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Mac版Office 2019が読み取り専用に!無料代替ソフト「ONLYOFFICE」はどこまで使える?

 2023年10月10日にサポートが終了した「Office 2019 for Mac」は、2026年7月13日以降、ライセンス認証用証明書の期限切れにより、編集や保存、新規作成ができなくなります。そこで注目したいのが、無料で使えるOffice互換ソフト「ONLYOFFICE」です。本記事では、ONLYOFFICEの特徴を紹介しつつ、Office形式のファイルをどこまで扱えるのかを検証してみました。

文書作成、表計算、プレゼンテーションを1つのアプリで扱える「ONLYOFFICE」。Office形式のファイルに対応する無料のOfficeスイートとして注目されています

Office 2019 for Mac終了の波紋

 MacでWord、Excel、PowerPointなどを日常的に使っている人は多いでしょう。特に、仕事相手や取引先から届く文書、表、プレゼン資料はOffice形式で作成されていることが多く、それらを確認したり、必要に応じて編集して送り返したりするためにOfficeアプリはMacユーザにとっても欠かせない存在です。

 そうした中でMacユーザに大きな衝撃を与え、波紋を呼んだのが、「Office 2019 for Mac」の機能制限モードへの移行です。Microsoftは2026年5月、同製品が2026年7月13日以降、ライセンス認証に使用している証明書の期限切れにより、機能制限モード(読み取り専用)に移行することを明らかにしました。
 つまり、既存ファイルの閲覧や印刷はできても、編集や保存、新規作成が一切できなくなるという、実質的な「寿命」を迎えることになったのです。

Office 2019 for Macの製品サポートは2023年10月10日に終了し、セキュリティ更新プラグラムの提供も行なわれていません。詳細は、Microsoftの公式サイトで詳しくアナウンスされています

Office互換ソフトの大本命「ONLYOFFICE」とは?

 では、Office 2019 for Macを使い続けてきたユーザは、今後どうすればよいのでしょうか。

 まず考えられるのは「Microsoft 365」、または「Office Home & Business 2024」への移行です。ただし、前者は年額2万円以上かかるサブスクリプションサービスであることから、継続的な費用を負担に感じる人もいるでしょう。

 一方、後者は4万3,980円の1回限りの購入でWord、Excel、PowerPointなどを利用できるものの、Office 2019 for Macと同じようにいずれサポート終了を迎える可能性が高いことが懸念されます。

 そこでこの機会にもう1つの選択肢として検討したいのが、Office互換ソフトへの切り替えです。

 中でも近年急速に注目を集めているのが、ラトビアのIT企業Ascensio System SIA(2023年にシンガポールに持株会社を設立)が開発するオープンソースのOfficeスイート「ONLYOFFICE(ONLYOFFICEデスクトップエディター)」です。

 これまでMacで使えるOffice互換ソフトとしては「LibreOffice」が知られていましたが、LibreOfficeは標準の保存形式が「ODF(OpenDocument Format)」であり、Officeファイル(DOCXやXLSXなど)を開くとレイアウトが崩れやすいという弱点がありました。

 その一方でONLYOFFICEは、DOCX、XLSX、PPTXといったOffice形式のファイルを標準で扱えるため、レイアウト崩れが起きにくく、互換性が極めて高いのが特徴です。

 また、無料で使えること、ユーザインターフェイスがOfficeアプリの「リボンUI」に似通っていて違和感なく使えること、1つのアプリ内でDOCX、XLSX、PPTXのファイルが扱えることなども魅力です。

 Excelのマクロ(VBA)に非対応だったり、プラグイン拡張が限られていたりとOfficeアプリに比べて機能が劣る部分もありますが、用途によっては十分にOfficeアプリの代替として使える実力を備えています。

ONLYOFFICEのMac版は、公式サイトから無料でダウンロードできます。macOS 10.13(High Sierra)以降に対応しており、Appleシリコン(M1以降)もネイティブでサポートしています
【表】Microsoft OfficeとONLYOFFICE Desktop Editorsの機能比較
比較項目Microsoft Office(Mac版)ONLYOFFICE Desktop Editors(Mac版)
価格・ライセンスサブスクリプション(Microsoft 365)または買い切り(Office 2024など)完全無料(オープンソース)
対応OSmacOS(最新の3バージョン程度)macOS(Intel/Appleシリコン両対応)、Windows、Linux
主要アプリ構成Word、Excel、PowerPointなどが独立したアプリ1つのアプリ内でタブ切り替え(文書、表計算、プレゼン)
UI(見た目)リボンUIリボンUI(非常に似ている)
標準ファイル形式DOCX/XLSX/PPTXDOCX/XLSX/PPTX
互換性(レイアウト)完璧(純正)非常に高い(高度な機能の一部でズレが生じる場合あり)
マクロ(VBA)完全対応非対応(JavaScriptベースのマクロを使用)
PDF編集機能閲覧・一部変換可能閲覧・編集・フォーム作成(v9.0以降で強化)
クラウド連携OneDrive、SharePointと密接に連携Nextcloud、ownCloud、ONLYOFFICE DocSpaceなどと連携
プラグイン拡張豊富なアドインChatGPT、DeepL、LanguageToolなど(エコシステムの規模はOfficeに及ばず)
ONLYOFFICEのスタート画面。左側のメニューから、新規作成やファイルを開く操作を行ないます
Wordの代替となるドキュメントエディタ。OfficeアプリでおなじみのリボンUIに似通ったUIを採用しており、フォントの変更や段落の設定、図形の挿入など、よく使う機能が画面上部に分かりやすく配置されています
ONLYOFFICEの特徴である「タブ型インターフェイス」。Word文書、Excelの表計算、PowerPointのプレゼン資料など、異なる種類のファイルを1つのウインドウ内にタブとして開くことができます
文字の入力や表の作成、画像の挿入など、基本的な操作はOfficeアプリとほぼ同じです。ショートカットキーも共通のものが多く、Officeアプリに慣れたユーザであれば、マニュアルを見なくてもすぐに使いこなせるでしょう

実際どこまで使える? ONLYOFFICEの互換性を検証

 ONLYOFFICEは「互換性が高い」と言われても、実際の仕事でどこまで使えるレベルなのか気になる人も多いでしょう。

 そこで今回は、Word、Excel、PowerPointで作成したサンプルファイルをONLYOFFICEで開き、互換性を検証してみました。

1Wordファイルの互換性

 見出し、箇条書き、番号付きリスト、表組み、文字色などのテキスト装飾を含んだ標準的なビジネス文書(営業活動報告書)を開いたところ、再現性は良好でした。

 デフォルトフォントの違いなどにより改ページ位置が変わる場合はありますが、表の罫線や背景色を含め、レイアウトに大きな崩れは見られませんでした。一般的なビジネス文書であれば、Wordの代替として十分に利用できるレベルです。

 一方で、ルビ(フリガナ)やフロート配置のテキストボックスなどを含む複雑な文書では、再現性にやや難がありました。

 特にルビは、ベースとなる文字ごと欠落したり、不自然な表示になったりするケースがあり、Word独自の日本語組版機能の再現に弱点が見られます。また、画像やテキストボックスの回り込み設定が複雑な場合、配置が微妙にずれることもありました。

標準的なビジネス文書をWord(左)とONLYOFFICE(右)で開いたところ。文字の配置から表の網掛けまで、ほぼ完璧に再現されています
複雑なレイアウトの文書をWord(左)とONLYOFFICE(右)で開いたところ。ルビを振った部分が表示されなかったり、テキストボックスの回り込みにズレが生じたりしています

2Excelファイルの互換性

 SUM、AVERAGE、VLOOKUPといった一般的な関数と、基本的な棒グラフを含む四半期別売上集計表を開いたところ、再現性は良好でした。

 関数の計算結果は正しく反映され、セルの結合や背景色、罫線も完璧に再現されました。棒グラフも元のデータと連動して正しく表示されています。日常的なデータ集計や家計簿レベルであれば、Excelの代替として十分に利用できるでしょう。

 一方で、VBAマクロを含むXLSMファイルでは、マクロを実行できませんでした。

 今回用意したのは、ボタンをクリックすると商品ごとの小計と合計金額を自動計算し、結果をダイアログボックスに表示するファイルです。

 ONLYOFFICEで開くとボタン自体は表示されますが、クリックしてもマクロは実行されず、「マクロ ‘[0]!CalcTotal’を実行できません。」という警告が表示されてしまいました。

 ONLYOFFICEはJavaScriptベースの独自マクロを採用しているため、Excelで作成したVBAマクロはそのままでは動作しません。業務でExcelマクロを多用している人にとっては、この点が大きなネックになるでしょう。

 なお、ONLYOFFICE独自のJavaScriptマクロで書き直せば同様の自動化は実現できますが、既存のVBAコードをそのまま移行することはできません。

関数とグラフを含む集計表を開いたところ。Excel(左)同様に、ONLYOFFICE(右)でも計算結果が正しく表示されています。フォントやフォントサイズの違いでグラフの見た目は若干崩れましたが、手直しすれば問題ないレベルです
VBAマクロを含むXLSMファイルを開いたところ。ONLYOFFICE(右)では、Excel(左)のようにマクロを実行できません

3PowerPointファイルの互換性

 タイトル、箇条書き、画像を含む、一般的なレイアウトのプレゼン資料を開いたところ、再現性は良好でした。

 テキストボックスの配置や箇条書き、表の挿入といった基本的なレイアウトはしっかりと維持され、スライドのデザインテーマも豊富に用意されているので、PowerPointと同じ感覚で編集できます。ただし、フォントの置き換えによってごくわずかな行送りのズレが生じることはありました。

 一方、複雑なモーションパス(軌跡)アニメーションや、組織図などのSmartArtを含むスライドでは、表示や動作の再現に問題が見られました。

 PowerPoint特有の高度なアニメーションや特殊な3Dトランジションの一部は、ONLYOFFICEでは簡略化されたり、フェードなどの基本的な動きに置き換えられることがあります。

 また、一部のSmartArtグラフィックは「単なる図形のグループ」として読み込まれてしまい、あとからテキストを追加したり構造を変更したりするのが難しくなります。演出に凝ったプレゼン資料を扱う場合は注意が必要です。

標準的なプレゼン資料をPowerPoint(左)とONLYOFFICE(右)で開いたところ。ONLYOFFICEでもテキストや表の配置が維持されています
高度なアニメーションやSmartArtを含むスライドをONLYOFFICEで開いたところ。ONLYOFFICEでは一部の図形が編集不可になったり、動きが簡略化されます

Office 2019 for Macの移行先として十分に現実的な選択肢

 Office形式のファイルといっても、その内容は文書、表計算、プレゼン資料によってさまざまです。そのため、互換性について一概に言い切ることはできません。

 ただし、今回検証した限りではVBAマクロ、高度なアニメーション、SmartArt、特殊な日本語組版などMicrosoft Office固有の機能を多用したファイルには難があるものの、日常的な文書作成、基本的な表計算、シンプルなプレゼン資料の作成・編集であれば、無料とは思えないほど十分な実力を備えていると感じました。

 特に、Officeアプリを頻繁に使うわけではなく、届いたOfficeファイルを確認したり、簡単に編集して送り返したりする用途が中心だった人にとっては、救世主のような存在になるでしょう。

 また、すでにMicrosoft 365を契約している人でも、サブスクリプション期間が終了したあとの乗り換え候補として検討する価値はありそうです。

 今回はファイルの互換性を中心に検証しましたが、ONLYOFFICEはPDF編集やフォーム作成、AIアシスタント、クラウドサービスと連携した共同編集などの機能も備えています。

 こうした機能も気になる人は、無料で使えるソフトなので、まずは気軽に試してみてはいかがでしょうか。

ONLYOFFICEでは、OpenAIやローカルAIなど任意のAIプロバイダーと連携し、文章生成、要約、翻訳、校正、OCR、チャットボットなどのAI機能をエディタ内で利用できます