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Macで複数の生成AIを1画面に、無料の「Cherry Studio」を試す

 ChatGPTやClaude、Geminiなど、用途に応じて複数の生成AIを使い分ける機会が増えてきました。しかし、それぞれのWebサイトやアプリを行き来するのは少々面倒です。そこで利用したいのが、複数のクラウドAIからMac上で動くローカルLLMまで、1つの画面から扱える「Cherry Studio」です。ここではCherry Studioの導入方法と基本的な使い方を解説します。

複数のクラウドAIやローカルLLMを1つの画面から利用できるCherry Studio。AIモデルの切り替えだけでなく、AgentやMCPなど多彩な機能を備えています

Cherry Studioなら複数の生成AIを1つの画面で使い分けられる

 ChatGPTやClaude、Geminiには、それぞれ公式のWebサービスやアプリが用意されています。

 1つのサービスだけを使うのであればそれで困りませんが、「文章の作成はClaude、調べものはGemini」といったように複数のAIを使い分けるようになると、そのたびに画面を切り替える必要があります。

 そこで便利なのが、統合AIクライアントアプリの「Cherry Studio」です。

 Cherry Studioでは、OpenAIやAnthropic、GoogleなどのクラウドAIから、OllamaやLM Studioを介したローカルLLMまで、さまざまなモデルを1つの画面から切り替えて利用できます。

 さらに、複数のモデルに同じ質問を送って回答を比較したり、画像や文書などのファイルを読み込ませて内容を処理したりすることも可能です。

 このように、複数のAIをまとめて扱えるのがCherry Studioの基本的な特徴ですが、現在のCherry Studio(原稿執筆時点はv2.0.5)は、単にAIとチャットするだけのアプリではありません。

 手元の資料を登録してAIに参照させる「知識ベース(Knowledge Base)」や、AIがファイルを読み書きしながら処理を進める「Agent」、外部のツールやデータと連携する「MCP(Model Context Protocol)」なども利用できます。

 このほかにも、特定の作業手順をAIに追加する「Skill」や、Agentを指定した時刻に実行する「定期タスク」などが用意されており、AIを使ったさまざまな作業を行なえるようになっています。

 また、これだけ多彩な機能を備えながら、個人利用では無料なのもCherry Studioの魅力。

 公式サイトからmacOS版をダウンロードしてインストールしたら、まずは普段使っているクラウドAIを登録し、「複数のAIを1つのアプリから使う」ところから試してみましょう。

Cherry Studioをインストールするには、公式サイトからmacOS版をダウンロードし、アプリ本体を[アプリケーション]フォルダに移動します

GPT、Claude、Geminiを同じ画面から使ってみよう

 Cherry Studioを起動し、初期設定画面で[Set up another provider]を選ぶと、利用するAIサービス(プロバイダ)を選択する画面が表示されます。

 OpenAIやAnthropic、GoogleなどのクラウドAIを利用する場合は、ここで各サービスが発行するAPIキーを登録します(初期設定時に登録しなかったサービスはあとから[Settings(設定)]画面で追加できます)。

 設定が完了すると、チャット画面から利用するモデルを選べるようになります。たとえば、GPTのモデルに質問したあと、同じ画面上でClaudeやGeminiに切り替えて質問するといった使い方が可能です。

 また、Cherry Studioには複数のモデルを使った同時会話の機能もあり、同じ質問に対する回答を比較できます。実際に使ってみると、この「切り替えやすさ」がCherry Studioの大きな利点だとわかります。

 生成AIは、モデルによって回答の内容や文章の傾向が異なります。そのため、普段は1つのモデルを使いながら、必要に応じて別のモデルへ切り替えたり、複数の回答を見比べたりするといった使い方もしやすくなります。

 ただし、ここで注意しておきたいのが利用料金です。たとえば有料のChatGPT Plusを契約していても、その契約だけでOpenAIのAPIを利用できるわけではありません。

 ChatGPTのサブスクリプションとOpenAIのAPIは別々に管理されているため、APIを利用した分の料金は別途発生します。

 ClaudeやGeminiなども同様に、Webサービスやアプリの有料プランとAPIの料金体系は異なるため、利用前に各サービスの料金や条件を確認しておきましょう。

アプリを起動したら、[Set up another provider]をクリックします。なお、[Connect CherryIN]からCherryINのユーザ登録を行なうこともできます
AIサービスの選択画面が表示されたら、左サイドバーから利用するプロバイダを選びます。ここでは[OpenAI]を選択し、[Get API Key]をクリックします
OpenAIでサインインし、APIキーを取得してコピーします。APIの利用には、支払い方法の設定などが必要になる場合があります
[API Key]の欄をクリックして、取得したAPIキーを貼り付けます。次に[Get model list]をクリックします
利用したいAIモデルを探して、右側にある[+]ボタンをクリックして選択します。選択後、右上の[×]ボタンで閉じます
AIモデルは複数登録することも可能です。[Next]ボタンをクリックします
アシスタント、クイックモデル、翻訳に使うモデルをそれぞれ指定して[Get Started]をクリックします
チャット画面が表示されます。2つ目以降のAIモデルを追加するには、ウインドウ左下の設定アイコンをクリックします
[Settings]画面が表示されるので、[Model Provider]からGeminiやClaudeなどクラウドAIのプロバイダを選び、同様の手順でAPIキーとモデルを追加していきます
チャット画面に戻ると、登録したAIモデルをメニューから選択できます。同時会話の機能を利用するには、[Multi-select]をクリックしてモデルにチェックを入れます
同時会話を有効にすると、1つの質問で複数のモデルの答えを並べて比較できます

ローカルLLMもクラウドAIと同じように使える

 Cherry Studioでは、OllamaやLM StudioなどMac上で動作するローカルLLMもまとめて利用できます。

 たとえばLM StudioをMacにインストールし、利用するモデルをあらかじめ用意しておけば、Cherry StudioのモデルサービスにLM Studioを追加できます。

 設定が完了すると、クラウド上のモデルと同じようにチャット画面からローカルモデルを選択できます。

 ここで理解しておきたいのは、Cherry Studioから見ればOpenAIやAnthropicなどが提供するクラウドAIもMac上で動いているローカルLLMもモデルの選択肢の1つとして扱えることです。

 これにより、普段はクラウドAIを利用し、必要に応じてクラウドAPIの利用料金が発生しないローカルLLMに切り替えるといった使い方も、アプリを移動せずに行なえます。

 もちろん、ローカルLLMの実行性能はMacの性能や選択したモデルによって大きく変わりますが、クラウドとローカルの違いを意識せず1つの画面から簡単に行き来できるのは、Cherry Studioならではの大きな利点です。

LM Studioであれば、[Developer]画面の[Local Server]で導入済みのAIモデルを[Load Model]で読み込み、ステータスのスイッチをオンにしておきます
Cherry Studioの[Settings]画面で、[LM Studio]をオンにします。ここではAPIキーの設定は必須ではありません
チャット画面のモデル選択メニューに[LM Studio]が追加されていることを確認します。使い方はクラウドAIの場合と同様です

「Cherry Agent」でAIに作業を任せてみよう

 ここまで紹介した使い方は、どのAIモデルと「会話するか」をCherry Studioでまとめるものでした。しかし、現行のCherry Studioには、もう一歩踏み込んだ「Agent」機能も用意されています。

 通常のチャットではユーザが質問を入力するとAIが回答を返しますが、Agentでは与えられた目的に応じてツールを呼び出したりファイルを読み書きしたりしながら、複数の工程にまたがる作業を進められます。

 ここでは試しに、作業用のフォルダに資料ファイルを用意して、その内容を読み取って新しいファイルに要点をまとめるようAgentに依頼してみました。利用するAIモデルや作業用フォルダの場所を指定して指示すると、Agentは必要なファイルを確認しながら処理を進めます。

 通常のチャットのように文章を貼り付けて「要約して」と頼むのとは異なり、AIに作業対象と目的を与えることで処理そのものやMac内のファイル操作を任せられるのがAgentのポイントです。

 さらにAgentは、ほかの機能と組み合わせることで用途を広げられます。たとえば「Skill」は、特定の仕事を行なうための能力や手順をAgentに追加する仕組みです。また、MCPを利用すると外部のツールやデータソースをAIから使えるようになります。

 ほかにも、あらかじめ設定した作業を指定した日時や周期で実行できる「定期タスク」を利用すれば、Agentを指定したタイミングで動かせるため、定期的な情報収集や資料作成などにも応用できます。

左サイドバーの[Work]を選び、Agent機能の[Cherry Assistant]を選択します。ファイル操作に利用できるモデルを選択しておきます(ここではClaude Opus 5)
作業用ディレクトリ(フォルダ)を指定するメニューから[Add new work directory]をクリックして、[書類]フォルダ内の任意のフォルダを指定します(ここでは[CherryAgentTest]フォルダ)
プロンプト入力欄の下にある[Permission Mode]をクリックすると、Agentによる操作の許可方法を選択できます。ここでは[Auto-accept Edits]を選択しておきます
ファイル操作の指示を送信します。ここでは、指定したファイルを読み、内容を整理してMarkdown形式でまとめるよう指示しています
Agentが指定したモデルを利用して作業を実行し、ファイルを作成しました。作業用ディレクトリ(フォルダ)内にもファイルが作成されています
作成したファイルは、ウインドウ内でプレビューしたり、Finderウインドウで開いたりできます
Agentの[…]をクリックして[Edit Agent]を選択し、サイドバーの[Skills]からAgentに割り当てたいスキルを追加できます
[Settings]画面で[MCP]を選択し、[Builtin Servers]などからMCPサーバを追加して有効にしておきます。登録して有効にしたMCPサーバは、Agentの編集画面の[MCP]から個別に割り当てられます

増え続けるAIの“入り口”をCherry Studio 1つに

 生成AIの進化は速く、新しいモデルやサービスが次々と登場しています。そのたびにWebサービスやアプリを使い分け、作業環境を増やしていくのは意外と面倒なものです。

 Cherry Studioの良さは、そうした状況でも普段使う環境を大きく変えずに、新しいAIを取り入れやすいところにあります。

 気になるモデルが登場したら追加し、自分の用途に合わなければ別のモデルへ切り替える。そうした生成AIの試行錯誤を、1つのアプリを中心に行なえます。

 普段から複数の生成AIを利用している人はもちろん、どの生成AIを使えばいいのか迷っている人にもおすすめなので、ぜひ一度試してみてください。