最新液晶ディスプレイ ピックアップ

日本サムスン「S23A950D」
~デザイン性重視の立体視対応機



 S23A950D
液晶サイズ23型
パネル方式非公開
表示解像度1,920×1,080ドット
アスペクト比16:9
画素ピッチ非公開
表面処理グレア
バックライト方式LED
応答速度2ms(GTG)
コントラスト比1,000:1(ダイナミックコントラスト時 500万:1)
視野角上下160度/左右170度
輝度250cd/平方m
表示色約1,670万色
走査周波数水平:30kHz~140kHz
垂直:50Hz、60Hz、100Hz、120Hz
チルト角度下0度、上20度
高さ調節なし
スイーベルなし
ピボット機能なし
入力端子DVI-D(HDCP対応)×1
HDMI 1.4a×1
DisplayPort 1.2×1
出力端子ヘッドフォン出力×1
スピーカーなし
VESAマウント非対応
電源ACアダプタ
消費電力標準46W
付属品Display Portケーブル
ACアダプタ
3Dメガネ
マニュアルディスク
本体サイズ533×185.5×424.5mm(幅×奥行き×高さ)
重量5.5kg

 日本サムスンから、3D表示に対応した液晶ディスプレイ「S23A9500」が登場。3D表示方式に、独自のアクティブシャッター方式を採用するとともに、一般的な液晶ディスプレイとは一線を画す、独特な本体デザインが大きな特徴の製品だ。

●本体デザイン

 S23A9500の最大の特徴と言っていいのが、一般的な液晶ディスプレイとは一線を画す、独特な本体デザインだ。パッと見た感じでは、液晶ディスプレイというよりも、家電の液晶TVに近い雰囲気。他の液晶ディスプレイと違い、非常に自己主張の強いデザインとなっている。

 デザイン上でインパクトのある部分が、薄い液晶パネル部で、厚さはわずか11.4mmとなっている。そして、液晶パネル部とスタンドをつなぐネック部は一体構造で本体右側に配置するとともに、柔らかいカーブを取り入れており、この部分も非常にお洒落な雰囲気だ。ベゼルが非常に狭い点も、大きな特徴となっている。

 スタンド部は、奥行き185.5mmで、液晶部より幅が若干狭い長方形となっている。一般的な液晶ディスプレイのスタンドは、比較的コンパクトなものが多いこともあり、S23A9500のスタンドは非常に大きく感じる。また、本体を横から見ると、液晶パネル部がスタンドの前方に位置しており、後方にかなり大きな空間が確保されていることがわかる。この後方の空間は、液晶パネル部を後方に傾けるためのものだ。

 本体サイズは、533×185.5×424.5mm(幅×奥行き×高さ)。本体カラーは、液晶パネル面がブラックで、液晶パネル背面およびスタンド部はメタリックシルバーとなっている。このカラーリングも、デザイン性が強い。

 液晶パネル面のチルト角は、手前には0度だが、奥に20度まで調節可能。高さ調節やスイベル機構は備わっていない。電源ボタンや入力切り替え、OSD操作用のボタンは、液晶下部ベゼル右側に集められている。ボタンは全てタッチセンサーとなっているが、反応は申し分なく、操作しやすい。ちなみに、タッチセンサー部分は、通常は見えなくなっているが、指を近づけるとバックライトが点灯し、浮かび上がるようになっている。

●液晶パネル

 1,920×1,080ドット表示対応の、23型ワイド液晶を採用。この液晶パネルは、sRGBカバー率100%の広色域パネルであり、優れた発色性能が特徴となっている。パネルの方式は非公開となっているが、視野角が上下160度/左右170度となっているのに加え、上下に視点を移動させると、表示画像の色合いが変化する点などから、TN方式のパネルと思われる。バックライトはLEDを採用している。

 アクティブシャッター方式の3D表示に対応していることからもわかるように、パネルは120Hz駆動に対応。応答速度もGTGで2msと非常に高速だ。

 コントラスト比は、標準で1,000:1、ダイナミックコントラスト有効時には500万:1となる。バックライト輝度は250cd/平方m。パネル表面は比較的きつめの光沢処理が施されており、外光の映り込みがかなり気になる。

●接続端子

 映像入力端子は、DVI-D(HDCP対応)×1系統、HDMI 1.4a×1系統、DisplayPort 1.2×1系統の3系統を用意。本体にはスピーカーが内蔵されておらず、音声入力端子も用意されていないが、HDMI入力時の音声を出力するヘッドフォン出力が用意され、本体のボタンで音量調節が可能となっている。

 映像入力端子およびヘッドフォン出力端子は、台座部の後方側面中央付近に配置されている。そのため、接続するケーブルの端子部分が本体台座後部に伸びる形となってしまい、設置時には台座後方にケーブルを接続できるだけの空間を確保しなければならず、壁際に置きたい場合に、注意がいる。後方の台座底面部分をくり抜いて端子を配置するなど工夫があると良かったように思う。

●OSD

 OSDは、メニューレイアウトが円形に配置されるなど、こちらもなかなか凝ったものとなっている。ただ、設定できる項目は一般的な液晶ディスプレイとほぼ同等。3D表示に対応しているため、3D関連項目が追加されているものの、明るさやコントラスト、色合い調節など、どちらかというと基本的なもののみが用意されているという印象だ。

 ところで、メニューにはSAMSUNG MAGIC Angleという項目が用意されている。これは、液晶パネル正面から上下や左右にずれた位置から画面を見る時に、明るさや発色が最適になるように調整するもの。これにより、寝転んで下方から画面を眺めるといった場合に、最適の画質が得られるようになる。

 OSDの操作は、本体のタッチセンサーを利用するが、タッチセンサーの反応は良好で、カーソル操作用ボタンは十字に配置されていることもあり、始めて利用する場合でも直感的に操作できる点は嬉しい。

●画質

 表示品質は、sRGBカバー率100%の広色域パネルを採用していることに加え、パネル表面が光沢処理となっていることもあり、発色は非常に鮮やかだ。若干赤が弱く、わずかに淡く感じる点は若干気になったが、色合い調節によって十分満足できる発色に変更可能なので、大きな問題はないだろう。

 パネル表面の光沢処理はかなりきつく、外光の映り込みはもちろん、暗い映像が表示されている状態では、自分自身が映り込んでしまう点はかなり気になった。また、ベゼル部も光沢感が強いため、パネル部は全体が映り込みを感じてしまう。ある程度低反射処理も施してもらいたかった。

 3D表示機能は、同社独自のアクティブシャッター方式を採用している。付属のアクティブシャッターメガネは、海外で販売されている3D液晶TVに付属しているものと同じだそうで、液晶ディスプレイとのリンクにはBluetoothを利用しており、安定して動作するようになっている。電源にはボタン電池を利用し、約70時間の連続使用が可能。また、オプションでUSBケーブルを利用する充電式のものも用意されており、そちらは連続40時間利用可能だ。

 アクティブシャッター方式を採用するPC用液晶ディスプレイは、基本的にNVIDIAの3D Visionをベースとするものがほとんどだが、S23A9500は3D Visionには対応せず、独自方式となっている。HDMI入力はHDMI 1.4aに対応しており、Blu-ray 3Dなどの3D映像信号をHDMI経由で入力し3D表示するというように、3D対応液晶TVと同じ仕様と考えていい。サイドバイサイドなどの3D映像にも、もちろん対応している。

 また、3D Vision対応の3D液晶ディスプレイにはない特徴となるのが、液晶ディスプレイ側に2D-3D変換機能が搭載されているという点だ。PCで表示する静止画や動画はもちろん、BDレコーダなどの外部映像機器から入力された2D映像を3Dに変換して表示できる。しかも、この2D-3D変換機能はかなり優れていて、2D画像をはじめ、DVDや動画ファイルなどを、違和感の少ない、かなり本格的な3D映像に変換して表示してくれる。しかも、Windowsデスクトップを表示しているときには2D表示、何かの映像や動画を表示したら3Dへと自動的に切り替わる点も、なかなか使い勝手がいい。もちろん、PCには2D-3D変換の負荷が一切かからない点も嬉しい。

 3D表示時は、コントラスト差の大きな境界線部分などでは、わずかにクロストークを感じることもあるが、全体的には比較的感じにくく、かなりくっきりとした3D映像が楽しめた。ちなみに、2D表示から3D表示に切り替わると、3D Vision同様映像が暗くなるが、その度合いは3D Visionよりも少ない。

 PCゲームの3D表示機能に関してはTriDef 3Dが付属し、同ソフトがサポートするゲームであれば、3D表示でプレイ可能。このあたりは、前回紹介したLGエレクトロニクスのD2342P-PNと同じだ。

 S23A9500は、独自のアクティブシャッター方式を採用するとともに、液晶ディスプレイ側に2D-3D変換機能を備えるなど、これまでのアクティブシャッター方式の液晶ディスプレイとは大きく仕様の異なる製品だ。また、他にはないスタイリッシュなデザインも魅力がある。価格は、実売で50,000円台と、3D Vision対応液晶ディスプレイよりやや高いが、アクティブシャッターメガネが付属しているほか、ビデオカードなどPC側のスペックに依存せず3D映像が楽しめる点は大きな魅力となる。3D Visionには非対応だが、アクティブシャッター方式の3D表示を、なるべく安価に実現したいと考えている人にとって、魅力的な製品となるだろう。

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(2011年 5月 24日)

[Text by 平澤 寿康]