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Macの速度が劇的に変わる! 定番メンテナンスソフト「OnyX」を"間違いなく"使おう

 Macのメンテナンスはシステム(OS)標準の機能でも十分に可能です。しかし、手動での作業は面倒! と感じる人もいるのではないでしょうか。そうしたときに便利なのが、Mac向けのメンテナンスソフトを使った方法です。多くのツールがリリースされていますが、その中でも長年「定番」の地位を保ってきたのが「OnyX(オニキス)」です。多くの機能の中から、Macの速度改善に効果的なポイントについて解説していきます。

OnyXは、起動ボリュームの検証やキャッシュの削除などのシステムクリーニング、macOSの各種設定のカスタマイズなどを1つのアプリで実行できるメンテナンスツールです

OnyXインストール時の注意点

 古くからのMacユーザーであれば、OnyXというメンテナンスアプリの名前を何度も聞いたことがあるでしょう。日頃のメンテナンスはもちろん、システム標準では変更できない「隠し機能」を有効にする裏ワザツールとしてもよく知られています。

 OnyXはMac App Storeでは配信されておらず、開発元のTitanium Softwareのサイトからダウンロードします。Appleの審査を経てMac App Storeで公開されているアプリではないため利用は自己責任となりますが、それでも現在も多くの人に使われる人気のアプリです。

 もちろん、最新バージョンは現行のmacOS Big Surに対応し、M1チップを搭載したMacでも動作します。開発元のサイトからダウンロードする際はmacOSのバージョンに適合したものを選ぶ必要があるため、あらかじめAppleメニューの[このMacについて]からmacOSのバージョンを確認しておきましょう。

事前に自分のMacのmacOSのバージョンを確認し、それに適合したバージョンをインストールします。M1 MacとBig Surに対応した最新バージョンは「3.9.6」です(2021年5月時点)

 ダウンロードが完了したら、アプリ本体を[アプリケーション]フォルダにコピーします。システムの内容を変更するため、起動の際には毎回管理者パスワードを入力する必要があります。また、初回は起動ボリュームの検証が行なわれる場合があり、これには少し時間がかかります。あらかじめ「システム環境設定」からフルディスクアクセスの権限を許可しておく必要もあります。

 OnyXの環境設定では、現在のユーザーのみ、あるいはすべてのユーザーに変更を実施するかを選べますが、基本的には現在のユーザーのみで利用するのが安全です。

 なお、最近のmacOSにはSIP(システム整合性保護)機能が備わっているため、一部の設定はSIPが有効な状態では変更が反映されないことがあります。macOS側でSIPを無効にする方法もあるのですが、macOSのセキュリティ低下を招く危険性があるため、本稿では具体的な手順については解説しません。

[ダウンロード]フォルダにあるディスクイメージを開いて利用許諾に同意し、OnyXアプリ本体を[Applications]フォルダにドラッグしてコピーします
「システム環境設定」の[セキュリティとプライバシー]から[フルディスクアクセス]の実行権限を許可したうえで、OnyXを起動します。起動時には管理者パスワードが必要です

システム内を効率的にクリーニング

 OnyXのセットアップが完了して起動すると、画面上部に[OnyX]のほか、[メンテナンス][ユーティリティ][ファイル][各種設定][情報]という5つのメニューが表示されます。

 この中でもっともMacのパフォーマンス回復に役立つのは[メンテナンス]メニューです。Macを使っていて動作が重く感じるようなことがあったら、ここからファイルシステムの再構成やSpotlightインデックスの再構築、システムやアプリのキャッシュのクリーニングを実行してメンテナンスしてみましょう。

 [Verifying][再構築][クリーニング][詳細設定]に分かれてさまざまなチェック項目がありますが、あまりよく意味がわからない場合は、デフォルトの設定のまま画面右下の[実行]をクリックすればOKです。

 なお、実行前にはOnyX以外のアプリを終了しておくことが必要で、作業完了までには数十分から数時間以上かかることもあります。また、進行中のステータスや残り時間の表示が出ないため、就寝前など時間に余裕のある際に行なうのがおすすめです。

 また、デフォルトの[クリーニング]の項目は[システム][アプリケーション][インターネット]にチェックが入っていますが、[設定]をクリックして詳細設定を行なうことも可能です。

 たとえば、ブラウザのキャッシュや履歴はクリアせず、システムとアプリ関連のキャッシュをクリアするなど、ユーザーの状況に合わせて選ぶことでメンテナンスにかかる時間を節約できます。

[メンテナンス]メニューでは、検索に用いるSpotlightインデックスの再構築や、Macの遅さの原因となるシステムやアプリのキャッシュのクリーニングを実行できます
[クリーニング]項目の[設定]をクリックすると、さらにどのキャッシュをクリアするかを細かく選択可能です。あとは[実行]をクリックするだけですが、設定項目によっては作業にかなり時間がかかります

 システムのクリーニングと関連して注目したいのが、[ユーティリティ]メニューにある「ローカルスナップショット」の削除機能です。

 ローカルスナップショットはMacのTime Machineバックアップが実行できない間、自動で一時的に生成されるファイルのこと。次にTime Machineバックアップが行なわれると削除されますが、ストレージ容量の少ないノート型Macなどでは容量を圧迫し、それがMacの速度低下の要因にもなり得ます。

 このローカルスナップショットは通常はユーザーがアクセスできない場所にあり、下手に削除するとMacの動作に不具合が生じる危険性があるのですが、OnyXを利用すれば比較的安全に削除することが可能です。

 ただし、こちらの作業もやや時間がかかる場合があります。Time Machineを実行して自動的に削除するほうが早い場合も考えられるので、どちらを実行するかは迷いどころですが、特にノートMacのユーザーは機能の存在を知っておいて損はないはずです。

[ユーティリティ]にはいくつかのタブがありますが、ここでポイントとなるのは[Time Machine]の項目で、通常は操作できないローカルスナップショットを削除できます。バックアップ自体が消えることはありません
[ユーティリティ]の[アプリケーション]にはアクセスしにくい場所にあるmacOS標準のユーティリティを呼び出す機能があります。macOS Big Surでは「ネットワークユーティリティ」などが廃止されているので呼び出すことはできません

使いこなしのコツは[各種設定]にあり

 OnyXの基本機能を理解したら、次はOnyXの真骨頂と言っても過言ではない、詳細なメンテナンスやカスタマイズにも挑戦してみましょう。[各種設定]メニューには[一般][Finder][Dock][ログイン][アプリケーション][その他]という6つのタブがあり、macOSのユーザーインターフェイスの挙動を細かくコントロールできます。

 たとえば、もっとも効果がわかりやすいのは、ウインドウ操作のアニメーションエフェクトです。フォルダやファイルをダブルクリックしたときに「シュッ」とウインドウが開きますが、[一般]の項目でこの動きをオフにすると、体感的にスピードが上がったように感じられるでしょう。

 ほかにも、Finderやメニューに表示される項目のカスタマイズなどもできますので、1つ1つ試してみて効果を確認してみてください。いろいろといじってしまっても、[デフォルトに戻す]ボタンをクリックして初期状態に戻すことができるので安心です。

[各種設定]の[一般]ではウインドウを開く際のアニメーションエフェクトのオン/オフやヘルプタグの表示速度など、体感的なスピードアップを図れます。また、「スクリーンショットの影をオフにする」なども、地味ながらピンポイントで便利な機能です
[Finder]ではウインドウ操作のグラフィック効果のほか、不可視ファイル/フォルダの表示、各種メニューに表示する項目のカスタマイズなどができます

 最後になりますが、OnyXの本来の魅力は、システム標準では不可能な設定を変更できる点にあることを忘れてはいけません。単に、Mac高速化のためのメンテナンスを行なうツールではないということです。

 たとえば、macOS Big Surのログイン画面の背景画像は、システム環境設定の[デスクトップとスクリーンセーバ]からは変更できません。もしこれを標準の機能だけで変更しようとすると、ライブラリ内の操作やUUIDのコピーなどかなり複雑な手順が必要となりますが、OnyXならば[各種設定]の[ログイン]から別の画像を選ぶだけです。

 これまで、設定項目が多すぎるためOnyXを敬遠してきたという人もいるかもしれません。しかし、OnyXは要点を抑えればMac初心者でも手軽にメンテナンスできるツールです。また、各設定項目の意味を知ることで、macOSのシステムについての理解を深めるのにも役立つでしょう。

[ログイン]では、システム環境設定では変更できないログインウインドウの背景画像を変更できます。[選択]から他のピクチャを選択すると、再起動後に変更が反映されます
高速化とは直接関係はありませんが、[情報]の[プロテクト]タブでは、macOSのセキュリティ機能であるXprotectが認識したマルウェアを確認できます。普段目にしない情報を知ることができるのもOnyXの面白い点です