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ネットワークが遅い…そんなときに試したいMacのワイヤレス高速化テク
2021年5月18日 09:50
Webブラウズにメール、SNSやネット動画など、インターネットを使わない日はほとんどないという人もいるはずです。それだけにインターネットの遅さはストレスにつながります。ISP(プロバイダ)回線自体の遅さは仕方ありませんが、Macの設定だけでも高速化できるテクニックがあるので試してみませんか。
ネットワークの状況を確認しよう
まずはワイヤレスネットワークの状況がどのようになっているかを確認することから始めましょう。macOSではメニューバーのWi-Fiアイコンを[option]キーを押しながらクリックすることで、Wi-Fiが接続しているチャンネルやノイズのレベルなどを確認できます。
ここでPHYモードが「802.11ac」、転送レートが「866Mbps」やそれ以上の速度で表示されていれば問題に感じることは少ないでしょう。また、このメニューから「ワイヤレス診断」を開くこともできるので、Wi-Fi接続が不安定で遅いと感じたら診断してみましょう。診断結果には検出された問題と解決策が表示されるので、順番に対策をします。
また、より手っ取り早くネットワーク速度を確認したい場合は、Googleで「スピードテスト」と検索して先頭に表示されるインターネット速度テストを利用するか、「Speedtest by Ookla」などのアプリを利用するのもおすすめです。インターネットの速度は時間帯や帯域の混雑度によっても変化しますので、条件を変えて調べましょう。
なお、macOS Catalina(10.15)までは「ネットワークユーティリティ」という標準アプリを使って、ネットワークが正常かどうか調べることができました。たとえば、インターネット回線の応答速度を確かめる「Ping」を使って、対象機器のIPアドレスまでのネットワーク経路を簡単に確認することができたのです。
しかし、現在のmacOS Big Surではネットワークユーティリティは廃止されていますので、Pingを使うには「ターミナル」アプリからコマンド操作をしなければなりません。もしコマンド操作に不慣れな場合は、「Ping」などと検索してMac App Storeからサードパーティ製アプリを利用するほうがいいでしょう。
ルーターやケーブルの環境を見直す
Wi-Fiルーターとの接続は問題ないのに、Webページの表示が遅い、音楽やビデオのストリーミングが止まってしまうという場合には別の問題が考えられます。もし、Wi-Fiルーターに何らかの原因があると考えられる場合は、Wi-Fiルーターを再起動します。管理画面で最新のファームウェアアップデートがある場合はそれも実施します。
また、すでに生産終了となりましたが、AirMac ExtremeやAirMac Time CapsuleのようなApple製Wi-Fiルーターを利用している場合は、「AirMacユーティリティ」を起動して、設定の編集画面から「5GHzネットワーク」が有効になっているかを確認します。もし無効だった場合は、設定を反映して再起動して5GHz帯のアクセスポイントに接続します。
他社製のWi-Fiルーターの場合も基本的な確認項目は同様ですが、そもそもワイヤレス通信の規格自体が古い場合は「Wi-Fi 6」対応の最新モデルへの買い替えも検討しましょう。
もしWi-Fiルーターの設置場所とMacの場所が離れていて、電波の強度が下がりがちな場合は「メッシュネットワーク」対応のWi-Fiルーターだと接続速度の低下が起こりにくくなります。デュアルバンド、トライバンド対応モデルでは、2.4GHzと5GHzの自動切り替え機能を備える製品もあります。
さらに、意外と見落としがちなのがWi-Fiルーターをブリッジモードで使う際などに使う有線LANケーブルです。コネクタ形状が同じだからといって、「カテゴリ5」など古い規格のケーブルでは通信の理論上の転送速度が最大100Mbpsのためボトルネックになる可能性があります。
ただし、最新の「カテゴリ7」(10Gbps対応)と記載された製品が良いかというと、必ずしもそうとは限りません。家庭用では「カテゴリ5e」(1Gbps)や「カテゴリ6A」(10Gbps)の製品を選ぶのがおすすめです。
システムのネットワーク設定を変更する
家庭内のネットワーク機器に問題がないことを確認したら、macOS側でワイヤレスネットワークの設定を最適化していきます。まず「システム環境設定」の[ネットワーク]パネルから[詳細]画面を開き、[Wi-Fi]タブで余計なWi-Fiアクセスポイントが登録されていたら整理して、優先的に接続したいネットワークをリストの上部に移動して自動接続の設定もしておきます。
また、ネットワーク速度自体は遅くないのにWebページの表示がもたついている場合は、ISPが提供するDNSサーバの代わりにパブリックDNSサーバの設定をすることで接続速度が改善されることがあります。代表的なものは「Google Public DNS」ですが、「Cloudflare」なども有名です。
なお、パブリックDNS全般に言えることですが、必ずしも高速になるとは限らないことや、公衆無線LANサービスなどでは利用できない場合があることなどを考慮し、しばらく利用して改善がみられない場合は設定を削除して元に戻すことをおすすめします。
ほかにも、IPv6に対応したISPではこの設定をリンクローカルもしくは無効にすることで高速化するTipsがありますが、一般的には逆効果なこともあります。また、ネットワーク設定をいったん削除して作り直すことで速度が改善したというケースもありますが、こちらも一時的に改善しているだけという場合もあります。
いずれにせよネットワーク設定の変更を行う場合は、上述のネットワーク速度計測アプリで何度か繰り返して効果を確かめ、その効果が不確かな場合は初期設定に戻しておきましょう。
Safariの「遅さ」を解消するテクニック
最後にWebブラウザ側で表示を少しでも速くするための設定を試してみましょう。まず、Safariの[環境設定]から[開発]メニューを表示してブラウザキャッシュを空にします。一時的に再表示が遅くなるWebサイトもありますが、キャッシュの不具合が原因で遅くなっていたWebページの表示速度は改善されることがあります。
また、余計な機能拡張を使いすぎない、タブウインドウを開きすぎないといった設定や操作でも速度の改善が図れます。ターミナルの操作が必要ですが、開発者向けの[デバッグ]メニューを表示すればタブのプレビュー表示などのエフェクト効果を無効にして、体感速度を上げることも可能です。
ほかにも直接の速度向上効果は小さいものの、デフォルトの検索エンジンをGoogleからBingなどに変更することで検索時のレスポンスが変化することがあります。こちらも好みに応じて設定してみましょう。
もちろんWebブラウザの場合はサードパーティ製品を選ぶという方法もありますが、標準のSafariでもカスタマイズ性は高いので設定を自分好みにすることでさらに使いやすく高速にすることも不可能ではありません。