Mac Info

Alfredの対抗馬!?新生ランチャツール「Raycast」がすごく便利!

 MacのランチャアプリとしてはmacOS標準機能の「Spotlight」や定番ユーティリティの「Alfred」が有名ですが、最近じわじわと人気を集めているのが「Raycast」です。単なるランチャアプリに留まらない機能の豊富さやカスタマイズ性の高さから「生産性が爆発的にアップする!」と、多くのMacユーザーを虜にしているのです。Raycastとはいったいどんなアプリなのか。ここではその基本的な使い方と一歩踏み込んだ活用テクを紹介していきます。

Raycastはアプリの起動をはじめ、豊富な操作をキーボードから行なえるユーティリティです

Raycastが注目される理由

 Macでよく使うアプリは、素早く起動できるようにDockに登録している人が多いでしょう。

 しかし、登録するアプリが増えるほど、見つけにくくなってしまうのがデメリットです。

 そこでぜひ試してほしいのが、Raycastです。このアプリはいわゆる「ランチャ(キーボードランチャ)」と呼ばれるもので、キーボードショートカットで起動して表示される検索窓に、アプリ名の一部をタイピングするだけで素早くアプリを起動できます。

 また、Raycastはアプリの起動のみならず、検索窓に入力することでファイル検索やインターネット検索、定型文の管理、クリップボード管理、ウィンドウ管理など実にさまざまな機能を実行することが可能。

 さらには、設定画面の[Extensions]からRaycastの専用ストアにアクセスして拡張機能を追加することもできます。

 つまり、Raycastを使えば単にアプリの起動を効率化できるだけでなく、これまで複数のアプリを使って実現していた機能を1つに統合することも可能なのです。

 しかも、驚くことにアプリは基本的に無料で利用可能。有料版も用意されていますが、無料版でも実に多くの機能を搭載しているので気軽に使い始めることができます。

 では、具体的にどのようにRaycastを使いこなせばいいのか。主な機能の使い方を詳しく説明していきましょう。

Raycastで利用できる主な機能です。このほかにも豊富な機能を標準で備えるほか、専用ストアから自分の欲しい機能を追加することも可能です
Raycastは開発元のWebサイトにアクセスして、[Download for Mac]ボタンを押すとダウンロードできます
初めてアプリを起動すると、初期設定ウィンドウが開きます。右下の[Begin setup]ボタンを押して進めましょう
Raycastで呼び出せる機能のオン/オフを設定します。初めて使う人は、いったん何も変更を加えずに[Continue]で進めましょう
Raycastを呼び出すためのホットキーを設定します。初期設定では[option]キー+[スペース]キーですが、自分の使いやすいように変更してもいいでしょう
メールアドレスの登録などを促されますが、ここは任意で構いません。[Continue]を押して進めば初期設定が完了します

ランチャ機能でアプリを素早く起動する

 Raycastでまず試してほしいのが、アプリランチャとしての機能です。

 初期設定で設定したホットキーを押すとRaycastのウィンドウが現れるので、起動させたいアプリの名称を入力してみましょう。

 たとえばSafariを起動させたい場合は、「saf」と最初の3文字程度まで入力すればOK。アプリ名をすべて入力する必要はありません。

 すると、検索結果の最上部に「Safari」が表示されるはずなので、そのまま[return]キーを押せばSafariがすぐに起動します。

 また、検索結果の最上部に目的のアプリが表示されなかったときは矢印キーを押して選択する必要がありますが、より素早く操作したいなら[command]キー+数字キーを押してみましょう。

 たとえば、[command]キー+[2]キーを押せば、検索結果の2番目に表示された項目を素早く起動できます。

 ランチャに慣れていない人は、このようにタイピングしてアプリを起動するのが最初は面倒に感じるかもしれません。

 しかし、操作に慣れてしまえばキーボードから手を離す必要がないため、ポインタを操作してアプリを起動するよりもスピーディに感じるはずです。

ホットキーを押してRaycastを呼び出すと、画面中央にこのようなウィンドウが表示されます
アプリ名を数文字入力すると、検索結果に表示されます。起動したいアプリが検索結果の一番上に表示された場合は、そのまま[return]キーを押せばアプリが起動します
候補をさらに絞り込みたいときは、続けて数文字タイピングします。なお、検索結果が複数ある場合は、Raycastで起動した回数が多いものほど検索結果の上位に表示されます
矢印キーの上下を使って検索結果の項目を移動できます。また、[command]キー+[数字]キーを押せば、その数字の順位の項目をすばやく実行できます
ウィンドウ右下にある[Actions]を押すか、[command]キー+[K]キーを押すと、さまざまな操作ができます。たとえば[Show in Finder]を選べば、アプリのある階層をFinderで開けます

目的のファイルを一瞬で探し出す

 Raycastはアプリの起動だけでなく、ファイルの検索も可能です。

 Raycastを呼び出したら[search files]と入力して[return]キーを押すとファイル検索モードになりますので、探したいファイル名を入力しましょう。

 ただし、ファイル検索をよく行なう人ほど、検索するたびに[search files]と入力するのが面倒に感じるはずです。

 その場合はRaycastの設定画面から[Extensions]タブを開いて、[search files]を実行するためのホットキーを設定しておけば、すぐにファイル検索ウィンドウを呼び出すことができます。

Raycastを呼び出して[search files]とタイプ。そして[return]キーを押してみましょう
ファイル検索モードになるのでファイルを検索できます。初めて検索する際は[Authorize to search Folders]を選び、ユーザーフォルダへのアクセスを許可する必要があります
毎回[search files]とタイプするのが面倒な場合はホットキーを設定しましょう。メニューバーにあるRaycastメニューを開き[Setting]を選びます
[Extentions]タブにある[Search Files]を選択し、[Hotkey]欄をクリックして任意のホットキーを設定しましょう
設定したホットキーを押せば、いつでも即座にファイル検索ウィンドウが開くようになります
設定画面では、検索対象を「ファイル名だけ」にするか「ファイル名と書類内容」にするかを選べます。好きなほうを選びましょう

各種Webサービスも直接検索

 Raycastでは、インターネット検索を行なうことも可能です。

 Raycastを呼び出したら[search google]とタイプするとグーグル検索モードになるので、あとは検索したいキーワードを入力して[return]キーを押せば自動的にWebブラウザが開いて検索結果が表示されます。

 また、YouTubeやX(Twitter)、Wikipediaなどよく使うサイトがあれば、あらかじめ設定画面でそのサイトのURLを登録し、かつホットキーも設定しておくことで、素早くサイト内検索を実行することも可能です。

 SafariなどのWebブラウザを起動して目的のサイトを表示、そして検索するといった面倒な手順を踏むことがなくなるので、とても便利です。

Raycastのウィンドウで[search google]と入力して[return]キーを押したあと、検索したいキーワードを入力します。すると即座にWebブラウザ上に検索結果が表示されます
毎回[search google]とタイプするのは面倒なので、ファイル検索のときと同様にホットキーを設定しておくといいでしょう
インターネット検索機能は、さまざまなWebサイトで利用できます。例としてX(Twitter)の検索を作成してみましょう。設定画面から[Quick links]項目を選び、ウィンドウ右側にある[Create New Quicklink]ボタンを押します
このような画面が開くので、[Name]欄には見分けやすい名称を、Link欄には検索のURLを入力します。Xの場合は「[https://twitter.com/search?q={Query}](https://twitter.com/search?q=%7BQuery%7D)」となります。ほかのWebサービスも、自分で検索した際にどのようなURLになるかを確認することで法則を見つけられるでしょう
XやYouTube、Wikipediaなど、自分がよく使うWebサービス・SNSを登録しておくと、ますます便利になります

カレンダーやメモも検索可能

 ここまで読めばお気づきのように、Raycastはアプリの起動に加えて、ホットキーを押して表示されるウィンドウにさまざまな機能名(コマンド)を入力することで、その機能を素早く呼び出すことができます。

 [search files]や[search google]以外にも、たとえば[my schedule]というコマンドをタイプすればカレンダー検索が可能です。

 設定画面の[Extensions]タブを開くと、標準搭載されているさまざまな機能とコマンドが表示されるので確認して使ってみましょう。

 また、Raycastには専用ストアが用意されており、独自の拡張機能を追加インストールできます。たとえば「Apple Notes」というコマンドをインストールすれば、Mac標準の「メモ」アプリの検索を実行できるようになります。

Raycastを呼び出して[my schedule]と入力すれば、カレンダー検索が可能です
設定画面で[Extensions]タブを開き、[+]ボタンを押して[Install From Store]を選ぶと追加機能をインストールできます
「メモ」アプリの検索を行なうには「Apple Notes」という項目を選択。そして[return]キーを押して詳細を表示するとインストールできます

3つのおすすめ機能

 最後にRaycastの機能の豊富さをもっとお伝えするために、筆者のお気に入り機能を3つ紹介したいと思います。

 まず1つ目は、[clipboard history]と入力することで実行できるクリップボード管理機能です。

 クリップボードとは、自分がコピーした文字列や画像を一時的に記録しておく領域のこと。Raycastでは、自分が過去にコピーしたものの履歴を確認でき、あとから呼び出せるようになります。

 ビジネス文書を作成していると、少し前にコピーした文字列を呼び出したくなることが意外と多いものです。クリップボードの履歴を辿れるようになることで、文書作成の効率が向上するでしょう。

 次におすすめしたいのが、[create snipet]と入力して実行できる定型文の管理機能です。

 たとえば、よく使うフレーズを「スニペット」として保存してすぐに呼び出せるようにすれば作業の効率化を図ることができます。

 ビジネスメールでよく使う定型文を登録したり、エンジニアの人はよく使うコードを登録したりすると便利です。

 そして3つ目は、ウィンドウ管理機能です。ウィンドウを画面の左半分または右半分に移動・リサイズすることはmacOSの標準機能でもできますが、Raycastを使えばコマンドを入力することで画面の3分の2、3分の1、4分の3、4分の1などさまざまなサイズに変更できます。

[clipboard history]と入力すると、クリップボード履歴が表示されます。何度か呼び出していると[cl]と2文字タイプしただけでも候補の一番上に表示されるようになります
過去にコピーした項目(文字列や画像、ファイルなど)がリストアップされます。選択して[return]キーを押すとペーストできます
[create snipet]と入力すると、新規スニペットの登録画面が開きます
[Name]の欄には見分けるための名称、[Snippet]欄に入力したい文字列、[Keyword]欄には呼び出すための文字列を設定します。「{cursor}」と書き込むことで、自動入力後のカーソル位置を指定することも可能です
上記の例の場合、文章作成ソフトで「h2」とタイプした瞬間、自動的に文字列が入力されます
設定画面の[Extentions]タブで[Window Management]項目を開くと、さまざまなウィンドウ管理のコマンドを確認できます
ウィンドウを3分の1サイズにして画面に左端に移動したい場合は、Raycastで[First Third]と入力して[Return]キーを押します
最前面のウィンドウが、このようにリサイズ・移動されます
いちいちタイプしてウィンドウをリサイズするのは面倒なので、よく使うコマンドはホットキーを設定しておきましょう。Raycastウィンドウを開くことなく、いつでも一瞬でリサイズできるようになります

まずは無料版を試してみよう

 MacのキーボードランチャといえばAlfredが定番ですが、RaycastとAlfredはどちらも使い勝手が近く、機能面も重なる点が多々あります。

 Alfredは豊富なWeb検索機能があらかじめ設定済みになっていたり、複数のステップに渡る処理を自動化できる「ワークフロー」機能があるといった長所があります。

 しかし、Alfredでワークフロー機能やクリップボード管理、定型文管理などの機能を使うには、Powerpackという有料ライセンスの購入が必要です。

 一方、Raycastの場合は、有料のPro版にするとChatGPTをダイレクトに使えるなどいくつかの機能が追加されますが、無料版でも膨大な機能が使えます(本記事で紹介したすべての機能は無料で利用できます)。

 初めてキーボードランチャを使う人も、これまでAlfredを使っていたという人も、まずは無料版で使い勝手を試してみるといいでしょう。Raycastのパワフルさをすぐに実感できるはずです。