PC Watchのキーボード黙示録

俺の指先の「終着駅」が「赤ポチ」になった理由【ライター池紀彦の場合】

このコーナーは、ライターや編集者愛用のキーボードについて語る短期リレーコラムです。

 筆者は昔からキーボードとマウスという、PCにおけるユーザーインターフェイスデバイスそのものが大好きだった。そのため、キーのクリック感を重視してメカニカルキーボードに触れたこともあれば、レイアウトにこだわってエルゴノミクスデザインのマイクロソフト純正キーボードに手を出したこともあった。こだわりの強さが随所に感じられるHHKBも触ってみたし、総シリコンのふにゃふにゃキーボードやコンパクトなミニキーボードに触れることもあった。

 さらに言うと、筆者は2005年くらいまではマウスも色々と試してきた。マイクロソフト純正のボールマウスにサイドボタンが付けられたものや、士郎正宗デザインマウス、サイズは大きく重めのものが好みだったので、重量調整が行なえるマウスなどもいろいろと試してきた。

 こうして20年前にたどりついた結論が、“スティック型ポインティングデバイス付きキーボード”が筆者にとっては最強ということだ。スティック型ポインティングデバイス付きキーボードの中でも特にトラックポイント、通称「赤ポチ」はキーボード操作をしながらマウス操作もスムーズに行なえる、筆者にとっては理想のインターフェイスとして、長い間、筆者とともに生きてきた。

 デスクトップPCをメインで使用していた頃は、旧IBMの「Space Saver II」や「ウルトラナビ付USBキーボード」、レノボから発売されている「ThinkPad トラックポイントキーボード」も有線/無線ともに所有しており、これらを活用していたし、デスクトップだけでなく、ポータブルゲーミングPCの作業用キーボードとして現在でもこれらを活用している。

Space Saver II
ThinkPad トラックポイントキーボード

 近年では「TEX Shinobi」や「TEX Shura」など、TEX製のトラックポイント付きキーボードも要所で活用しており、ライティングの仕事を続ける限りは、死ぬまでトラックポイント付きキーボードとともにあるだろう。

 キーボードとしての最強が「トラックポイント付きキーボード」なら、ノートPCを選ぶ際の選択肢についても自ずとそれ(もしくはそれに近いもの)を備えるノートPCということになる。過去には他社からもスティック型ポインティングデバイス付きキーボードを備えるノートPCがリリースされていたが、現在はレノボのThinkPad以外、選択肢がないのが現状だ。もちろん各種トラックポイント付きキーボードと他社のノートPCを組み合わせて使う選択肢がないわけでもないが、ノートPCの可搬性を考えると、キーボードが別腹なのはあまりよろしくない。

 そのため、現在使用している「ThinkPad X1 Nano(Gen1)」が現在も筆者にとってのベストな原稿執筆環境となっており、このThinkPadに搭載するトラックポイント付きキーボードが現在のメインキーボードということになる。

 弊誌「買い物山脈」をチェックすると、このThinkPad X1 Nanoの購入時期は2021年ということで、来年でいよいよ5年目となってしまうが、当時としては高パフォーマンスのモデルをチョイスしたこともあり、今でも現役で元気に稼動している。

 ただし、メモリ容量の16GBは、YouTubeなどの動画を再生しながらWebブラウザで100個近いタブを常時開き、さらにマイクロソフト標準のペイントソフトや画像ビューワーを起動していると、メモリが枯渇して、動作が重くなる。最近は別のPCに動画再生を任せることで急場をしのいでいるが、いずれは32GB以上のメモリを内蔵するThinkPadへの移行が必要になるだろう。

 昨今の筆者は、現地取材の仕事が増加している。そして取材終了後は、なるべく早く近所の喫茶店などを訪れて、即座に執筆作業に取り掛かりたい場面も増えている。このような場面においては、外付けのキーボードやマウスを持ち歩かず、コンパクトなノートPC単体で完結しているThinkPadの利便性は圧倒的だ。文字を書くのはもちろんのこと、トリミングや色味調整などのちょっとした画像処理も含めてスムーズに行なえるので、本人のテンションさえ高ければそれなりに短時間で作業を終えることができる。

 打鍵感については、パタパタとした軽めな感触のため、ひたすらテキストを打つ日々を過ごすのにはちょうどいい塩梅と言える。打鍵音についてもそれなりに発生しているが、集中して打っていても周囲に影響を与えるほどの騒音にはなっていないと個人的には感じている。

 なお、筆者にとって英語配列のチョイスはコンパクトなノートPCにおいては必要不可欠だ。キー数は少ないに越したことはないが、普段使いで必要なキーが「Fn」キーの同時推しと言われるとそれもまたしんどいというわがままな考えに対して、ThinkPadのキーボードはF1~F12のファンクションキーがちゃんと独立して配置されている6段配列は非常にバランスがよいと感じている。

 トラックポイントによる各種操作だが、日常のファイル操作やWebブラウザの操作はもとより、20年近く使い続けていると、ちょっとした画像編集だけでなく、簡単なお絵描きレベルならトラックポイント1つでどうにかできるようになる。こうなるとタッチパッドのノートPCには戻れない……こともないが、個人的な利便性としてはマウス以外で比較するなら、ほかのインターフェイスよりもはるかに高い。

 このように、ThinkPadのトラックポイントキーボードは、もはや筆者の指にとって、単なる入力デバイスではなく、身体の一部のような存在となっている。たとえ音声認識がどれほど進化しようとも、この指先と画面が直感的に繋がる感覚には代えがたい。この先、ライターとしての歩みを止めるその日まで、この小さな赤いポチとともに、記事を書き続けていくのだろう。

メーカー/製品名ThinkPadキーボード(内蔵)
使用PC機種名ThinkPad X1 nano(Gen 1)
キーボード仕様-
キースイッチ(軸の種類)パンタグラフ
キー配列英語配列(US)
サイズ/キー数テンキーレス6段配列
キーピッチ18.5mm
キーストロークほどよく
押下圧(重さ)軽め
打鍵音パタパタ
接続方式直接接続
筐体の色/素材ThinkPadブラック
カスタマイズ箇所MOFTスタンド利用
キーバックライトあり