西川和久の不定期コラム
SSD搭載で税別39,980円の15.6型ノートPC
~ユニットコム「Stl-15HP033-C-CFXM」
2016年7月27日 06:00
今月中旬に掲載したマウスコンピューターの安価なノートPC「m-Book B501E」に引き続き、ユニットコムからも税別で4万円を切る15.6型ノートが登場した。
プロセッサは同じCeleron N3160で一見よく似ているものの、細かい仕様が異なっており、比べてみるのも面白そうだ。実機を触る機会を得られたので、試用レポートをお届けしたい。
15.6型フルスペック4万円未満の新カテゴリ登場か!?
ここ数年でPCのカテゴリがいくつか増えた。その代表的なものが、8型前後のタブレット(2in1も含む)と、スティックPCとなるだろうか。そして今年(2016年)はもう1つのカテゴリとして、“4万円未満ノートPC”……というものができそうな雰囲気だ(何か適切なネーミングが欲しいところ)。かつてこのカテゴリにはネットブックがあったものの、本当にライトな用途だけで、実務レベルには厳しかったことを考えると、ずいぶん進歩したと言えよう。
今回ご紹介するユニットコム「Stl-15HP033-C-CFXM」は、少し前に掲載したマウス「m-Book B501E」と同様、このカテゴリに属すノートPCだ。主な仕様は以下の通り。
ユニットコム「Stl-15HP033-C-CFXM」の仕様 | |
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プロセッサ | Celeron N3160(4コア/4スレッド、1.6GHz~2.24GHz、キャッシュ2MB、TDP/SDP 6W/4W) |
メモリ | 4GB DDR3L-1600 |
ストレージ | 128GB SSD |
OS | Windows 10 Home |
ディスプレイ | 15.6型(光沢)、1,366×768ドット、タッチ非対応 |
グラフィックス | プロセッサ内蔵Intel HD Graphics 400、HDMI出力、ミニD-Sub15ピン |
ネットワーク | Gigabit Ethernet、IEEE 802.11n、Bluetooth 4.0+LE |
インターフェイス | USB 3.0×2、USB 2.0×2、SDカードリーダ、100万画素Webカメラ、音声入出力 |
サイズ/重量 | 378×262×32mm(幅×奥行き×高さ)/約2.2kg |
税別価格 | 39,980円(税込43,178円/HDD 500GB搭載モデルも同様) |
プロセッサはBraswell世代のCeleron N3160。4コア4スレッドで、クロックは1.6GHzから最大2.24GHz。ステッピングが新しくなったため、N3150から最大クロック160MHz上がっている。キャッシュは2MBで、TDP/SDPはそれぞれ6W/4Wだ。
メモリはDDR3L-1600の4GB1枚。メモリスロット自体は2つあり、空きは1つ。ストレージはSATA接続の128GB SSDを搭載。このクラスはeMMCが多いので、高速アクセスが期待できる。OSは64bit版のWindows 10 Homeだ。
GPUはプロセッサ内蔵のIntel HD Graphics 400。外部出力用インターフェイスとして、4K対応のHDMI、ミニD-Sub15ピンを備えている。ディスプレイは光沢ありの15.6型HD解像度(1,366×768ドット)。タッチには未対応。このサイズであればフルHDが欲しいところだが、コスト的に仕方ない部分。この仕様で11型前後にすればスッキリしそうな感じがする。
ネットワーク機能は有線のGigabit Ethernet、無線がIEEE 802.11n。Bluetooth 4.0+LEにも対応している。
そのほかのインターフェイスは、USB 3.0×2、USB 2.0×2、SDカードリーダ、100万画素Webカメラ、音声入出力。音声出力は光S/PDIF出力とのコンボとなる。
サイズは378×262×32mm(幅×奥行き×高さ)、重量約2.2kg。価格は税別で39,980円。同クラスのデスクトップPCを自作するより安価で、しかも台数限定ではない(マウスコンピューターの「m-Book B501E」は8,000台限定)のは驚きだ。
また、ストレージがHDD 500GBのモデル(ほかの仕様は同じ)も同額で用意されている。容量重視モデルだと思われるが、起動時間や操作感などがSSDよりかなり劣ることが予想されるため、個人的にはSSDタイプをお勧めしたい。
筐体色は天板やキーボード周辺は深めのシルバー。写真は素材が光を反射する関係からそれぞれ印象が異なってしまっているが、1番近いのはキーピッチの写真だろうか。そのほかの部分はつや消しブラック。素材がプラスチックなので高級感はなく価格相応といったところ。重量は約2.2kgなので、15.6型としてはまずまずだ。カバンなどに入れ持ち運べない重量ではない。
パネル中央上に100万画素のWebカメラ、前面左にステータスLED。左側面はロックポート、電源入力、HDMI、USB 3.0×2、音声入力、音声出力。音声出力は光S/PDIF出力とのコンボになっている。右側面はGigabit Ethernet、ミニD-Sub15ピン、SDカードリーダ、USB 2.0×2を配置。裏は手前にスピーカー用のスリットがあるものの、メモリなどへはアクセスできない。バッテリは着脱式だ。また、パネルを90度以上傾けると下が足替わりになり少し後ろが持ち上がる仕掛けになっている。付属のACアダプタのサイズは約85×30×25mm(同)、重量148gとコンパクト。
パネルは光沢ありの15.6型。IPS式ではないため視野角は狭いが、正面から見る限り、あまり気にはならない。発色は少し浅めで原色系が地味だろうか。明るさとコントラストは普通だ。サイズの割にHD(1,366×768ドット)解像度なので、ppiが低く画面は荒く感じる。
キーボードは10キー付きのアイソレーションタイプ。主要キーのキーピッチは約19mm確保され、フットプリントが広い分、いびつな並びもない。パームレストも十分広いので扱いやすい。本体を開いた時にヒンジ側の底面が少し浮き、手前に傾斜がつくのでキー入力は良好だ。タッチパッドは物理的なボタンが2つあるタイプで、滑りやボタンのクリック感はまずまず。
振動やノイズは試用した範囲では特に問題なかった。発熱についてはベンチマークテスト中に触ってみたが、ほんのり暖かい程度だった。また左側面のスリットからファンが排気する風が出るが、これも室温より少し高い程度で温度は低めだ。
サウンドは、スピーカーが下に向いているので、机か何かで反射させないとかなり小さい音量となる。しかし、反射させても十分なパワーはなく、バランスは中~高音より。クラス相応といったところ。
Celeron N3160搭載機としては平均的だが普段使いには問題ない性能
OSはWindows 10 Home。メモリ4GB、ストレージがeMMCではなくSATA接続のSSDなので、Webサイトを見るなどの普通の利用用途であれば結構サクサク動く。
初回起動時のスタート画面(タブレットモード)は1面。特に追加されたタイルやグループはない。デスクトップは壁紙の変更、Intel HD Graphicsコントロールパネルとノートンセキュリティへのショートカットが2つ追加されている。
ストレージは128GB SSDの「Phison SSMP 128GTMC2」。C:ドライブのみの1パーティションで約118.25GBが割り当てられ空き容量は97GB。
Gigabit Ethernet、Wi-Fi、BluetoothはRealtek製だ。少し前に掲載したマウスコンピューターの「m-Book B501E」と構成があまり変わらないので、同じかと思っていたが、こちらはWi-Fi(IEEE 802.11ac)とBluetooth(4.2+LE)はIntel製だった。
プリインストールソフトウェアは、Windowsストアアプリは特になし。デスクトップアプリは、KINGSOFT Office付属のモデルもあるが今回は含まれていない。ノートンセキュリティと、各種デバイス用のユーティリティとシンプルだ。
ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 8 バージョン2。バッテリ駆動時間テストはBBench。またCrystalMarkの結果も掲載した(今回は4コア4スレッドなので条件的には問題なし)。
winsat formalの結果は、総合 4.2。プロセッサ 6.7、メモリ 5.9、グラフィックス 4.2、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 8。64bit版でメモリ4GBの場合、スコアにリミッターがかかるため、メモリのバンド幅(7300.45729MB/s)も参考にして欲しい。
PCMark 8 バージョ2/Home acceleratedは1789。CrystalMarkは、ALU 29690、FPU 25260、MEM 20783、HDD 38151、GDI 4832、D2D 3599、OGL 4222。またGoogle Octane 2.0は6585(Edge)だった。
同じプロセッサを搭載したマウス「m-Book B501E」と比較して多少優劣はあるものの、概ね同じ性能だ。
BBenchは、省電力、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残5%で27,565秒/7.7時間。バックライト最小だと暗めなので、実質はもう少し短いだろうか。
今月2機種のこのクラスのノートPCを扱った感想は、「同じプロセッサを搭載した自作PCの方が高くつく」、「TNパネルがネックとなので普段は外部ディスプレイやキーボードなどを接続し、必要に応じてノートPCとして使いたい」、「Core 2 Duo以前のマシン(ハイエンドは除く)でWindows 10化するなら消費電力なども考慮するとこちらの方が良さそう」……といったところ。
また冒頭で少し触れたが、パネルサイズを11型前後にすれば、解像度とクオリティのバランスが良くなる可能性もあり、このクラスのマシンの登場にも期待したい。
いずれにしても税別4万円未満のノートPCだと価格的に非常に購入しやすく、またデスクトップPCと違い一体型なので、ほかに買い足すものもなく、性能も含めいろいろな意味でハードルが低くなりそうだ。
以上のように、Stl-15HP033-C-CFXMは安価な分、パネルの解像度と品質がやや落ちるものの、通常用途においてそれなりのレベルに収まっており、搭載インターフェイスも十分だ。安価でWindows 10を搭載したノートPCを探しているユーザーにお勧めしたい逸品と言えよう。