Mac Info

ビデオ会議収録に最適!「OBS Studio」なら音声付き録画がMacで簡単にできる

 ビデオ会議やストリーミング動画など、Macで「音声付きの画面録画」をしたいなら、無料で使える「OBS Studio」がおすすめです。多機能なアプリですが、シンプルな録画機能だけなら、ちょっとした手順を押さえるだけですぐに使えます。

ライブ配信アプリとして知られるOBS Studioを使えば、Macの画面を音声付きで簡単に録画できます

システムやアプリから再生される音を直接収録するには?

 Macでオンライン会議やストリーミング動画を録画したいと思って、macOS標準の「QuickTime Player」で画面収録を試みたことはないでしょうか。

 しかし、QuickTime PlayerではMacのマイクから再生される音は拾えるものの、システムやアプリから再生される音を直接収録することができません。

 そこで便利なのが「OBS Studio」です。このアプリを使えばシステムやアプリから再生される音声を画面と一緒に録画できるのはもちろん、システムやアプリの音声だけを収録したりすることができます。

 ライブ配信をサポートする多機能なツールとして知られていますが、Macで音声付きの画面録画を行なうのにも打ってつけ。しかもオープンソースソフトウェアとして無料で公開されているので、誰でも利用できます。

 今回は「Macの画面を音声付きで録画する」という目的に絞って、OBS Studioの使い方をわかりやすく解説していきます。

OBS Studioは開発元のWebサイトからダウンロードします。Appleシリコン版とIntel Mac版があるので自分の環境に合ったものをダウンロードしましょう

ウィザード形式でセットアップ

 MacにOBS Studioをインストールして初めて起動すると、「アプリの権限を確認する」という画面が表示されます。

 ここで画面収録やカメラ、マイクなどへのアクセス許可を求められるので、必要な権限を有効にしておきましょう。この設定をスキップしてしまうと、正しく録画することができません。

 ビデオ会議やストリーミング動画を音入りで録画するためには、画面収録とマイクの機能の権限を許可しておく必要があります。

 そして権限の設定が終わると「自動構成ウィザード」が起ち上がります。ウィザードを使わなくても自分で設定することはできますが、最初はこれに従っておくとスムーズです。

 この際、OBS Studioの使用目的を問われますが、画面収録を行なうだけなら[録画のために最適化し、配信はしない]を選べば、その後の配信設定をスキップすることができます。

 これから示す手順で「映像設定」を行なえば、簡単に使い始めることができます。

初回起動時にはこの画面が表示されます。[画面収録の環境設定を開く]をクリックして、OBS Studioで画面をキャプチャするための権限設定を行ないます
このようなウインドウが表示されるので、[システム設定を開く]をクリックします
「システム設定」が開いたら、一覧の中から[OBS]と書かれた項目を探してオンにします。その後、Macのパスワードを入力して変更を許可します
その後、カメラやマイクなどの権限設定も行ないます(スキップした場合も自動的に設定画面が起動します)。音声入りの画面を収録するだけならばカメラは許可する必要はありませんが、マイクは許可しましょう
各種の権限設定が終わると、「自動構成ウィザード」が開きます。もし自動で開かない場合は、[ツール]メニュー→[自動構成ウィザード]を選びましょう。画面収録が目的の場合、最初の選択肢では[録画のために最適化し、配信はしない]を選びます
次に映像設定を行ないます。[基本(キャンバス)解像度]は現在のディスプレイサイズを選ぶのがいいでしょう。必要に応じてほかの解像度も設定できます

画面全体でも特定のウインドウだけでもOK

 自動構成ウィザードを一通り終えるとOBS Studioのメイン画面が表示されますので、ウインドウ下部の[ソース]エリアにある[+]ボタンをクリックして、[macOS スクリーンキャプチャ]を選びましょう。

 すると設定画面が開くので、画面全体を録画するか、特定のウインドウのみを録画するのかを選びます。Web会議アプリやWebブラウザだけを収録したい場合は[ウインドウキャプチャ]を選ぶといいでしょう。

 また、Macをマルチディスプレイで利用している場合は、どのディスプレイを収録するのか併せて設定を行ないます。

 そして最後に[OK]を押すと、メイン画面上部のプレビューエリアに、選択したディスプレイの映像が表示されます。

 このプレビューエリアに表示されている部分がそのまま録画範囲となります。必要に応じて、映像の四隅にある白いハンドルをドラッグすればトリミングも可能です。

OBS Studioのメイン画面です。上側にプレビューエリア、下側が複数のエリアに分割されています
[ソース]エリアの左下にある[+]ボタンを押すと、このようなメニューが表示されます。一番上にある[macOS スクリーンキャプチャ]を選びましょう
次の画面で[新規作成]にチェックを入れ、必要に応じて名称を変更します。その後、[OK]をクリックして続けます
設定画面が開きます。マルチディスプレイ環境では[ディスプレイ]欄から任意のディスプレイを選べます。また、マウスポインタを表示するかどうか、OBS Studio自身のウインドウを表示するかどうかを選べます
[方式]プルダウンメニューでは[ウインドウキャプチャ]も選べます。この方法を選べば、指定したウインドウだけを録画できます。設定が済んだら[OK]ボタンを押して設定画面を閉じましょう
メイン画面上部のプレビューエリアに、選択したディスプレイの映像が表示されます。赤枠をドラッグしてサイズを変更したり、位置を調整したりすることが可能です

Macの音声だけならマイクはオフにしよう

 映像の設定ができたら、次は音声の設定です。メイン画面下部にある[音声ミキサー]エリアを見ると、[macOS スクリーンキャプチャ]と[マイク]という2つの音声入力が表示されているはずです。

 ここでポイントとなるのは、それぞれの入力元の違いです。[macOS スクリーンキャプチャ]は、Macが出しているすべてのシステム音声(たとえばWebブラウザで再生している動画の音やZoom会議での相手の声など)のことを指します。

 一方の[マイク]は、Mac内蔵のマイクや外部マイクを通じて拾った周囲の音や自分の声などを指します。そのため、自分の発言を含むオンライン会議を録画したい場合は両方の音声をオンにする必要があります。

 もし、視聴目的でYouTubeの動画やWeb会議などを録画したい場合は、自分の声などが入らないように[マイク]のスピーカアイコンをクリックしてミュートしておくとよいでしょう。

 そして音声の設定を行なったら、OBS Studio右側にある[録画開始]ボタンをクリックすれば録画がスタートします。

 録画中は映像プレビューの下にあるコントロールパネルで状況を確認できます。録画を終えたいときは、同じ場所にある[録画終了]ボタンをクリックしましょう。

 なお、録画した動画ファイルは、初期設定では[ホーム]→[ムービー]フォルダに保存されます。[ファイル]メニュー→[録画を表示]を選ぶと、Finderで保存場所をすぐに開くことができるので覚えておきましょう。

ウインドウ下側中央にある[音声ミキサー]エリアに注目。Macの音声だけを収録したいなら、[マイク]項目にあるスピーカアイコンをクリックしてミュートしましょう
音声の設定を終えたら、画面右下の[コントロール]エリアにある[録画開始]ボタンを押すと録画が始まります。録画中はこのボタンが[録画終了]に変わり、再度押すと録画がストップします
[ファイル]メニュー→[録画を表示]を選ぶと、Finderで録画ファイルを保存しているフォルダが表示されます。問題なく録画できているかを確認しましょう

音声付き録画のハードルが大きく下がる!

 かつてMacで画面と一緒にシステムやアプリから再生される音を直接収録するには、仮想オーディオデバイスという追加アプリをインストールする必要がありました。

 しかし、これらの設定は少々複雑で、導入のハードルが高いのが難点でした。ところが現在はOBS Studioを使うことで簡単に実現することができます。

 しかもOBS Studioは無料で利用できるため、機能制限なくどんどん使いこなしていくことが可能。最初は使い方に戸惑うかもしれませんが、操作に慣れていけば目的に応じて柔軟な録画設定が行なえるようになるでしょう。

 OBS Studioは、YouTube動画の制作やストリーミング配信にも活用できる高機能なアプリです。まずは録画用途から気軽に使い始め、ゆくゆくは活用の幅を広げていくのもいいでしょう。