまでだが、今やスマートフォンのカメラ機能は、メインの1つとも言える重要な部分。ここが少なくともクラス相当でないと、ほかの部分がいくら魅力的でも大幅にテンションが下がってしまう。他社の例になるが、「NuAns NEO」は何度かのファームウェア・アップデートによってかなり改善されたこともあり、同社今後の追い込みに期待したい。

作例。基本フルオート。iPhone 7 Plusと比較し易いよう、よく似た写真もあえて入れてある ※リンク先原寸

有線接続によるContinuum対応とHP Workspace

 個人的に本機に最も期待していたのが”有線接続による爆速Continuum”だ。現在、Continuum自体はウィンドウ表示できないなど(来年3月リリース予定のRed Stone 2では、マルチウィンドウやContinuum中にスマートフォンかディスプレイの画面どちらかを消す機能を持つ予定)、詰めの甘い部分もあるが、外でスマートフォン、仕事場でドックに刺せばそのままPC的に使えるContinuumは、ある意味PCの未来形だったりする。

 今回はデスクドックを使用し、DisplayPortにディスプレイ、Ethernet、キーボード&マウスを接続して試用した。画面解像度は1,920×1,080ピクセルのフルHDとなる。

 以前Snapdragon 808でContinuumした時も速いと思ったが、Snapdragon 820ではさらに速く、メモリも多いため作動に余裕がある。Google Octaneのスコアからも分かるように、Edgeのレンダリングも十分実用範囲。Chromebook的な使い方+Outlook/Office Mobileであれば、もう実務でも使えるレベルだ。インストールされている同社のアプリもContinuum対応にしており、シームレスに行き来できる。

Continuumのデスクトップ
Edge(幅1920ドットあるので周囲が随分空いてしまう)
salesforceログイン
HP AiO Remote(筆者所有のプリンタが同社製だったの表示された)
HP Device Hub
HP Picks(ストア内の関連アプリを表示)

 さて、同社独自として「HP Workspace」を軽くご紹介したい。Continuum環境はUWPアプリ(で且つContinuum対応)しか動かず、従来のWin32アプリは使えない。まだ十分アプリが揃っていないだけに、この点が最大の弱点だ。

 これを補い、且つセキュアに使うデスクトップとして「HP Workspace」が用意されている。一言で言えばアプリケーション仮想化サービスであり(画面的にはリモートデスクトップに似ている)、アカウントやアプリなど、管理面でも企業用途に耐えられる仕様になっている。

HP Workspace/ログイン
HP Workspace/Applications
HP Workspace/Files
HP Workspace/OpenOfficeとGoogle Chromeを起動
HP Workspace/IMEの切り替え
HP Workspace/セッション情報

 サーバー側でアプリやアカウントの設定が終わっていれば、ログインするだけの簡単な操作で、後はほぼWindowsのデスクトップ環境と同じだ。いくつか特徴的な画面キャプチャを掲載したので参考にして欲しい。今回同社に準備して頂いたデモアカウントでは、Google Chrome、OpenOffice、IE 11がセットされていた。

 実際試用した感じでは特に違和感なく、カット&ペーストなどクリップボードも普通に利用でき、Elite x3のファイルを開いたり保存したりするこも可能。また、Filesからも分かるように、Box.com、Google Drive、Dropboxのクラウドストレージともシームレスに統合できているようだ。

 ネットワーク経由のこの手の環境は、サーバーがどこにあるかでレスポンスなども変わってくるが、資料によると、米国、ドイツ、日本、オーストラリアおよびシンガポールにデータセンターがあるとのこと。まず心配ないだろう。

 本連載の場合、どうしてもコンシューマから見たレビューとなるため、一部辛口になってしまったが、ビジネス用途を考えた場合、スマートフォン単体で完結するのではなく、この手のソリューションの有無が最大の決め手となるのは言うまでもなく、それに対応できるのが同社の特徴でもある。


 以上のようにHP「Elite x3」は、Snapdragon 820/4GBや、WQHD解像度のAMOLEDパネルを搭載、IP67水準防塵防水設計、MIL-STD 810Gテスト、B&Oのスピーカー、セキュリティ対応など、現在考えられる最高のスペックを詰め込んだWindows 10 Mobileスマートフォンだ。また10月末までのキャンペーン価格になるが69,800円(税抜)は、内容を考えるとコストパフォーマンス抜群。ContinuumもローエンドPCより、速く非常に魅力的な1台に仕上がっている。

 カメラ性能と写りが残念な部分ではあるものの、主にビジネス用途で、このスペックに「待ってました!」と思った人/企業にお勧めしたい製品と言えよう。