西川和久の不定期コラム

SSDも搭載で税別39,800円の15.6型ノート

~マウス「m-Book B501E」

m-Book B501E

 ここ数年、PCは軽く10万円越えのハイエンドモデルと、5万円未満のローエンドモデルの二極化が進んでいるように思える。また昔と違って、ローエンドモデルとは言え、プロセッサやSSDの高速化により、普通の用途であれば性能的に困ることがなくなってきた。そんな中、登場したのが今回ご紹介するマウスコンピューター15.6型ノートPC「m-Book B501E」だ。8,000台限定だが、SSD搭載で税別39,800円(税込42,984円)という破格の値段で売られている。

 どの程度の性能や使い勝手なのか、試用レポートをお届けしたい。

自作するより安い15.6型ノートPC

 詳細を見る前に、「ほかのノートPCはどうなのだろう……」と、同社のサイトを調べたところ、パネルのサイズとしては、11.6/13.3/14/15.6/17.3型と5タイプあり、この内11.6と14型に関しては、今回のm-Book B501Eと同じ構成のモデルが存在する。

 プロセッサやメモリ、ストレージを同一仕様にした時、15.6型の「m-Book B501E」が最安値になる。低価格を実現するために「インターフェイスなどかなり削ってるのか」と思ったところ、驚くことにフルスペックのノートPCだった。気になる仕様は以下の通り。

マウス「m-Book B501E」の仕様
プロセッサCeleron N3160(4コア/4スレッド、クロック 1.6GHz/2.24GHz、キャッシュ2MB、TDP/SDP 6W/4W)
メモリDDR3L-1600 SO-DIMM 4GB (最大8GB)
ストレージ120GB SSD
OSWindows 10 Home
ディスプレイ15.6型(光沢)、1,366×768ドット、タッチ非対応
グラフィックスプロセッサ内蔵Intel HD Graphics 400
ネットワークGigabit Ethernet、IEEE 802.11ac、Bluetooth 4.2+LE
インターフェイスUSB 3.0×2、USB 2.0×2、マルチカードリーダ、HDMI出力、ミニD-Sub15ピン、100万画素Webカメラ、音声入出力
バッテリ駆動時間最大約5.4時間
サイズ/重量377×259×22.8mm(幅×奥行き×高さ)/約2.2kg
価格39,800円(税別)/Office搭載モデル59,800円(税別)

 プロセッサはBraswell世代のCeleron N3160。4コア4スレッドでクロックは1.6GHzから最大2.24GHz。キャッシュは2MB、TDP/SDPはそれぞれ6W/4Wとなる。また従来のBraswellからステッピングが新しくなり、番号が(N3150)+10増え、スペックはほぼ同じだがバースト周波数が2.08GHzから2.24GHzへ向上、この差はそまま性能に影響しそうだ。

 メモリは4GB DDR3L-1600 SO-DIMM。2スロットで1スロット空き。最大8GBまで搭載可能だ。ただし、サイトによると、4GB×1か4GB×2の構成に限られている。

 筆者はステッピングが変わる前のN3150搭載Mini-ITXのマザーボードを持っているが、高望みしなければ、まぁ普通に使える性能だ。加えてグラフィックスが第8世代Intel HD GraphicsからIntel HD Graphics 400になっているので性能差がありそうだ。なおBraswell RefreshはN型番ではなくJ型番なので別物となる。

 ストレージは安価なモデルなのでeMMCの32GB程度かと思ったが、SATA 6Gbps接続の120GB SSD。価格が価格なだけに少し驚きだ。

 ディスプレイは光沢ありの15.6型でHD解像度/1,366×768ドット。サイズ的にフルHDが欲しいところだが、ここはさすがに仕方ないところだろう。

 ネットワークは、有線LANがGigabit Ethernet。無線LANがIEEE 802.11a/b/g/n/ac。Bluetooth 4.2+LEにも対応する。そのほかのインターフェイスは、USB 3.0×2、USB 2.0×2、マルチカードリーダ、100万画素Webカメラ、音声入出力。これからも分かるように、安価だからと言って欠けてるものは何1つない。

 サイズは377×259×22.8mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約2.2kg。OSは64bit版のWindows 10 Home。価格はOfiiceなしで39,800円(税別)、ありで59,800円(税別)。

 特に前者は驚きの価格で、先ほど触れたCeleron N3150/Mini-ITXのマザーボードでシステムを組んだ時、マザーボード+メモリで1万円、SSDとケース+電源で2万円、OSで1万円……と、これでもう4万円となる。自作するより安価で、パネルとキーボード、Wi-Fi/Bluetooth、バッテリ付きだ。場合によっては、HDMIを使い薄型デスクトップとして使うのもいいのではないだろうか。

 なお、カスタマイズは、Windows 10 Pro、8GB(4GB×2/デュアルチャネル)、240から960GB SSDなどに対応している。

前面。パネル中央上に100万画素Webカメラ。正面側面左側にステータスLED
後部のバッテリが下に少し凸っており、結果キーボードが傾くようになっている上に、パネルを倒すとさらに約4.8mmせり上がる
左側面。ロックポート、電源入力、HDMI、USB 3.0×2、音声入力/出力(光デジタル付き)
キーボード。アイソレーション式の10キー付き。15.6型とフットプリントが広いので、特にいびつな並びはない
右側面。Gigabit Ethernet、ミニD-Sub15ピン、マルチカードリーダ、USB 2.0×2
底面。手前のメッシュ2カ所がスピーカー。メモリなどにアクセスできる小さいパネルはない
キーピッチは実測で約19mm
付属のACアダプタは、サイズ約8.5×3.5×2.5cm/重量151gとコンパクト

 天板とキーボード周りはダークブラウン、裏はブラック。プラスチックなので、高級感はないものの、チープと言うほどでもない。重量が2.2kgで持った感じはそれなりだが、15.6型と考えると軽めではないだろうか。側面が薄く、全体のイメージはシャープだ。

 正面パネル中央上に100万画素のWebカメラ、正面左側面に各種LED。左側面は、ロックポート、電源入力、HDMI、USB 3.0×2、音声入力/出力。音声出力は光デジタル出力とのコンボになっている。右側面は、Gigabit Ethernet、ミニD-Sub15ピン、マルチカードリーダ、USB 2.0×2を配置。HDMI、ミニD-Sub15ピンともに後ろ側にあるため、マルチディスプレイ化してもケーブルが邪魔にならない。HDMIは4K/30Hz対応だ。

 底面は手前にスピーカー用のメッシュが2つ。バッテリは着脱式。メモリなどにアクセスできる小さいパネルはない。付属のACアダプタはサイズ約8.5×3.5×2.5cm、重量151gとコンパクト。

 15.6型1,366×768ドットのパネルは、まず、ppiが低くさすがにドットが荒い。加えてデスクトップのアイコンなどもかなり大きく感じる。視野角は左右より上下の方が狭いだろうか。発色は色温度が高めで青っぽく、特に赤系が地味になる。明るさは十分。コントラストは可もなく不可もなく……と、ある意味予想通りと言ったところ。

 キーボードは10キー付きのアイソレーション式。キーピッチは約19mm確保され、フットプリントが広い分、いびつな並びはない。またたわみもなく、普通に入力可能だ。タッチパッドは物理的なボタンが2つあるタイプで広さも十分。ボタンのクリックも浅過ぎず深過ぎず。

 少し面白いのは、バッテリが裏面から少し出っ張っている関係で、そのまま置いてもキーボードが若干傾く。さらにパネルを90度以上倒すと、パネルの底辺の部分が足のような役割をし、約4.8mmせり上がる構造になっている。このサイズになると、キーボードが水平なのは打ち辛く、なかなか嬉しいポイントだ。

 振動やノイズ、発熱に関しては試用した範囲では特に気にならなかった。サウンドはあまりパワーもなく、音質も取りあえず鳴っているレベル。クラス相応と言ったところか。

 このように、価格が価格なだけにパネルが許容範囲かどうかが評価の分かれ目となりそうだ。

Core iほど切れがあるわけではないが、普通に使える性能

 OSは64bit版のWindows 10 Home。初回起動時のスタート画面(タブレットモード)は1面。プリンストールのタイルやグループはない。デスクトップは壁紙の変更、PDFのマニュアル2つとIntel HD Graphicsコントロールへのショートカットが追加されている程度だ。

 Braswell世代のCeleronに4GB/SSDという構成なので、Core iクラスほどの切れはないものの、一時はやったAtom+eMMC搭載の小型タブレットよりはレスポンスは良い。

 SSDは120GBの「ADATA SP550」。C:ドライブのみの1パーティションで約111GBが割り当てられ空きは91GBほど。eMMCで32GBクラスよりかなり余裕がある。Gigabit EthernetはRealtek製、Wi-FiとBluetoothはIntel製。オーソドックスな構成だ。

スタート画面(タブレットモード)。Windows 10標準。プリインストールのタイルやグループはない
起動時のデスクトップ。壁紙の変更とショートカット3つを追加
デバイスマネージャ/主要なデバイス。SSDは120GBの「ADATA SP550」。Gigabit EthernetはRealtek製、Wi-FiとBluetoothはIntel製
SSDのパーティション。C:ドライブのみの1パーティションで約111GBが割り当てられている

 Office非搭載モデルのプリインストールソフトウェアは、Windowsストアアプリは特になく、デスクトップアプリも、Intel HD Graphicsコントロール、Synaptics TouchPad、Control Center、McAfee リブセーフと言ったドライバもしくはシステム系となる。

Synaptics TouchPad
Control Center
McAfee リブセーフ
ハードウェアマニュアル(PDF)

 ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 8 バージョン2。バッテリ駆動時間テストはBBench。またCrystalMarkの結果も掲載した(今回は4コア4スレッドなので条件的には問題なし)。

 winsat formalの結果は、総合 4.1。プロセッサ 6.7、メモリ 5.9、グラフィックス 4.1、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 8.15。64bit版でメモリ4GBの場合、スコアにリミッターがかかるため、メモリのバンド幅(7329.36922MB/s)も参考にして欲しい。筆者が所有するN3150のマザーボードはデュアルチャネル作動時、10943.10734MB/sだった。同時にグラフィックス性能も向上するので、できれば4GB×2で使いたいところ。

「winsat formal」コマンド結果。総合 4.1。プロセッサ 6.7、メモリ 5.9、グラフィックス 4.1、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 8.15

 PCMark 8 バージョ2/Home acceleratedは1674。CrystalMarkは、ALU 29640、FPU 24938、MEM 20126、HDD 40186、GDI 4244、D2D 3032、OGL 3583。

 総じてCore iほどの性能はないものの、と言って使えないレベルではないのが分かる。高負荷時で最大の2.24GHzが出ていることもあり、然程ストレスなく操作可能だ。

PCMark 8 バージョン2/Home accelerated 1674
PCMark 8 バージョン2/Home accelerated(詳細)。CPUクロックは600MHz辺りから最大の2.24GHzと、振り幅は大きいがほとんど最大に張り付いている。温度は52から76℃程度
CrystalMark。ALU 29640、FPU 24938、MEM 20126、HDD 40186、GDI 4244、D2D 3032、OGL 3583

 BBenchは、省電力、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残5%で25,872秒/7.1時間。スペック上は最大5.4時間なので2時間近く上回っている。ただし、バックライト最小だと暗いこともあり、実際はもう少し短くなるだろうか。

BBenchの結果。省電力、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残5%で25,872秒/7.1時間

 以上のように、マウス「m-Book B501E」は、Celeron N3160にメモリ4GB、SSD 120GBを搭載した15.6型ノートPCで、HDMI、Gigabit Ethernet、IEEE 802.11ac、Bluetooth 4.2+LE、USB 3.0などインターフェイスもフル装備で価格は4万円を切っている。冒頭に書いたように、同クラスのPCを自作してもこの値段にはならず、コストパフォーマンスは異様に高い。

 パネルの品質と解像度のみ残念な部分はあるが、十分実用レベルには収まっており、マルチディスプレイ化して業務やセカンドマシンに、または畳んで薄型デスクトップPC化するなど、用途はいろいろありそうだ。Core 2 Duo辺りでWindows 10へのアップグレードをどうするか悩んでいるユーザーにも好適だろう。とにかくこの価格に「おっ!」と思ったユーザーにぜひ試して欲しい1台と言えよう。